効果的かつ効率的なマーケティング活動において、消費者の心理を深く洞察することは極めて重要です。なぜなら、人々がサービスや商品に興味を持ち、購買に至るまでの複雑な心理プロセスを理解し、数ある競合の中から自社を選んでもらうためには、この心理洞察が不可欠だからです。
消費者の購買行動の根底にある心理を理解するために、8つのパターンに整理された「消費動機」という考え方が役立ちます。特に、消費者が自分に必要な情報を求めて検索行動を起こすまでの過程、そしてそこから派生して具体的な行動に至るまでの5つのパターンを把握することは、マーケティング戦略を練る上で非常に重要となります。
本記事では、消費者の検索行動を図解した「バタフライ・サーキット」の概念を基に、消費者のモチベーションを的確に解析し、それらをマーケティング施策へと効果的に結びつける方法について詳しく解説します。
参考元:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと8つの動機/「全方位」「主観」「慎重」「真面目」「瞬発」5つに分類できる探索行動パターン:バタフライ・サーキットと8つの動機
消費動機をさぐるには
出典元:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと8つの動機/「全方位」「主観」「慎重」「真面目」「瞬発」5つに分類できる探索行動パターン:バタフライ・サーキットと8つの動機
消費者が購買に至るまでの消費動機は上図のような要素に分かれて存在する。
「①関心があるものを楽しみたい動機」「②知識として学びたい動機」「③周りが選んでいるものを知りたい動機」「④知る人ぞ知るレア度の高いものを発見したい動機」「⑤考えが正しいものかを確認したい動機」「⑥手段を手に入れたい動機」「⑦あらかじめ期待値を下げたい動機」「⑧選択が間違っていないと思いたい動機」の8パターンである。詳しく説明したものが以下だ。
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2種類の動機が存在するバタフライ・サーキット
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検索動機は、大きく分けて「さぐる」動機と「かためる」動機の2種類に分類できます。「さぐる」動機とは、まだ漠然としたニーズに対して、どのようなサービスや商品が存在するのか、選択肢を幅広く知りたいという心理状態を指します。一方、「かためる」動機は、ある程度候補が絞れてきた段階で、その中から自身にとって最適なものを決定するために、さらに詳細な情報を収集したり、比較検討したりする心理状態です。
消費者は、これらの「さぐる」動機と「かためる」動機の間を、まるで蝶が花から花へと舞うように、あるいは数字の「8」を描くように、自由に行き来しながら情報を探索します。この一連の行動パターンを「バタフライ・サーキット」と呼びます。重要なのは、この「さぐる」と「かためる」の行動は、必ずしも一定の順序で行われるわけではなく、消費者の状況や関心によって、どちらの動機から始まるか、あるいはどのように行き来するかは多様であるという点です。この柔軟な探索行動を理解することが、マーケティング戦略の鍵となります。
バタフライ・サーキットの型は5つ
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2種類の動機、「さぐる」と「かためる」を行き来するバタフライ・サーキットの消費者の行動パターンは、さらに5つのタイプに分類できます。それぞれのタイプを理解することで、消費者がどのような思考回路で購買に至るのかをより深く洞察し、マーケティング施策に活かすことが可能になります。
以下に、5つのタイプについて解説します。
●全方位型:このタイプは、商品やサービスを見た瞬間に「欲しい」と感じ、購買意欲が自然に湧き上がる、最も直感的で素直な消費動機と言えます。広告やビジュアルに強く訴求されやすい傾向があります。
●主観型:「全方位型」とは異なり、他者の意見や評価に左右されにくく、自身の感性や価値観に基づいて意思決定を行うのが特徴です。自分の「好き」「良い」という感覚を重視し、独自の基準で商品やサービスを評価します。
●慎重型:このタイプは、他者のレビューや口コミ、専門家の意見などを参考にしながら、じっくりと検討を進める傾向があります。「後悔したくない」「失敗したくない」という気持ちから、情報収集に時間をかけ、オフラインでの実店舗での確認なども重視する場合があります。
●真面目型:オンラインでの情報収集が中心となるタイプで、商品やサービスについて徹底的に深く理解しようとします。機能面だけでなく、購入後に起こりうる可能性のある問題点や、長期的な視点でのメリット・デメリットまで想定し、入念にリサーチを行います。
●瞬発型:その名の通り、ひらめきや衝動に基づいて、非常にスピーディーに行動を起こすのが特徴です。他のタイプと比較して、購買までの意思決定プロセスが短く、その場の感情やインスピレーションを大切にします。
これらの5つのタイプを理解し、それぞれの消費者の行動特性に合わせたアプローチをマーケティング戦略に組み込むことで、より効果的な顧客獲得へと繋げることができるでしょう。
まとめ
消費者の購買行動を理解することは、効果的かつ効率的なマーケティング戦略を立案する上で不可欠です。その鍵となるのが、Googleが提唱する「バタフライ・サーキット」という概念です。これは、消費者が商品やサービスを「さぐる」(情報収集)と「かためる」(意思決定)という2つの動機を、蝶の羽根のように、あるいは8の字を描くように、順序なく行き来しながら情報を収集・比較検討する行動パターンを可視化したものです。
このバタフライ・サーキットにおける消費者の探索行動は、「全方位型」「主観型」「慎重型」「真面目型」「瞬発型」という5つのタイプに分類できます。それぞれのタイプが持つ特性を深く理解し、それに合わせたマーケティング施策を展開することで、消費者の無意識のニーズを捉え、競合他社との差別化を図り、最終的に自社の商品やサービスを選んでもらう可能性を高めることができます。
例えば、「全方位型」や「瞬発型」の消費者には、第一印象を強く惹きつけるようなクリエイティブや、衝動買いを促すような限定的なオファーが有効でしょう。「主観型」には、ブランドの世界観を伝えるコンテンツや、共感を呼ぶストーリーテリングが響くかもしれません。「慎重型」や「真面目型」の消費者に対しては、詳細な製品情報、利用者のレビュー、FAQ、安心・安全をアピールする情報提供が不可欠となります。
バタフライ・サーキットの概念をマーケティング活動に活かすことは、単に情報を届けるだけでなく、消費者の心理に寄り添い、購買プロセスにおける各段階での最適なアプローチを見つけ出すための強力なフレームワークとなります。これにより、マーケティング担当者は、より精緻なターゲティングとパーソナライズされたコミュニケーションを展開し、顧客エンゲージメントの向上とコンバージョン率の最大化を実現できるでしょう。この洞察は、現代の複雑化する消費者行動を理解し、マーケティング戦略に新たな可能性をもたらすための重要な指針となるはずです。
参考元:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと8つの動機/「全方位」「主観」「慎重」「真面目」「瞬発」5つに分類できる探索行動パターン:バタフライ・サーキットと8つの動機




