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マーケターに必要なのは「商い」の視点-WACUL垣内氏が語る、デジタルマーケティングの本質

2023.12.19
読了まで約 8

「機械(ツール)が得意なことは機械に任せ、人は人がやるべき本質的な施策に集中する」というテーマにもとづくサービスを展開し、企業・マーケターの生産性の最大化を通じてその成功に貢献する株式会社WACUL(ワカル)。

その代表取締役であり、自身もコンサルタントとして活動する垣内 勇威(かきうち ゆうい)氏は、著書『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』や、『BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?』における痛快な語り口でよく知られており、多くのマーケターが注目する人物だ。

今回のインタビューでは、世の中のマーケターが抱える課題や、WACULのデジタルマーケティングの特徴、そして最新著書『LTV(ライフタイムバリュー)の罠』を通じて伝えたかったことを語ってもらい、これからのデジタルマーケティングのあるべき姿を浮き彫りにしていく。

無駄なことは一切やらず「やるべきこと」に注力できる『AIアナリスト』

ーーまずはWACULが展開するサービスについてお聞かせください。

垣内 当社では「機械(ツール)が得意なことは機械に任せ、人は人がやるべき本質的な施策に集中する」という価値観とテーマにもとづき、それを実現するサービスの一つとして、AIによってお客様のデジタルマーケティング診断を行う『AIアナリスト』というサービスを展開しています。

WACULはもともとコンサルティング領域で働いていたキーパソンたちが集って起業した会社で、最初は人力でコンサルティングを行っていたのですが、人力であるがゆえにどうしても再現性が安定しませんでした。そこに課題を感じていたことと、顧客企業のデジタルマーケティング診断という起点の部分に関してはできるだけ自動化を進めるべきという思いを持っていたので、それを解決する手段として当時のメンバーたちとともに『AIアナリスト』を開発しました。

これは「コンサルティングを自動化する」というコンセプトで開発したサービスであり、データ分析から改善ポイントの提案、施策の管理、成果の検証といったプロセスを自動化することでデジタルマーケティングの効果的なPDCAを実現するツールです。分析結果を元に人間が具体的な施策を考え、実施していくことでマーケターの生産性を最大化へと導くことができます。

ーー『AIアナリスト』によって何が変わるのですか。

垣内 「マーケターが成果の出る施策に注力できる状況が生まれる」ことが一番のポイントです。
デジタルマーケティングを展開する上ではいろいろな施策が考えられると思うのですが、その中には「意味がないもの」が数多く含まれています。

たとえば明らかに売上に結びつかないような施策を「マーケターのこだわり」という名目のもとにダラダラと行っているケースが非常に多く見られます。その点で『AIアナリスト』は伸びること、すなわち「意味があること」のみを浮き彫りにするので、無駄なことは一切やらず「やるべきこと」に注力できるようになります。

『AIアナリスト』には、CV獲得に特化したもの、広告運用に特化したもの、LPに特化したもの、オウンドメディアに特化したもの、サイトリニューアル支援に特化したもの、といったバリエーションがあり、これらを組み合わせてデジタルマーケティングを包括的に支援していくことができるようになっています。

ーーそのほかに力を入れているサービスは。

垣内 近年は、フリーランス人材を派遣する事業にも力を入れています。実はマーケターという領域は人材不足という課題を抱えており、中でもデジタルマーケティングに対応できる人材はさらに少なく、企業でもデジタルマーケターの正社員確保に苦労している現状があります。そうしたマーケティング業界の課題解決の一助となるべく、人材不足に悩む企業にフリーランスで活躍しているマーケターを派遣する、というのが当社のDX人材支援サービスです。

マーケターには、顧客先ですぐにパフォーマンスを発揮できるよう、当社が持っている知見やノウハウをシェアし、それにもとづきそれぞれの顧客の課題解決に取り組んでもらっています。

当社では10年以上にわたってデジタルマーケティングに取り組んできた中で培った知見やノウハウにもとづく、ある種の鑑識眼もあるため、フリーランスのマーケターの力量を的確に見極めることができ、“お墨付き”を与えた上で顧客の課題に応じて最適な人材を派遣できることも当社の強みだと言えます。

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デジタルマーケティングを「ものづくり」と勘違いしているマーケターが多い

画像:WACUL 垣内 勇威氏

ーー良質なコンサルティングを自動化する『AIアナリスト』と、それを活用したデジタルマーケティング支援、そしてデジタルマーケターの派遣といったサービスを通じて企業のビジネス成功を支えるWACULですが、垣内さんから見て、WACULの強みはどこにあるとお考えですか。

垣内 企業のデジタルマーケティング全体を見渡したとき「どこに投資配分するか」「無駄なことはやらない」という前提で“やるべきこと”の投資判断を的確に行えることがWACUL最大の強みだと思っています。これは当社のビジネスの強みであるのと同時に、ポリシーでもあります。

ーー垣内さんから見て、世の中のデジタルマーケティングは、どのような部分に課題があると感じますか。

垣内 デジタルマーケティングを「ものづくり」と勘違いしているプレーヤーが多いように感じますね。たとえば顧客とのコミュニケーションを目的としたWEBサイトを作る場合、顧客視点よりも「自分の作品を創り上げる」という自分視点が強く出過ぎてしまっているサイトをよく見かけます。これでは顧客がメリットを見出せませんし、たとえ見栄えがよくても自分たちのビジネスと結びつけようとは思わないでしょう。そうした作業の95%は無駄なものです。それをしっかり見極めることがマーケターには求められていると思っています。

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「LTV向上」はどんな分野の企業でも積極的に取り組むべき

画像:垣内氏が出版した『LTV(ライフタイムバリュー)の罠』の本

ーーそうした顧客視点を持つことの大切さをテーマとしたのが、垣内さんが先日出版された『LTV(ライフタイムバリュー)の罠』だと思うのですが、そもそも、なぜLTVに着目したのでしょう。

垣内 当社では以前からLTVを重視したデジタルマーケティングサービスを提供していて、その中で「世の中的にデジタルというものの使われ方が間違っている」と感じる場面が増えてきたことが背景にあります。

デジタルはデータが“見えすぎる”がゆえに、マーケターは短期のCVや短期のCPAなどで物事を量る傾向が強くなってしまう。それによって世の中では短期視点でのデジタル活用が是とされるような傾向が見られます。でも実はデジタルって、ほかの顧客接点(テレビCM、店舗接客、ダイレクトメール、テレアポ、展示会など)よりもはるかにコスパがいいんですよ。作っておけば無料に近い形で顧客との接触機会を生み出し続けてくれるものですから、短期よりもむしろ中長期で使うべきだというのが私の考えです。

当社は以前から「デジタルはカスタマージャニーにおける中長期的なLTVを高めることに効果を発揮する」という信念をもってコンサルティングを展開しており、その中で一定レベル以上の知見が貯まった、と感じたこともあって本書を執筆しようと思いました。

ーーこれまでデジタルマーケティングの世界にLTVを取り入れることは世の中では積極的に行われてこなかったんですか?

垣内 そんなことはありません。たとえば健康食品やコスメの定期購入など、サブスク系のビジネスやECサイトなどでLTVの考え方は比較的ポピュラーなものです。しかし本来のLTVはこうした一部のビジネスだけではなく、あらゆるビジネスと高い親和性を発揮するものであり、どんな分野の企業も積極的に採り入れていくべきだと思っています。『LTVの罠』ではそうしたことも書きました。

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デジタルマーケティングにおける無駄の象徴「妄想四天王」

画像:垣内氏が出版した『LTV(ライフタイムバリュー)の罠』の本

ーー『LTVの罠』では、デジタルマーケティングにおける無駄を「妄想四天王」という言葉を用いて象徴的に表現していましたね。

垣内 この本の中では、デジタルマーケティングを実施する上で顧客がやりたがる「会員プログラム」「会員アプリ」「サブスク」「メディア」という4つの施策を「妄想四天王」と名付け、これらがいかに無駄な施策であるか、そして徒労に終わりがちな施策であるかを解説しています。

妄想四天王は今日のデジタルマーケティングにおいては当たり前となっている施策ですが、顧客視点で見れば積極的に使いたい魅力がある訳でもないし、顧客もそこまで価値を感じていません。「会員アプリ」を例に取ると、LINEやYouTubeのような一日に何度も使うアプリと同じレベルの使用頻度で使ってもらえるようなものでなくては意味がありません。たとえば会員アプリをインストールした人の多くは、それを使わないどころか、その会員アプリがどこに格納してあるのかすら忘れてしまっているのではないでしょうか。

「妄想四天王」はデジタルマーケティングにおける「無駄」の象徴であり、そうした事実を読者に知ってもらいたいからこそ、あえて仰々しさを感じるような表現を使いました。

ーー『LTVの罠』を読んで、これからのマーケティングにおいてLTVがいかに重要な要素になっていくのかがよく分かりました。垣内さんはそんなLTVを早くからマーケティングに取り入れてきた立場として、企業におけるLTVの注目や価値の高まりをどんな部分で感じますか。

垣内 支援させていただいている企業の多くは、LTVに価値を見出し、自社のマーケティングやビジネスに積極的にLTVを活用していこうという意識を強く感じます。それは単なるトレンドによるものではなく、少子高齢化によりさまざまな市場がシュリンクしていく中、多くの企業が新規顧客を獲得できないという課題に直面していることが背景にあると思っています。つまりこれからはLTVを語らずしてマーケティングは語れない、当たり前の存在になっていくことでしょう。ですから私たち以外のマーケターや企業も、どんどんLTVを活用したビジネスを展開していくべきだと思っています。

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舌鋒鋭い“垣内節”は、本質を伝えたい気持ちの表れ

ーーメディアでのインタビュー記事での口調はもちろん、こうしてリアルに垣内さんからお話をお伺いしていると、物事を端的かつ単刀直入に述べますよね。回りくどさが一切ないのでとても分かりやすく、スッと頭に入ってきます。こうした語り口は仕事の中で身についたものなのですか。

垣内 私はせっかちな人間ですし、常日頃から極力無駄を省きたい性分なので、自然とそういった伝え方をするようになったのかもしれませんね。ただ、先ほどから「無駄を省く」ということを何度も述べていますが、これってほかの人にとっては無駄じゃないかもしれない。そういった意味では、私の主観で無駄を省きたいと言っているだけで、実はそれを他人に押し付けている部分もあったりします(笑)。

なので、私のスタンスも「白か黒をはっきりさせる」という極端に偏ったものです。これは小学生のころからの気質で、「今の気持ちを5段階で選べ」というアンケートがあったとして、私は「0」か「5」しか選ばない子どもでした。そうした白と黒のどちらかに偏ったスタンスを取ることで「無駄」が見えやすくなり、それにもとづいた提案を顧客に伝えやすくなる。また、なにか情報を発信する際にも”尖って突き刺さりやすい”コンテンツを生み出しやすい土壌にもなってくれる。それが私のコンサルティングの基本的な姿勢にもなっています。

ーー『LTVの罠』では、先の「妄想四天王」のほかにも、費用対効果ばかり追求するがあまり、マーケティングの本質を見失ってしまう「CPAモンスター」といったキャッチーな言葉がいくつも出てきますが、実はそうした言葉を用いた方が核心が伝わりやすいから、あえて使っている部分もあるのでしょうか。

垣内 というよりも、本を書いているとだんだん飽きてきて冗漫な文章になってしまいがちなので、なにか面白いことを書こうと思って意識的にそうしたキャッチーな言葉をひねり出したのが本当のところです。以前の著書『デジタルマーケティングの定石』『BtoBマーケティングの定石』を執筆した際、編集者の方から「書き手が楽しんで書かないと読者も楽しくない」といったアドバイスをいただいたことで、そうした工夫を意識的に行うようになったのです。

マーケターは「商い」の視点を持つことが大事

画像:WACUL 垣内 勇威氏

ーーこの記事をお読みになっているマーケターの方々に対するメッセージをいただきたいと思うのですが、その一つとして効果的なSNS運用を行うためのアドバイスはありますか?

垣内 SNS活用といってもいろいろありますが、たとえば営業が自分の顧客とつながるためのSNS活用ならばやってもいいと思います。実際に私も依頼される案件の三分の一はSNSを通じてのものです。一方でコンテンツマーケティングの観点でSNSを活用しようとすると、相当尖ったこと書かないと拡散していかないので徒労に終わる可能性が高い。自社のサービスやプロダクトに自信を持てず、中途半端なことしか書けないようならやらないほうがいいと思います。ましてやBtoBの世界なので、人々に「面白い」と思わせるには相当に尖ったコンテンツを発信していく覚悟がないと効果も継続も見込めないでしょうね。

ーーそうした”尖った”コンテンツや情報を発信していくためのコツは?

垣内 経営側が「スタンスを取る」ことですね。当社の場合で言えば「デジタルマーケティングの無駄をとことん排除したい」という基本スタンスがあるので、それにもとづき、無駄だと思うものを無駄であると証明する記事を書けば自然と尖った情報発信が実現します。しかしこれはある種の責任がともなうことも事実で、たとえばそれを言い切ってしまった瞬間から無駄なものに該当するサービスやプロダクトは売りにくくなってしまう。なので多角的なサービスを展開するような総合力勝負のベンダーはそういったことはやらないほうが賢明です。スタンスを取るとはそういうことです。

ーーマーケターのキャリア形成に関して、ぜひアドバイスをください。

垣内 世の中のマーケターを見ていて「もったいないな」と感じるのは、「マーケター=テクニカルな仕事」として仕事に取り組んでいる人が多いこと。私としては、マーケターは「商い」の視点や価値観で取り組むべき仕事だと思っています。BtoBのビジネスならば営業、ECならば商品開発などが「商い」視点を持つ職種に該当しますが、マーケターもそういった視点や価値観を持つことで「売れる」ためのマーケティングにアプローチすることができるようになります。

WEBサイトを作ったり、MA(マーケティングオートメーション)の設定をしたり、テクニカルなことだけに延々と時間を費やしてしまうのであれば、それはもはやマーケティングとは呼べません。

顧客を知り、ものを作り、それを売ることがマーケティングの基本であることを考えれば、ごく当たり前の話です。そのためにもマーケティングの最小単位である営業を理解し、経験をすることが重要だというのが私の考えです。それが分かっていないと結局はマーケティングの本質を見失い、小手先だけの作業に終始してしまう。なので、この記事をお読みになっているマーケターの方々には「商い」の視点を持つことを心がけてみてほしいですね。

関連リンク:Webマーケティングとは?仕事内容や向いている人、用語や種類を解説

プロフィール

垣内 勇威(かきうち ゆうい)

東京大学卒。株式会社ビービットから、2013年に株式会社WACUL入社。改善施策の提案から施策効果の検証までデジタルマーケティングのPDCAをサポートする自動分析・改善提案ツール「AIアナリスト」を立ち上げ。2019年に産学連携型の研究所「WACUL Technology & Marketing Lab.」を創設し、所長に就任。現在、 研究所所長および代表取締役として、事業のコアであるナレッジ創出を牽引。新規事業や新機能の企画・開発および大企業とのPoCなど長期目線での事業推進の責任者を務める。2022年5月、代表取締役に就任。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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