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「NPS」とは? 顧客ロイヤルティを測る経営指標について

2019.6.17
読了まで約 3

「NPS」の言葉を耳にしたことがあっても、それがどういう意味か知らない方は多いでしょう。

NPSは、顧客ロイヤルティを数値化する経営指標です。ここでは、NPSとは何か、顧客満足度との違いや計算方法、およびBtoBでもNPSが同様に有効であることを見ていきましょう。

 

NPSとは

NPS(ネットプロモータースコア)とは顧客ロイヤルティを数値化する経営指標のことです。

業績との相関性が高いことから、顧客満足度に代わり多くの企業が導入をしています。

Webのサイトやツールを利用していて、
「あなたはこのサービスを親しい友人や同僚・家族にどの程度すすめたいと思いますか?0~10の11段階でお答えください」
と聞かれたことはないでしょうか。

これが、NPSを測定するための質問です。

NPS(ネットプロモータースコア)は日本語でいえば「推奨者の正味比率」となります。

回答者を点数によって「推奨者」「中立者」「批判者」に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて計算します。

NPSの業績に対する相関は、BtoBでも同様に見られます。

また複雑になりがちなBtoBの顧客との関係をシンプルに測定できることから、BtoBでも多くの企業がNPSの導入を始めています。

 

NPSの計算方法

NPSを計算するためには、上の質問に対する回答の点数により、下表のように推奨者、中立者、および批判者の3つに回答者を分類します。

点数 分類
9~10点 推奨者
7~8点 中立者
0~6点 批判者

回答者全体に対する推奨者と批判者のそれぞれの割合を算出し、下式のように、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いたものがNPSです。

NPS = 推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)

たとえば100人に質問し、推奨者と批判者とがそれぞれ、
・推奨者 …20人(20%)
・批判者 …50人(50%)
であったとすると、NPSは「-30ポイント」となります。

 

NPSは業績と相関があることが顧客満足度との違い

従来は、多くの企業が「顧客満足度」の調査を行ってきました。NPSが顧客満足度と違うのは、業績との密接な相関があることです。

NPSが高い企業は業績も高く、逆にNPSが低い企業は業績も低迷していることが、多くの調査によって明らかになっています。

それに対して顧客満足度は業績と必ずしも相関しないことが、多くの例から知られています。

たとえばある調査によれば、解約などの離反をした顧客の約80%が、直前の顧客満足度調査で「満足」と回答していたことがわかりました。

すなわち顧客満足度調査で「満足」と答えていても、それは必ずしも「ロイヤルカスタマー」であることを意味せず、リピートをしてくれるとは限らないということです。

このように顧客満足度をいくら調査しても、その結果は必ずしも売上につながりません。

そのためにより業績に直結するNPSに注目が集まることとなっています。

NPSは、ペイン・アンド・カンパニー社のフレッド・ライクヘルド氏により考案されました。

ライクヘルド氏は著書『ネット・プロモーター経営』において、NPSの開発に取り組むこととなったきっかけとして、ゼネラル・モーターズ社の例をあげています。

ゼネラル・モーターズ社は2005年に、顧客満足度調査において数多くの賞を獲得したにもかかわらず、業績は低迷し、社債格付けは投資不適格にまで引き下げられました。

この出来事から、顧客ロイヤルティをより業績に直結したものとして測定するための手段について研究を始め、NPSが考案されたとされています。

 

NPSはBtoBでも有効

多くの企業がすでに導入しているNPSは、BtoBでも有効に利用できます。

NPSの業績との相関はBtoBでも同様に見られること、および複雑になりがちなBtoBの顧客との関係を、NPSならシンプルに測定することができることがその理由です。

●NPSの業績との相関はBtoBでも見られる

上のペイン・アンド・カンパニー社は、BtoB企業についてNPSと業績との関係を詳細に調査しました。

その結果によれば、推奨者は批判者と比較して、3~12倍の平均生涯価値となることが明らかになっています。

またNPSは、BtoB企業の、
・売上成長率
・利益率
・市場シェア
・営業・販売効率
・従業員のエンゲージメント
のいずれとも、正の相関があることがわかりました。

●NPSなら複雑になりがちな顧客との関係をシンプルに測定できる

一般にBtoBでは、顧客が組織であるために、顧客との関係は複雑になりがちです。商材の購買に対する意思決定は、組織の場合は、
・購買の直接の担当者
・商材を実際に利用するエンドユーザー
・意思決定者
・関連する他部署の人
など、立場が異なる多くの人が関係することになるからです。

このような複雑な顧客との関係も、NPSを利用すればシンプルに測定することができます。

関係者にNPSの調査を実施すれば、それぞれの顧客ロイヤルティを数値で表現できるからです。

たとえば担当者やエンドユーザーのNPSが高くても、意思決定者のNPSが低ければ、その組織からの評価は全体としては低くなることなどが考えられるでしょう。

 

まとめ

◆ NPSとは顧客ロイヤルティを数値化する経営指標のこと

◆ 顧客満足度調査と違い、業績との相関が高いことから多くの企業が導入している

◆ 計算方法は推奨者の割合から批判社の割合を差し引くシンプルなもの

◆ BtoBでもNPSは同様に有効

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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