新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の生活は急激な変化を強いられた。多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX :Digital Transformation)が進み、Withコロナ時代の新たな社会ニーズをつかもうと、さまざまなマーケティング活動に取り組んでいる状況だ。
そこで、注目されるのが人々の心に存在する「不満意識」である。コロナ禍において生じた生活者の不満を分析すれば、よりよい顧客体験をつくり出す「戦略的施策」になり得るからだ。
生活者の不満を早急に察知する目的で行った調査結果をもとに、人々が日常的にどのような不満を持ち、新たな生活に何を求めているのかを詳しく解析する。
生活者の不満レベルは?
コロナ禍の暮らしにおいて、生活者がどのようなことに不満を持っているのか把握するための意識調査。第1回と第2回の調査結果を比べると、トータルして不満を持つ生活者の数はほぼ変化がないものの、「不満レベル高」の割合が減少していることがわかった。時間がたつにつれ人々の不満レベルが全体的にダウンし、緩和の傾向にあることが見てとれるだろう。
分野別の不満意識とその内容とは?
次に、コロナ禍における分野別の不満意識とその内容について、具体的に表したのが上図である。
高い割合となったのが「レジャー」や「リフレッシュ」に対する不満だ。具体的には「旅行・観光に行けない」や「人と会えない/友達と会えない」こと。「感染対策(マスクの着用・手洗い等)が煩わしい」といった、衛生管理に対する不満も高い割合となっている。
不満に対する許容意識・ライフスタイル別の不満指数
コロナ禍によって生まれた不満は緩和傾向にあるものの、一方では前回の調査と比べ「不満鬱屈層」の割合が増加し、「許容できない」「ただただ不満」など、順応できない一面があることにも注視したい。
ライフスタイル別に見ると、生活者の日常がどのような状況であるかによって、不満指数に変化が生じるようだ。多様化するライフスタイルの中においても、それぞれが自身の「幸福な状態(Well-being)」を意識し、その方向へ進んでいくことが不満をやわらげるポイントになるだろう。
まとめ
Withコロナ社会の中で、生活者が持つ不満の内容が少しずつ変化してきている。緩和の傾向にある不満意識だが、時間とともに生活者が許容できない鬱屈した不満が微増していることにも注意すべきである。コロナ禍で人々の価値意識がどのように変わり、どんなスタイルが定着していくのか。
ニューノーマル時代のより良い顧客体験のために、企業はあらゆる施策で社会のニーズをつかんでいく必要があるだろう。