2022.6.16

なぜ中途採用は難しい?その理由、成果に向けて見直すべきことを解説

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中途採用は難しい」とよくいわれているが、なぜ中途採用だと難易度が高いのか、その理由を理解した上で対策を講じるべきである。今回はどうして中途採用が難しいのか、それでも成果を出すために見直すべき4つのことなどを紹介する。中途採用の主な手法も解説しているため、あわせてチェックしよう。

中途採用が難しい理由

即戦力となるような人材を求めて中途採用をおこなう企業は多い。HR総研が2021年11月に実施した「キャリア採用に関するアンケート」の結果によると、301名~1,001名以上の企業のうち7~8割は採用計画があるという結果になっており、中途採用は身近なものである。(HR総研/ProFuture株式会社

▼2021年度の「キャリア採用」採用計画数

グラフ:2021年度の「キャリア採用」採用計画数

特に301名以上の企業では、2021年4月1日より中途採用比率の公表が義務化されたこともあり、中途採用を拡大していこうという動きが加速しつつあるため、中途採用を重要視することが、企業の採用活動で人材を確保するためにも大切だ。

しかし、「中途採用は難しい」とはよくいわれる。とくに、優秀な人材を確保するのは困難だ。
HR総研の同調査によると、2021年度の中途採用計画を11月時点達成しているのは17%のみと、困難な状況が伺える結果が出ている。

▼2021年度「キャリア採用」計画数の11月時点の達成率

グラフ:2021年度「キャリア採用」計画数の11月時点の達成率

中途採用が難しい理由として、積極的に中途採用者を受け入れている企業が多く、転職市場における競争が激化していることがいえる。また人事部署の人手不足、急な人員補充のために人材を見極められずに判断していること、とくに優秀な人材が中途採用の市場に出にくいことなどが挙げられるだろう。

中途採用をおこなう場合、辞めてしまう社員を補充するためであったり、人事部署の人手不足によって時間をとれなかったりと、対応が難しい期日設定になってしまうことがよくある。

すると優秀な人材かどうかをしっかりと判断することができないまま、安易に合格させてしまうことに繋がってしまい、企業とのミスマッチが起こりやすいのだ。せっかく人材を確保できたとしても、入社後に長く勤め続けてもらえなければ、採用が成功したとはいえないだろう。

・関連記事:ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣

また、とくに優秀な人材に対しては勤め先企業も待遇をよくし、手放さないように対応しているため、人材の確保が非常に難しくなる。優秀な人材は、転職する場合にも取引先企業からスカウトされることが多い。

フリーランスとしても活躍できるため、中途採用の市場には出にくいといわれている。そのため、もしも優秀な人材が中途採用の市場に出たとしても数が少なく、一部の大企業が好条件を提示して採用に繋げている。これらの事情から、多くの場合は中途採用の市場でなかなか優秀な人材に出会いにくいと考えられる。

中途採用での人材確保が難しいということは、とくに中小企業でいえる。売り手市場である転職市場における競争の激化を受けて、大手企業よりも中小企業のほうが深刻な課題となっている。

中小企業では大手企業と比べて知名度が低い場合が多いこと、人事担当者が少なく採用業務に時間をさきにくいこと、採用コストがかけられないことなどの採用課題がある。また、中小企業であるということのイメージがよくないこと、他企業との優位性がないこと、採用に対するノウハウやリソースが少なく、大企業ほど手厚い対応ができないことも理由に挙げられるだろう。

日本では基本的に求職者が企業の求人情報をチェックし、エントリーをおこなうケースが多い。この場合には求職者のアプローチから始まることになる。どの企業を受けるのかを考える際に、できるだけ安定していて良いイメージのある大企業へとエントリーしたくなり、中小企業には人材が集まりにくくなるのである。

これは新卒採用時でも中小企業にある採用課題のひとつだ。人間は未知のものに対して恐怖心を抱きやすいこともあり、知っている企業を選ぶ傾向があると考えられている。

採用コストがかけられないため、自社が目立つように求人媒体で掲載してもらうことも難しく、なかなか自社が求める人材を確保しづらいのである。

中途採用で成果を出すために見直したいこと

先述のとおり、中途採用で成果を出すのは難易度が高いことだ。それでも中途採用で成果を出すためには、とくに以下のポイントを見直していくべきであろう。

・ 採用候補者(ペルソナ)は適切か?
・ 採用計画の流れ・時期は適切か?
・ 一貫性のある採用活動(採用コンセプト)が定義できているか?
・ 採用候補者を集められる手法を行っているか?

これらの成果を出すために見直していくべきポイントについて、それぞれ詳しくチェックしていこう。

採用候補者(ペルソナ)は適切か?

中途採用で成果を挙げるのであれば、企業が求める採用候補者のペルソナ設定を適切におこない、うまくいかなかった場合には再度見直す必要があるだろう。ペルソナとは、採用マーケティングで重要視されている概念である。

採用したい人物像をひとりの実在する人物として見立てることにより、具体的な人物像を設定し、自社の課題解決のために役立つ人材を効率的に採用できるようにするものだ。

採用活動でペルソナを設定する目的は、課題解決に必要な人材像を把握することと、採用した人材の早期離職を防ぐことにある。ペルソナと混同されやすいものとしてターゲットがあるが、これは狙う層のことであるため、人物像を設定する深掘りの具合が異なるものだ。

採用活動においてペルソナを設定する際は、募集する職種の業務遂行に必須条件となるスキルや性格を考え、採用市場におけるその人材の希少性を検討する。求める人材像が求職活動をおこなう理由を考え、訴求できる自社の魅力はなにかを検討するという流れで実践しよう。

関連記事
採用マーケティングとは何か。必要とされる背景と考え方
採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説

採用計画の流れ・時期は適切か?

中途採用で成果を挙げるためには、採用計画の流れや時期が適切かどうかも見直しておくといいだろう。採用計画とは企業の事業計画との方向性を一致させつつ、「どの部署に」、「どのような人を」、「いつまでに」、「どのような方法で」、「何人採用するか」などの計画を立てることである。

実際に採用計画を設定する際の進め方は、以下のとおりだ。

・ 採用目標の設定
・ 採用予算の確定
・ 選考方法の検討
・ 実施するサービスや施策の選定

このうち、採用目標の設定とは、集めるべき母集団のボリュームを把握することである。採用で成果を挙げられないのであれば、設定したあとも採用計画で決定した流れが適切かどうかなどを再度検討するといいだろう。

・関連記事:母集団形成とは?新卒・中途採用を成功に導く入口を解説

また、中途採用はいつでもおこなえるものの、転職市場には活発な時期とそうではない時期がある。

1月は新規求人数も新規求職の申込件数も増え、転職活動が活発になるタイミングだ。また、4月は新規求職の申込件数がとくに増える時期である。反対に12月は、新規求人数も新規求職の申込件数も少なくなる時期だ。

これらのデータをもとに、中途採用の対策を練っていくといいだろう。

・関連記事:採用計画の立て方とは?概要や計画の進め方を解説!

一貫性のある採用活動(採用コンセプト)が定義できているか?

採用コンセプトをはっきりと定義し、一貫性のある採用活動ができているかどうかも見直そう。もしも採用コンセプトがない場合には、ホームページや会社説明会、面接官の印象などがそれぞれバラバラになり、どういう会社なのかがわからなくなってしまいかねない。求職者に企業理念や想いを簡潔に伝えるためにも、一貫性のある採用活動が大切なのである。

・関連記事:採用コンセプトとは?重要性や作り方を解説!

採用候補者を集められる手法を行っているか?

採用候補者を集められる手法をとっているかどうかも、中途採用で成果を挙げるために見直すべきポイントだ。中途採用で人材を募集する方法には、転職サイトや企業ホームページ・オウンドメディアでの求人募集や人材紹介サービスの活用、ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)、リファラル採用など、さまざまなものがある。具体的に自社が求める人物像を設定したならば、その人物像に興味を持ってもらいやすいような手法をとれているかどうかを見直そう。

たとえばSNSなどで積極的に情報を発信したり、採用に関する動画コンテンツを作成したり、採用専用のページを作ったりする方法がある。自社のアピールポイントを理解し、ターゲットに刺さるようなメッセージを作ることも大切だ。

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中途採用の主な手法を再確認

最後に、中途採用で活用されている主な手法を再確認していこう。中途採用の主な採用手法は、以下のとおりである。

・ 就職ナビサイト
・求人情報誌
・ ソーシャルリクルーティング
・ 人材紹介
・ 採用HP、採用オウンドメディア
・ ダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)
・ リファラル採用
・転職フェア
・Web広告
・ハローワーク
・ヘッドハンティング

このように、中途採用の採用手法はさまざまだ。

たとえば、就職ナビサイトや求人情報誌などは転職ニーズが高い人物に見てもらえるが、たくさんある企業のうちのひとつとして埋もれてしまいやすい。飲食業界に特化したものなど、ターゲットとなる業界や職種、利用者を絞り込んだサイトに掲載すると、利用者が少ないもののライバル企業も減り、ターゲット層に見てもらいやすいという特徴がある。

企業からアプローチするダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)という手法は、近年採用活動で活発に用いられるようになったものだ。どのような人物なのかを確認したうえで、自社が求める人材にアプローチできるというメリットがある方法である。

さまざまある採用手法のメリットやデメリットを理解して、そのなかから自社にあった方法を選択するようにしよう。

関連記事:
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まとめ

即戦力となるような人材を求めて、中途採用をおこなう企業は多い。とくに近年は6割以上の人が中途採用で就職しているというデータがあるほど、中途採用は身近なものである。

しかし、中途採用は難しいとよくいわれており、とくに優秀な人材を確保するのは困難だ。中途採用が難しい理由としては、積極的に中途採用者を受け入れている企業が多く、転職市場における競争が激化していることがいえる。

また人事部署の人手不足、急な人員補充のために人材を見極められずに判断していること、とくに優秀な人材が中途採用の市場に出にくいことなどが挙げられるだろう。

それでも中途採用で成果を出すためには、とくに以下のポイントを見直していくべきだ。

・ 採用候補者(ペルソナ)は適切か?
・ 採用計画の流れ・時期は適切か?
・ 一貫性のある採用活動(採用コンセプト)が定義できているか?
・ 採用候補者を集められる手法を行っているか?

中途採用で見直すべきポイントや中途採用の主な手法などを理解し、実際の採用活動に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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