2022.10.7

ウィンザー効果とは?マーケティング、人事マネジメント等での活用例

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ウィンザー効果とは、第三者から伝達された情報は信頼されやすいという心理効果のことである。マーケティング領域や人事マネジメントなど、ビジネスにおけるさまざまな場面で活用されている。ウィンザー効果の意味や必要性、具体的なマーケティング施策などを見ていこう。

ウィンザー効果とは

ウィンザー効果とは、情報の信憑性に関する心理効果のことである。マーケティング戦略で用いられることが多く、ビジネスに応用する価値が高いことから注目を浴びている。ウィンザー効果の概要や仕組み、ビジネスにおける必要性を確認していこう。

情報の信憑性に関する心理効果のこと

ウィンザー効果とは、当事者よりも第三者が発信した情報のほうが信頼されやすいという心理効果のことを意味する。たとえば、ある製品の魅力を自社がアピールした場合と、ユーザーが良い口コミやレビューを発信した場合とでは、後者のほうが購買に結びつきやすい。

口コミサイトやSNSで評判を検索し、利用するかどうかを決めることは珍しくないだろう。ウィンザー効果は私たちの身近なところで起こっている心理効果であり、普段の行動や意思決定に影響しているといっても過言ではない。

ウィンザー効果は、米国作家の『伯爵夫人はスパイ』という小説に由来する。作中でウィンザーという名の女性が発した「第三者の褒め言葉が何よりも効果的」というセリフから、そのような心理傾向がウィンザー効果と呼ばれるようになった。

ウィンザー効果が起こる仕組み

なぜ第三者からの情報は信頼を得やすいのか。そのメカニズムには、利害関係の有無が影響していると考えられている。多くの人は、直接的に利害関係のない人が発した情報について、信憑性が高いと判断する傾向があるのだ。

たとえば、企業があるサービスの購入を促したい場合、サービスの良い面ばかりを伝えるケースが多いだろう。その際、消費者は「何か嘘があるのではないか」と疑う傾向があり、情報の信頼性が下がりやすくなる。

一方で、企業と利害関係のない第三者には嘘をつくメリットがないため、裏がないと判断されやすい。「嘘をつく必要がない=本当の情報である」という考えから、匿名の口コミやレビューは信憑性が高まるとされているのだ。

特に、普段から信頼関係のある知人や友人がもたらす情報は、説得力が増すと考えられている。

ウィンザー効果の必要性

ウィンザー効果は、マーケティング戦略での有用性が高いことを理由に注目を集めている。詳しくは後述するが、ネットショッピングや通販で用いられる体験談や口コミは、ウィンザー効果の代表的な活用例だ。

ウィンザー効果をマーケティングに応用すると、自社サービスの信憑性や好感度の向上が期待できる。消費者の行動や意思決定に大きく影響するため、ビジネスにおけるウィンザー効果の必要性は高いといえるだろう。

「ウィンザー効果」をねらったマーケティング施策例

ウィンザー効果は、さまざまなマーケティング施策に取り入れられている。主な施策の例として、以下の3つを詳しく見ていこう。

・ 口コミ(バイラルマーケティング)
・ PR活動
・ アンケート/インタビュー

口コミ(バイラルマーケティング)

ウィンザー効果をねらえるマーケティング施策として、口コミの活用が挙げられる。インターネットやSNSの発達により、第三者による口コミやレビューは広く拡散されるようになった。このような口コミの拡散力を利用したマーケティングは、バイラルマーケティングと呼ばれる。

バイラルマーケティングの基本的な構造は、売り込みたいものの魅力を企業側が発信し、情報を受け取ったユーザーが身近な人に広めることだ。「良いものを周囲の人に教えたい」というユーザー心理を利用しており、コストを抑えて自社の製品やサービスを宣伝できる。

インフルエンサーマーケティングやオンラインキャンペーンも、口コミによるウィンザー効果を利用する手法だ。前者は影響力のあるインフルエンサーに製品を宣伝してもらう仕組みで、一般ユーザーの口コミよりも信憑性が高まる傾向がある。

後者はユニークなキャンペーンを展開し、SNSの投稿を集める手法だ。一般ユーザーの投稿が拡散されることで認知度が高まり、さまざまな人にリーチしやすくなるだろう。

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PR活動

PR活動には、プレスリリースやペイドパブが挙げられる。プレスリリースはパブリシティ活動とも呼ばれ、ニュースソースとして発信した情報をメディアに取り上げてもらう手法を指す。

メディアが自主的に掲載するものであり、基本的には情報の発信元に利益が発生しないため、ウィンザー効果が働いて信憑性が高まりやすい。特にメディアにファンがついている場合には、より訴求力が強まる傾向がある。

ペイドパブはPR広告ともいい、メディアの編集部が有料記事として情報発信する手法を指す。基本的には広告として扱われるため、ウィンザー効果が高いとはいえない。ただし、ユーザーや著名人の意見を盛り込んだり、客観的なデータを示したりすると、ウィンザー効果をねらうことも可能である。

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アンケート/インタビュー

マーケティングにウィンザー効果を応用する際は、アンケートやインタビューの実施も有効である。利害関係のない第三者の意見を集めて公開することで、信憑性や信頼性の向上がねらえるだろう。

アンケートの方法はさまざまあるが、なかでもWebアンケートが主流となっている。Webアンケートでは印刷や郵送のコストがかからず、簡単に集計ができる。アクセスするだけで回答できるため、ユーザーにとっては負担がかからないのもメリットだ。

より具体的な意見を集めたい場合は、ユーザーにインタビューを実施してみよう。インタビューは回答内容や反応に合わせて質問を変えられるため、アンケートよりも柔軟に質問できる。

インタビューやアンケート以外では、モニター募集も有効だ。モニターに応募する人は、自社やサービスに好意的であることが多く、より良いサービス作りに貢献したいという意識が高いため、サービスの改善に役立つ意見を集められるだろう。

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人事分野における「ウィンザー効果」~マネジメント

ウィンザー効果の恩恵を受けられるのは、マーケティング分野だけではない。人事分野においてもウィンザー効果がもたらすメリットは大きく、円滑な組織運営に有用だ。ここでは、部下のマネジメントにウィンザー効果を取り入れる方法を解説する。

部下への評価/フォロー

マネジメントでウィンザー効果をねらうのであれば、第三者からの評価を活用するのが有効だ。たとえば部下を厳しく指導したあとは、第三者に部下のフォローを任せよう。

指導者が自らフォローの言葉をかけても、「本心ではない」「気を使っているだけ」と疑われやすい。言葉を素直に受け取ってもらえず、フォローがうまくいかないこともあるだろう。

一方で、第三者からフォローの言葉を伝えてもらうと、部下は言葉をそのままの意味で受け取りやすくなる。間接的に褒められることでウィンザー効果が働き、言葉の信憑性が高まるのだ。

「〇〇さんはよく頑張っていると褒めていたよ」、「〇〇さんに期待していると言っていたよ」など、第三者を通して具体的な褒め言葉を伝え、部下のモチベーションアップにつなげよう。

関連記事:モチベーションとは?意味やアップさせる方法を分かりやすく解説

なお、第三者から自分の部下に関するポジティブな意見を聞いた際には、「△△さんが褒めていたよ」と部下に伝えるのも有効である。

注意点として、部下に関するネガティブな評価を間接的に伝えるのは禁物だ。第三者経由でネガティブな評価が伝わると、直接的に伝えるよりも大きな影響を与えてしまう。場合によっては、部下との信頼関係にヒビが入りかねない。

第三者と部下の話をする際は、ネガティブな評価が間接的に本人へ伝わらないように配慮することを心がけよう。

人事分野における「ウィンザー効果」~採用マーケティング

ウィンザー効果は採用マーケティングにおいても良い影響をもたらす。採用マーケットにおいて、候補者の多くは「何か裏があるのではないか」というフィルターを通して企業の良さを判断するものだ。

そのため企業側が自社の魅力をアピールしても、候補者に信用してもらうのは簡単なことではないだろう。しかし、利害関係のない第三者から良い評判を聞いた場合は、打って変わって企業が魅力的に見えやすくなる。

このように、同じ情報でも「誰から聞くか」によって信憑性が左右されるため、採用マーケティングにおけるウィンザー効果の重要度は高いといえる。ウィンザー効果を採用マーケティングに応用する具体的な手法について、以下で詳しく見ていこう。

良い点だけに偏らない社員インタビューの紹介

候補者にウィンザー効果を起こすためには、自社で実際に働く社員の声を届けるのが有効だ。その際、良い点だけをアピールするのではなく、働くうえで苦労したことや入社前とのギャップなども盛り込むことが好ましい。

良い点と悪い点の両方を伝える手法は、両面提示と呼ばれる。反対に、メリットとデメリットの一方のみを伝える手法は片面提示という。社員インタビューでウィンザー効果を高めるためには、両面提示を活用することが重要だ。

片面提示で自社の魅力のみを伝えると、「企業にとって都合のいいことしか言っていない」と警戒されやすくなる。候補者の興味を惹けず、優秀な人材を逃すことにもつながりかねない。

良い点も悪い点も伝える両面提示には説得力があり、信憑性が高まる傾向がある。採用マーケティングの施策として社員インタビューを掲載するのであれば、両面提示で候補者にアプローチすることをおすすめする。

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まとめ

ウィンザー効果とは、第三者を通して伝えられた情報は信憑性が高まるという心理効果を指す。ユーザーの行動や意思決定に大きな影響を及ぼすため、特にマーケティングでの必要性が高いと考えられている。

口コミを活用するバイラルマーケティング、プレスリリースなどのPR活動などは、ウィンザー効果に関連するマーケティング施策だ。第三者の声を集めるアンケートやインタビューなども、ウィンザー効果によって購買などの行動に結びつきやすい。

マーケティング以外では、人事分野でもウィンザー効果を応用できる。ビジネスにおけるさまざまな場面でウィンザー効果を活用し、目標の達成やマネジメントに役立ててみてはいかがだろうか。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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