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アンゾフの成長マトリクスとは?「経営戦略の父」アンゾフの戦略フレームワークを解説

2020.10.5
読了まで約 3

今後のマーケティング戦略を考える上で役立つのがアンゾフの成長マトリクスです。自社の現状をフレームワークに当てはめることで、今後の戦略が立てやすくなります。

今回の記事では、アンゾフの成長マトリクスの基礎知識や、具体的な戦略について解説します。

アンゾフの成長マトリクスの基礎知識

まずはアンゾフの成長マトリクスとはどのようなものなのか?そもそもアンゾフとはどのような人物なのか?基礎知識を勉強していきましょう。

●経営戦略の父と呼ばれたイゴール・アンゾフ
成長マトリクスの生みの親であるイゴール・アンゾフは、ロシア出身の数学者・経営学者・経営者です。1918年に生まれ、1936年に家族とともに渡米しました。

ロードアイランドのブラウン大学では応用数学の博士号を取得。その後シンクタンクを経てロッキード・エアクラフト社へ転職し、企業計画部門で勤めました。のちに転出したロッキード・エレクトロニクス社では副社長にまで上り詰めています。

1963年にはペンシルベニア州のカーネギーメロン大学産業経営学大学院教授に就任。ほかにも様々な大学で経営学を教える一方で、自らもコンサルタントとして活躍しました。

成長マトリクスは1965年に発刊された『企業戦略論』で提唱され、そのほか、『企業の多角化戦略』(1971年)、『戦略経営論』(1979年)といった経営戦略の世界で非常に重要な著書を発表しています。

このような輝かしい功績から、「経営戦略の父」と呼ばれるようになったのです。

●成長マトリクスとは?
そんなアンゾフが提唱したのが成長マトリクスです。企業の戦略を考える際には、以下のようなフレームワークを使います。

「市場」と「製品」、「既存」と「新規」という4つの要素を組み合わせたフレームワークに自社がおかれている状況や今後の展開を当てはめることで、市場戦略を立てやすくなります。

例えば、商品がすでに存在し実際に市場も出来上がっている場合は、「市場浸透」という戦略をとる必要があります。 逆に、まったく新しい製品を開発してそれを新しい市場に売り込んでいくなら、「多角化」を行うことで成長を遂げることができます。

関連記事:フレームワークとは?思考を整理しビジネスを進めていくための枠組みを活用シーン別に解説

4つの戦略を具体的に解説

以上のフレームワークを使うことで、今後自社がどのような戦略を立てるべきかがわかってきます。具体的にそれぞれの戦略の中身について見ていきましょう。

●市場浸透(既存商品×既存市場)
すでに存在している商品を既存の市場に売り出す場合は、「市場浸透」という戦略をとる必要があります。顧客が購入する頻度や購買数、単価、リピート率を高め、市場シェアを拡大します。

具体的には従来製品をブラッシュアップして品質を向上させる、アフターフォローの充実などサービスの質を高める、買い替えの促進や割引などのキャンペーンといった施策が挙げられます。

●新商品開発(新規商品×既存市場)
既存の市場に向けて新しい商品を売り出す場合には「新商品開発」という戦略をとります。

その名の通り、すでにある市場のニーズを汲み上げ、新しい価値を顧客に提供していく必要があります。場合によっては開発・研究部門や製造ラインの増設、設備投資や従業員の増員も行っていかなければいけません。

ちなみに、既存商品の関連商品や付属品、機能追加品の販売も、成長マトリクスにおいては「新規商品」として考えます。

●新市場開拓(既存商品×新規市場)
すでにある商品をまったく新しい市場に売り出す場合は、「新市場開拓」を行います。

既存の市場が飽和している、あるいは競合が強すぎる場合でも、新しい市場を開拓すれば大きく利益を伸ばせる可能性がある反面、市場の見極めを間違えるとまったく売れずに損失を被るリスクもあります。

具体的には、他地方や海外に売り出したり、今までとは異なった顧客層(顧客の業種や業態、属性など)にアプローチしたりといった施策が挙げられます。

●多角化(新規商品×新規市場) 今までにない商品をまったく新しい市場に売り出す場合は「多角化」が必要です。

綿密な市場調査と商品開発が必要とされ、商品が売れる保証がまったくないため、4つの中では一番難しいですが、成功すれば事業を大きく拡大できる可能性もあります。

今までのやり方は通用しないので、「一から新しい会社や事業を立ち上げる」くらいの感覚で臨む必要があるでしょう。 実際に、子会社を設立して専用の設備や専門のスタッフを揃える、あるいはM&Aで行おうとしている事業の知見がある会社と吸収合併する、といった「多角化」を行っている企業も少なくありません。

成長マトリクスを使ってみよう

アンゾフの成長マトリクスはこれからの経営戦略を立てる上で非常に役立つツールとなります。再度、具体的な施策を記載した状態でフレームワークを掲載しますので、会社がどの立ち位置にいるか?当てはめて考えてみてください。

まとめ

◆成長マトリクスを作ったロシア出身の数学者イゴール・アンゾフは「成長戦略の父」と呼ばれている

◆成長マトリクスは「市場」と「製品」、「既存」と「新規」という4つの軸がある

◆企業がとるべき戦略は「市場浸透」「新商品開発」「新市場開発」「多角化」のいずれか

◆成長マトリクスに自社の状況を当てはめることで、今後会社がとるべき戦略が明確になる

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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