「ターゲティング」とは、市場をさまざまな切り口から分類し、そのうちのどの顧客層に向けて自社の製品やサービスを開発するか、もしくは販促を行っていくか、自社のターゲットを明確にすることです。このプロセスは、企業がリソースを最適に配分し、マーケティング効果を最大化するために不可欠な戦略的活動と言えます。
ターゲティングは、一般的にBtoC(顧客が個人客)企業で有効と思われがちですが、BtoB(顧客が法人客)企業においても同様に、あるいはそれ以上に重要です。法人を相手にする場合、意思決定プロセスが複雑であり、長期的な関係構築が求められるため、BtoB ターゲティングを疎かにすることは、ビジネスの機会損失に直結しかねません。
そこで今回は、BtoBにおけるターゲティングの重要性、その特徴、そして競合他社と差をつけるための具体的な設定方法について詳しくご説明します。効果的な BtoB ターゲティング は、単に顧客層を絞るだけでなく、自社の強みを最大限に活かし、市場における競争優位性を確立するための鍵となります。また、適切なBtoB ターゲティング を行うことで、 ROI(投資対効果)の向上も期待できます。
BtoBにおけるターゲティングは、単なる顧客の特定にとどまらず、市場における自社のポジションを明確にし、持続的な成長を達成するための戦略的な基盤を築くプロセスなのです。
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BtoBにおけるターゲティングの特徴
BtoC(Business to Consumer)では、個人の感情や嗜好に訴えかけるターゲティングが有効な場合が多いのに対し、BtoB(Business to Business)におけるマーケティングでは、 法人顧客の意思決定プロセス に特有の傾向が見られます。そのため、 BtoB ターゲティング においても、これらの特徴を踏まえたアプローチが不可欠です。
具体的には、BtoBの意思決定には複数の部署や担当者が関与し、それぞれの立場からの意見が考慮されるため、 意思決定までのプロセスに複数人が関わる という特徴があります。また、関係者間の調整や稟議、効果測定などを経るため、 意思決定までに時間を要する 傾向にあります。
さらに、一度導入した製品やサービスは長期間にわたって利用されることが多いため、担当者との 長期的な信頼関係が必要となる ことが挙げられます。これらの要因から、BtoBにおいては、製品の機能性やコストパフォーマンスといった 合理的な意思決定 を重視する傾向が強く、感情に左右されにくいのが特徴です。そのため、BtoB ターゲティングでは、単なる製品の魅力だけでなく、企業風土やビジョンとの適合性、導入による具体的な課題解決や ROI(投資対効果)といった、 法人顧客のニーズに合致する要素 を詳細に分析し、 精度の高いターゲティング を行うことが、成果に直結します。
競合他社と差をつけるターゲティングは詳細な分析から!
どのようにして効果的なBtoBターゲティングを行えばよいのでしょうか。まず、競合他社と差をつけ、自社にとって最適なターゲットを設定するためには、綿密で多角的な分析が不可欠です。この分析は、大きく分けて「自社の強みの再認識」と「市場の細分化(セグメンテーション)」の二つの側面から行う必要があります。
自社の強みを再認識する
BtoBターゲティングを成功させるための第一歩は、自社の製品やサービスが市場に対して提供できる独自の価値、すなわち「自社の強み」を明確に可視化することです。この自社の強みが曖昧では、どのような顧客層をターゲットにすべきかの判断も難しくなります。自社の製品やサービスが、具体的にどのような企業のどのような課題を、どのように解決できるのかを明確に定義することが重要です。
さらに、この「自社の強み」を裏付ける客観的なデータも不可欠です。具体的には、過去の取引実績を詳細に分析し、どのような企業と多く取引してきたのかを把握する必要があります。分析対象となる顧客企業の基本データとしては、「業種」「企業規模」「上場区分」「売上高」「所在地」などが挙げられます。加えて、顧客企業の「企業風土」や「社員の気質」といった定性的な情報も、自社との相性を判断する上で役立ちます。また、「取引金額」「購入頻度」といった定量的なデータも加味することで、自社の提供価値を最も強く求めている企業群を明確に特定することができます。この詳細な分析を通じて、効果的なBtoBターゲティングの基盤を築きます。
市場を細分化する(セグメンテーション)
次に、現在の市場全体を詳細に分析し、細かく細分化していく必要があります。このプロセスをセグメンテーションと呼びます。どのような切り口で市場を細分化するかが、その後のBtoBターゲティングの精度を大きく左右するため、非常に重要なステップです。単に既存の企業情報(デモグラフィック属性など)に基づいてセグメントを分けるだけでなく、企業の「購買行動データ」や「ニーズの顕在度」などをベースにしてセグメントを分けることも、より精緻なBtoBターゲティングを実現する上で有効です。
以上のように、BtoBターゲティングを行うための前提として、自社側(自社の強み)と市場側(市場の細分化)という二つの方向からの徹底的な分析が不可欠であると言えます。この詳細な分析こそが、競合他社との差別化を図り、成功するBtoBターゲティングへの道を開く鍵となります。
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ターゲティングのカギは「将来性」「自社との相性」「他社にない強み」
分析が終了すれば、あとは、どのセグメントを自社のターゲットにするかを選択します。一つのセグメントに集中して、リピートを狙い永続的な取引を行う、もしくはサブスクリプション形式でのサービスの提供などを検討してもいいかもしれません。また一つに絞らず、複数のセグメントをターゲットにするでも構いません。注意すべきは、市場全体を可能な限りカバーするという視点から脱却することです。複数のセグメントを選ぶのと、市場全体を取り込むのとでは、そもそもアプローチが異なります。「選択と集中」、絞り込むという意識を持つことが重要です。
なおターゲットを選択する上で「カギ」となるのが、以下の三つです。
- 将来性: まず将来発展する可能性のないセグメントは選ぶべきではありません。結果的にセグメントの規模が縮小し、ターゲットを選びなおすことになるからです。BtoBマーケティングにおいては、市場のトレンドや技術革新、法規制の動向などを注視し、成長が見込めるセグメントを見極めることが重要となります。
- 自社との相性: どんなに魅力的なセグメントであっても、自社との相性が良くないセグメントは選ぶことを避けましょう。自社のブランドや企業風土と相容れないセグメントであれば、よい反応を得られないかもしれません。また自社との相性が良くないセグメントを選ぶことにより、自社のイメージが変わる可能性もあるため、BtoBターゲティングにおいては、自社のリソースや提供できる価値との整合性を慎重に検討すべきです。
- 他社にない強み: 将来有望で自社との相性のいいセグメントであっても、競合他社がすでに存在し、参入障壁となる場合も、避けるべきでしょう。逆に、BtoBのターゲティングにおいて、他社にはない強み(独自の技術、専門知識、既存顧客との強固な関係性など)が自社にあれば、後発的な参入であっても、十分勝算はあります。BtoB ターゲティングを成功させるためには、自社のユニークな価値提案(UVP)を明確にし、それを活かせるセグメントを見つけ出すことが肝要です。
ターゲティングの成功の秘訣は、守りに入らず攻めの姿勢を貫くことです。というのも担当者は、ターゲティングを避けたがります。マーケティング戦略を行うセグメントを絞るため、万が一ターゲットがうまく反応しない場合を恐れて消極的になるからです。ターゲティングをせずに市場全体に受け入れられる商品やサービスは、逆をいえば個性がなく他社との差別化も図れないとも捉えることができます。つまり結果的に中途半端な状況を招きかねない可能性が高いのです。そのため本来、ターゲティングは競合他社との差をつける上で非常に有効な手法といえます。あとは、ターゲット設定のためのBtoB ターゲティング分析次第といえるでしょう。
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まとめ
- BtoBマーケティングにおけるターゲティングでは、意思決定プロセスにおける複数人の関与、長期的な検討期間、担当者との信頼関係構築の重要性、そして合理的な意思決定という特徴を踏まえ、感情よりも合理性を重視した分析が効果的です。製品情報だけでなく、企業風土やビジョンとの適合性も重要な要素となります。
- 効果的なターゲティングの前提として、「自社の強みの再認識」と、市場を細分化する「セグメンテーション」が不可欠です。自社の提供価値を明確にし、顧客企業の基本データに加え、企業風土や行動データまで分析することで、自社が最も価値を提供できる顧客層を特定します。
- ターゲットセグメントの選定においては、「将来性」「自社との相性」「他社にない強み」という3つの視点が鍵となります。将来的な成長が見込め、自社のブランドや企業風土と合致し、かつ競合優位性を確立できるセグメントに「選択と集中」することが、BtoBターゲティング成功の秘訣です。個性や差別化を図れない市場全体へのアプローチは、中途半端な結果を招きかねません。

