2023.10.6

AI面接とは?メリットやデメリットなどを解説

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近年「AI面接」を導入する企業が増えている。求人応募者の職務遂行能力をAIで評価して数値化し、そのデータを採用の判断に活かすのだ。当記事では、人対人の通常面接との比較や、AI面接の実施で得られるメリットとデメリット、AI面接に関連した便利なアプリケーションやサービスなどについても解説する。

AI面接とは?

AI面接とは、AIが面接官を担う採用の方法である。人間が応募者に直接質問することはなく、AIからの質問に回答するだけで面接が完結するのだ。面接される側としては通常の面接よりも気楽なように思えるが、AIは回答内容や表情、声などを解析して適性を評価するため、応募者は気を抜けない。

なお、通常の人対人によるWeb面接と並行してAIを稼働させ、データ集計や評価などをAIがサポートする面接サービスもある。完全に無人で行うAI面接だけでなく、通常の面接と併用するAI対応サービスもあるということを理解しておこう。

それではAI面接と通常面接の特徴と、それぞれの違いについて確認していこう。

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通常面接とAI面接の「実施方法」とその違い

通常の面接とAI面接のそれぞれの実施方法と違いについて確認していこう。

通常面接の実施方法

通常の採用面接は、人事担当者や部門責任者などの人間が面接官となって面接を行う。実施方法は、一人の応募者に対して行う「個人面接」と、複数人の応募者に対して行う「集団面接・グループ面接」がある。

個人面接は自由な形式で質問でき、相手の能力や反応に合わせて深掘りできるのが特徴だ。
ただし、複数人の面接官が個人面接を行う場合は、応募者が過度に緊張してしまって本音を引き出しにくいことがある。

一方の集団・グループ面接は、一度に多くの応募者の話を聞けるのが特徴だ。応募者間の相互比較を行えるが、個人の特性を把握しづらい傾向がある。なお、一般的に集団・グループ面接は大量採用を前提とした新卒採用や第二新卒採用などの場面で行われることが多く、中途採用で行うケースは少ない。

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AI面接の実施方法

AI面接の場合は、専用のアプリケーションやプラットフォームを使用して行う。応募者は、AIによって投げかけられた質問にカメラやマイクを通して回答し、AIは応募者の回答した内容や表情、声などのデータを解析して適性を評価する。質問は、片手間に答えられる簡単な内容ではない。

回答の内容が浅いと判断された場合、AIは掘り下げた質問をして応募者の情報を得ようとする。目の前に人間の面接官はいないため、応募者は自分と向き合いながら考えをまとめて、回答していかなければいけない。

なお、テキストによる回答が可能なAI面接ツールも存在する。

通常面接とAI面接の「評価基準」とその違い

通常の面接とAI面接のそれぞれの評価基準と違いについて確認していこう。

通常面接の評価基準

通常の面接は、面接官の主観や経験に基づいて評価が行われることが多い。無意識下にある偏見やバイアス(アンコンシャスバイアス)によって思考に偏りが出やすいのだ。その結果、面接官によって評価基準が偏り、採用の判断にばらつきが出てしまうこともあるだろう。

その一方で、企業文化や人間関係の適合性など、数値化しにくい要素を応募者の評価の対象にすることもできる。

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AI面接の評価基準

AI面接は、事前に設定したアルゴリズムや基準に基づいて応募者の評価を行う。採用担当者がそれぞれ持っている偏見やバイアスが判断に影響することが少なく、評価のばらつきを解消できるのだ。

AI面接では採用基準を統一化でき、公正な採用につなげられるだろう。ただし、AI面接は評価基準が画一的であるため、多様な人材を評価しにくいという課題もある。

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通常面接とAI面接の「目的」とその違い

通常の面接とAI面接のそれぞれの目的と違いについて確認していこう。

通常面接の目的

通常の採用面接は、応募者の性格や業務の適性を深く知るための手段として行われる。入社後のミスマッチを防ぐため、企業文化や価値観との適合性を確認する必要があるからだ。

また、面接は応募者が企業を見極める場でもある。求人票では把握しづらい細かい職務内容や就業条件、企業の価値観などを確認するのだ。よって通常の面接には双方にメリットが存在するといえるだろう。

AI面接の目的

AI面接は、応募者を効率的に精査するツールとして使用されることが多い。近年はWebカメラを使用したオンライン面接が増えている。オンライン面接は時間や場所の制約がある応募者でも面接を受けやすいため、応募者数が増加しやすい。

AI面接には、面接の効率化だけでなく、面接官の負担軽減にも期待ができる。また、一貫性のある評価基準で公平な採用を目指すために、AI面接の導入を検討する企業も多い。

通常面接とAI面接の「実施時間と場所」とその違い

通常の面接とAI面接の、それぞれの「実施時間と場所」について確認していこう。

通常面接を実施する時間と場所

1回の面接にかかる時間は、企業や部門などにもよるが、30分から1時間程度が一般的といえる。個人面接は採用担当者と応募者間で日程を決め、企業が指定した場所やWeb等のリモートで面接を行うのが一般的だ。

集団・グループ面接の場合は面接の日時が決められており、日程に合わせて面接会場まで足を運ぶかWeb等にアクセスする必要がある。

採用に至るまで複数回面接が行われるケースがあり、一次面接、二次面接と進んでいき、最終面接やオファー面接などを実施する企業もある。また、一次面接の前にカジュアル面接など設けて、応募者に求人応募をするかどうかを判断させることもある。

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AI面接を実施する時間と場所

AI面接は通常の面接に比べると、かける時間が長くなる傾向にある。一方で面接を実施する期間を決めておけば、期間中いつでも面接を受けられるのが特徴だ。

AI面接の応募者は、対面式の面接のように企業が指定する面接会場まで足を運ぶ必要はなく、空いた時間に自宅で受けられる。AI面接を導入すると、時間と地理の機会格差を解消できるため、応募者の増加とともに優秀な人材からの応募も期待できるだろう。

AI面接のメリット

AI面接を行うメリットには、以下のことが挙げられる。

● 採用担当者の負担軽減と業務効率化
● 採用基準の統一化

それぞれの項目について詳しく解説する。

採用担当者の負担軽減と業務効率化

近年の採用プロセスにおいては、オンライン面接が増加傾向にあり、その影響で応募者数が増加した企業が多い。応募者数が多ければ多いほど、優秀な人材を集めやすいというメリットがあるが、採用担当者の業務負担が増えて、採用活動に膨大な労力や時間がかかるというデメリットも生まれる。

そこで役に立つのがAI面接だ。AI面接を導入すると、採用担当者が担っていた業務を大幅に削減できるだろう。

日本は少子高齢化により労働人口が減少しており、人手不足の課題を抱える企業も多い。限られた人材で効率よく業務を遂行するには、非効率な業務を改善することが求められている。採用担当者の業務負担が減れば、業務効率化の実現が期待できるだろう。

関連記事:人手不足倒産とは?その原因や理由、防止するために人事が取り組むべきことを解説

採用基準の統一化

AI面接は、採用基準を統一できるというメリットがある。通常の面接では、面接官の偏見やバイアスが採用基準に影響する可能性があるのだ。

一方のAI面接は、事前に設定したアルゴリズムや基準に基づいて評価が行われる。合理的なデータから応募者を評価するため、採用基準を統一できるのだ。担当面接官による判断のばらつきを解消し、公正な採用を実現できるだろう。

関連記事:採用基準の決め方は?設定の流れ・ポイントを解説!

AI面接のデメリット

AI面接にまつわるデメリットとして、以下のことが挙げられる。

● 評価や判断の理由が不明瞭なことがある
● 優秀な人材を見逃す恐れがある
● 企業文化・カルチャーとフィットするかの判断が困難

それぞれの項目について、詳しい内容を確認していこう。

評価や判断の理由が不明瞭なことがある

AI面接を行うデメリットの一つに、AIによる評価や判断の理由が不明瞭だと感じることが挙げられる。

AIは企業が事前に設定したアルゴリズムや基準に基づいて評価を行い、面接結果を数値化する。結果は提示できるが、評価理由まで詳しく説明してくれないこともあるのだ。採用担当者がAIの判断に懸念を抱いた場合は、書類の見直しなどの二度手間が発生することもあるだろう。

優秀な人材を見逃す恐れがある

AI面接は、優秀な人材の見逃しにつながる可能性がある。

AIは、企業が設定した選考基準に応じて応募者の評価を行うため、応募者が優秀な人材でも、AIの判断基準に合わないと低い評価を下す場合があるのだ。

AIは職務遂行能力の適性を判断するのには適しているが、応募者の臨機応変な対応を見るのは難しい。結果的に、突出した才能を持つ優秀な人材を逃してしまう恐れがあるだろう。

企業文化・カルチャーとフィットするかの判断が困難

AI面接は、カルチャーフィットの判断が困難であることも挙げられる。カルチャーフィットとは、企業文化への適応性を指す言葉で、近年注目を集める採用基準だ。企業文化への適応性がある人材は企業理念が浸透しやすく、離職率を下げられるというメリットがある。

AIは職務遂行能力についての判定は得意だが、企業文化への適応性を測ることは難しい。カルチャーフィットを見極めるには、通常の面接を併行して実施する必要があるだろう。

関連記事:カルチャーフィットとは?新卒・中途採用のミスマッチを防ぐポイントを解説

AI面接の注意点

AI面接は、採用担当者の業務負担を軽減でき、採用基準を統一できるなど、多くのメリットがある。業務効率の向上も期待できるため、人材不足の問題を抱える企業にとっては重要なツールであることは間違いない。しかし、AI面接は応募者の職務遂行能力は判定できるが、評価基準が画一的で多様な評価を行いにくいという懸念がある。

すべての採用をAIに任せるのではなく、状況に応じて通常の面接とうまく使い分けることが重要だ。たとえば、大量の応募者を精査する一次面接はAIで実施し、二次面接や最終面接は人間の面接官が対応するのも一つの方法である。AI面接と通常の面接を使い分けることで、優秀な人材の見逃し防止やカルチャーフィットの判断が可能になるだろう。

AI面接に関連するアプリケーション・サービス

AI面接に関連したアプリケーションやサービスには、以下のものが挙げられる。

● SHaiN
● 面接サポートさくらさん
● HireVue

それぞれの概要と特徴について詳しく解説する。

SHaiN

「SHaiN」は株式会社タレントアンドアセスメントが運営するAI面接サービスだ。応募者の資質を見抜ける戦略採用メソッドをもとにAIが採用面接を行い、公正な選考を実施する。

応募者は、非対面かつ非接触で24時間365日いつでも面接を受けられるのが特徴だ。面接1件当たり1万円から利用できる。正社員の採用だけでなく、パート・アルバイト・インターン・業務委託メンバーなど、大量採用の場面でも活用できるだろう。

参考サイト:SHaiN | 場所と時間はあなたが決める!AI面接サービス

面接サポートさくらさん

「面接サポートさくらさん」は、株式会社ティファナ・ドットコムが運営するAI面接サービスだ。採用エントリーから面接の実施や評価まで、AIが採用担当者をサポートしてくれる。採用担当者は面接に集中でき、面接前後の煩わしい手続きに時間を費やす必要がなくなるのだ。

また、面接中には応募者の不審な動きを検知し、面接官にアラートを出す機能も搭載されている。本人になりすまして面接を受けるなどの不正を発見できるのも特徴だ。

参考サイト:AIが面接の面接実施・評価をお手伝い | 面接サポートさくらさん

HireVue

HireVueは、HireVue社が提供するデジタル面接プラットフォームだ。世界800社以上の企業で導入されており、公正な採用基準を実現している。とくに、社会人としての基礎能力の判定を得意としており、将来的に活躍しそうな人材の選定ができるそうだ。

また、認知心理学の研究者が監修したゲームベースアセスメント機能があり、候補者の認知能力レベルを確認できるのも、ほかのサービスにはない特徴だ。

参考サイト:HireVue Hiring Platform: Video Interviews, Assessments, AI, and More

まとめ

AI面接には採用担当者の業務負担を軽減し、採用基準を統一できるなど、多くのメリットがある。採用担当者の業務効率化も実現できるため、多くの企業が抱える人手不足の問題解決策として注目を集めている。

一方で、AI面接には評価基準が画一的で、多様な評価が行いにくいなどの懸念もある。そのため、すべての面接をAIに任せるのではなく、状況に応じて人対人の面接と使い分けることが重要だ。

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監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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