2022.3.14

中途採用の主な手法は?各手法のメリットやデメリットを解説

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中途採用をする手法にはさまざまな種類がある。それぞれに特徴やメリットが異なるため、自社のニーズに合った手法を取り入れたいものだ。今回は、採用手法にはどのようなものがあるのかを紹介する。特徴を確認して実際の採用活動に取り入れていこう。

中途採用を行う目的

中途採用とは、新卒以外の人材を採用することを指した言葉である。基本的に中途採用とは年齢層にかかわらないうえ、職務経験がない場合にも当てはまる。

新卒採用されてから3年以内に転職する若手人材を「第二新卒」と表現するケースがあるが、本来であればこれも中途採用にあたる採用といえるだろう。しかし第二新卒に関しては、採用する目的や基準が新卒とそれほど変わりがないケースが多いため、採用計画を立てる際に新卒採用とまとめて考える場合があるようだ。

関連記事:採用担当者は知っておくべき第二新卒とは?新卒との違いや、いつまでが第二新卒か?採用するメリットや方法を解説

もともと日本の大企業では、人材確保の際に中途採用をしないケースも少なくないほど、新卒一括採用を重視してきたという背景があった。しかし、グローバル化の進展や新しい発想力、新しい視点での考え方が重要視されるようになったことなど、以前とはビジネス環境が変化した影響で、中途採用による人材獲得へのニーズが高まっているのだ。

また中途採用のニーズが高まっている背景には、2021年4月施行の「労働施策総合推進法」改正も関係しているだろう。この法改正により、常時雇用している従業員数301名以上の企業に対しては、直近3年間の中途採用比率の公表が義務化された。

HR総研の「キャリア採用に関する調査」によると、法改正に合わせて中途採用比率を上げようとしている企業のうち、約7割が中途採用の増加によって実現しようとしている結果となっている。(ProFuture株式会社/HR総研

■中途採用比率を上げる方法

グラフ:中途採用比率を上げる方法

企業間の競争が激しい昨今、即座にニーズの変化に対応しなければならない。しかし、それに対応できる専門知識を持った人材は、外部から取り入れないとすぐには用意できないのだ。

また、終身雇用制度や転職への捉え方が変化したことや、それにより転職を前向きに捉えた優秀な人材が転職市場に多く存在するようになったことも、中途採用による人材獲得へのニーズが高まった背景にある。中途採用をおこなうことにより、すぐに戦力になる人材やさまざまな経験を持つ優秀な人材、あるいは多様性のある人材を手に入れようという目的を持った企業が増えているようだ。

中途の主な採用手法

中途採用をおこなう場合の主な採用手法は、以下のとおりである。

・ 就職ナビサイト
・ ダイレクトリクルーティング
・ リファラル採用
・ ソーシャルリクルーティング
・ 人材紹介
・ 採用HP、採用オウンドメディア

これらのほかにも、中途採用をおこなう手段には転職フェアやWeb広告、ハローワーク、ヘッドハンティングなどがある。

関連記事:ウェブ広告を活用した採用活動のポイントとは?採用マーケティングにおいての活用方法

新卒採用をおこなう場合にも、就職サイトでの募集やダイレクトリクルーティング、人材紹介、合同説明会など、似たような手法をとっている。他方で新卒採用のみの採用手法としてインターンシップや、大学の就職課から学生に対して就職を斡旋したり紹介したりといった手法を用いる場合もある。

それでは、中途採用をおこなう場合の主な採用手法について、詳しくチェックしていこう。

①就職ナビサイト

Web媒体である就職ナビサイトへの掲載は、中途採用と新卒採用のどちらでも多く使われる手法である。中途採用での人材確保を狙う場合には、転職用に特化したナビサイトを利用しよう。

また、紙媒体の求人情報誌を用いる手法についても、中途採用と新卒採用のどちらでもよく使われている。全体の流れを見てみると、Web媒体を利用した採用手法をとるケースの割合が圧倒的に多いといわれているが、募集する職種によっては依然として紙媒体を使った手法をとるほうが多い場合もあるようだ。

これらの採用手法では、まず企業が採用情報を掲載し、転職を希望する人が志望する企業にエントリーするという形をとっている。就職ナビサイトには、業界や職種にかかわらずすべての仕事に関する情報を載せている総合型のサイトと、ターゲット層がある特化型のサイトなどがある。

たとえば、飲食業界に特化したものや外資系企業に特化したものといったように、ターゲットとなる業界や職種を絞り込んだサイト、プログラミング経験者のみのように利用者を限定したサイト、ベンチャー企業やAIマッチングなど明確なコンセプトがあるサイトなどだ。

就職ナビサイトや求人情報誌を利用した場合には、転職ニーズが高まっている人物に情報を見てもらいやすいのがメリットだ。しかし掲載される企業数が多く、自社の情報が求めている人材の目にとまるかどうかという課題がある。総合型の就職ナビサイトではなく、特化型サイトを利用すれば登録者数は減るものの、その分ライバルとなる企業も減ることになる。

なお、利用する費用の相場は、前払い型で約50~100万円である。新卒採用の場合は掲載期間が長期化するため、約150万円以上と相場が高くなるようだ。

②ダイレクトリクルーティング

最近は、就職ナビサイト離れが起こっているといわれる。その分、採用活動で活発に用いられるようになったのがダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)だ。

ダイレクトリクルーティングもWebを活用した採用手法ではあるが、就職ナビサイトとは異なり、求職者に対して企業側からアプローチするというように進んでいく。この手法は新卒採用と中途採用のどちらでも活用されているものだが、どちらかというと転職における採用活動でとくに使われているようだ。

ダイレクトリクルーティングにはさまざまなサービスがあるものの、代表的な方法には逆求人型採用とも呼ばれる「オファー型採用」がある。ダイレクトリクルーティングは、基本的にサービスに登録した人材が自分に関する情報を載せ、企業が特定の人物にスカウトメールを送ってコンタクトをとるという流れをとっている。

企業側のメリットは、どのような人材なのかを理解したうえで、自社のニーズに合った求職者と連絡が取れることである。優秀な人材にアプローチしたい場合や、人気企業が求職者を集めすぎることなく求人募集をかけたい場合などに活用できる。

企業側からアプローチできるため、送るメッセージを工夫するなどやり方によっては知名度が低い企業でも優秀な人材を取り入れられるだろう。しかし、その分うまく相手の心を掴むことができるか、たくさんの人材のなかから自社に合う人物を検索してメッセージを送るという手間をかけられるかなど、採用担当者の負担が大きくなる。

費用はサービスによってさまざまであるものの、前金型では求人広告よりも安く、成功報酬型では人材紹介よりも安い金額が相場となっているようだ。

③リファラル採用

リファラル採用とは、いわゆる縁故採用が進化したものだ。主に自社従業員から自社に合いそうな優秀な人材を推薦してもらうことであり、ある程度対象者を理解して紹介してもらうため、人間性がわかりやすいうえに業界経験者を採用できる可能性も高いといわれる。

HR総研の調査でも、今後、利用がより高まると思われる「キャリア採用」の手段・サービスとして最多の44%と、近年注目されている採用手段の一つだ。(ProFuture株式会社/HR総研)

■今後、利用がより高まると思われる「キャリア採用」の手段・サービス

グラフ:利用がより高まると思われる「キャリア採用」の手段・サービス

就職ナビサイトなどと違い、採用にかかる費用を抑えられる点もメリットである。ちなみにリファラル採用を促進する企業では、紹介した社員に数十万円程度のインセンティブを支払うなどの社内制度を設ける企業が多いようだ。

従来の縁故採用との違いは、社員からの紹介を増やす工夫がされていることである。SNSの活用や社内パーティー、キャリアセミナーなどに参加してもらい、事前に軽く接点をとるケースがよくあるようだ。

関連記事:採用マーケティングにおける採用手法の選び方。ダイレクトソーシングやリファラル採用の効果とは

④ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSを活用する採用手法である。自社の採用アカウントをSNS上に作り、会社の雰囲気が伝わるような写真などを投稿していく方法だ。若年層をターゲットとする場合に有効で、コストもかからない。

しかし、実際には情報が埋もれてしまいやすいなどの課題があり、母集団を集めることは難しいようである。接点のある人材とコミュニケーションをとる手段や、ブランディングをおこなうための手段などとして考え、活用していくとよいだろう。

また、企業によってはSNSに登録されている情報から求める人材を探してメッセージを送っているケースもある。

関連記事:「マス型採用」から自社のPRを積極的に行う「個別採用」へ。 TwitterなどのSNSも活用する注目の採用術とは?

⑤人材紹介

人材紹介会社や就職サイトから人材を紹介してもらう採用手法もある。専門性の高い人材など、欲しいスキルを持つ人材をピンポイントで紹介してもらえ、成功報酬型での支払いが多いため、採用のためにかけた費用が無駄にはならないというメリットがある。

基本的に求職者との対応や面接する日程の調整、内定承諾までのやり取りなどを代行してもらえるため、採用担当者の負担が少ない方法だ。スピーディーに人材を補充したい場合などにも向いている。

⑥採用HP、採用オウンドメディア

自社で持つホームページに採用に関するコンテンツを追加する手法や、採用に特化した採用オウンドメディアを活用する場合もある。求職者のうち自社に興味を持つ者には非常に効果的で、情報量やレイアウトなどの制限がないなどのメリットがある方法だ。

ほかの採用方法を考えている場合であっても、応募者が企業ホームページを確認する可能性が高いため、自社や採用に関する情報が載ったホームページは作っておくべきだろう。

ただし、ホームページのみの求人方法しか使わない場合は、自社に興味がない求職者には情報が届かないことに注意が必要だ。

オウンドメディアリクルーティングも自社メディアでの求人である。日本でいうオウンドメディアとは、一般的にウェブマガジンや情報提供サイトを指す。SNS経由やWeb検索などで見てくれる人もいて、転職の潜在層へのアピールも可能だが、継続的にコンテンツを作成する必要があるといった注意点もある。

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まとめ

中途採用とは、新卒以外の人材を採用することを指す。新卒でさえなければ、基本的に年齢層や職務経験にかかわらず中途採用に該当する。

もともと日本では、新卒一括採用を重視してきたという背景があった。しかし、終身雇用制度や転職への捉え方が変化したことや、優秀な人材が転職市場に多く存在するようになったことなどにより、中途採用による人材獲得へのニーズが高まっている。中途採用をおこなって即戦力の人材、さまざまな経験を持つ優秀な人材、多様性のある人材を手に入れるという目的を持った企業が増えているようだ。

中途採用をおこなう場合の主な採用手法には、就職ナビサイトやダイレクトリクルーティング、リファラル採用、ソーシャルリクルーティング、人材紹介、採用HP、オウンドメディアなどがある。新卒採用をおこなう場合の採用手法もおおむね同様だ。

採用活動を進めるうえでチェックしたいポイントは、採用手法ごとの特徴とメリットやデメリットだ。自社のニーズに合った手法がどれかを検討し、効果的な採用活動をおこなっていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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