オウンドメディアの運用において、成功へ導くための重要な要素の一つがKPI(重要業績評価指標)の適切な設定です。多くの企業がオウンドメディアに取り組んでいますが、戦略なくKPIを設定してしまうと、リソースを無駄にしてしまう可能性があります。
本記事では、オウンドメディアのKPI設定の基本的な考え方から、フェーズごとの具体的な施策案まで、実践的な内容を徹底解説します。オウンドメディアのKPI運用方法を理解することで、より効果的なマーケティング成果を期待できるようになります。
オウンドメディアを立ち上げる企業にとって、最初の段階から正しいKPI設定を行うことは、その後の成長を大きく左右する重要な判断となります。
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オウンドメディアのKPIとは?
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、「重要業績評価指標」と訳されます。
目標を達成するために重要な指標を選んで定点観測することで、目標の達成に向けたパフォーマンスを確認できます。オウンドメディアでも、目標およびKPIを設定することは重要です。
オウンドメディアのKPI設定にあたっては、複雑にならないようにすることが大切です。KPIが複雑だと、担当者に意識されなくなってしまうことがあるからです。
そのためには、KPIの数が多くなりすぎないよう注意しましょう。KPI運用の効率性を考慮すると、3~5個が適当とされています。複数のKPIを運用する場合には担当を分けるようにすることも、KPIがしっかりと達成されるためには有効な方法です。
まずは目標を設定する
オウンドメディアの運用では、他のさまざまなマーケティング施策と同様に、最初に「目標」を設定することは重要です。明確な目標を設定してはじめて、その目標を達成するための適切なKPIが設定できるようになるからです。
BtoBの場合なら、オウンドメディアのKPI設定において目指すべき目標として、
・ブランド認知
・リード獲得
・成約
などを選ぶことが多いでしょう。
目標は、顧客のステージに合わせて複数を選ぶのがオススメです。上の例なら、潜在顧客に対しては「ブランド認知」や「リード獲得」、見込み顧客に対しては「成約」が、それぞれ適切な目標であることになります。
このようにオウンドメディアのKPI運用を成功させるには、段階的に目標を細分化し、各ステージに応じた現実的な指標を定めることが欠かせません。最初の段階で曖昧な目標を立てると、その後のKPI設定も不明確になり、媒体全体の効果測定が難しくなるため注意が必要です。
オウンドメディアでは目標の達成を急ぎすぎないことが重要
オウンドメディアを運用するにあたっては、目標の達成を急ぎすぎないことが重要です。オウンドメディアは、コンバージョンまでに長い期間がかかるからです。
オウンドメディアは、広告などとは異なり、自然検索によってユーザーに自ら見つけてもらう形を取ります。オウンドメディア のKPI設定においても、この長期的な視点が不可欠です。
検索ページでの表示順位が上位になるのは、サイトを立ち上げてからどんなに早くても半年以上はかかります。加えて、検索流入の量と質を継続的に改善していく必要があります。
リピートして訪れるようになったユーザーが企業や製品に興味をもち、コンバージョンに至るまで、1年程度の時間がかかることもあります。この期間を通じてオウンドメディア 施策を継続することが成功の鍵となります。
オウンドメディアを立ち上げる際には、コンバージョンが得られるようになるまでに1~2年がかかると見込み、以下のフェーズに分けてKPIを設定することが重要です。
・立ち上げ期(立ち上げ~1年程度)
・定着期(半年~2年程度)
・活用期(1年~)
立ち上げ期(~1年)に適切なKPI
サイトを立ち上げてから1年以内は、コンバージョンを求めることはやめましょう。
コンバージョンを求めることよりも、とにかくサイトを人に見てもらえるようにならなければ始まりません。
そこで「集客」を評価することができるKPIを設定します。この段階でのオウンドメディア KPIの役割は、認知獲得に注力することにあります。
具体的には、以下のような指標となります。
・ターゲットとするキーワードでの検索順位
・ページビュー数(サイト内のページが閲覧された回数)
・新規ユニークユーザー数(新規で訪れたユーザーの数)
・SNSでのシェア数
オウンドメディアは、自然検索から流入するユーザーのニーズに合ったものであることが何よりも重要です。
立ち上げ期には、ユーザーの利便にかなうコンテンツを制作し、ユーザーにサイトを訪れてもらえることを目指すことが大切です。特にオウンドメディア施策における初期段階では、検索エンジンでの可視性向上がすべての基盤となるため、この時期に適切なKPI運用を行うことが成功の鍵となります。
定着期(半年~2年)に適切なKPI
サイトを適切に運用していれば、立ち上げから半年程度たつと、ターゲットとしたキーワードでの検索上位表示が得られるようになってきます。
新規の記事を公開しても、比較的すんなりと上位表示されるようになるでしょう。
このフェーズに至ったら、次に「ユーザーにくり返し見てもらえること」を目指し、KPI設定においても、この段階では集客から継続的なエンゲージメント施策へと軸足を移すことが極めて重要です。
その場合に適切なKPIは、以下のものとなるでしょう。
・定着率(ユーザーがサイトをふたたび訪れる確率)
・滞在時間(あるWebページについて、ユーザーが滞在した平均時間)
・遷移数(あるWebページについて、ユーザーが離脱せずに他のページへ移動した平均回数)
・回遊率(1人のユーザーがサイト内のページをどれだけ閲覧したのかの平均回数)
定着率や滞在時間を高くするためには、コンテンツの質を高めることが唯一の方策だといえるでしょう。
遷移数や回遊率を高めるためには、以下の施策を並行実施することが有効です。
・他のページへの内部リンクを作成する
・内部リンクをボタンやバナーなどにして目立たせる
これらの取り組みにより、ユーザーの行動をより詳細に把握し、継続的なサイト訪問を促進させることができます。
活用期(1年~)に適切なKPI
十分な数のユーザーが自然検索やSNSから流入し、リピートも増えてファンが獲得できるようになれば、いよいよコンバージョンを得ることを考えられるようになります。
この段階では、オウンドメディアの運用戦略が成熟期に入ったことを意味します。蓄積されたデータとユーザーインサイトを活用し、収益化に向けた施策を展開することが可能になるのです。
コンバージョンは、BtoBサイトの場合なら、
・メールマガジン登録
・ホワイトペーパーダウンロード
などとなるでしょう。
コンバージョンを得るためには、ユーザーの属性や興味、検討度合いなどに応じたアプローチをきめ細やかに行っていくことが重要です。この際、オウンドメディア施策として、セグメント別のコンテンツ配信やパーソナライズされたメッセージングを活用することで、より高い効果が期待できます。
ただしこのフェーズにいたっても、広告色が強いページばかりにならないよう注意しましょう。
オウンドメディアはあくまでも、ユーザーの利便性を第一に考えることが大切です。
まとめ
オウンドメディアを成功させるには、オウンドメディア KPIの適切な設定が不可欠です。KPIとは目標を達成するための重要業績評価指標であり、単なる数値目標ではなく、ビジネスの段階に応じた戦略的指標である必要があります。
特に重要なのは、オウンドメディアにおいては設定した目標の達成を急ぎすぎないことです。立ち上げ期から活用期へと移行する過程で、各フェーズに最適なKPIを段階的に設定することで、継続的な成長が実現します。
オウンドメディア KPIは、立ち上げ期には「集客」、定着期には「ユーザーのリピート」、活用期には「コンバージョン」というように、フェーズごとに異なるアプローチが求められます。このような段階的なKPI設定を通じて、初めてオウンドメディアの真の価値を引き出すことができるのです。

