ChatGPTとは、テキストの要約や翻訳に利用できる、生成系AIのチャットツールです。リリースからわずか2ヵ月ほどでユーザーが1億人を突破したことでも、話題を呼んでいます。この記事では、ChatGPTとは何か、具体的にどのように活用できるのか、また、利用時の注意点についてまとめて紹介します。
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OpenAI社が2022年11月にChatGPTをリリースしてから、ChatGPTの利用者数は急速に増えています。すでに日々のマーケティング業務にChatGPTを取り入れているマー…
目次
ChatGPTとは?開発元や高度な解答生成の仕組み
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、OpenAI(オープンエーアイ)社が開発したチャットボットのことです。会話の型でAIとやり取りできるだけでなく、テキストの要約や翻訳などの多彩な機能を備え、活用範囲が広いことも特徴です。
ChatGPTは、日本語でも利用できます。まずは押さえておきたいChatGPTの概要について解説します。
● 開発元はOpenAI社
● 利用者数1億人を突破
● ChatGPTの仕組み
● 著作権と商用利用
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開発元はOpenAI社
ChatGPTの開発元はOpenAI社で、2015年12月に設立されました。OpenAI社は、人類全体に利益をもたらす形でAIを普及・発展させることを目標としてAI分野の研究を行う企業です。
テスラ社のイーロン・マスク氏やスタートアップ企業への投資家としても知られるサム・アルトマン氏など、ビジネス界での著名人が設立者に名前を連ねていることでも知られています。
利用者数1億人を突破
2022年11月にリリースされたChatGPTは、リリース後からわずか5日間でユーザーが100万人を超え、2ヵ月ほどでユーザー数1億人を突破し、史上最速でサービスが普及したと言われています。
なお、急激にユーザーが増えたため、多くの問題が生じたのも事実です。例えば、ChatGPTの高い文章作成能力を悪用し、論文やスパムメールを作成しているケースも見られました。
OpenAI社では悪用防止のためにも、2023年1月にテキストがAIによって書かれたものか見分けるツールを無料公開しています。また、一部、教育機関側でもChatGPTの利用を禁止しているところがあります。このような影響力の強さからも、ChatGPTが持つ能力の高さを実感できるのではないでしょうか。
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ChatGPTの仕組み
ChatGPTは、投げかけられた質問に対して、Web上にあるテキストデータを分析して解答を作成する仕組みのチャットボットです。
例えば、「東京駅の近くにあるおすすめのイタリアンレストランは?」とChatGPTに質問すると、ChatGPTは同様の質問をWeb上から探し、適切と思われる答えを文章でまとめて提示します。テキストデータを分析して回答するため、質問と答えのやり取りが自然になることが多く、的外れな回答になりにくいという特徴があります。
ただし、回答が自然でも回答の正確性については保証されていません。そのため、誤情報が含まれやすい傾向にあります。
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著作権と商用利用
ChatGPTによってアウトプットされた回答文の著作権は、誰に帰属するのでしょうか。ChatGPTの利用規約には以下のように記載されています。
”お客様が本規約を遵守することを条件として、OpenAI は、アウトプットに関するすべての権利、所有権、利益をお客様に譲渡します。”
引用:OpenAI 利用規約
つまり、ChatGPTに入力して得られた回答文の著作権に関しては、本規約を遵守する場合に限り、入力した本人に帰属します。また、商用利用に関しては、以下のように記載されています。
”本規約に従う場合、販売や出版などの商業目的を含むあらゆる目的でコンテンツを使用できることを意味します。”
引用:OpenAI 利用規約
こちらも著作権同様に本規約を遵守する場合に限り、商用利用もできることになります。いずれの場合も、常識の範囲内で利用する場合は問題ないと言えるでしょう。
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2023年3月14日「GPT-4」発表
OpenAI社では、米国時間3月14日にChatGPTのニューモデル「GPT-4」をリリースしました。従来のモデルと比べて信頼性が高く、クリエイティブかつ、会話のニュアンスを理解した指示を扱えるとされています。
ただし、無料で利用できるGPT-3.5とは異なり、GPT-4は有料のサブスクリプションサービスであるChatGPT Plusで利用できるモデルです。そのため、GPT-4の利用には、ChatGPT Plusの契約が必要になります。
関連記事:GPT-4とは?Chat(チャット)GPT-3.5との違いや使い方を解説
ChatGPTの料金プラン
ChatGPTの料金プランについて解説いたします。
● 料金は基本的に無料
● 有料プランの機能
料金は基本的に無料
ChatGPTの基本的な機能は、無料で利用できますが、有料プランも存在します。月額20USドル(2023年7月時点)のサブスクリプションプラン「ChatGPT Plus」です。
有料版となるChatGPT Plusは、ピーク時でもアクセスしやすい、応答時間が短いなどのメリットがあり、新機能に対応している点も特徴と言えます。例えば、2023年3月にChatGPTのニューモデル「GPT-4」がリリースされましたが、このGPT-4を利用できるのはChatGPT Plusのユーザーのみです。
なお、GPT-4は大規模言語対応型モデルで、OpenAI社によれば従来のGPT-3.5の論理的思考力を5段階評価の3とすると、GPT-4は5になるとのことです。また、簡潔な文章を書く能力についても、GPT-3.5は5段階評価の2としていましたが、GPT-4は4に向上しています。
ただし、思考力と表現力を高めると、どうしても処理スピードは落ちてしまうようです。スピードに関してはGPT-3.5の評価は5でしたが、GPT-4は2とかなり低下しました。
有料プランの機能
上述で解説したように、OpenAIでは「月額20米ドル=約2800円(1米ドル140円換算)」で、有料版である「ChatGPT Plus」を提供しています。(2023年6月時点)
有料プランでは無料版の機能を全て利用できる他、無料版よりも遥かに高性能な言語モデルGPT-4を利用できます。GTP-4では、モデルの大きさやデータセットの種類、学習方法など多くの項目が無料版で利用できるGPT-3.5を大きく上回っています。
ChatGPTでできる基本的な4つのこと
ChatGPTでできることのうち、基本とも呼べる4つの内容を紹介します。
1. 対人のような質疑応答
2. テキストの要約、英文の日本語翻訳
3. 表計算ソフトの関数記述、プログラミング言語の記述
4. 論文、小説、脚本の執筆
1.対人のような質疑応答
ChatGPTはチャットボットです。リアルな人間と話しているような会話をテキストで実施できます。例えば、おすすめの飲食店を尋ねたり、採用面接などのようにシチュエーションを指定して会話を進めたりすることも可能です。
また、質問と答えで話が終了する「受け答え」にならず、流れを把握して「会話」として成立する点もChatGPTの特徴です。例えば、東京駅付近のイタリアンレストランについてChatGPTに質問したとしましょう。
この回答の後に「デザートでティラミスが食べられるところはある?」と尋ねると、「東京」と「イタリアンレストラン」という前回の質問内容を前提として、そのなかでティラミスが食べられるレストランを教えてくれました。
なお、最初の質問では「東京駅付近」として回答の範囲を限定できていましたが、追加した質問の回答を見ると、レストランの場所が「東京都内」に置き換えられていることが分かります。
このように少し回答の内容がずれることもあるため、注意が必要です。
2.テキストの要約、英文の日本語翻訳
ChatGPTは、テキストの要約機能もあります。時間をかけて長文を通読することなく、すぐに理解したいときに要約機能が役立ちます。ただし、ChatGPTでは文章を自然な形で短文化することは可能ですが、ChatGPTが回答した要約文の中に文章の要点が含まれているとは限りません。
要約文を読み、文章のコアとなる部分が抜けていないかを確認する必要があるでしょう。例として、下記の文面をChatGPTで要約するように指示してみました。
元々の文章が短かったからか、文章量自体はあまり減っていません。しかし、要点は全て含まれているため、利用価値は高いと考えられます。
さらに文字数を少し絞った要約文を知りたいため、上記の文章を50文字指定で要約するようにChatGPTにコマンド(指示)を出してみました。
先ほどの要約文よりも短くなりましたが、50文字を超えていたためミッションクリアとは言えません。文字数を指定した要約は、まだChatGPTには難しいのかもしれません。
また、ChatGPTは多言語の翻訳機能もあります。英文を日本語に翻訳したり、日本語を英語で翻訳したりすることもできるため、外国語で記載されたWebサイトも閲覧しやすくなります。ただし、一語一句全てを翻訳文に反映しているとは限りませんので、要約文と同様、文章のコアとなる部分が抜けていないかを確認しなければなりません。
そこで、下記の文面をChatGPTに送り、英訳を実行してみました。
今回のシミュレーションでは、日本語を要約するときよりも日本語を英訳するときのほうが短時間で終わることがわかりました。ChatGPTはアメリカ生まれということもあり、英語に強いチャットボットだと言えるでしょう。
3.表計算ソフトの関数記述、プログラミング言語の記述
ChatGPTでは、表計算ソフトの関数記述にも対応しています。この作業を行う場合は、Googleスプレッドシートなどを連携させることが必要です。ChatGPT for Google というChromeやFirefoxの拡張機能を追加してから利用します。
また、プログラミング言語の記述にも対応しています。下記の文章をC言語で記述するよう、ChatGPTにコマンドを出してみました。
このようにC言語の記述を導き出すことができましたが、内容の正確性については保証されていません。ChatGPTはあくまでもチャットボットのため、結果の成否を判断できないときは、使用しないほうが良いでしょう。
関連記事:ブラウザ(browser)ってなに?その意味や知っておくと便利な基礎知識を解説!
4.論文、小説、脚本の執筆
ChatGPTには、論文や小説、脚本の執筆といったクリエイティブな創作活動にも利用できます。今回は「初夏の猫」というタイトルで短文小説をChatGPTに作ってもらいました。
このように読み応えがあり、破たんのない文章を仕上げてくれました。なお、英文への日本語訳よりは時間がかかりましたが、20秒ほどで上記の文章は完成しています。
ChatGPTの活用例
会話や要約、英語などの他言語の翻訳、文章の作成など、ChatGPTは様々な用途で活用できます。続いては、アップグレード版であるGPT-4でできることをご紹介します。
● 家庭の財務計算
● Webサイト制作
● コーディング
● 資格試験のバーチャル家庭教師
● 脚本や小説などのクリエイティブ関連のライティング
● Twitterアカウントの運用
● オンライン相談窓口
● 管理システム
● AIライティング
● Q&A
関連記事:【実践編】ChatGPTの使い方レッスンとシーン別の事例集
家庭の財務計算
GPT-4は、財務計算にも対応しています。例えば、家族構成や世帯収入、持ち家の支払い比率などを入力し、所得控除額を算出させた例もあります。GPT-4を上手に活用すれば、確定申告の手間も大幅に削減できそうです。
ただし、翻訳やプログラミングと同様に、GPT-4が算出した情報が正確かどうかを検証する必要があるため、税務の基本的な知識がないと活用するのは難しいかもしれません。
Webサイト制作
GPT-4は、Webサイトの作成にも対応しています。例えば、手書きのラフスケッチからHTML/JavaScriptとして出力することも可能です。このケースでは、HTML/JavaScriptをコマンド画面で読み込ませることで成否を確認できるため、プログラミングの素養がない場合でも利用できます。
また、GPT-4は単なるプログラミング言語の変換ツールではなく、文章機能が高い点が特徴です。ただ、GPT-4であってもラフスケッチでHTMLの全ての要素をこと細かに書いてくれるわけではないので注意も必要です。
そのため、ラフスケッチの内容を書き換えてからプログラミング言語化する、などの2段階の指示にも対応できます。
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コーディング
GPT-4はコーディング作業にも対応しています。単純な作業であれば、無料版のChatGPTでも対応可能です。アプリやゲーム、Webサイトの開発にも利用できる可能性があります。
指示の出し方次第でコーディングの精度にも影響が出ることは注意しながら活用しましょう。
関連記事:ノーコード・ローコードとは?プログラミング知識は不要、誰でもアプリ開発できる時代に
資格試験のバーチャル家庭教師
ChatGPTでは、大量のデータを素早く分析できるため、ケースバイケースではありますが、的確なアドバイスを得ることができます。資格試験などの家庭教師としても活用できるでしょう。
実際に司法試験の模擬試験で、GPT-4が上位10%のスコアを叩き出したという例もあります。
脚本や小説などのクリエイティブ関連のライティング
歌詞や映画の脚本のライティングなど、クリエイティブな活動にもChatGPTを活用できます。すでに無料版のGPT-3.5を使ったキャッチコピー生成アプリなども開発されており、ChatGPTを利用した多くのビジネスが誕生しています。
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Twitterアカウントの運用
TwitterアカウントをChatGPTに運用させることもできます。Twitterには自動でつぶやくAPIもありますが、そのほとんどが事前につぶやく内容を自分で入力しておく必要があるものばかりです。
つまり、APIを導入したとしても、つぶやく内容の情報収集や文章の作成などは自分で行う必要があり、その作業に多くの時間が取られてしまいます。ですが、ChatGPTではツイートする文章の作成や内容の選択、情報収集は自動で行ってくれるため、これらの作業にかかる従業員の負担軽減に効果が期待できるのです。
オンライン相談窓口
ChatGPTを活用してオンライン相談窓口を設置することもできます。ChatGPTはチャットボットのような顧客と会話ができる機能も搭載されているため、こういった機能を利用してオンライン相談窓口のような機能を持たせることもできます。
管理システム
ChatGPTの機能をデータベースに組み込むことで「管理システム」を構築することができます。データベースに組み込んだ情報をChatGPTが上手く活用することで、最適な結果を導き出してくれます。
社内における適材適所、ダイレクトリクルーティングによる人材のマッチングなど、管理システムとして様々な機能を持たせることができます。
AIライティング
文章が自動生成できるソフトウェアやアプリケーションは以前よりありますが、そのほとんどは不自然な日本語や文脈にそぐわない表現が含まれたり、文章とは無関係な文字列が入ったりすることが多くあります。
ChatGPTも例外ではありませんが、従来のものと比べると限りなく自然に近い日本語となっています。こういったAI機能を利用して、ライティング作業時に補佐的な役割として活用ができます。
Q&A
ChatGPTでは会話能力を利用したQ&Aの自動生成も可能となります。企業Webサイトをはじめとした各種ホームページのヘルプや現場を案内するロボットなどに利用ができます。
企業のフロントオフィス部門やカスタマーサポートなどは顧客対応に多くの時間が割かれ、顧客が増えれば増えるほど従業員の負担は増していきます。こういった問題を解消する一つの手段として、Q&Aの自動生成は非常に効果が期待できます。
文章の校正
ChatGPTに文章の校正を依頼すると、AIが文法のミスや誤字脱字を検出し、修正してくれます。論文やレポートの際、文章の正確性を確かめたいときに便利です。どの部分を修正したのか気になる場合、「何を直したの?」と質問すれば、変更点を教えてくれます。
アイデア出し
新製品の開発やビジネスの場面でインスピレーションが欠けるとき、ChatGPTを試してみる価値があります。ChatGPTは膨大なデータを学習しており、多岐にわたるアイデアを出すことが得意です。ChatGPTの力を借りることで、自分だけでは考えつかない斬新なアイデアに出会うことができるかもしれません。ただ、提供されるすべてのアイデアが完璧であるとは限りませんので、参考として利用するのがベストです。
ChatGPTのメリット3つ
ChatGPTを利用するメリットとしては、次の3つが挙げられます。
1. 作業時間を短縮できる
2. 多方面の視点から情報が得られる
3. 操作が簡単で良き相談相手になり得る
それぞれのメリットを解説します。
1.作業時間を短縮できる
ChatGPTは、マルチユース可能な汎用ツールです。従来であれば翻訳アプリや検索ツール、プログラミングサポートツールなどのように、作業に合わせてツールを使い分ける必要がありましたが、ChatGPTには多様な機能があるため、一つのツールで対応することが可能です。
ツールを使い分ける手間が減りますので、これまでかかっていた作業の時間を大幅に短縮することができるでしょう。
2.多方面の視点から情報が得られる
ChatGPTでは、チャットに思ったままの文章を書くだけでAIからの回答が得られます。多方面の観点からの回答を期待できる点もメリットです。
また、アウトプットの方向性を意識して質問内容を絞ると、より精度の高い回答が得られます。ChatGPTの質問のコツを掴むと、よりレベルの高い文章の作成やコーディングなども実現できます。
3.操作が簡単で良き相談相手になり得る
ChatGPTのメリットとして、操作がシンプルな点が挙げられます。従来のスマートスピーカーのように、AIが理解しやすいような言い方で質問を考える必要がないため、人と対話しているかのように利用できます。
つまり、良き相談相手としても、ChatGPTを活用することが可能なのです。
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ChatGPTが抱える5つの課題
ChatGPTには、いくつかの課題もあります。ChatGPTを利用する上で特に注意したい点としては、次の5つが挙げられます。
1. 情報が正確ではない可能性がある
2. 専門性が高い質問への対応が難しい
3. 英語、非英語でサービスに偏りが生じやすい
4. 正解がない質問への対応が難しい
5. 情報漏洩のリスクがある
近年はGPT-4がリリースされるなど、改善点も見られますが、それ以外の課題を具体的に説明します。
1.情報が正確ではない可能性がある
OpenAIでは、オンライン上のWebサイトからbotが収集したデータを活用して回答文を組み立て、アウトプットしていることを公言しています。そのような特性があるため、偽情報を取り上げることもあり情報は必ずしも正確ではない可能性があります。
つまりChatGPTは、チャットで質問をすれば答えてはくれますが、回答の内容が必ずしも正確なものだとは限らないのです。
先ほどシミュレーションした、ティラミスを食べられるイタリアンレストランについての回答例を振り返ってみましょう。実は1位として挙げていた「ピエトロ・フェッローネ・ティラミス」という名前のレストランは存在しません。
このように、ChatGPTはWebサイトを使ってそれらしい情報を収集し、それらしく回答してしまうことがあります。ChatGPTの回答は正確性に欠けるということを理解して利用する必要があるでしょう。
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2.専門性が高い質問への対応が難しい
ChatGPTは、Webサイト上で公開されている一般的な情報から答えを導き出すAIチャットツールです。そのため、ごく少数の人だけが知っている専門的な知識についての答えを導き出すのは精度がまだ低いところもあるようです。
例えば、世界保健機関(WHO)が2022年2月に発効した国際疾病分類第11版「ICD-11」というものがあります。この「ICD-11」については、世界保健機関のWebサイトに英語版の資料が公開されており、日本語版は未公開となっています(2023年4月現在)。
そこで「ICD-11」についてChatGPTに尋ねたところ、次のような回答が得られました。
上記のような回答が提示されましたが、「ICD-11」で疾患コードLDから始まる疾病は、実際のところ発達異常に関する分類で、アレルギー性疾患は該当しません。
ちなみに、ChatGPTは2021年9月までのデータしか学習できていないため、「ICD-11」のように2022年2月に公開された情報は関知していません。ChatGPTでは、一つ一つに問いに対して答えを返してきてくれますが、間違っていることもあります。専門性の高い質問は、専門家や専門書などから情報を得るようにしましょう。
3.英語、非英語でサービスに偏りが生じやすい
ChatGPTが学習しているデータの多くは、英語や英文によるもののため、グローバル化されていない日本独自の文化や文献などの情報はまだ網羅されていない可能性があります。
先ほども紹介しましたが、日本語による受け答えよりも、日本語の英語翻訳のほうが短時間で出力される傾向も見て取れます。ChatGPTで日本語が使えないわけではありませんが、日本語における対応はまだ難しい一面があるかもしれません。
4.正解がない質問への対応が難しい
ChatGPTは、明確な正解がない質問への対応は不得意です。仮定や一般論を提示することはありますが、AIのためオリジナルの回答は期待できません。
ChatGPTに次のような質問をしてみました。
「家に帰りたい」=「疲れた」というニュアンスがChatGPTには現時点では伝わらなかったようです。この会話では、帰宅のための具体的な方法ばかりを紹介するため、「これではない感」が大いにあります。そこで、さらに抽象的な質問をChatGPTにぶつけてみました。
どのような質問にも真面目に答えてくれる点が、ChatGPTの良いところです。しかし、質問者が醸し出す「疲れた」状態や気持ちなどのニュアンスは伝わっていないようです。
ChatGPTは抽象的で質問の質が低いと的確な回答を返してくれない可能性が高いです。。ChatGPTを利用するときは、「疲れ」の理由を分解して、下記のように「疲労回復のためのストレッチ方法を知りたい!」などのように具体的な質問へ変換することをおすすめします。
このように具体的で有意義な回答を得ることができました。ChatGPTと会話する際は、ニュアンスではなく、具体的でストレートな内容の会話を心がけましょう。
5.情報漏洩のリスクがある
OpenAIでは情報漏洩リスクを最小限に抑えようとしていますが、確実に抑えることはできません。主に情報漏洩に関する注意点としては「登録した情報」「入力した情報」の2点が挙げられます。
共に懸念される事案としては、個人情報の流出です。「登録した情報」ではクレジットカードなどの個人情報の流出が懸念されています。また、「入力した情報」に関してはユーザーがChatGPTに質問する際、個人情報を入力してしまうことです。
こういった懸念事項も勘案し、企業が業務利用を検討する際には慎重を期すべきと言えます。
【PC編】ChatGPTの始め方と使い方
ChatGPTの始め方は以下の通りです。
1. OpenAI社の「Introducing ChatGPT」のWebサイトを開く
2. 無料で使うときは「Try ChatGPT」(日本語訳で「ChatGPTを試す」)、有料版を利用するときは「Read about ChatGPT Plus」(日本語訳で「ChatGPTプラスについて読む」)をクリックする
3. アカウント登録をする。メールアドレスを入力するか、Google、またはMicrosoftのアカウントで続行する
4. 携帯電話の電話番号を入力する
5. ショートメッセージで6桁のコードが送付される
6. アカウント登録画面に6桁のコードを入力する
7. 利用開始
上記の手順を踏んで登録が完了すると、画面下部にチャット欄が表示されます。チャット欄に文章を入力するだけで、適切な回答をAIが返してくれるようになります。
参考リンク:Introducing ChatGPT
【スマホ編】ChatGPTの始め方と使い方
スマホによるChatGPTの始め方と使い方を解説いたします。
● ブラウザ版
● アプリ版
ブラウザ版
1. ChatGPT(https://chat.openai.com/auth/login)のページを開き「Sign up」をタップします。
2.「Create your account」のページよりEメールアドレスを入力して「Continue」をタップします。(Googleなどのアカウントがあればそちらからでもログインできます)
3.パスワード入力欄が出ますので8文字以上の新規パスワードを入力し「Continue」をタップします。
4.「Verify your email」と表示された画面に移動し、入力したメールアドレスにOpenAIからメールが届きます。
5.届いたメールアドレスに表示されている「Verify email address」をタップします。
6.「Tell us about you」と表示された画面に移動しますので名前と生年月日を入力し「Continue」をタップします。(文字化けを防ぐため名前に関しては半角英文字が確実です)
7.「Verify your phone number」と表示された画面に移動しますので携帯の電話番号を入力します。日本からアクセスしている場合は標準で日本が選択されていますので、そのまま「+81」のあとに最初の「0」を除いた電話番号を入力し「Send code」をタップします。
入力例としては以下のようになります。
■「090」で始まる電話番号の場合
+81-90-XXXX-XXXX
■「03」で始まる電話番号の場合
+81-3-XXXX-XXXX
8.「Enter code」と表示された画面に移動し、SMSにOpenAIからメールが届きます。(入力したアドレスではありません)6桁のパスコードが記載されていますので、それを入力欄に入力すれば自動でログインされます。
ChatGPTの基本的な使い方
ChatGPTの基本的な使い方「質問する」について解説します。
1.ChatGPTにログインしたあと、メインページの一番下にある「Send a message」欄に質問したい内容を日本語で入力し、欄の右横にある紙飛行機のアイコンをタップします。
2.すると回答文が表示されます。
アプリ版
1.App Store(https://apps.apple.com/jp/app/apple-store/id375380948)よりOpenAI社が提供している公式のChatGPTを入手します。(類似アプリに気をつけてください)
2.画面に「インストール」のボタンが表示されますのでタップします。
3.パスコードが送信されますので、パスコードを入力すればインストールが完了します。
4.「入手」ボタンが「開く」ボタンに変わりますので「開く」ボタンをタップします。
5.ログイン画面が表示されますので、アカウントを選択しログインします。
6.初めての人は「Continue with Apple」を選択します
7.Appleでサインインという画面が表示されたら一番下の「続ける」ボタンをタップします。
8.次の画面に移動したら「メール共有」か「メールを非公開」のどちらかを選択し、「パスコードで続ける」をタップします。
9.iPhoneのパスコードを入力しログインします。
10.続いて名前と生年月日を入力し「Continue」をタップします。
11.すると電話番号認証画面が表示されるのでスマートフォンの電話番号を入力し「Send code」をタップします。
12.スマートフォンのSMSにコードが送信されますので、届いたコードを入力して完了です。
※なお「基本的な使い方」はブラウザ版と同じです
ChatGPTが使えない・ログインできないときの原因と対処法
ChatGPTが使えないときやログインできないときなど、考えられる主な原因は以下の通りです。
●ログイン情報が違う
●ChatGPTのリクエスト制限がかかっている
●ChatGPTが日本語翻訳されている
ログイン情報が違う
ChatGPTへのログインがうまくいかない場合、使用しているメールアドレスやパスワードにミスがないか再確認してみてください。
パスワードを思い出せないときは、ログインページの「Forgot password?」を選択し、指示に従ってパスワードをリセットしてください。
ChatGPTのアカウントをGoogleまたはMicrosoftで作成している方は、正しいログイン方法を選んでいるかチェックが必要です。
Googleアカウントを使用している方は「Continue with Google」、Microsoftアカウントを使用している方は「Continue with Microsoft Account」を選択してログインしてください。
ChatGPTのリクエスト制限がかかっている
ChatGPTを連続して頻繁に利用すると、一時的にアクセス制限がかかることがあり、しばらく利用できなくなることがあります。制限がかかった場合、「Too many requests in 1 hour. Try again later.(1時間のリクエストが多すぎます。後でもう一度お試しください。)」というメッセージが表示されるので、少し間を置いてから再トライしてください。
ChatGPTが日本語に翻訳されている
Google Chromeの自動翻訳機能を使用してChatGPTを日本語に変換すると、時折エラーが起きて正しく動かなくなることがあるようです。ChatGPTを日本語に表示させるためにこの機能を利用している方は、設定を一時的に英語に戻し、動作の安定性をチェックしてみると良いでしょう。
ChatGPTの現状と他社に与えた影響
ChatGPTは、多くのインターネットユーザーの行動に影響を与えました。公開後2ヵ月で登録者が1億人を突破したことからも、関心度の高さが分かります。
ここまで紹介したように、データの正確性については保証されていませんが、高い言語能力をもつ優れたツールであることは事実です。しかも、基本的な内容がほとんど無料(今回紹介した例も、全て無料版です)で利用できるのも驚きのポイントと言えます。
ChatGPTは、インターネットで様々なサービスを提供する多くの企業にも大きなインパクトを与えました。続いては、2023年3月時点におけるChatGPTの現状や、GoogleやMicrosoft社などの世界的企業に与えた影響について解説します。
● Microsoft社はChatGPT搭載の「Bing」を発表
● Googleは対抗馬として「bard」を開発
● DiscordはアプリにChatGPTを統合
Microsoft社はChatGPT搭載の「Bing」を発表
ChatGPTは、個人だけでなく企業にも無料公開されています。(アクセススピードの高速化やGPT-4の利用には料金を支払う必要あり)
先ほども紹介しましたが、ChatGPTを使ったキャッチコピー生成アプリなど、個別の企業がChatGPTを活用するケースも増えています。
グローバル規模の企業への影響も例外ではありません。Microsoft社は2023年2月7日、検索エンジン「Bing」にChatGPTを使ったアップグレードの実施と、同時にAIアシストを使ったブラウザ「Edge」の開始を正式に発表しました。
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Googleは対抗馬として「bard」を開発
現在、検索エンジンと言えばGoogle社のGoogle検索を指します。実際に世界的なシェアを見ても9割以上を占めると言われ、インターネットで検索することをGoogle(日本語ではググる)と呼ぶこともあります。
しかし、Google社もChatGPTの登場には大きな危機感を覚えたようです。Google社内では「Code: red(非常事態)」が宣言され、2023年2月6日にはChatGPTの対抗馬となるチャットボット「bard」を発表しました。
現在bardはプレビュー版がアメリカとイギリスで公開されています。ゆくゆくは「Google 検索」に組み込まれる予定です。
関連記事:Google Bardとは?日本語での使い方やChatGPTとの違いを解説
DiscordはアプリにChatGPTを統合
Discord社は、音声や動画、テキストチャットサービス「Discord」を提供している企業です。基本的なチャットサービスに加えて、無料通話などのプラスアルファの機能も組み込み、2015年のサービス開始以来、急成長を遂げてきました。
Discord社では、OpenAIと提携してChatGPTの機能を統合し、ChatGPTの一部の機能を有するチャットボットとして「Clyde」をアップグレード。Clydeの利用方法がさらに広がりました。
また、Clydeはユーザー名「@Clyde」として呼び出せるため、友人とのプライベートなチャットのやり取りにも、Clydeを登場させることが可能です。
なお、Discord社では、OpenAI社にDiscord社のユーザー情報を引き渡すことはないと明言しています。そのためClydeを利用するためには、最初にオプトインし、管理者による許可が必要です。
Microsoft社はDiscord社の買収に向けて交渉を開始しています。Microsoft社もDiscord社も、いずれも自社サービスにChatGPTを組み込んでいるという共通点がある企業ですが、独自開発のサービスにオリジナリティがある点でも共通しています。買収により合併が実現すれば、さらなる技術力の進化も期待できるでしょう。
関連記事:3人に1人が「音声メディアを日常的に利用」――「Clubhouse」「SPOON」などの音声SNSが台頭(トレンダーズ調査)
ChatGPTと各種ツールとの連携
ChatGPTは各種ツールとの連携が可能です。特に便利なのがGoogle Chromeの拡張機能です。
● Google Chrome拡張機能
Google Chrome拡張機能
ChatGPTはGoogle Chromeと連携させることにより、主に以下のような拡張機能を利用できます。
ChatGPT for Google | Google検索時にChatGPTの回答も表示させる機能 |
ChatGPT Writer | メール文章などを自動生成、AIに代筆してもらう機能 |
Voice Control for ChatGPT | ChatGPTと音声による会話ができる機能 |
WebChatGPT | ChatGPTがインターネットにアクセスし様々な情報を調べてくれる機能 |
注意点として回答文は正確とは限らず、情報の真偽を必ず自分で確認する必要があります。
GTP-4が統合されたその他のサービス
ChatGPTの中でも上位版であるGPT-4を自社ツールに組み込み、飛躍的な進化を遂げているサービスも多数あります。
● 語学学習アプリDuolingo
● 教育プラットフォームKhan Academy
● 決済サービスStripe
語学学習アプリDuolingo
語学学習アプリ「Duolingo」は、リーディングとスピーキング、リスニングのスキルを習得するためのアプリです。AIと言語化学のメリットをかけ合わせ、学習者ごとの習得スピードに合わせた勉強を実現できます。DuolingoにもGPT-4が搭載され、さらに使いやすさと学びやすさが向上しています。
参考リンク:Duolingo
教育プラットフォームKhan Academy
教育プラットフォーム「Khan Academy」にも、GPT-4が搭載されました。Khan Academyは、世界中のどこにおいても高い水準の教育を提供することを目的とした非営利団体です。学年別の数学や経済、美術史、物理学などの幅広いジャンルの教育を、全て無料で提供しています。
なお、Khan Academyでは学習者だけでなく、教師や親も一緒に利用できます。学習者の進捗状況から課題を割り出し、指導に活かせるようにしています。
参考リンク:Khan Academy
決済サービスStripe
決済サービス「Stripe」にもGPT-4が搭載されています。Stripeはオンライン決済に特化したサービスで、スタートアップ企業から大企業まで、様々な企業が導入しています。
Stripeは、不正使用の対応などのセキュリティ対策にも力を入れており、将来的な成長も期待される企業です。
参考リンク:Stripe
ChatGPTで広がるテクノロジーの新たな可能性
ChatGPTは、無料で利用できるチャットボットです。Webサイトを検索して情報を入手し、なおかつ高度な文章作成機能を駆使して自然な返答ができる点が特徴です。
また、ChatGPTの上位版であるGPT-4は、有料ではありますが、その分、論理的思考力とコンパクトに文章をまとめる機能に優れています。
要約や翻訳だけでなく、オリジナルの文章作成なども高度に実施できるため、日常生活や業務などにも活かせます。GPT-4を搭載したサービスも増えているため、ぜひ注目していきましょう。
よくあるご質問
ChatGPTでは何ができるの?
ChatGPTは生成系AIチャットツールです。ChatGPTではWebサイトを検索して情報を収集し、高度な文章作成機能を活用して回答するため、AIとの会話は自然で、有益な情報が含まれていることもあります。また、チャット欄に記載する内容によっては、コーディングや表計算なども可能です。
ChatGPTはどのような場面で使うの?
ChatGPTは誰でも無料で利用でき、わからないことに答えてほしいときや、情報を収集したいときに活用可能です。たとえばChatGPTを活用して、模擬試験を受験したり、所得控除額を計算したり、などの例もあります。また、ChatGPTは個人だけでなく法人にも公開されているため、企業が提供するツールに組み込まれていることもあります。
GPT3とGPT4の違いや差は何?
GPT-3は無料で利用できますが、GPT-4は有料サブスクリプションサービスであるChatGPT Plusのなかのサービスとして利用可能です。ChatGPTを開発したOpenAI社によれば、GPT-4はGPT-3と比べると、論理的思考力が高く、簡潔な文章を書く能力に優れているようです。ただし、高度な機能を搭載した分、処理速度はGPT-4のほうが遅くなっています。