2022.10.5

デジタル人材の定義は?採用・育成方法~定着のポイントを解説

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デジタル人材とは、最先端のデジタル技術を使い、企業に新たな価値を提供できるようなスキルを持った人材のことだ。今回はデジタル人材の定義や求められているスキル、確保するための方法を紹介する。デジタル人材を定着させる取り組みのポイントも解説するため、併せてチェックしていこう。

デジタル人材の定義

デジタル人材とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくために必要となる人材のことである。最先端のデジタル技術を使い、企業に新たな価値を提供できるようなスキルを持った人材を指す言葉だ。DX推進の成果を求めるのであれば、デジタル人材の充実は必須である。

近年は、多くの企業でDXを推進している流れがあることで、デジタル人材の需要はどんどん高まっている。デジタル人材を確保することに苦戦している企業は多いため、企業の環境整備をしてデジタル人材を育成し、定着させる取り組みが重要だ。

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デジタル人材が扱う「最先端のデジタル技術」は、時代によって変化することに注意が必要である。現在でいえば、最先端のデジタル技術として求められているのは「IoT」「5G」「ビッグデータ」「AI」「生体認証」などの技術だと考えられるだろう。

デジタル人材とは「IT人材」とイコールではないか、という認識が広まっている傾向にあるものの、これら2つの言葉には違いがある。一般的に、IT人材は「IT企業やユーザー企業の情報システム部門に従事し、ITの活用や情報システムの導入を進めて運用する人材」だ。一方でデジタル人材とは、先述のとおり「最先端のデジタル技術で企業に新たな価値提供ができる人材」のことであり、情報システム部門だけではなく社内のさまざまな部門で活躍している。

このような違いがあるため、デジタル人材として表されるのはエンジニアやデータサイエンティスト、AIエンジニアなどの技術系スキルを持つ人材だけではない。たとえば、DXを推進していけるプロデューサーもデジタル人材に含まれる。

この場合には、エンジニアリングの専門的な役割は求められておらず、組織やプロジェクトをマネジメントする領域を担うことになる。ただし、提案を判断できるようになる程度には、ビジネスやサービスの設計分野、データサイエンス・エンジニアリングの分野などの知識も必要だといえるだろう。

デジタル人材に求められているスキル

デジタル人材に求められているスキルは、以下のとおりだ。

<最先端のデジタル技術に関する能力(ハードスキル)>
求められている最先端のデジタル技術を使いこなせる能力のことである。最先端の技術を駆使して、求められるサービスなどを具現化していく。

<ビジネスにおける企画能力(ソフトスキル)>
最先端のデジタル技術を駆使することで、どのような価値を創造できるのかを考え、新たなビジネスモデルを検討して立案するための能力のことである。事業全体を理解したうえでビジネスモデルを再構築していく必要があり、社内外の課題をしっかりと見極めて解決する「計画力」や「課題解決能力」が重要だ。

このほかにも、たとえばソフトスキルとしてコミュニケーションスキルや、コンセプチュアルスキルなどが求められる。デジタル技術は日々進化し続けているため、最先端のデジタル技術に関する能力を継続して持ち得るには、ハードスキルを磨き続ける必要があるだろう。

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デジタル人材を確保する方法

デジタル人材を確保する方法には、「採用」と「育成」の2つが挙げられる。またこのほかに、専門的知識を持つデジタル人材に社内業務をアウトソーシングする方法も取り入れられるだろう。アウトソーシングする方法では、コンサルティングファームなどの外部のパートナー企業に依頼することで、DXを進めるために必要な期間だけデジタル人材を確保できる。

それぞれの方法について、詳しくチェックしていこう。

採用

採用して確保する方法とは、もともとデジタル人材として活躍できる人材を採用市況などから自社に引き入れることである。先述のとおり、近年はデジタル人材の需要が高まっている。

とはいうものの、デジタル人材で転職へのニーズが顕在化している層の数はとても少ない。そのため、さまざまな企業が人材を取り合う状況になり、デジタル人材の採用が難しくなっているのだ。

このような状況下でも採用するためには、リファラル採用などの手法を使い、転職に興味があるもののニーズが顕在化していない層に広くリーチすると良いだろう。そのうえで、転職したくなるような仕掛けを作るのがおすすめだ。

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育成

採用市場からデジタル人材を確保することは難しいため、育成するという手段を取るのも良いだろう。デジタル人材を育成するためには、社内外問わずに研修などでスキルアップできる機会を作ったり、既存従業員の配置転換などによって育成を図ったりするのがおすすめだ。

オンラインプログラムの提供や外部のIT企業によるレベルの高い研修、OJTによる実践力の向上なども取り入れていくと良いだろう。さらに、仕事で活用できるようなさまざまな資格を取得できるように、サポート体制を整えることも重要なポイントだ。

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デジタル人材を定着させるポイント

採用活動や人材育成などによってせっかく手に入れたデジタル人材が、流出してしまうという課題を抱えている企業は多いだろう。デジタル人材は転職率が高いといわれており、定着させるためにはポイントをおさえて対応する必要がある。

今までDXを推進してこなかった企業にとっては、高度なデジタル人材を集める難易度がとくに高いといわれていることもあり、集めた人材が流出してしまうことは企業にとって避けたい事態だろう。

デジタル人材を定着させるためにとくに注意しておきたいポイントは、以下のとおりだ。

・ 採用でミスマッチを起こさない
・ オンボーディング施策を整える
・ スキル・市場価値に見合う待遇を用意する
・ スキルアップの機会を創出する

これらのポイントについて、詳しくチェックしていこう。

採用でミスマッチを起こさない

せっかく手に入れたデジタル人材が流出してしまうのを避けるためには、採用活動の際にミスマッチを起こさないようにすることが重要だ。せっかく予算と時間をかけて採用したとしても、ミスマッチが起きていると業務へのモチベーションが低くなってしまったり、早期離職につながってしまったりする。

人事関連業務におけるミスマッチとは、企業が従業員へ求めることと従業員が企業へ求めることに相違がある場合に使われる言葉だ。期待していたことと現実との間に大きなギャップがあったことについて指すことが多い。

採用活動におけるミスマッチには、採用した人材の能力が充分に発揮されないこと、モチベーションが低くなること、すぐに辞めてしまうことといったデメリットがある。ミスマッチを減らしていくためには、ネガティブな面も情報提供すること、面接の際に採用活動を実施している背景や人材のニーズなどを伝えること、リファラル採用などを活用することなどがおすすめだ。

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オンボーディング施策を整える

オンボーディング施策を整えることも、デジタル人材を定着させるポイントのひとつである。そもそも企業の人事部門などにおけるオンボーディングとは、新しく入った従業員を事業所に配置し、戦力となるまでの一連の受入プロセスを指している。

中途採用者は即戦力として求められているケースが多いものの、入社直後から業務推進能力を充分に発揮することは難しいだろう。そのため、新しく入った従業員が組織の一員として定着し、自身の能力をしっかりと発揮できるようにすることが重要だ。

オンボーディング施策を整えるためには、たとえば以下のようなことをすると良いだろう。

・ 入社前から定期的に連絡を取る
・ 入社オリエンテーションでの研修内容が即戦力化に役立つものかなどを見直していく
・ チームメンバーからの適切な支援が受けられるようにサポート体制を整える

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スキル・市場価値に見合う待遇を用意する

本人のスキルや市場価値に見合うような待遇を用意することも、デジタル人材を定着させるためのポイントだ。デジタル人材のうち、とくに転職の意向がある層は「能力の高い社員の昇進やフィードバックの頻度」に不満を抱いている割合が多いといわれている。

自身を適切に評価してくれないという不満があり、充分な評価を得られる企業に転職しようとするケースがよくあるのだ。そのため、評価の機会を提供して見合う待遇を用意することで、転職を防げる可能性がある。

また、ワークライフバランスを充実させることも、デジタル人材を定着させることにつながるだろう。

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スキルアップの機会を創出する

デジタル人材の多くは、転職の際にスキルアップできるかどうかを重視するといわれている。そのため積極的に昇進の機会を与えるなど、自身のスキルアップにつながっていくような機会を提供することでも、デジタル人材を定着させられる可能性が高まるのである。

また、デジタル人材の転職の際は、尊敬できる人材がいる環境を求めて転職を考えるケースもあるようだ。尊敬できる優秀なマネジャーを付けるなど、統括する側の人選にも注意しよう。

まとめ

デジタル人材とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のために必要となる人材のことである。デジタル人材は、最先端のデジタル技術を使って企業に新たな価値を提供できるようなスキルを持っている。

デジタル人材の需要はどんどん高まっており、人材を確保することに苦戦している企業は多い。そのため、企業で環境整備をしたうえでデジタル人材を育成し、定着させる取り組みが重要だ。

デジタル人材に求められているスキルには、最先端のデジタル技術に関する能力とビジネスにおける企画能力、コミュニケーションスキルなど、ハードスキルとソフトスキルの両面が求められている。デジタル技術は日々進化し続けているため、最先端のデジタル技術に関する能力を継続して持ち得るには、ハードスキルを磨き続ける必要があるだろう。

デジタル人材を定着させるためにとくに注意しておきたいポイントは、以下のとおりだ。

・ 採用でミスマッチを起こさない
・ オンボーディング施策を整える
・ スキル・市場価値に見合う待遇を用意する
・ スキルアップの機会を創出する

これらの情報を理解して、実際の企業活動に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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