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SaaS企業に学ぶ、BtoBサイトの事例ページ作成ポイント【前編】

2025.11.10
読了まで約 5

BtoB企業にとって、導入事例は顧客の信頼獲得と購買意欲向上に不可欠な要素です。BtoBサイトにおける導入事例は、BtoCサービスでいうところのユーザーレビューに相当し、サービスの信頼性や安心感を直接的に伝える強力なツールとなります。導入実績や著名な企業ロゴの掲載も、同様にサイト訪問者へ安心感を与え、問い合わせや資料ダウンロードといったコンバージョン率(CV)に大きな影響を及ぼします。

本記事では、BtoBサイトにおける導入事例の重要性と、効果的な事例ページ作成のノウハウを、特にSaaS企業のサービスサイトを事例として解説します。前編となる本稿では、BtoBサイトにおける導入事例の役割と、トップページでの戦略的な活用法に焦点を当てます。

BtoBサイトの導入事例は、顧客がサービスを検討し、導入を決定するまでのプロセス全体で多様な役割を果たします。まず、認知・情報収集段階では、広告やビジネスメディアを通じて潜在顧客の関心を引きつけます。次に、比較検討段階では、具体的な導入イメージや課題解決の可能性を示すことで、サービスの優位性を訴求します。そして、最終決定段階においては、社内稟議を通すための説得材料として、導入企業の成功事例が強力な後押しとなります。

このように、導入事例はBtoBマーケティングにおいて、非常に汎用性が高く、様々な場面で活用できるコンテンツです。BtoBサイトで導入事例を効果的に活用するためのポイントを、以下の3つの観点から掘り下げていきます。

  • トップページでの活用方法
  • 事例一覧ページの構成
  • 個別事例ページの作成

それぞれのセクションにおいて、導入事例をどのように配置し、どのような効果を狙うべきか、SaaS企業の実例を交えながら具体的に解説していきます。BtoBサイトの改善や、より効果的なリード獲得を目指している企業担当者様にとって、有益な情報となることを目指します。

BtoBサイトの成功には、ターゲット顧客のペルソナを深く理解し、彼らが抱える課題に寄り添った事例コンテンツを提供することが重要です。特に、BtoBサイトのトップページは、訪問者が最初に目にする場所であり、そこでどれだけ信頼感と魅力を伝えられるかが、その後の行動を左右します。

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BtoBサイトにおける導入事例の役割

BtoBサイトにおいて、導入事例は極めて重要な役割を担っています。BtoB企業のサービスサイトでは、導入事例はBtoCサービスにおけるユーザーの口コミやレビューと同様の機能を果たし、サイト訪問者にサービスに対する信頼感と安心感を与えます。

株式会社メディックスの調査によれば、企業のホームページで興味のあるコンテンツとして「導入事例」は58.1%を占め、「価格」(61.5%)、「製品特長」(59.7%)に次ぐ上位3位にランクインしています。このデータは、BtoBサイトにおける導入事例の重要性を明確に示しています。

導入事例は、顧客がサービスを導入するまでの全プロセス(認知・情報収集~比較検討~決定)において有効な、極めて汎用性の高いコンテンツです。各フェーズにおける具体的な役割を見ていきましょう。

認知・情報収集フェーズ

Facebook広告やビジネスメディアのメールマガジンのタイトルに導入企業名を掲載し、潜在顧客へのサービス認知を促進する。

「コスト削減 事例」といった具体的なキーワード検索からの流入を、導入事例ページを経由してサービスサイトへの誘導に繋げる。

比較検討フェーズ

導入後の具体的な効果や、顧客の課題解決可能性を提示することで、サービスの導入メリットを明確にする。

他社の成功事例を参考に、自社での導入イメージを具体的に喚起させる。

決定フェーズ

社内稟議の際に、導入企業の事例を通じてサービスへの安心感や信頼感を醸成し、導入決定に向けてポジティブな思考を促す。

さらに、導入事例はBtoBサイト上での活用に留まらず、営業資料、展示会・セミナー、社内研修など、幅広い場面で活用できる汎用性の高いコンテンツです。このため、BtoBサイトにおける導入事例の作成は、マーケティング戦略全体に大きな影響を与える、極めて重要な取り組みと言えるでしょう。

BtoBサイトで効果的な導入事例を作成するには、トップページ、事例一覧ページ、事例詳細ページの3つの観点から戦略的に検討することが重要です。各ページの特性を最大限に活かし、ユーザーのニーズに応じた情報提供と、リード獲得に繋がるCTA(Call to Action)の設置を心がけることが、BtoBサイトの成果を最大化する鍵となります。

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導入事例の作成ポイント 【トップページ】

BtoBサイトのトップページにおける導入事例の作成ポイントは、以下の3つのアプローチに分類できます。

1. ① 導入事例を掲載しないという選択肢

まず、導入事例をサイトに掲載するかどうか、その是非を検討することから始めます。サービスをリリースしたばかりで導入企業数が少ない場合、無理に事例を掲載することが難しい場合があります。

株式会社WACULが実施した「B2B SaaSサービスを提供する企業における事例紹介ページのCVRを最大化する手法に関する調査」によると、事例コンテンツが12件を超えると、「事例ページ経由のCVR」が「事例ページ以外経由のCVR」を上回るというデータがあります。これは、事例ページの効果が一定数以上の事例がないと期待しにくいことを示唆しています。したがって、導入事例は、ある程度の件数が集まってから掲載を開始しても良いかもしれません。

一方で、十分な導入実績があるにも関わらず、企業によっては意図的に導入事例を掲載しない戦略をとる場合もあります。

サブスクリプションコマース事業を展開するテモナ株式会社のクラウド型通販システム「サブスクア」のサイトには、導入事例コンテンツは掲載されていません。

その代わりに、トップページの最上部には「導入シェア№1」「導入企業数1,000社以上」「サービス提供10年以上」といった実績を明確に表記し、サービスに対する安心感や信頼感を醸成しています。

さらに、ノウハウブログやお役立ち資料、セミナーといった、導入事例以外のコンテンツが充実しており、サイト訪問者が求めている情報に容易にアクセスできるようなサイト構成になっています。

https://subscription-store.com/

1-② 導入実績・企業ロゴ・導入事例の設置ポイント

導入事例を掲載する場合、BtoBサイトのトップページにおける導入実績、企業ロゴ、導入事例の配置は、ユーザーの印象を左右する重要なポイントです。例えば、トップページの最上部に導入実績と企業ロゴをスライド形式で配置することで、訪問者に即座に信頼感や安心感を与えることができます。

労務管理クラウド「SmartHR」のBtoBサイトでは、トップページに「3年連続 労務管理クラウドシェアNo.1」という実績と、スライド表示される多数の企業ロゴを掲載し、強力なアイキャッチを実現しています。

また、サービスがもたらすベネフィットや、その特長・機能を先に紹介し、その後に導入実績や事例を配置するというアプローチも有効です。「TeamSpirit」のBtoBサイトでは、ベネフィットとサービス紹介の後に導入事例を配置し、契約ライセンス数と契約社数のグラフで導入実績の伸びを視覚的に表現しています。

https://smarthr.jp/

 

さらに、トップページの最上部でベネフィットやサービス特長・機能を掲載し、ユーザーがサービス内容とメリットを理解した次のステップで、導入実績、企業ロゴ、導入事例の情報を掲載していくケースもあります。

株式会社チームスピリットが展開するクラウドサービス「TeamSpirit」のサイトでは、トップページでベネフィットとサービス紹介を掲載した後、その下に導入事例セクションを設けています。導入事例では、「契約ライセンス数」と「契約社数」がグラフで紹介されており、導入実績の伸びが視覚的に理解できるようになっています。

さらに、導入実績の下には、企業ロゴと製品ダウンロード用のCTAボタン、そして導入事例一覧ページへのCTAボタンが配置されています。

https://www.teamspirit.com/ja-jp/

 

1-③ 導入事例をCVポイントとして掲載する

先述のアンケート結果からもわかるように、導入事例はサイト訪問者が高い関心を寄せるコンテンツの一つです。リード獲得に繋げるため、導入企業の詳細を知りたいというニーズを、資料ダウンロードといったコンバージョンに繋げるケースが多く見られます。

SaaS比較サイト「BOXIL(ボクシル)」を運営する株式会社スマートキャンプのサービスサイトでは、トップページ下部に300社の導入実績と企業ロゴ、そして、事例収録企業6社が掲載されています。事例収録企業の下に「導入企業の事例一覧はこちら」というCTAボタンを表示し、そのボタンをクリックすると、事例収録企業の資料ダウンロードフォームに遷移する仕組みになっています。

このサイト全体の構成は、トップページの他に、セミナー情報、導入事例といったシンプルな構成となって

https://boxil.smartcamp.co.jp/

まとめ

BtoBサイトにおいて、導入事例はBtoBサイトにおける極めて重要なコンテンツです。サイト訪問者の信頼感や安心感を醸成し、問い合わせや資料ダウンロードといったBtoBリード獲得のコンバージョンに大きな影響を与えます。以下に、BtoBサイトの導入事例に関する主要なポイントをまとめます。

導入事例は、認知・情報収集から比較検討、決定に至るまでの全プロセスに有効な汎用性の高いコンテンツです。BtoBサイトの設計において、この点を十分に考慮する必要があります。

サービスサイトで導入事例を作成する際には、トップページ、事例一覧ページ、事例詳細ページの3つの観点から検討することが重要です。各ページの役割を明確にし、ユーザーの導線を最適化することで、効果的なBtoBサイトを構築できます。

トップページでは、まず導入事例コンテンツを掲載するかどうかを慎重に検討します。BtoBサイトの特性や自社サービスの状況に応じて判断することが大切です。

導入事例を掲載しない場合、導入実績や企業ロゴのほかに、ノウハウやセミナー情報などのコンテンツを充実させることで、BtoBサイトの価値を高めることができます。

導入事例を掲載する場合、トップページでは導入実績や企業ロゴ、導入事例を他のコンテンツとどのように配置するかがポイントとなります。ユーザーの目線や導線を考慮し、効果的なレイアウトを心がけましょう。

BtoBサイトの導入事例は、単なる実績紹介にとどまらず、潜在顧客の課題解決や導入イメージの具体化に役立つ内容を心がけることが重要です。

導入事例の数や質、表示方法によっては、BtoBサイトのコンバージョン率に大きな影響を与える可能性があります。定期的に効果測定を行い、最適化を図ることが望ましいでしょう。

BtoBサイトにおける導入事例は、オンラインだけでなく、営業資料や展示会、セミナーなど、オフラインでも活用できる汎用性の高いコンテンツです。多角的な活用を検討しましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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