こんにちは、JADE伊東です。6月の「月間検索順位変動まとめ」をお届けします。
● 広範な検索クエリでの順位変動の全体傾向はどんな感じかな?
● AIOなど新しいフィーチャーの動向はいかに?
● 個別サイト単位で見た場合の興味深い事象は?
● Google公式で述べられていることが、実際のケースではどのように適用されている?
など、SEOにかかわる学びを「検索結果の動き」を通じてお伝えしております。
では、スタート!
グラフの見方:
横軸は日付を示しています。縦軸は変動率(Fluctuation Score:前週に対しての計測クエリ全体の順位変化率)、またはビジビリティスコア(Visibility Score:順位に対してスコア付けをして、サイト単位での検索エンジンにおける”見つけられやすさ”を点数化したもの)を示しています。
前月の記事:2025年5月の検索順位変動まとめ【JADE代表 伊東氏の最新SEOレポート】
目次
全体傾向
弊社で取得している検索クエリ全体での傾向です。コアアップデート終了以降の変動率について、マクロでは変化の少ない状況です。
業界別
「旅行」「医療」「グルメ」など業界別での順位変動モニタリングですが、こちらも直近1ヶ月はマクロでは平穏な動きとなっています。
ソーシャルプラットフォーム動向
コンテンツマーケティングにおけるチャネル多様化の観点から、有望なチャネル、プラットフォームを先月から記事の前半に掲載しております。
YouTubeが引き続き、Google検索の中ではフィーチャーされていますね。
AIOと強調スニペット比較
こちらも先月から記事の前半でご紹介するようにしています。AIOと強調スニペット(編注:検索キーワードの答えとなる情報を、検索結果の最上部に表示する仕組み・枠のこと)の露出比較です。
AIOの全体展開以降は圧倒的にAIOの広がりが見て取れます。対象クエリも強調スニペットのみの時代に比べて随分幅広いですね。
また、デスクトップ版での露出のほうが多いのが興味深いです。
モバイルファーストを掲げて以降、Googleは何においてもスマホ版のほうが先行していましたが、AIOではデスクトップの方が目立っています(右側グラフ)。
検索ユーザーのニーズと現状UIの画面占有を考えると、デスクトップのほうがユーザー体験はベターな感じもします。
トピック:robots.txtブロックが招く検索流入の減少
某賃貸系サイトでの事例。あまりに長期間、robots.txtへのGooglebot(編注:Googleのウェブサイトクローラー)訪問をブロックした結果、もしかすると検索流入にマイナス影響が出たかもしれないと推察される事象です。
念のため、リッチリザルトテストツールで調査をした結果が以下。たしかに、Googlebotをブロックしています。
(編注:リッチリザルト=通常の検索結果に加えて画像やレビュー、商品価格などが一緒に表示される検索結果ページのこと)
実はこのサイトは人間によるブラウザ経由でのアクセスに対しては、robots.txtを問題なく返します。Googlebotに対してのみ、この挙動が発生しています。
テスト結果から解釈すると「robots.txtの存在は認識している」が、アクセス許可されていない状態と言えそうです。
Googleの当該パートに関する公式ドキュメントを見てみましょう。以下引用部分の下線部分がまさに今回の事象に近いと言えそうです。
つまり、逆引き的に考えるとこの現象をGoogleは「500番台エラーと解釈していそう」と推察できます。
Googleはウェブサイトをクロールする場合、最初にrobots.txtを確認して、クロール不可のセクションを把握してから本クロールを試みます。
この入口部分で遮断されてしまうため、以前にインデックスしたバージョンを維持しながら、robots.txtの再取得を試みます。あくまで、ウェブサイト側の意向に基づいてクロールしようとする健気な行動です。
ただ、1ヶ月以上が過ぎ、かつウェブサイト側に何かしら問題がある場合は、クロールが停止する可能性もあるとのこと。
クロール停止そのものが検索流入減少を即座に引き起こすことは考えにくいため、これが原因なら弊社が検知する以前から、相当に長期のrobots.txtへのGooglebotブロックを疑うことになります。外形的に問題と言えそうなのは、このクローキング(編注:ユーザーと検索エンジンに対し異なるコンテンツを表示すること)行為ですね。
そういえば、似たような話が以前にもありました。伊万里市ホームページのインデックス落ちの事象です(2021年)。
▼伊万里市のホームページがGoogle検索で表示されず 外部からの助言で復旧(財経新聞)
https://www.zaikei.co.jp/article/20210902/637014.html
10日になっても問題は解消されず、「市はベンダーのいい加減な説明に丸め込まれているのでは?」との懸念を感じたセキュリティ専門家の徳丸浩氏が市に連絡を取り、ひとまず空のrobot.txtが設置されたことで、その日のうちに伊万里市ホームページは検索結果に表示されるようになったという。
▼posfie(旧Togetter)では、当時の原因追究の模様を伺い知ることができます
https://posfie.com/@pmakino/p/UWx5OzR
上記でお示ししたGoogle公式ドキュメントと同じページが参照先になっていますが、現在とは表現が異なりますね。
「…サイトが完全に許可されていない場合と同様に処理します」
この表現のほうが、分かりやすいですね(今回、取り上げた事象を説明しやすいです)。
サイトリニューアル後で起こりやすい事象です。気をつけましょう!
関連リンク
・500エラーとは?原因と対処方法について解説!
・ページ インデックス登録レポート - Search Console ヘルプ
トピック:301せずに完全重複コンテンツを別ドメインにアップしたらどうなるか
とあるオウンドメディアの話。
検索流入が取れているコンテンツと全く同じコンテンツを同じ運営元が別ドメインで展開したら検索結果の面を取れて美味しい展開になるか?
回答は以下。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
(答え)否!
同一記事を掲載していた別ドメインサイトのビジビリティ合算値の推移です。一時的にビジビリティが2倍になることもなく、どちらかが正規URLとして判定され、どちらかが消え去るという平和な結果となりました。
Googlebotエライ。
トピック:3月コアアプデ後遺症?ビジビリティスコアの異変
約1ヶ月前の事象で少し古いですが、同じ経験をされていらっしゃるかもしれないので共有です。
3月のコアアップデート近辺で、301リダイレクトを伴う移転を行ったホストにおいて、一時的に両方のホストが表示される事象が続いておりました。
複数確認されたため、3月コアアップデートの後遺症的現象かもしれないと推察しています。
4月初旬から5月末の2か月間の長期に渡って発生しておりました。
以下、3サイトの同現象についてお示しします。
赤がリダイレクト前のドメイン、黄色がリダイレクト後のドメインのビジビリティスコアです。
転職系サイト
自治体サイト
アルバイト系求人サイト
以下、定期的にご報告している変化の推移です。
定期ウォッチ:ユニバーサル検索動向
Googleのブルーリンク(AIO活況の今日、死語になりつつありますね)以外の差し込み要素群の推移です。
先月のご報告時以降の大きな変化はありません。
定期ウォッチ:寄生サイト
一部の方には好評を博している寄生サイト(編注:大手サイトのサブドメインやサブディレクトリを間借りしたサイト)のビジビリティ推移です。大きな変動はありませんが、旅行系でちょっと増えているかもしれない(?)
以上、6月の変動まとめでした!
JADE X:https://x.com/_jade_kk
データ作成:株式会社JADE Senior Consultant 篠原誠
文責:株式会社JADE 代表取締役 伊東周晃
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