人材ビジネスなど人事支援サービス業界でインバウンドマーケティングが強化されていく流れがあるなか、人事系オウンドメディアの運用や、自社サイトのアクセスアップのためにコンテンツSEOが行われています。
特に人事支援サービス企業のマーケティング担当者にとって、適切な**クエリ選定**によるSEO対策は、検索エンジン経由での顧客接点構築に不可欠な施策となっています。
今回は人事支援サービス企業が行うSEO対策について、とくに重要なキーワード選定について触れていきます。
SEO対策のおさらい
SEO対策をはじめて知る方は下記コラムをまず読んでいただくと、本コラムについての理解がより進みますので、先に紹介しましょう。
WebサイトのSEO対策(検索エンジン最適化)とは?初心者でもわかるSEOの基本
SEO対策で出てくる「コンテンツの最適化」とは?ユーザーからもGoogleからも愛されるコンテンツ作りのコツ
【2018年度版】SEO対策の基本!モバイルファーストとは?
3種の検索キーワード(クエリ)
SEO施策のキーワード選定に関して、ユーザーが検索エンジンで求める情報をサイト上で探すときに入れるキーワード(クエリともいう)について理解する必要があります。クエリ選定は、単に検索ボリュームだけでなく、ユーザーの検索意図を正確に把握することが重要です。
キーワード(クエリ)には「Doクエリ(取引型)」「Knowクエリ(情報型)」「Goクエリ(案内型)」の3種類があります。これらの分類は、ユーザーが検索エンジンを利用する目的の違いに基づいており、各クエリに対するSEO施策のアプローチも異なるため、正確なクエリ選定が成功の鍵となります。
◆Doクエリ
トランザクショナルクエリ(取引型)とも呼ばれ、資料請求、メルマガ登録、ダウンロードといったユーザーがなんらかのアクションをするために利用するキーワードとなります。このクエリ選定では、ユーザーが購買意欲を持った段階での検索行動を把握することが重要です。
検索するユーザーのアクションに対する意志は強く、直接コンバージョン(以下、CV)に繋がりやすいキーワード群です。人事支援サービス企業の場合、「クエリ選定」を適切に行うことで、サービス導入を検討中の企業に効率的にリーチできます。たとえば「HRシステム 導入」や「勤怠管理ツール 比較」といったキーワードが該当し、これらのクエリ選定によって高い成約率を見込めるため、マーケティング効果が最大化されます。
◆Knowクエリ
インフォメーショナルクエリ(情報型)とも呼ばれ、ユーザーが何かの問題に対して、知識や方法、ノウハウなどの情報を集めるために利用するクエリ選定の対象となるキーワードです。
たとえば、ソリューションの言葉の意味や、効果、価格、スペックなどがあります。またユーザーが導入前の比較検討段階で「システム選定 ポイント」「ツール導入 メリット」といった情報収集を行う際に活用されるクエリでもあります。
このKnowクエリを活用したクエリ選定戦略は、コンテンツSEO、コンテンツマーケティングで重要視されるキーワード群となります。ユーザーが抱える課題や疑問を解決するための情報提供を通じて、ブランド認知から購買検討段階への導入を図る重要な施策です。
◆Goクエリ
ナビゲーショナルクエリ(案内型)とも呼ばれ、ユーザーが特定のウェブサイトを見つけるために利用するキーワード選定の重要な種類です。このクエリは、ユーザーがすでに訪問したい企業やサービスを念頭に置いており、特定のブランド名や企業名を直接入力して検索する場合が該当します。
例えばYahoo、Facebook、Amazonといったサイト名や、会社名を直接入力する場合があります。また、人事支援サービスの文脈では、「○○会社 採用ページ」「△△システム 公式サイト」といったように、既知の企業やサービスに直接到達するためのクエリ選定がこれに当たります。
Goクエリは検索意図が明確で、ユーザーの目的地が既に決まっているため、コンバージョンに直結しやすい特性を持ちます。そのため、自社ブランドの認知度を高める施策と連動させることで、この種のクエリから自社サイトへの流入を増やすことが重要です。
キーワード選定のポイント
クエリ選定は、SEO対策の成功を左右する極めて重要なプロセスです。Doクエリ、Knowクエリに対し上位検索を狙っていくためには、戦略的なアプローチが不可欠となります。
キーワード選定ツールを使って現状を把握
Doクエリ、Knowクエリに対し上位検索を狙っていくために、まず、各キーワードの現状を把握するために以下のツールを使います。
- Google検索サジェスト機能(Googleなどの検索サイトでのキーワード入力時、自動的に関連するキーワードが表示される機能)で、関連ワードを把握する
- サーチコンソール(検索結果でのサイトのパフォーマンスを監視、管理できる Google の無料サービス)で、自社コンテンツの検索順位と自社サイトへ流入するキーワードを把握する
- Google広告のキーワードプランナー(効果的なキーワードを見つけるためのGoogle の無料サービス)で、キーワードの検索ボリュームを把握
【Googleサーチコンソール】【キーワードプランナー】
ビックワードではなく、ロングテールキーワードを狙う
キーワード選定ツールを使い、現状が把握できたら、実際にキーワード選定に入っていきます。
検索ボリュームのあるビックワードをやみくもに狙わず、複合ワード(2つ以上のキーワードを組み合わせたキーワード)を狙っていくことが重要です。クエリ選定時には、検索ユーザーの顕在的なニーズを捉えた複合キーワードの活用が効果的です。
ビックワードは検索ボリュームがある分、競合サイトが非常に多く、自社サイトを検索結果の上位にあげるのは難易度が高くなります。特に、クエリ選定戦略では、検索競争の少ない領域を優先することで、リソースを効率的に配分できます。
よって競合サイトの少ない、かつ、ターゲットとなり得るユーザーを狙える、複合ワードを選びます。こういった検索数自体が少ないキーワードは「ロングテールキーワード」と言われており、クエリ選定の基本戦略として多くの企業に採用されています。ロングテールキーワードでの上位表示を積み重ねることで、サイト全体のトラフィックを段階的に増加させることが可能になるのです。
詳しい説明については、こちらをぜひ参考にしてください。
競合サイトのコンテンツが弱いキーワードを狙う
ビックワードで検索順位の上位に表示される競合サイトのコンテンツはユーザーや検索エンジンからの評価が高く、コンテンツとして強いものになっています。一方、競合サイトのコンテンツが弱い場合には、クエリ選定の戦略により自社サイトが上位を狙える可能性が高くなります。
効果的なクエリ選定を行うためには、競合サイトがカバーしていない隙間キーワードに注目することが重要です。特に、ニッチなユーザーニーズに対応した複合ワードであれば、競合との差別化を図りやすくなります。
このアプローチは、限られたリソースで最大の効果を得るための戦略的なクエリ選定手法といえます。競合が強いキーワードを避け、自社サイトが勝てるキーワード領域を特定することで、効率的に検索順位の上位表示を実現できるのです。
キーワード選定の注意点
toC(利用者側)とtoB(企業側)と混在しないキーワード選定
採用関連サービスなどBtoBtoC(利用者と企業が両方存在する)商材は、利用者側と企業側でキーワードが混在しないように注意する必要があります。クエリ選定の段階で、利用者層と購買決定者層の検索意図を明確に区別することが重要です。
新卒・中途採用の適性検査で例をあげると、下記のように利用者側と企業側で検索されるキーワードは異なるのです。
利用者側⇒「適性検査 対策」「適性検査 問題集」「適性検査 落ちる」
企業側⇒「適性検査 料金」「適性検査 評判」「適性検査 比較」
利用者側の検索キーワードで企業向けのコンテンツが上位表示されたとしても、ターゲットとなる企業にリーチできておらず意味がありません。そのため、クエリ選定を行う際には、それぞれのターゲット層が実際に検索する語句を徹底的に調査し、コンテンツを分離することが推奨されます。
CV設定場所はトライアル申込みか、有料申込みか
勤怠管理システムなどにトライアルといった無料サービスがありますが、CVをトライアルの無料サービス申込みとするか、トライアル後の有料サービス申込みのどちらかに設定するかで、クエリ選定は異なります。
SEO対策の本来の目的は新規顧客の獲得、売上拡大であるため、無料申込みをCVとした場合には別途、離脱率を見ていく必要も出てきます。有料申込みとした場合には、トライアル施策が有料申込みまでのプロセスの中で効果があったのか検証する必要があるのです。CV設定場所によってキーワード選定や検証する場所が異なるため、自社サービスに合わせた形で検討していきます。
まとめ
人事支援サービス企業のSEO対策において、クエリ選定は成功の鍵となります。ユーザーの検索キーワードには「Doクエリ(取引型)」「Knowクエリ(情報型)」「Goクエリ(案内型)」の3種類があり、各々の特性を理解することが重要です。
クエリ選定のプロセスでは、キーワード選定ツールを活用して現状把握を行ったうえで、検索ボリュームの大きいビックワードではなく、コンテンツが競合しにくい複合ワード(ロングテールSEO)や、競合サイトのコンテンツが弱いキーワードを戦略的に狙うことが効果的です。

