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ステマ(ステルスマーケティング)とは?意味や規制、事例を簡単に

2025.6.5
読了まで約 13

社会問題にも発展し、近年は景品表示法違反として規制されるようになった「ステマ(ステルスマーケティング)」。ス具体的にどのような行為を指すのか、その意味や広告内容についてはよく理解していないマーケティング担当者も少なくないでしょう。

本記事では、ステマが持つ言葉の意味から、その課題や問題点、さらにはステマ広告における規制やペナルティまで詳細に解説します。ステマの実態を知ることで、適切なマーケティング戦略の立案や、消費者との信頼関係構築に役立つ知識を得ることができるでしょう。

ステマとはどのような行為か

ステマとは、ステルスマーケティング(stealth marketing)の略語で、消費者に宣伝広告であることを隠し、悟られないようにセールスプロモーション活動を行うことを指します。この手法は、一般消費者の立場を装って商品やサービスのPRを行うことが特徴です。

近年、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどのソーシャルメディアの普及により、多種多様な情報発信や広告活動が可能となりました。これに伴い、ステマによるリスクも深刻化していると考えられます。

ステマは、芸能人や著名人、インフルエンサーなどに、広告宣伝であることを伏せて商品やサービスのPRをしてもらう場合も含まれます。この行為は、いわゆる「サクラ」に類似するものと言えるでしょう。サクラとは、客のふりをして物を褒めたり買ったりするなど、周囲の購買意欲を高める者を指します。

ステマの具体的な手法としては、ブログや情報サイトに高評価の体験談を投稿したり、SNSや口コミサイトのコメントを操作したりするなど、意図的に消費者を騙して、良い印象を持たせようとする行為が挙げられます。これらの行為は、消費者の正しい判断や選択を妨げる可能性があるため、問題視されています。

ステマの意味

海外では「こっそり行う」という意味で、アンダーカバーマーケティング(undercover marketing)とも呼ばれています。

ステマの特徴は、広告宣伝や販促活動と気付かれないように、一般消費者の立場を装って行われることです。芸能人や著名人、インフルエンサーなどに、広告宣伝であることを伏せて商品やサービスのPRをしてもらう場合もステマの対象となります。

商品やサービスと何らかの関係があるにもかかわらず、意図的に広告・宣伝であることを隠す行為という点で、ステマはいわゆる「サクラ」に類似するものだと言えるでしょう。サクラとは偽客という意味で、客のふりをして物を褒めたり買ったりするなど、周囲の購買意欲を高める者を指しています。

ステマも同様に、広告ということを隠してブログや情報サイトに高評価の体験談を投稿したり、SNSや口コミサイトのコメントを操作したりするなど、意図的に消費者を騙して、良い印象を持たせようとする行為です。このような手法は、消費者の信頼を裏切り、公正な市場競争を阻害する可能性があるため、倫理的に問題があると指摘されています。

ステマの歴史

ステマは、インターネットが活発に使われ始めた頃に生まれた言葉ではありますが、ステルスという言葉が含まれている通り、元々は海外で生まれた言葉です。日本では、古くから「サクラ」という言葉が使われており、ステマとサクラはほぼ同義と捉えても問題ありません。

しかし、ステマとサクラには大きな違いが1つあり、「対象範囲」です。サクラは、特定ユーザーのみを欺くことができるのに対して、ステマは施策の内容次第では、インターネット上のユーザー全員を欺くこともできるのです。

現代でも、チャンネル登録者の多い YouTuber や影響力の強い芸能人がステマを行っており、消費者は「自分の好きな人が心から商品をおすすめしている」と勘違いしてしまうケースも少なくありません。こういった背景もあり、ステマはサクラ以上に問題視されていることも事実だと言えます。

デジタル時代の到来とともに、ステマの手法は進化し、その影響力も拡大しています。ソーシャルメディアの普及により、情報の拡散速度が飛躍的に上がったことで、ステマの効果も増大しました。一方で、消費者の情報リテラシーも向上し、ステマを見抜く目も養われてきています。このような状況下で、企業やマーケターは、より巧妙かつ倫理的な方法でマーケティング活動を行うことが求められるようになってきています。

関連記事:「インフルエンサーマーケティング」とは?得られるメリットから成功のポイントまで徹底解説

「ステマ」と「ダイマ」の違い

「ステマ」と「ダイマ」は、マーケティング手法を表す略語ですが、その意味と特徴は大きく異なります。

ステマは「ステルスマーケティング」の略称で、宣伝や広告であることを消費者に気づかれないように行う販売促進活動を指します。「stealth(ステルス)」という言葉が示すように、隠密性の高い行動を表現しています。つまり、広告であることを隠しながら商品やサービスの宣伝を行うのがステマの特徴です。

一方、ダイマは「ダイレクトマーケティング」の略称であり、消費者と直接的なコミュニケーションを取りながら販売促進活動を行うことを意味します。「direct(ダイレクト)」という言葉が示すように、正々堂々とした直接的なアプローチを特徴としています。

この2つの手法は、その透明性と消費者とのコミュニケーション方法において対照的な性質を持っています。ステマが隠れた宣伝を行うのに対し、ダイマは明確に広告であることを示しながら消費者にアプローチします。

マーケティング戦略を立てる際には、これらの違いを十分に理解し、適切な手法を選択することが重要です。特に近年では、消費者の権利意識の高まりや法規制の強化により、ステマのような不透明な手法には注意が必要です。

若い世代が使っている「ダイマ」は本来のダイマと少し意味が違う

若い世代がSNSなどで頻繁に使っている「ダイマ」は、本来のダイレクトマーケティングの定義とは少し異なる形で使用されています。従来のダイレクトマーケティングでは、商品やサービスに予め興味を持っている特定の顧客に対して、一人ひとりと関係性を築き上げた上で販売促進活動を行います。

これは、いわば営業担当者が行うマーケティング活動であり、顧客はすでに承諾済みである場合が多く、押し売りのように一方的に行うものではありません。一方で、若い世代の間では「ダイマ」という言葉が、単に「宣伝だと隠さずに宣伝する」という意味合いで捉えられる傾向があります。

さらに、通常のダイレクトマーケティングの定義である「特定の顧客に」という点も、若い世代の使用法では「不特定多数に」と解釈されているようです。例えば、ある商品やサービスと全く関係のない一般の個人が、「ダイマだけど」と断りを入れた後に、自発的に情報を拡散して個人的に推奨するケースなどが該当します。

このような使用例の増加により、若い世代においては本来のダイレクトマーケティングとは異なる意味で「ダイマ」という言葉が使われていると言えるでしょう。こうした言葉の意味の変化は、マーケティング用語が一般に浸透し、新たな解釈が加わっていく過程を示す興味深い現象と言えます。

ステマの主な手法は大きく2つ

ステマ(ステルスマーケティング)には、主に2つの代表的な手法が存在します。これらの手法は、消費者に気づかれないように宣伝活動を行うという点で共通していますが、その実施方法に違いがあります。

1つ目は「なりすまし型」と呼ばれるもので、企業や個人が第三者を装って商品やサービスの宣伝を行います。

2つ目は「利益提供型」と呼ばれるもので、影響力のあるインフルエンサーに依頼して商品やサービスの宣伝をしてもらいます。

これらの手法は、それぞれ異なる特徴と影響力を持っており、企業がステルスマーケティングを行う際に選択する重要な要素となっています。

なりすまし型

なりすまし型は、企業や個人が自社商品とは関係のない第三者を装って行うステルスマーケティングです。自社商品を自社の社員が宣伝したら敬遠されがちですが、関係のない第三者を装うことで、消費者に怪しまれずに宣伝を行うことができます。

このような手法は、消費者の信頼を裏切る行為であり、倫理的に問題があります。企業の評判や信頼性を大きく損なう可能性があるため、避けるべきです。

また、中には競合他社の悪評をネガティブキャンペーンとして、ステルスで書き込むケースも見られますが、法的リスクもはらんでいるため、絶対に取り組むべきではありません。このような行為は、公正な競争を阻害し、市場全体の信頼性を低下させる恐れがあります。

利益提供型

利益提供型は、影響力のあるインフルエンサーに依頼して、宣伝してもらうステルスマーケティングです。利益の提供方法は2種類あり、固定で報酬を渡すケースと、売上の何%かを渡す2つのケースです。これらは、企業とインフルエンサー間で決めるものであるため、一概にどちらがよいかを明確にはできません。

しかし、どちらの方法であっても消費者からすればお気に入りのインフルエンサーが愛用している商品に見えるため、悪質なステルスマーケティングと捉える人も少なくありません。企業側からすれば売上を大きく伸ばせることは事実であり、いかに怪しまれないかのバランスを鑑みることが重要です。また、インフルエンサーの影響力や発信力を考慮し、適切な報酬設定や契約内容を慎重に検討する必要があります。

関連記事:インフルエンサー(Influencer)の意味・定義を解説!マーケティングにおける活用方法とは

ステマはなぜ問題なのか

ステマは消費者の正しい判断や選択を妨げる行為として、深刻な問題となっています。広告であることを隠蔽することで、消費者は商品やサービスに対して適切な評価ができなくなり、信頼できる第三者の意見を見分けることが困難になります。

このような偽りの情報によって誘導された消費者は、企業に対して「騙された」という感情を抱く可能性が高く、実際に商品を購入した場合には「損をした」「不利益を被った」と感じることがあります。その結果、企業への信頼が一気に失墜し、場合によっては業界全体にまで悪影響が波及する恐れがあります。

ステマが発覚した際の企業リスクは計り知れません。近年、ESG(環境、社会、ガバナンス)が企業価値の重要な指標となる中、長期的にネガティブなブランドイメージが形成されることは、ビジネスの成長に大きな障害となります。一度失った信頼を回復することは非常に困難であり、企業の存続にも関わる深刻な問題となり得ます。

ステマを行った企業には、事実関係の公表、危機管理体制の見直し、再発防止策の徹底など、厳格な対応が求められます。単に「効率よく費用を抑えて情報を拡散する」「通常の広告以上に購買意欲を高める」といった短絡的な目的のために、消費者を欺く不誠実な宣伝手法を採用することは、社会的に許容されません。

ステマはモラルに反する悪質な行為であり、倫理的に問題のあるマーケティング戦略であることを深く認識する必要があります。消費者との信頼関係を築き、長期的な企業価値の向上を目指すためには、透明性のある誠実なコミュニケーションが不可欠です。

ステマは違法!3つのリスク

ステマには、企業や組織にとって深刻な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクが3つ存在します。これらのリスクは、ステマが発覚した際に顕在化し、企業の存続さえも脅かす可能性があります。具体的には、企業としての信頼性が大幅に低下する危険性、SNSなどでの炎上リスク、そして日本国内だけでなく海外においても違法行為とみなされる可能性が挙げられます。これらのリスクは相互に関連しており、一つのリスクが顕在化することで、他のリスクも連鎖的に発生する可能性があります。したがって、企業はステマの実施を検討する際には、これらのリスクを十分に認識し、慎重に判断することが求められます。

企業としての信頼性が低下する危険性がある

ステマが発覚すると、企業の信頼性は著しく低下する可能性があります。これは単に一時的な評判の悪化にとどまらず、長期的かつ広範囲に及ぶ影響を及ぼす可能性があります。消費者は「騙された」という感情を抱き、その企業の製品やサービス全般に対する不信感を持つようになります。さらに、ステマで販売促進を行っていた特定の商品だけでなく、企業が提供する他の製品やサービスの売上にも悪影響を及ぼす可能性があります。信頼回復には多大な時間と労力が必要となり、場合によっては企業の存続自体が危ぶまれる事態に発展することも考えられます。したがって、短期的な利益を追求するためにステマを行うことは、企業の長期的な成長と存続を脅かす危険な選択といえるでしょう。

関連記事:底割れをしてしまったデジタル広告への不信と広告質、広告メディア質の課題【デジタル広告の現状と課題 長澤秀行 連載第2回】

炎上する可能性がある

ステマが暴かれてしまうと、炎上する可能性も否めません。過去にも、インフルエンサーになりすまし型でステマを依頼していた商品が炎上した事例は確かに見られ、商品自体は何も変わっていないにもかかわらず、炎上前後で商品の売上も大きく変わりました。こうした炎上は、SNSなどのソーシャルメディアを通じて急速に拡散される傾向があり、企業のブランドイメージに深刻なダメージを与える可能性があります。また、炎上によって消費者の信頼を失うだけでなく、取引先や投資家からの信用も失いかねません。そのため、ステマによる短期的な利益を追求するよりも、長期的な視点で誠実なマーケティング戦略を立てることが重要です。

日本だけでなく海外でも違法行為になる可能性がある

日本では2023年10月1日からステマ規制が施行され、ステマは正式に景品表示法違反の対象となりました。主に規制されるのは広告で、消費者が広告と認識できないすべてのケースがステマになります。

また、アメリカやイギリスでは、日本よりも早い段階でステマ規制を施行しており、海外においてもステマは違法行為とみなされます。これらの国々では、FTC(連邦取引委員会)やASA(広告基準機構)などの規制機関が厳しい監視を行っており、違反した企業には多額の罰金が科される可能性があります。

グローバル展開を行う企業にとっては、各国の法規制を遵守することが重要であり、ステマに関する国際的な動向にも注意を払う必要があります。

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ステマがなくならない理由

ステマは倫理的に問題があり、法的にも規制の対象となっているにもかかわらず、マーケティング手法の一つとして根強く存在し続けています。その主な理由として、以下の2点が挙げられます。

  1. コスト効率の良さ:従来の広告手法と比較して、ステマは比較的低コストで実施できることが多いです。特に、中小企業や新興企業にとっては、限られた予算で効果的な宣伝を行える魅力的な選択肢となっています。
  2. 高い拡散力:ステマは、消費者の自然な口コミや推薦を装うことで、通常の広告よりも高い信頼性と影響力を持つ可能性があります。これにより、短期間で大きな話題を呼び、製品やサービスの認知度を急速に高めることができます。

これらの利点が、一部の企業や個人がステマを選択する動機となっています。しかし、長期的には企業の信頼性を損なう可能性が高く、法的リスクも伴うため、倫理的で持続可能なマーケティング戦略を採用することが重要です。

広告費用を抑えられるため

企業が新商品を販売する際は、最低でも年間の広告費用として1,000万円程度の費用がかかります。当然ながら、企業体力のない中小企業には非常に大きな金額です。特に、テレビCMや新聞・雑誌広告などの従来型メディアを活用する場合、その費用は更に膨らむ傾向にあります。そのため、ステマは広告費用を大幅に抑えられる手法として、一部の企業に魅力的に映るのです。

バズを狙えるため

一方で、ステマの場合は数十万円で広告できることもあり、なおかつインフルエンサーに紹介してもらうことでバズも狙えるため、広告費用を抑えながら売上を立てられる可能性が高いのです。さらに、ステマはSNSなどのプラットフォームを活用することで、短期間で多くの人々に情報を届けることができます。これにより、商品やサービスが一気に注目を集め、話題性を獲得しやすくなります。また、消費者の興味を引きやすい自然な形で情報が拡散されるため、従来の広告手法よりも効果的に製品やブランドの認知度を高められる可能性があります。

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ステマの疑惑を防ぐポイント

ステマは問題視されているものの、バズを狙ったり、認知拡大を図ったりするには非常に優秀なマーケティング施策です。そこで、実際にステマに取り組む際の疑惑を防ぐポイントを3つ紹介します。これらのポイントに注意することで、より適切な広告活動を行うことができます。

  • 事実と異なる情報を発信しない
  • 広告であることを必ず明記する
  • インフルエンサーの投稿をチェックする

これらのポイントを守ることで、消費者との信頼関係を維持しつつ、効果的なマーケティング活動を展開することが可能となります。特に「広告であることを必ず明記する」という点は、近年の法規制の観点からも非常に重要です。

事実と異なる情報を発信しない

ステマの疑惑を防ぐためには、まず事実と異なる情報を発信しないことが重要です。商品やサービスの特徴や効果を誇張したり、虚偽の情報を含んだりすることは避けましょう。正確で信頼性の高い情報を提供することで、消費者の信頼を得ることができます。

また、製品やサービスの長所だけでなく、短所や制限事項についても適切に説明することが大切です。バランスの取れた情報提供は、むしろ消費者の信頼を高める効果があります。

さらに、他社製品との比較を行う場合は、客観的なデータや事実に基づいて行い、不当な中傷や誹謗にならないよう注意が必要です。公正な競争を維持しつつ、自社製品の優位性を適切に伝えることが求められます。

広告であることを必ず明記する

広告である場合は「これは広告です」「PRの一環です」と明記することで、事前に消費者に対して広告であることを伝えることが大切です。

インフルエンサーの投稿をチェックする

どれだけ信頼しているインフルエンサーへの依頼であっても、必ず投稿前にチェックを行いましょう。インフルエンサーでは気付かないポイントに自社が気付ける可能性もあるので、事前に炎上リスクをはらんでいそうな投稿は修正をしたり、必要に応じて作り変えたりしましょう。

ステマの規制(日本)

日本におけるステマの規制について解説します。

● 日本でステマが規制されるに至った背景
● 2023年10月1日から施行開始されたステマ規制
● ステマ規制に違反した際の罰則

日本でステマが規制されるに至った背景

日本でステマが規制されるに至った背景には、有名人を利用したステマがSNSなどであまりにも横行し、騙される消費者が増加したことがきっかけとなっています。有名人を起用することで売れやすくなり、消費者の判断を鈍らせるとして問題視されました。

しかしながら、こういったステマのようなケースでは、すでに現行の法律として施行されている「優良誤認表示(景表法5条1号)」や「有利誤認表示(景表法5条2号)」には該当しないため、取り締まりの対象とはなりませんでした。

そこで、これらの行為を規制するべく、令和4年9月に「ステルスマーケティングに関する検討会」という有識者会議が設置され、ステマ規制の導入などについて議論が行われました。

そして、同年の12月28日にステマ報告書が公表され、景品表示法の「優良誤認表示」「有利誤認表示」に次ぐ3つ目の「商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認される恐れがあると認められ、内閣総理大臣が指定する表示(5条3号)」の不当表示に指定することが妥当とされました。

こういった有名人を利用したステマが横行した背景から、日本でもステマの規制が実施されるようになったのです。

2023年10月1日から施行開始されたステマ規制

2023年3月28日に「不当景品類及び不当表示防止法=景品表示法」において、「不当表示」という項目が追加されました。主に規制されるのは広告で、一般消費者が広告と認識できない表示に対して制限がかけられます。

2023年10月1日より施行され、日本でもステマは違法行為として正式に景品表示法違反の対象となりました。ステマ規制(景品表示法違反)の対象となるのは広告主である事業者側のみです。

つまり、インフルエンサーやアフィリエイターなどの広告を投稿及び掲載した「第三者側」はステマ規制の対象にはなりません。広告主である事業者は、広告であることを隠して以下のようなことを行うとステマ規制の対象となります。

● 事業者自らが商品やサービスについて投稿及び掲載を行う
● 事業者及び事業者の従業員が第三者になりすまして投稿及び掲載を行う
● 事業者が意図的に指示や依頼を第三者に行い投稿及び掲載をさせた場合
● その他包括的に事業者側寄りの投稿及び掲載を第三者にさせてしまった場合など

事業者自らが商品やサービスについて投稿及び掲載を行う

広告であることを隠して事業者自らが投稿及び掲載を行うことは、ステマ規制の対象となります。事業者が運営しているWebサイトをはじめ、SNSなどを利用して行うことも全てステマ規制の対象です。

事業者及び事業者の従業員が第三者になりすまして投稿及び掲載を行う

事業者及び事業者の従業員が第三者になりすまして投稿及び掲載を行うことも、ステマ規制の対象となります。仮に事業者の従業員でなくても、子会社等事業者と一定の関係性を有していると判断されればステマ規制の対象となります。

事業者が意図的に指示や依頼を第三者に行い投稿及び掲載をさせた場合

事業者が意図的にインフルエンサーやアフィリエイターなどの第三者に指示や依頼を行い、商品やサービスについての投稿や掲載をさせた場合もステマ規制の対象となります。

例えば、商品やサービスの特徴を細かく伝え、推して欲しい箇所などを指示する行為などが該当します。こういった行為は第三者による健全なレビューの妨げとなるため、ステマ規制の対象となっています。

その他包括的に事業者寄りの投稿及び掲載を第三者にさせてしまった場合など

事業者が直接第三者に対して意図的に指示や依頼をしていない場合でも、第三者とのやり取り如何(いかん)によっては、ステマ規制の対象となる場合があります。

例えば、事業者と第三者がメールや口頭などでやり取りを行ってきた過程において、第三者に対価などを与えて結果的に事業者寄りの投稿や掲載をさせるに至ってしまったときなどが該当します。こういったコントロールが困難なケースにおいても事業者の責任となるため、細心の注意を払う必要があります。

ステマ規制に違反した際の罰則

ステマ規制はいわゆる景品表示法の5条3号に該当する違反となります。まずは消費者庁から措置命令が出されます。

これによって、違反した事業者は社名公表などのペナルティが科せられ、行為の撤回や不当表示広告類の削除、そして再発防止などが求められます。この措置命令に従わなかった場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

ステマに関する世界の規制

アメリカやイギリスなどの海外では、日本よりも前にステマに関する法規制が行われています。イギリスは2008年に「不公正取引からの消費者保護に関する規制法」を施行し、ステマを違法だと明確に規定しました。アメリカでも2009年に「連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)」によってガイドラインが改定され、ステマが規制されています。

ステマの代表的な事例

これまでに発覚したステマで、社会的に大きな問題となった代表的な事例を見ていきましょう。

● 人気グルメサイトの口コミ
● 芸能人のブログ投稿
● 気映画のTwitterマーケティング
● 架空の個人ファンサイト
● 映画評のねつ造

人気グルメサイトの口コミ

2012年に大手価格比較サイトが運営していた人気グルメサイトで、飲食店側がサイト内のランキングをアップさせるために「やらせ業者」を活用していたことが発覚。金銭を受け取る代わりに高評価の口コミを投稿するという行為が行われていました。

グルメサイトの運営側は独自のシステムでチェック体制を強化し、不自然な評価を排除するなどステマを防止する対策を取りましたが、飲食店の口コミ情報を扱うサイトとしては、消費者からの信用が一定期間ガタ落ちしてしまったと言えるでしょう。

芸能人のブログ投稿

2012年に発覚し、運営者による詐欺事件としても有名なオークションサービスでのステマ行為。消費者が入札するごとに手数料が発生するオークションで、運営側がボットを使い自動入札を繰り返し行うなどして、入札者から手数料を騙し取っていた事件です。

また、複数の芸能人がこのオークションで落札していないにもかかわらず、商品を所持している写真付きで「安く落札できた」などの内容をブログに掲載。その後、運営側から多数の芸能人に紹介料として現金が渡されたことも発覚し、一般消費者を装った悪質行為として、社会的責任が問われました。

広告に使用されたブログの運営会社は、ステマ対策として当該の芸能人が投稿していたブログのアカウント削除などを行っています。ステマという行為が、広く世間に知られるきっかけになった事件だと言えるでしょう。

人気映画のTwitterマーケティング

2019年、ある映画の公開後に、SNS上で複数の漫画家がほぼ同時に映画を宣伝するような内容の投稿を行ったことが問題視されました。いずれの投稿も映画を褒めたり好意的に評価したりするもので、SNSのユーザーから「明らかな広告宣伝ではないか」という声が上がり、炎上しました。

企業側は一旦ステマを否定しましたが、後日SNSの漫画投稿に金銭授受があったことを発表。また、マーケティング施策だったのにもかかわらず「PR」という表記が伝達ミスで抜け落ちてしまったことを公式Webサイトで謝罪しています。

意図したステマではなかったと説明されたものの、大作と言われるほど人気の高い映画の続編だったこともあり、多くの消費者がその疑惑にショックを受けたと言えるでしょう。

架空の個人ファンサイト

アメリカの事例ですが、Zipatoni社はソニーのPSPを売るためにステマを行いました。概要としては、Zipatoni社が架空の個人ファンサイトを立ち上げ、PSPを親に買ってほしい若者を演じていました。「クリスマスはPSP以外要らない」という旨の個人ファンサイトとなっており、非常にサイトの完成度が高かったことも事実です。

しかし、それ故に第三者に怪しまれてしまい、Who is情報を確認され、結果的に若者ではないZipatoni社がステマをしていることが発覚しました。瞬く間に別メディアでも報道されてしまい、ソニーは謝罪をするという一連の事件が起きました。第三者を装ったステマは非常に危険なものであり、事実と異なる情報も発信するべきではありません。

映画評のねつ造

2001年に、アメリカのソニー・ピクチャーズエンタテインメント社は、自社映画の宣伝のために「デビッド・マニング」という名の架空の評論家を作りました。デビッド・マニングは、自社映画に出演している俳優や映画全体を褒めるレビューを行い、実際に消費者からも支持を得ていました。

しかし、のちにデビッド・マニングという評論家は存在しないことが告発され、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社の役員2人が一時停職になってしまったのです。加えて、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社は約1億6,000万円の賠償金を支払うことにもなりました。

炎上で企業としての信頼性を損なうことに加えて、金銭的なリスクも垣間見えたステマの事例だと言えるでしょう。

まとめ

ステマとは、広告・宣伝であることを隠し、中立な第三者を装って商品やサービスの評価・情報を発信することです。

芸能人やインフルエンサーなどが一般的な広告として商品やサービスを紹介すること自体に問題はありませんが、ステマではないこと、広告活動であることを明確化するような、消費者への分かりやすい表記が必要となるでしょう。

自社への信頼を失うような広告宣伝を行わないよう、企業はステマの意味や対象となる行為を正しく認識・理解し、消費者の誤解が生じないPR活動を行うことが大切です。

関連記事:インフルエンサーの有名人活用手法をご紹介!BtoB領域でうまい活用方法とは!

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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