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企業価値を高めることが売上増にも直結する!ソーシャル・マーケティングの概要と事例をご紹介

2025.11.28
読了まで約 4

ソーシャル・マーケティングという言葉をご存じでしょうか。多くのマーケティング手法とは異なり、一見、その活動は短期的な利益に直結しないように見えるかもしれません。しかし、企業が社会からの信頼を得て永続的に活動を続けていくためには、ソーシャル・マーケティングが不可欠だともいわれています。本記事では、このソーシャル・マーケティングの定義、CSRとの違い、そして具体的なソーシャル・マーケティングの事例をご紹介します。

ソーシャル・マーケティングとは?

ソーシャル・マーケティングは、アメリカ合衆国の経営学者フィリップ・コトラーが1971年に提唱した、企業が社会的責任を果たすことによりその価値を高め、消費者の信頼を得て長期的な売上増へとつなげていくという考え方が基本となるマーケティング手法です。現代のビジネス環境においては、単に利益を追求するだけでなく、社会的な課題解決に貢献する姿勢が、企業の持続的な成長に不可欠となっています。ソーシャル・マーケティングの事例は多岐にわたり、その効果は企業価値の向上だけでなく、具体的な売上増加にも貢献する可能性があります。

1960年代後半からのアメリカでは、売上を最優先するあまり、強引な販売手法や消費者の意向を無視したプロモーションが横行していました。また、大量生産・大量消費が経済活動の主流であったため、環境問題への意識は低く、工場からの排気や汚染物質の垂れ流しが深刻な公害を引き起こしていました。コトラーは、このような企業中心の考え方に警鐘を鳴らし、企業も社会の一員として社会的責任を果たすべきだとソーシャル・マーケティングを提唱したのです。これは、近年のCSR(企業の社会的責任)活動とも密接に関連しています。

●CSRとは違うのか?
近年、自社ウェブサイトでCSR活動の報告ページを設ける企業が増えています。CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳され、その主な活動内容は地球環境の保全、サスティナビリティ(持続可能性の維持)、地域社会への貢献などです。これらの活動は、ソーシャル・マーケティングの考え方を具体化したものと言えるでしょう。ソーシャル・マーケティングの目的は、短期的な利益ではなく、社会全体の利益を追求することにあります。

●ソーシャル・マーケティングのメリットとは?
一見、ソーシャル・マーケティングやCSR活動は、その目的が社会全体の利益追求にあるため、企業にとって直接的なメリットはないように思われるかもしれません。しかし、現代において自社の社会的責任を軽視する企業は、消費者のみならず、他企業からも敬遠されがちです。社会的責任を意識しないこと自体が、既に企業にとって大きなデメリットとなり得ます。その上で、ソーシャル・マーケティングのメリットを具体的に挙げるとすれば、以下のようになります。

・投資家への訴求効果
ソーシャル・マーケティングは、その活動を通じて社会における企業の存在価値を高めます。投資家がその企業の持続可能性に確信を持てば、安定株主の確保や株価の安定につながる可能性があります。ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)への関心の高まりも、この傾向を後押ししています。

・競争力の強化
ソーシャル・マーケティングやCSR活動に積極的に取り組むことは、企業価値を高めます。自社の利益のみを追求するのではなく、社会にもその利益を還元しようとする企業姿勢は、消費者やステークホルダー(利害関係者)からの評価を向上させ、結果として競争力の強化につながります。ソーシャル・マーケティングの戦略を効果的に実行することは、企業ブランディングにおいても重要です。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

ソーシャル・マーケティングの事例

それでは、具体的なソーシャル・マーケティングの事例を見ていきましょう。これらの事例は、企業が社会的な課題解決にどのように貢献し、それがどのように企業価値向上に繋がっているかを示しています。

●トヨタ環境チャレンジ2050
トヨタ自動車は、持続可能な社会の実現を目指し、「トヨタ環境チャレンジ2050」を2015年に発表しました。このソーシャル・マーケティングの取り組みでは、2050年までに新車のCO2排出量を90%削減することや、車のライフサイクル全体でのCO2排出量ゼロ化、水環境へのインパクト最小化など、6つの具体的なチャレンジ項目を設定し、サスティナビリティ活動を推進しています。これは、自動車メーカーとしての環境負荷低減という社会的責任を果たすことで、企業イメージと信頼性を高めるソーシャル・マーケティングの典型的な事例と言えます。

●nepia千のトイレプロジェクト
王子ネピアは、トイレットペーパーやボックスティシューの製造・販売で知られていますが、2008年からは東ティモールでのトイレ建設支援を「千のトイレプロジェクト」として実施しています。世界では、衛生的なトイレの不足が原因で、多くの子供たちが命を落としています。このソーシャル・マーケティング活動では、売上の一部をユニセフに寄付し、12年以上にわたり東ティモールで1万9千カ所以上のトイレを建設することで、衛生環境の改善に貢献してきました。このプロジェクトは、5歳未満児の死亡率低下に寄与するなど、目に見える成果を上げており、企業が社会課題解決に直接的に貢献するソーシャル・マーケティングの優れた事例として評価されています。

●Volvic 1ℓ for 10ℓ
ミネラルウォーターブランドVolvicが展開する「1ℓ for 10ℓ」プロジェクトは、消費者にとって分かりやすいソーシャル・マーケティングの事例です。このキャンペーンでは、Volvicの1Lのミネラルウォーターを購入すると、アフリカのマリ共和国に10Lの安全な水が供給されるという仕組みでした。具体的には、井戸の建設、地域住民への人材育成、水と衛生に関する啓発活動などが10年間にわたって行われました。2016年にプロジェクトは終了しましたが、このソーシャル・マーケティング活動は、Volvicの販売促進にも繋がったとされています。社会貢献活動を消費者の購買行動と結びつける、効果的なソーシャル・マーケティングの事例です。

これらのソーシャル・マーケティングの事例は、単なる慈善活動ではなく、企業のブランド価値向上、顧客ロイヤリティの醸成、そして長期的な事業継続に不可欠な要素であることを示しています。また、企業が部品製造を委託する際に、グリーン調達(環境負荷の少ない原材料・部品の調達)に協力する企業を優良パートナーと認定し、優先的に発注を行うといったBtoBにおけるソーシャル・マーケティングの活用も、競争力強化に貢献する事例として挙げられます。

まとめ

ソーシャル・マーケティングとは、企業が社会的責任を果たし、その価値を向上させるための戦略的なアプローチです。これは、単なる慈善活動ではなく、長期的な企業価値の向上、ひいては売上増加にも繋がる重要なマーケティング手法の一つと言えます。
ソーシャル・マーケティングは、即座に収益に直結するものではないかもしれませんが、現代の企業が社会からの信頼を得て持続的に活動していくためには不可欠な要素です。環境問題への配慮、社会貢献活動、倫理的な事業運営など、多岐にわたる取り組みがこれに含まれます。
また、ソーシャル・マーケティングは、消費者だけでなく、投資家やビジネスパートナーといったステークホルダーからの評価を高め、競争力の強化にも寄与します。具体的には、CSR(企業の社会的責任)活動と密接に関連しており、これらを推進することで、企業のブランドイメージ向上や採用活動においても有利に働く可能性があります。BtoBの分野においても、グリーン調達に協力する企業を優良パートナーと認定するなど、ソーシャル・マーケティングの考え方は、ビジネスにおける競争力の強化にも貢献するのです。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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