Illustrator(イラストレーター)は、Adobe社が提供するグラフィックツールです。基本的な画像作成から高度な図解の作成、豊富なテンプレートが用意されており、主にWebデザイナーの方が利用しています。
そこで本記事では、Illustratorの概要や基本情報を解説するとともに、Illustratorでできることをご紹介します。また、Illustratorの基本的な使い方から、同じAdobe社のツールであるPhotoshopとの違いも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
Illustrator(イラストレーター)とは?
Illustrator(イラストレーター)とは、グラフィックデザインツールのことであり、Adobe社が提供しています。Adobe社では、Illustrator単体で利用できる「Illustratorプラン」をはじめ、Adobe社が提供するPhotoshopやLightroom等を利用できる、サブスクリプション型の「Adobe Creative Cloud」なども用意されています。
詳しくは後述しますが、Illustratorではロゴや画像の作成、絵(イラスト)等を作成できます。日本国内で利用できるグラフィックデザインツールの中ではNo.1と言えるほどの知名度を誇り、主にWebデザイナーやマス広告の担当者などのグラフィックデザインを行う方々が利用しています。
職業の中にも「イラストレーター」が存在する
上述したように、Illustratorはグラフィックデザインツールです。しかし、職業の中にも「イラストレーター」が存在するため、混合して捉えてしまう方も少なからずいるのではないでしょうか。
職業のイラストレーターは、事業者から受けたオーダーに対して、最適なイラストを描く仕事になります。ゲーム内に登場するキャラクターから絵本の挿絵、雑誌や広告関連のポスターなど、描くイラストの種類は実に多様です。イラストレーターの仕事は、クライアントの要望を理解し、独創的なアイデアを視覚化する能力が求められます。
また、イラストレーターとして働くには、ほぼすべてのケースで「Illustrator」の習得が必要です。Illustratorのソフトの中には「Illustrator®クリエイター認定試験」も用意されているため、職業としてのイラストレーターを希望する方は、上記の試験を受けることも検討してみてはいかがでしょうか。この認定試験は、Illustratorの操作スキルを証明する有効な手段となります。
デジタルイラストの分野では、Illustratorの他にもさまざまなソフトウェアが使用されています。しかし、Illustratorは業界標準のツールとして広く認知されており、イラストレーターにとって必須のスキルとなっています。
まとめると、IllustratorはAdobe社が提供するツールのことであり、職業のイラストレーターはイラストを描く仕事という違いがあります。本記事では、ツールであるIllustratorの概要や使い方についてご説明します。イラストレーターという職業に興味がある方は、Illustratorの習得と並行して、デッサンや色彩感覚など、アーティストとしての基本的なスキルも磨いていくことが重要です。
Illustratorでできること
ここまで、Illustratorの基本情報について解説をしました。ここからは、Illustratorでできる代表的な3つのことを解説します。
・ ロゴの作成
・ 絵の作成
・ 図(図解)の作成
これらの機能を使いこなすことで、プロフェッショナルなデザイン制作が可能になります。Illustratorは、ベクターグラフィックスを扱うソフトウェアとして知られており、拡大縮小しても画質が劣化しない高品質な画像を作成できます。
また、Illustratorは印刷物のデザインにも適しており、パンフレットやポスター、名刺などの制作にも広く利用されています。デザイナーやイラストレーターだけでなく、マーケティング担当者やビジネスオーナーにとっても、ブランディングや販促物制作に欠かせないツールとなっています。
それでは、Illustratorの主要な機能について、順番に詳しく見ていきましょう。
ロゴ作成
まずは、ロゴの作成です。ホームページに使用したり、名刺やチラシで使用したりする際のロゴを作成できます。Illustratorでは、文字の装飾からイラストの描画などの基本的な機能が豊富に搭載されています。印刷用のカラーにも対応しているため、プロフェッショナルなロゴデザインが可能です。
Illustratorの大きな特徴として、20,000を超えるフォントが用意されているAdobe Fontsを利用できることが挙げられます。これにより、イラストレーターは自身の創造性を存分に発揮し、着想をそのまま実現させることができます。例えば、企業のブランドイメージに合わせた独自のフォントを選択したり、ロゴの一部に装飾的な文字を組み込んだりすることが可能です。
また、Illustratorではベクター形式でロゴを作成できるため、拡大縮小しても品質が劣化しないという利点があります。これは、様々なサイズや媒体でロゴを使用する際に非常に重要です。イラストレーターは、この特性を活かして、ウェブサイトのヘッダーから大型看板まで、幅広い用途に対応するロゴデザインを一度の作業で実現できます。
さらに、Illustratorには豊富なツールやエフェクトが用意されているため、イラストレーターは複雑なグラデーションや立体的な効果を簡単に適用できます。これにより、モダンで印象的なロゴデザインの作成が可能となり、クライアントの要望に応じた多様なスタイルのロゴを提案することができます。
絵の作成
Illustratorでは、絵の作成も可能です。図形やペンツールを組み合わせることができ、マウスでも直感的にイラストを描けます。イラストレーターとしての職業を目指す方にとっても、Illustratorは必須のツールとなっています。
Illustratorの特徴として、ベクター形式で絵を作成できることが挙げられます。ベクター形式では、拡大縮小しても画質が劣化しないため、様々なサイズで使用できる高品質なイラストを作成できます。
また、Illustratorには豊富な描画ツールが用意されており、初心者でも簡単に使いこなせるものから、プロのイラストレーターが活用する高度なツールまで揃っています。例えば、ブラシツールを使えば、手書き風のイラストを描くことができます。
絵を作成することで、Webデザインや店舗の小看板、印刷物などに利用できるでしょう。さらに、ロゴデザインやキャラクターデザインなど、幅広い用途に活用することができます。Illustratorを使いこなすことで、イラストレーターとしての表現の幅が大きく広がります。
図(図解)の作成
Illustratorには、星型や楕円形、長方形などさまざまな形の図形が用意されています。そのため、それらを用いて図や図解を作成することが可能です。たとえば、複数の項目を1枚にまとめたい際に図解を作成したり、文字では伝えづらい内容を伝えたりする際にIllustratorで図を作成します。
イラストレーターの図形ツールを使えば、簡単に正確な図形を描くことができます。また、ペンツールを使用すれば、自由な曲線や直線を描くこともできるため、複雑な図形や図解も作成可能です。さらに、イラストレーターのレイヤー機能を活用すれば、複数の要素を重ねて表現力豊かな図解を作ることもできます。
イラストレーターで作成した図解は、ベクター形式で保存できるため、拡大縮小しても品質が劣化しません。これは、プレゼンテーション資料や印刷物など、さまざまなサイズで使用する際に非常に便利です。また、イラストレーターの豊富なカラーパレットを使用することで、視覚的にわかりやすく、印象に残る図解を作成することができます。
Illustratorの概要
ここまで、Illustratorの概要やIllustratorでできることを解説しました。ここからは、Illustratorの特徴3つをご紹介します。
・ 20,000以上のフォントが利用し放題
・ テンプレートも350種類以上用意されている
・ 基本料金
それぞれ順番に見ていきましょう。
20,000以上のフォントが利用し放題
Illustratorでは、Adobe Fontsで公開されている20,000以上のフォントが利用し放題です。これらの豊富なフォントは、イラストレーターの創造性を大きく広げる重要な要素となっています。Web上での利用はもちろんのこと、印刷にも対応しているため、デザインをする上でのストレスを大幅に軽減できます。
イラストレーターとしての作業において、適切なフォントの選択は作品の印象を左右する重要な要素です。Adobe Fontsの膨大なフォントライブラリにより、和文フォントから欧文フォントまで、あらゆるスタイルや雰囲気に合わせたフォントを自由に選択できます。これにより、ロゴデザインやポスター制作、Web用のグラフィックなど、様々な用途に最適なフォントを見つけ出すことが可能です。
さらに、イラストレーターの作業効率を高める機能として、フォントの検索や管理が容易に行えるようになっています。必要なフォントを素早く見つけ出し、プロジェクトに適用することで、クリエイティブな作業に集中できる環境が整っています。このように、Illustratorは単なるグラフィックツールにとどまらず、フォントを通じてイラストレーターの表現の幅を大きく広げる強力なプラットフォームとなっているのです。
テンプレートも350種類以上用意されている
Illustratorには、350種類以上のデザインテンプレートが用意されています。名刺やロゴ、ポスター、パンフレットなど、さまざまな用途に対応しています。ユーザーは、これらのテンプレートを自由にカスタマイズすることができます。色彩やフォント、レイアウトを変更したり、独自の要素を追加したりすることで、オリジナリティあふれるデザインを生み出せます。また、デザインテンプレート同士を組み合わせることも可能であり、より複雑で独創的な作品を作成することができます。
初心者のイラストレーターにとっても、これらのテンプレートは貴重な学習リソースとなります。プロフェッショナルなデザイナーが作成したテンプレートを分析し、その構造や配色、レイアウトの技法を学ぶことで、デザインスキルを向上させることができるでしょう。
さらに、テンプレートは定期的に更新されるため、常に最新のデザイントレンドを反映した素材を利用できます。これにより、イラストレーターは時代に即したデザインを容易に作成することが可能となります。
基本料金
Illustratorは、単体プランが通常価格 3,280 円/
出典: Adobe Creative Cloud プラン比較表
関連記事:イラストレーターを無料で使うには?代わりのおすすめツール7選
IllustratorとPhotoshop(フォトショップ)の違い
ここまで、Illustratorの概要やできることを解説しました。しかし、同じAdobe社が提供しているツールであるPhotoshop(フォトショップ)との違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
まず、Illustratorはベクター画像を扱うソフトウェアであり、主にロゴデザインやイラスト作成に適しています。一方、Photoshopはラスター画像を扱うソフトウェアで、写真編集や画像加工に強みがあります。
Illustratorの特徴:
・ベクター形式での作業が可能
・拡大縮小しても画質が劣化しない
・印刷物やロゴデザインに適している
Photoshopの特徴:
・ 写真や色の調整
・ 画像等への文字入れ
・ 画像作成
両ソフトウェアには機能の重複する部分もありますが、用途によって使い分けることが重要です。たとえば、高品質なロゴデザインを作成する場合はIllustratorを、写真の色調補正や合成を行う場合はPhotoshopを選択するのが一般的です。
プロのデザイナーは両方のソフトウェアを使いこなすことが多く、プロジェクトの要件に応じて適切なツールを選択します。イラストレーターとしてキャリアを築きたい方は、まずIllustratorの習得から始めるのがおすすめです。
Photoshopの特徴を3つに分けてご説明します。それぞれ順番に見ていきましょう。
写真や色の調整
Photoshopでは、写真や色の調整を行うことが可能です。イラストレーターとしての作業とは異なり、Photoshopは画像編集に特化したツールです。そのため、複雑な画像処理や軽微な修正、画像の分割等に有用だと言えます。また、Photoshopでは明度・彩度・色相の3点を調整し、画像の印象を変えることができるため、より魅力的な画像へと仕上げられるでしょう。
例えば、イラストレーターが描いた作品をPhotoshopで加工し、より洗練された仕上がりにすることも可能です。また、写真家やグラフィックデザイナーなど、イラストレーター以外の職種でもPhotoshopは広く活用されています。
Photoshopの特徴的な機能として、レイヤー機能があります。これにより、イラストレーターの作品に複数の効果を重ねて適用することができ、より豊かな表現が可能になります。さらに、イラストレーターが作成したベクター画像をPhotoshopに取り込み、写真と組み合わせるなど、両ソフトの長所を活かした制作も行えます。
画像等への文字入れ
Photoshopでは、画像等への文字入れを高度に行うことが可能です。イラストレーターとしての技能を活かし、画像に独創的な文字デザインを施すことができます。例えば、ホームページやSNS投稿で使用する画像に効果的な文字を入れたり、ポスターやチラシのデザインに魅力的な文字を配置したりすることができます。Photoshopの豊富なフォントオプションと文字編集ツールを駆使することで、イラストレーターの創造性を存分に発揮できます。また、レイヤー機能を活用すれば、画像と文字を別々に編集することも可能なため、柔軟な修正や調整が行えます。このように、Photoshopは画像と文字を融合させた印象的なビジュアルコミュニケーションを実現する強力なツールとして、イラストレーターにとって欠かせない存在となっています。
画像作成
最後に、Photoshopではイラスト画像も作成できます。ただし、Illustratorのように高度な図解の作成はできません。あくまで、Photoshopはホームページの見出し直下の画像であったり、ランディングページに入稿したりする簡易的な画像を作成する際に使用します。Illustratorと比較すると、Photoshopは写真編集や画像加工に特化しているため、複雑なベクターグラフィックスの作成には向いていません。
一方で、Illustratorはベクターグラフィックスの作成に優れており、ロゴデザインや高品質なイラスト、精密な図形の作成に適しています。そのため、より高度な画像やイラストを作成したい場合はIllustratorを使用することをおすすめします。
したがって、簡易的な画像処理や文字入れをする際はPhotoshopを、より高度な画像やイラストを作成したい場合はIllustratorといった使い分けが望ましいでしょう。両ソフトの特性を理解し、目的に応じて適切なツールを選択することが、効率的なデザイン作業につながります。
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Illustratorの基本的な使い方
Illustratorの基本的な使い方について解説します。Illustratorは多機能なグラフィックデザインソフトウェアですが、まずは基本的な操作方法を押さえることが重要です。ここでは、ファイル操作、画像の取り扱い、ツールバーの使用方法、そしてアウトライン化の手順について説明します。
Illustratorを使いこなすには、これらの基本操作を習得することが不可欠です。ファイルの新規作成や保存、画像の配置や編集、各種ツールの活用など、イラストレーターとしての作業の基礎となる操作を理解しましょう。また、文字のアウトライン化は印刷物やロゴデザインにおいて重要な技術です。
これらの基本操作を身につけることで、イラストレーターとしての技術の幅が広がり、より効率的に作業を進めることができるようになります。Illustratorの機能を十分に活用し、クリエイティブな作品制作に取り組んでいきましょう。
ファイル
Illustratorを立ち上げたら、まず新規ファイルを作成します。画面上部の「ファイル」メニューから「新規」を選択し、作業を始めるための新しいキャンバスを開きます。イラストレーターでは、このキャンバス上でロゴやイラスト、図解などを自由に制作できます。
作業が完了したら、「ファイル」メニューから「保存」を選択してプロジェクトを保存します。保存時には適切なファイル名を付け、後で見つけやすいように整理することをおすすめします。イラストレーターの標準形式である.aiファイルで保存すると、後日編集が容易になります。
また、イラストレーターでは複数のアートボードを1つのファイル内に作成できるため、関連するデザインをまとめて管理することも可能です。「ファイル」メニューの「ドキュメント設定」から、アートボードの追加や調整ができます。これにより、例えば同じロゴの異なるバージョンや、一連のイラストを効率的に制作・管理できます。
画像
次に、Illustratorの重要な操作である「画像操作」について解説します。ファイルから「配置」を選択し、リンクにチェックを入れるとリンクが貼り付けられます。また、チェックを外すと画像が埋め込まれます。これらの違いは、Illustratorのプレビュー画面で画像が表示されるかどうかです。
Illustratorでは、様々な画像形式に対応しており、JPEGやPNG、TIFFなどの一般的な画像ファイルを取り扱うことができます。画像を配置した後は、サイズ変更や回転、トリミングなどの基本的な編集操作が可能です。
また、Illustratorの特徴として、ベクター画像の作成と編集が得意です。ベクター画像は拡大縮小しても品質が劣化しないため、ロゴやイラストの制作に適しています。Illustratorを使用することで、高品質なベクター画像を作成し、様々なサイズに対応できる柔軟なデザインが可能となります。
そのため、どちらの方法であっても問題なく、自身の都合の良い方法で作業を行いましょう。画像の配置方法や編集技術を習得することで、Illustratorを使用したデザイン作業の幅が大きく広がります。
ツールバー
ツールバーには、基本設定ツールバーと、詳細設定ツールバーの2種類があります。詳細設定ツールバーは、基本設定ツールバーのすべての機能を含んでおり、より高度な編集作業に適しています。多くの場合、詳細設定ツールバーを使用することで十分なデザイン作業が可能です。
詳細設定ツールバーを表示するには、画面上部の「ウィンドウ」メニューからツールバーをクリックし、「詳細」を選択します。これにより、Illustratorの豊富な機能にアクセスできるようになります。
ツールバーには、ペンツール、図形ツール、テキストツールなど、イラストレーターにとって不可欠なツールが揃っています。これらのツールを使いこなすことで、プロフェッショナルなグラフィックデザインやイラスト制作が可能になります。イラストレーターとしてのスキルを向上させるには、各ツールの特性と使い方を十分に理解することが重要です。
また、Illustratorのツールバーはカスタマイズが可能で、よく使うツールを手前に配置したり、不要なツールを非表示にしたりすることができます。これにより、イラストレーターの作業効率を大幅に向上させることができるでしょう。
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まとめ
本記事では、Illustratorの概要や使い方、Photoshopとの違いについて解説をしました。IllustratorはAdobe社が提供する高機能なグラフィックデザインツールであり、Webデザイナーや広告の作成担当者などのグラフィックデザインを行う方に広く利用されています。
Illustratorの特徴として、ベクター形式での描画が可能なため、高品質なロゴやイラスト、図解などを作成できます。また、20,000以上のフォントが利用可能なAdobe Fontsとの連携や、350種類以上のデザインテンプレートの提供など、クリエイティブな作業をサポートする機能が充実しています。
一方で、同じAdobe社のツールであるPhotoshopは、主に写真編集や画像加工に特化しています。Illustratorはより複雑なグラフィックデザインに向いているのに対し、Photoshopは写真の色調整や簡易的な画像作成に適しています。
初心者の方は、まずIllustratorの基本的な機能や操作方法を習得し、徐々に高度な技術を身につけていくことをおすすめします。デザインスキルの向上とともに、Illustratorの可能性を最大限に引き出し、クリエイティブな表現の幅を広げていくことができるはずです。