マーケターにとって、マーケティング活動における「コンバージョン」の設計は基本中の基本とも言えます。コンバージョンとは、マーケティング活動を通じて達成したい「最終的な成果」を意味し、その設定次第で施策の効果は大きく左右され、企業にとっての最大成果へと繋げることができます。本記事では、多様な目的に応じて使い分けられるコンバージョンの種類に焦点を当て、KGI・KPIとの関係性、そして成果を最大化するための具体的な施策についても詳しく解説していきます。
コンバージョンとは何か?
コンバージョン(CV:Conversion)とは、「転化」「変換」を意味するマーケティング用語です。マーケティング活動においては、設定した目標の達成、すなわち「最終的な成果」を指します。この「最終的な成果」は、マーケティング活動の目的によって定義が異なり、何を達成したいかによってコンバージョンのミッションも変わってきます。
マーケティング指標には、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)といった、コンバージョンと密接に関連する言葉があります。KGIは事業全体の最終目標達成度を示す指標であり、KPIはKGI達成のために設定される中間目標やプロセス目標を示す指標です。コンバージョンは、これらのKGIやKPIを数値化する際の具体的な目標設定として用いられます。例えば、「KGIとして500コンバージョンを達成する」といった形で使用され、KGI・KPIの各成果を具体的に測定可能にします。
また、マーケティング施策の効果を測る上で重要な指標として、CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)があります。CVRは、ウェブサイトへの訪問者数や広告への接触数などの総数に対し、実際にコンバージョンに至った割合を示す指標です。「どのくらいの割合でコンバージョンに至ったのか」を可視化することで、施策の効率性を評価し、改善につなげることができます。コンバージョン設定の明確化は、コンバージョンの種類を理解し、適切なKPI設定を行う上で不可欠です。具体的には、直接コンバージョン、間接コンバージョン、クリックスルーコンバージョン、ビュースルーコンバージョンといった様々なコンバージョンの種類を理解し、自社の目標に合致するKPIの種類を定義することが重要になります。これらのKPIの種類を分析することで、より精度の高いマーケティング戦略の立案が可能となります。
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さまざまなコンバージョンを理解する
コンバージョンには、マーケティング活動の目標達成度を測る上で、実に多様な種類が存在します。「最終的な成果」を数値化するマーケティング用語であるため、その定義次第であらゆることがコンバージョンになり得ます。例えば、実店舗ビジネスにおいては、「新規来店者数」をコンバージョンと設定することも、「一人あたりの平均購入単価」をコンバージョンとする考え方も可能です。どちらを設定するにしても、最終的なビジネス目標達成に直結する指標であれば、それがコンバージョンとして適切と言えるでしょう。
コンバージョンを理解する上で重要なのは、その細分化された種類を把握することです。広告クリックと直接的に紐づく成果を指す「直接コンバージョン」や、広告経由でサイトを訪れたユーザーによる、成果が発生した総回数を示す「総コンバージョン」があります。これらに対し、初回の訪問ではコンバージョンに至らなかったものの、後日再訪問した際に成果につながるケースは「間接コンバージョン」と呼ばれます。さらに、広告リンクのクリックに依存しない成果を捉える「クリックスルーコンバージョン」や、動画広告を視聴したことによる成果である「ビュースルーコンバージョン」といった、より詳細なコンバージョンの種類も存在します。これらのKPIは、それぞれの広告媒体やキャンペーンの特性に合わせて適切に設定・分析することが、コンバージョン効果の最大化に繋がります。また、ECサイトにおける「カート追加」や「会員登録」なども、最終的な購買という大きなコンバージョンに至るまでの中間的なKPIとして設定されることがあります。これらの「マイクロコンバージョン」を計測・改善していくことも、最終的な成果向上には不可欠です。
KGIとKPI、そしてコンバージョンの関係性
KGIは、事業全体の最終目標を示すもので、例えば「年間売上1億円」や「新規顧客獲得数1000人」などが挙げられます。一方、KPIはKGIを達成するために設定される、より具体的で実行可能な中間目標です。例えば、KGIが「年間売上1億円」であれば、KPIとして「月間売上833万円」や「Webサイトからの問い合わせ数月間100件」などが設定されます。
ここでコンバージョンが登場します。コンバージョンは、KGIやKPIの達成度を測るための具体的な「成果」そのものを指します。Webサイトであれば、商品の購入、資料請求、会員登録などがコンバージョンに該当します。したがって、KGI、KPI、コンバージョンは、目標設定から施策実行、効果測定までの一連の流れにおいて、それぞれ異なるレイヤーで成果を管理するための重要な指標群と言えます。
主要なコンバージョンの種類
コンバージョンには、その設定次第で多様な種類が存在します。「最終的な成果」を数値で表すマーケティング用語であるため、あらゆる達成目標がコンバージョンとなり得ます。
例えば、実店舗ビジネスであれば、「来客数」をコンバージョンに設定することも、「1人あたりの平均購入金額」をコンバージョンに設定することも可能です。どこを成果として定義するかは、マーケティング戦略によって異なります。
コンバージョンには、以下のような代表的な種類があります。
- 直接コンバージョン: 広告をクリックしたユーザーが、その広告経由でサイトを訪れ、成果を達成した場合。
- 総コンバージョン: 広告経由でサイトを訪れ、成果を達成した回数全体を指します。直接コンバージョンだけでなく、間接的な影響によるものも含まれる場合があります。
- 間接コンバージョン: 最初の訪問では成果に至らなかったユーザーが、後日(例えば別の経路で再訪問したり、時間を置いたりして)成果を達成した場合。
- クリックスルーコンバージョン (CTC): 広告リンクをクリックした後に発生するコンバージョン。
- ビュースルーコンバージョン (BTC): 広告を閲覧したがクリックせず、その後、直接的な広告接触がない状態で発生したコンバージョン。特に動画広告などで重要視されます。
これらのコンバージョンの種類を正しく理解し、自社のマーケティング目標に合ったものを設定することが、効果的な成果測定と改善の第一歩となります。
コンバージョンを上げる施策とは?
コンバージョンを向上させるためには、まず組織内で明確なゴール設定を行うことが不可欠です。つまり、「どこをコンバージョンの地点とするか」を初期段階で十分に検討する必要があります。例えば、「新規訪問者数の増加」をコンバージョンとするのか、「売上高を20%向上させる」ことを目指すのか、あるいは「新商品の購入数を増やす」ことを目標とするのか、といったように、注力すべきコンバージョンを具体的に定義します。
このコンバージョンの種類を明確にした上で、効果的な施策を立案・実行していくことが重要です。コンバージョン目標を設定したら、その達成度を数値化し、正確に計測・管理します。KGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)をコンバージョンと並行して設定することで、コンバージョンに至るまでのプロセスにおける課題や問題点をより詳細に把握できるようになります。これにより、施策の改善サイクルを迅速に回し、コンバージョン率の向上につなげることが可能となります。
特に、直接コンバージョンと間接コンバージョンを区別して分析することで、それぞれの施策の効果をより正確に評価できます。また、広告キャンペーンにおいては、クリックスルーコンバージョンだけでなく、広告接触後の行動を捉えるビュースルーコンバージョンの計測も考慮に入れることで、広告の効果測定の精度を高めることができます。これらのコンバージョンの種類を理解し、適切に計測・分析することが、コンバージョン獲得に向けた効果的な施策立案の鍵となります。どのようなコンバージョンの種類を設定するかは、ビジネスの特性やマーケティング目標によって異なります。例えば、ECサイトであれば「購入完了」、資料請求サイトであれば「資料請求フォームの送信完了」などが一般的なコンバージョンの種類として設定されます。これらのKPIとして設定されたコンバージョンを達成するために、ウェブサイトのUI/UX改善、広告クリエイティブの最適化、ランディングページのABテストといった具体的な施策を展開していくことになります。
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まとめ
マーケティングにおけるコンバージョンは、KGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)と連動させ、コンバージョンの種類を明確に設定することが成功の鍵となります。特に、直接コンバージョン、間接コンバージョン、クリックスルーコンバージョン、ビュースルーコンバージョンといった多様なコンバージョンの種類を理解し、自社の目標に最適なものを見極めることが重要です。コンバージョンを効果的に向上させるためには、設定した目標達成に向けた具体的な施策を実行し、その成果をデータとして常に確認・分析・解析することが不可欠です。KGI達成に向けたKPIの達成度合いを定期的に検証し、マーケティング戦略が有効であるかを評価することで、企業の最終的な成果へと繋げていくことができます。コンバージョンの種類を理解し、適切な目標設定と効果測定を行うことが、マーケティング活動の精度を高め、ビジネス成長を加速させるための基盤となるのです。

