パソコンやスマートフォンなどで、インターネットを利用する際に目にすることが増えた「Cookie(クッキー)」という言葉。なんとなくは知っているけれど、設定や削除、また、Cookieを有効にするとどうなるのかについて、実は詳しく知らないという人も少なくありません。
本記事では、Cookieとは具体的にどのようなものなのか、その意味や有効・削除の設定による影響、規制を強化する動きまで、初心者にも分かりやすく解説します。
目次
Cookieとは?
インターネットを通してWebサイトを閲覧するときに、目にする機会が多い「Cookie(クッキー)」の表示。
「Cookieの使用に同意したものとします」「Cookieを有効にする必要があります」など、画面にポップアップされた表示に「設定を削除するとどうなるのか、有効にするべきなのか」と戸惑った経験がある人も多いようです。
Cookieとは、分かりやすくいえば、ユーザーがパソコンやスマートフォンなどからWebサイトへアクセスしたときに、さまざまな情報をデータとして保存しておく仕組みのことです。以下で、その意味や概要、種類などを詳しく見ていきましょう。
Cookieの概要
インターネットでWebサイトを閲覧する場合、パソコンやスマートフォンなどのブラウザから、Webサイトの各サーバーへ、表示のリクエストが送られます。リクエストを受け取ったサーバーがレスポンスとしてそのページを表示させますが、このとき、Webサイトを表示したブラウザの情報を一時的に保存しておく仕組みがCookieです。
保存する情報は、アクセス履歴や訪問回数、ページ遷移、セッション数、ID、パスワードなど。この情報を保存するようにCookieを設定することで、Webサイト側はブラウザ側の再訪問を識別・参照したり、そこから得た情報をマーケティングに活用したりすることができます。
また、ユーザー側は、Cookieの仕組みによりブラウザ側に自身の情報が残ることで、IDやパスワードを再入力しなくてもスムーズにログインできたり、ショッピングサイトでは以前入れたカート内の商品情報を保持したりということが可能になります。
Cookieとは、前回の訪問履歴に即した表示が行われるよう、アクセス時のデータを保存しているものと理解しておきましょう。
Cookieの種類
Cookieとは、Webサイトを閲覧する際の利便性を高くする仕組みですが、それぞれ特性の異なる「ファーストパーティーCookie」と「サードパーティーCookie」という種類に分けられます。
ただし、2021年6月のGoogleの発表では、Chromeのブラウザにおいて、サードパーティーCookieのサポートを2023年半ばから段階的に廃止することが明示されました。
ファーストパーティーCookieと廃止に向かうサードパーティーCookieには、どのような違いがあるのでしょうか。具体的なCookieの特性は以下になります。
ファーストパーティーCookie
アクセス先のWebサイトと同じドメインから発行されるCookie。ECサイトのログイン状態を維持したりショッピングカート内の商品情報を保持したりするためのもの。ファーストパーティーCookieの設定により、Webサイト側はユーザー側の行動履歴を管理できます。
サードパーティーCookie
アクセス先のWebサイト以外のドメインから発行されるCookie。多くはアクセス解析や広告配信などの目的で、別ドメインから発行されるもの。ユーザー側が他のWebサイトを訪れたときにも、サイトの枠を超え、これまでの閲覧傾向に沿った趣味趣向に近い商品の広告が表示される仕組みです。
ただし現在、Googleアナリティクスによるアクセス解析は、サードパーティーCookieではなく、ファーストパーティーCookieのみを使用しています。これは、個人のプライバシー保護の観点から、サードパーティーCookieを設定によりブロックしたり、セキュリティー対策ソフトで削除したりすることが増えたためだと分析されてます。2023年から、段階的な廃止が決定していることも影響しているでしょう。
Cookieを削除するとどうなる?設定を有効にするメリットは?
アクセスや行動履歴などの情報を提供することでWebサイトの閲覧が快適になるCookieですが、その設定を変更することで、具体的にはユーザーにどのような影響があるのでしょうか。Cookieの設定を有効にする、または削除するとどうなるのか、主に考えられる影響は以下になります。
Cookieを削除する
Cookieを削除することで、Webサイトの閲覧時には自身のIDやパスワードをその都度入力しログインすることになります。ECサイトでのショッピング情報も保持されず、カートの中身もその都度「空」の状態です。お気に入り商品の保存ができず、特定の個人用にカスタマイズされたおすすめ商品などが表示されることもありません。また、広告によっては関連商品が表示されない場合もあります。
Cookieを削除するとどうなるかといえば、一時的に保存しておくと便利な情報が活用されず「Webサイトに使いづらさを感じる」ことがあるかもしれません。
Cookieはいつでも削除でき、有効にしておくか削除するかも自身で選択できるため、サイトの内容をその都度検討し、設定するとよいでしょう。
Cookieを有効にする
Cookieを有効に設定することでWebサイトへの自動ログインが行えます。サイト内で名前や住所、電話番号などの情報入力の手間が省け、ショッピングでは、カートの商品情報の保持が可能になります。途中で離脱しても、気に入った商品をお気に入りとして保存することができ、次にアクセスした際にスムーズな買い物ができることもメリットの一つでしょう。
ただし、Cookieによって得られたさまざまな情報の多くは、企業のマーケティング活動やデータ分析に使用されます。企業側の使用方法によっては、ユーザーにネガティブな印象を持たれることがあるでしょう。第三者による情報の利用やプライバシーの侵害などを指摘する声も上がっていることから、Cookieの使用目的や管理には十分注意する必要があるといえます。
Cookieとキャッシュの違いは?
Cookieの設定で、誤って混同されがちなのが「キャッシュ」です。キャッシュとは、一度閲覧したWebページに再度訪問する際に、表示するスピードを上げ、すぐにアクセスできるよう、画像やHTMLなどのデータを保存しておくことです。
Webページは、その容量が大きいほど表示に時間がかかることがあります。よくサイトが「重い」などと表現されますが、画像が豊富で情報量が多いサイトでも、ブラウザがWebページの情報をキャッシュとして保存することで、高速表示が可能になります。
Cookieの特性とはまったく異なる役割を担っていますが、データ保存という言葉の響きから、似たイメージを持つことが多いようです。
キャッシュとはWebページの情報を保存し、Cookieとはユーザー側のアクセス履歴や行動履歴、入力した情報などを保存する仕組みだと理解しておきましょう。
Cookieの規制
Cookieとは、情報を保存することでWebサイトの閲覧が便利になる仕組みですが、一方で、設定を有効にすると、プライバシーの侵害や情報漏えいなどのリスクが高まることも問題視されています。
Cookieはバナー広告などの画像にも設定できるため、そこからユーザーのアクセス履歴を追跡できます。これは「トラッキングCookie」や「スパイウェアCookie」と呼ばれるCookieで、各ユーザーのブラウジング傾向(好んで閲覧しているWebサイトの情報)などを収集していることから、家族構成や行動範囲、政治的な傾向などが把握されてしまうため「プライバシーの侵害ではないか」という声も上がってきている状況です。
近年はさまざまな国でCookieの規制が広がっています。2018年5月には「GDPR」と呼ばれる「EUデータ保護規制(General Data Protection Regulation)」が施行され、EU圏内で個人情報を扱うすべての事業者に、Cookieでの情報取得については「ユーザーの同意」を求めるよう義務付けられました。
日本でもCookieで得られる情報を個人情報とみなすことで、その保護の観点から「アンチトラッキング」として、規制強化が進んでいるところです。
この規制強化により、これまでと同じような情報をCookieで収集することは難しくなっていくと予測できます。特に、Webサイトに一度訪問したユーザーを追跡して広告配信する「リターゲティング広告」は、費用対効果が高いことから取り入れていた企業も多いものですが、Safariなどのブラウザで、すでに規制が始まっている状況です。
企業のビジネス活動、マーケティング活動にも大きな変革が求められているといえるでしょう。
まとめ
Cookieとは、スマートフォンやパソコンでWebサイトを閲覧した際に、ブラウザの情報を一時的に保存する仕組みです。
Cookieの設定を有効にすれば、ログイン情報の保存などからサイト閲覧の利便性が高くなります。しかし一方で、第三者の不正利用や情報漏えい、プライバシーの侵害には十分注意しなければなりません。
Cookieの設定では、有効にするとどういうメリットがあるのか、また、削除するとどうなるのかについて、正しく理解することが大切です。個人情報の保護と利便性のバランスを考え、適切な設定を行いましょう。