オンラインツールの普及に伴い、ウェビナー開催へのハードルは格段に下がり、今や多くの企業にとって重要なリード獲得チャネルとなっています。ウェビナーはオンラインで手軽に実施できるため、WEB広告やサイト運用と同様に、効果改善のための施策を短期間で頻繁に行える点も大きなメリットです。
こうした自社開催ウェビナーの改善を重ねる中で、「他社と共催ウェビナーを試してみたい」と考えているマーケティング担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、共催ウェビナーのメリット・デメリット、そして成功に導くための実施ポイントについて詳しく解説します。
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目次
他社と共催で行うウェビナーのメリット・デメリット
他社と共催ウェビナーを実施する主なメリットは、集客の最大化と参加者満足度の向上です。
集客の最大化
共催ウェビナーの最大の魅力は、参加者リストの相互送客です。共催企業が持つ顧客リストへアプローチできるため、自社だけではリーチできない層への拡大が期待できます。さらに、複数の企業が協力して開催するという話題性も手伝い、単独開催のウェビナーよりも参加者の関心を引きつけやすく、より多くのリード獲得につながる可能性が高まります。共催ウェビナーは、新規顧客開拓の強力な手段となり得ます。
参加者満足度の向上
自社開催のウェビナーと比較して、共催ウェビナーは提供できるコンテンツの幅が広がり、深みを増します。一度に複数の専門家や企業担当者から話を聞けるため、参加者は多様な視点や実践的な情報を得ることができ、結果として満足度が高まる傾向にあります。質の高いコンテンツは、参加者のエンゲージメントを高め、その後の商談につながる可能性も高めます。
一方で、デメリットとしては、商談化率の低下と商談の長期化が挙げられます。
商談化率の低下
複数の企業がサービスや商品を紹介するため、参加者は比較検討する時間が増えます。その結果、個々の企業のサービスや商品に対する印象が相対的に薄れてしまい、商談につながりにくくなる可能性があります。共催ウェビナーで獲得したリードに対しては、他社との差別化を明確にし、自社ならではの価値を効果的に伝えるためのフォローアップ戦略が不可欠です。
商談の長期化
共催ウェビナーでは、参加者リストが共催企業間で共有されることが一般的です。そのため、各社がリードに対してアプローチするタイミングが重なってしまい、商談プロセスが長期化するリスクがあります。これを避けるためには、可能であれば事前に共催企業とリストに対するアプローチの時期や方法について綿密なすり合わせを行い、重複や過度なアプローチを避けるための戦略を立てることが重要です。共催ウェビナー後のフォローアップ体制の連携が鍵となります。
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開催プロセスとポイント
共催ウェビナーを開催するまでのプロセスは、自社単独での開催とは異なり、共催企業との連携が不可欠です。そのため、企業間の綿密なコミュニケーション、合意形成、そして正確なスケジュール管理が成功の鍵を握ります。このセクションでは、共催ウェビナー実施の具体的なプロセスと、各段階における重要なポイントを解説します。
1.共催企業の選定・打診
まず、どのような企業と共催ウェビナーを実施するかを慎重に検討します。共催企業を選定する上で、特に重要なポイントは以下の2点です。
①ターゲット顧客が一致するかどうか
各企業が提供する製品・サービスにおいて、ターゲットとする顧客層が一致していることは絶対条件です。ターゲットがずれてしまうと、ウェビナー全体のターゲットが曖昧になり、期待する集客数を確保できない可能性があります。また、参加者にとっても、自身に関係のない情報に時間を費やすことになり、満足度低下につながりかねません。
②提供する製品・サービスにシナジーがあるか
ターゲット顧客が一致していることは重要ですが、提供する製品・サービスが完全に競合する関係では、共催のメリットが薄れてしまいます。互いの製品・サービスが補完し合い、顧客に対してより包括的な価値を提供できるようなシナジーを生み出せるかが、共催企業選定の重要な判断軸となります。
これらの基準に基づき共催企業を選定し、打診を行います。相手企業から内諾を得られたら、次に共催ウェビナーの具体的な内容を詰めるための顔合わせミーティングへと進みます。
2.共催企業の顔合わせミーティング
顔合わせミーティングでは、共催ウェビナーの目的、ターゲット設定、コンテンツ内容、開催日時、そして各自のタスクと全体のスケジュールについて、関係者間で共通認識を持つことが極めて重要です。3社以上で実施する場合は、円滑な運営のために運営事務局を1社に定め、その企業を中心に進行すると効率的です。
目的の明確化
まず、各社が共催ウェビナーを開催する目的を明確に共有します。共催ウェビナーは、一般的にターゲット顧客への認知向上や興味喚起を目的とする、比較的初期段階のマーケティング施策として位置づけられます。大手企業との共催であれば集客力の強化やブランド認知度向上、ウェビナー開催経験の少ない企業との共催であればノウハウの共有といった副次的な効果も期待できるでしょう。
ターゲット確認
目的が明確になったら、次はウェビナーの具体的なターゲット層についてすり合わせを行います。各社が共通してアプローチしたい顧客像について、企業規模、業界、取引形態などの「企業ベース」と、部署、役職、担当業務などの「担当者ベース」で詳細に確認していきます。ここで注意すべきは、自社が現実的にアプローチ可能で、かつ共催企業とも共通するターゲット範囲を明確にすることです。例えば、「従業員規模1万人以上の大手企業の経営層」といった設定では、集客が極めて困難になる可能性があります。より現実的な、「中堅~大手企業の人事部門における主任以上の役職者」といったように、ターゲットとなる範囲を最大限に広げ、共通項を見つけることが重要です。
コンテンツ(登壇者、登壇形式、テーマ、キーワード)の検討
ターゲットが定まったら、ウェビナーの根幹となるコンテンツの検討に移ります。まず、各社の登壇者を確認します。登壇者の役職や専門性に応じて、パネルディスカッション形式でテーマについてフリートークを展開するのか、あるいは講演形式で各社が順番に自社の知見や事例を発表するリレースタイルとするのか、といった登壇形式を決定します。製品・サービスユーザー企業が登壇できる場合は、ユーザー企業による事例紹介と、その製品・サービス担当者とのパネルディスカッションを組み合わせる企画も効果的です。
ウェビナー全体の開催時間としては、2社での開催なら45分~60分、3社での開催なら60分~75分程度が推奨されます。60分を超える場合は、参加者の集中力を維持するために、プログラムの中に5分程度の休憩を挟むなどの配慮が必要です。
おおよそのコンテンツ内容が決まれば、詳細なテーマやキーワード設定、そして魅力的なセミナータイトルは、後日運営事務局が候補を複数作成し、最終決定するという進め方がスムーズでしょう。
日時の決定
開催日時の選定も集客に大きく影響します。LogMeIn社の調査によると、ウェビナーの最適な開催日時は火曜日、水曜日、木曜日の午前10時または11時とされています。まずはこのデータを参考に、各社で都合の良い日時を調整します。より特定の役職者層からの申し込みを狙いたい場合は、あえて開催時間を夕方以降の遅い時間に設定するのも有効な戦略です。実際に、ある共催ウェビナーでは午後5時開始に設定したところ、100名近い集客があり、そのうち課長職以上の参加者が6割を占めるという成果が得られました。
タスク、スケジュール確認
最後に、ウェビナー開催に向けた具体的なタスクとスケジュールを明確に確認します。運営事務局を1社に絞ることで、コミュニケーションコストを最小限に抑え、迅速な意思決定が可能になります。運営事務局が全体のタスクとスケジュールを管理し、各社に割り振られたタスクについて、それぞれの企業のリソースで対応可能かどうかを調整していくことが重要です。
共催ウェビナーにおける集客は、基本的には各社が自社のリストやチャネルを活用して行います。集客目標や費用分担について厳密に議論するよりも、各社が自社のリソースの範囲で自主的に集客に取り組むことを推奨します。自社HPやSNSでの告知協力などを依頼する程度に留めるのが、スムーズな運営につながるでしょう。
3. プライバシーポリシーのパーミッションについて
共催ウェビナーを実施する上で、最も重要かつ慎重な対応が求められるのが、申込者・参加者リストの共有に関するプライバシーポリシーの取り扱いです。共催ウェビナーは、参加申込者の情報が関係各社間で共有されることを前提としています。そのため、ウェビナー申込時に、参加者に対して「各社のプライバシーポリシーに同意いただくこと」、そして「申込者リストを共催企業間で共有すること」について、明確なパーミッション(同意)を得る必要があります。
この同意取得プロセスが不明確であったり、参加者の理解が十分でないままリスト共有を進めてしまうと、後々、個人情報保護法違反などの法的な問題に発展するリスクがあります。最悪の場合、企業の信用失墜に繋がりかねません。
したがって、共催ウェビナーの企画段階から、「参加同意の取得方法」、「共有する情報の範囲」、「情報管理体制」について、共催企業間で事前に詳細な取り決めを行い、認識を一致させておくことが不可欠です。具体的には、申込フォームにチェックボックスを設置し、各社のプライバシーポリシーへのリンクを明示するなど、参加者が容易に内容を確認し、同意できるような仕組みを整えましょう。また、共有されたリストの取り扱いについても、両社で責任範囲を明確にし、安全な管理体制を構築することが重要です。データ保護への配慮は、共催ウェビナーの信頼性を維持する上で、極めて重要な要素となります。同意管理を徹底することで、円滑なリード獲得と効果的なマーケティング活動に繋がります。
まとめ
他社と共催ウェビナーを行うことは、集客および参加者の満足度を最大化できるという大きなメリットがあります。特に、互いの顧客リストへの送客や、話題性の向上による集客効果は期待できます。一方で、商談化率の低下や商談の長期化といったデメリットも考慮が必要です。共催ウェビナーの成功には、共催企業の選定が重要であり、ターゲット顧客の一致と、提供する製品・サービス間のシナジーがあるかどうかが鍵となります。顔合わせミーティングでは、目的、ターゲット、コンテンツ、日時、タスク、スケジュールを明確にし、円滑な共催ウェビナー実施のための共通認識を築くことが不可欠です。また、申込者リストの共有に伴い、各社のプライバシーポリシーに基づいたパーミッション取得に関する取り決めと認識の共有を徹底することが、トラブル回避のために極めて重要となります。

