普段、何気なくクリックしているwebサイトのリンクも、開発された当初は画期的なものでした。 そのリンク、正式には「ハイパーリンク」と呼ばれる技術は、インターネットの進化に多大な影響を与えました。ハイパーリンクが誕生した経緯と、それがインターネットにもたらした具体的な効果を解説します。
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目次
ハイパーリンクとは
webサイトを閲覧しているとき、何らかの文字や画像に貼られているリンクをクリックすれば、すぐに別のページや他のwebサイトのページに移ることができます。このリンクは、正式にはハイパーリンクと呼びます。
ハイパーリンクは、World Wide Web(ワールドワイドウェブ)という、情報が網の目のように繋がったハイパーテキストシステムの仕組みの一つです。ハイパーテキストとは、webページの記述に使われる、HTMLやXHTMLなどのマークアップ言語のことで、このハイパーテキストの文書中に別の文書のURLへの参照を埋め込むことをハイパーリンクと呼びます。
閲覧者は表示している文書中でハイパーリンクが付された箇所をクリックやタップなどをすることで、ハイパーリンク先の文書などを表示させることができます。ハイパーリンクが生まれたことにより、インターネット上に散在する文書同士を相互に参照可能になりました。これは、情報間の関連性を可視化し、ユーザーが求める情報に効率的にアクセスできるようになったことを意味します。ウェブブラウザを通じて、このハイパーリンク技術は広く普及し、現代のインターネット体験の基盤となっています。クリックひとつで、世界中の情報へと繋がるこの機能は、まさに革新的なものでした。
インターネットにハイパーリンクが誕生した経緯
ハイパーリンクという画期的な概念は、1989年に欧州原子核研究機構(CERN)に所属していたTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)氏によって提案されました。彼は、現代のインターネットの基盤となるWorld Wide Web(ワールドワイドウェブ)の父として知られています。ティム・バーナーズ・リー氏がハイパーテキストシステムを提案したのは、素粒子物理学分野における膨大なドキュメントやデータを、頻繁に移動する研究者間で効率的に共有するためでした。この目的を達成するために、彼は1990年には現在のワールドワイドウェブへと発展する「WorldWideWeb: Proposal for a HyperText Project」という構想を具体化しました。
しかし、ハイパーリンクのアイデアそのものがティム・バーナーズ・リー氏によって初めて発想されたわけではありません。その源流は、1945年にまで遡ることができます。アメリカのVannevar Bush(バネバー・ブッシュ)氏が提唱した「memex(メメックス)」という構想が、その先駆けと言われています。メメックスは、マイクロフィルムリーダー・ライターを基盤としたシステムで、記録された情報を人間の思考プロセスのように相互にリンクさせることができるという、先見の明のあるアイデアでした。
さらに、1960年代には、Douglas Engelbart(ダグラス・エンゲルバート)氏率いる研究チームが、「NLS (oN-Line System)」というマルチユーザー連携システムを開発しました。このNLSは、世界で初めてハイパーテキストリンク、マウス、そしてディスプレイを実用化したシステムとして歴史に名を刻んでいます。その後、1965年にはTed Nelson(テッド・ネルソン)氏が「ハイパーテキスト」という言葉を提唱し、さらにその発展形として1967年には「ザナドゥ」計画が提唱されたことで、ハイパーリンクの概念はより現実的なものへと進化していきました。
そして、ハイパーリンクの普及に大きな影響を与えた出来事として、1987年にApple(アップル)社が開発した「HyperCard(ハイパーカード)」が挙げられます。HyperCardは、カード型のデータベースシステムで、ハイパーテキストの概念を実装した世界初の商用ソフトウェアとして、多くの人々にその可能性を示しました。これらの先駆的な研究や開発が、ティム・バーナーズ・リー氏のワールドワイドウェブ構想、そして現代のハイパーリンク技術に多大な影響を与えたと考えられています。
ハイパーリンクがもたらした効果
ハイパーリンクが生み出された結果、私たちの情報閲覧、収集、検索活動において、さまざまな効果がもたらされました。主な効果を見ていきましょう。
関連情報へすぐにアクセス可能に
ハイパーリンクにより、印刷された書籍や文書とは異なり、関連文書や画像などの情報に、連想的にすぐさまアクセスできるようになりました。従来は他の情報に辿りつくために数日、数週間かかっていたところ、ハイパーリンクによって瞬時に知りたい情報にたどり着けるのは、情報探索において非常に有用です。例えば、ある商品情報のページから、その商品のレビューページや関連商品のページへ簡単に移動できるようになったのは、ハイパーリンクの大きな恩恵と言えるでしょう。これにより、ユーザー体験は飛躍的に向上しました。
長いURLを入力しなくて済む
文書にアクセスするたびに長いURLを入力するのは時間と手間を要しますが、ハイパーリンクなら、任意の文字列や画像をクリックすることで、わざわざURLを入力することなく、すぐに別の情報へアクセスできます。これは、ウェブサイトの利便性を高める上で重要な要素です。
情報整理と共有が容易になった
ハイパーリンクは、情報提供側にとっても便利になりました。自身が持つ情報を好きなように分類して整理し、連想的に情報構築することができます。例えば企業であれば、企業が持つあらゆる情報をうまく関連付けて情報を網羅し、ホームページ上でユーザーに整理された状態で、まとめて情報提供できるようになりました。こうして整理した情報をウェブコンテンツとして簡単に共有することが可能になったことも、インターネットの普及を後押しするよき効果といえます。デジタル情報の効率的な管理と発信に貢献しました。
まとめ
ハイパーリンクは、World Wide Web(ワールドワイドウェブ)というハイパーテキストシステムの根幹をなす仕組みであり、文書中に他の文書へのURL参照を埋め込むことで、インターネット上の情報へ容易に繋げます。この画期的な技術は、1989年にTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)氏によって提案されましたが、その概念の源泉は、1945年にVannevar Bush(バネバー・ブッシュ)氏が提唱した「memex(メメックス)」にまで遡ることができます。ハイパーリンクがインターネットに革命をもたらした効果は多岐にわたります。まず、関連情報へ瞬時にアクセスできるようになったことで、情報収集の効率が劇的に向上しました。かつては数日、数週間を要した情報探索が、クリック一つで完了するようになったのです。また、長いURLを直接入力する手間が省け、ユーザーエクスペリエンスが大幅に改善されました。さらに、情報提供者側にとっては、自身の持つ情報を体系的に整理し、連想的に関連付けながら提供することが可能となり、情報の共有と整理が容易になりました。このように、ハイパーリンクはインターネットの利便性を飛躍的に高め、現代の情報社会を築く上で不可欠な要素となっています。

