マーケティング業務は、ターゲット設定、自社サイトの分析、広告運用、SNS活用など、多岐にわたります。これらの業務では、膨大な量のデータ収集、分析、そして施策の改善といった作業が継続的に求められます。特に、Google Analytics、Google広告、各種SNS、CRMツールなど、複数のクラウドサービスを連携させる必要があり、各ツール間でデータを集計・転記する作業が手作業になりがちです。このような手間のかかる事務作業を自動化できる画期的なツールがZapier(ザピアー)です。
Zapierは、異なるアプリケーションやサービスを連携させ、ワークフローを自動化するIPaaS(Integration Platform as a Service)です。プログラミングの知識がなくても、ノーコードで誰でも簡単に利用できる点が最大の特徴です。これにより、マーケティング担当者は、日々のルーチンワークから解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。Zapierを活用することで、マーケティング活動全体の効率化を大きく進めることが可能です。
Zapierとは?
マーケティング業務は、ターゲット設定から自社サイトの分析、広告運用、SNSでの情報発信まで、その範囲は多岐にわたります。さらに、これらの活動には膨大な量のデータ収集、分析、そして施策の改善といった、手間のかかる事務作業が伴うことが少なくありません。
現状では、Google Analytics for web analytics, Google Ads for search advertising, 各SNS platforms for social media managementなど、マーケティング活動には様々なクラウドサービスが活用されています。しかし、これらのツールはそれぞれ独立しているため、データを集計したり、他のツールへ転記したりする作業は、依然として手作業で行われるケースが多く見られます。
そこで、こうした煩雑な事務作業を大幅に自動化できるツールとして注目されているのが Zapier です。Zapierは IPaaS(Integration Platform as a Service) の一種であり、Integration Platform as a Service の略です。IPaaSとは、クラウドサービスはもちろん、オンプレミス環境のシステムも含め、多様なアプリケーションやサービスを連携させ、個々のツールを利用する際の手間を省き、業務フローを自動化するためのプラットフォームです。
2012年にリリースされたZapierは、現在では2,000種類以上のサービスとの連携を可能にしています。Google AnalyticsやGoogle広告、Facebook、Twitterといった主要なSNS、SlackやChatworkといったビジネスチャットツールなど、マーケティング業務で一般的に活用されるほぼ全ての主要サービスを網羅しています。
Zapierの大きな特長は、プログラミングコードを一切書かずに、ノーコードで利用できる 点です。これにより、エンジニアではないマーケター担当者でも、専門知識がなくても簡単に導入・運用できます。
Zapierは基本的に無料で利用開始できますが、設定した タスク(自動化された一連の処理)が月間に実行された回数に応じて、無料プランでは月100回までの制限があります。それ以上のタスク実行や、より高度な機能(例: 特定の条件でのみ処理を実行するFilter、データ形式を変更するFormatterなど)を利用したい場合は、有料プランへのアップグレードが必要となります。しかし、簡易的なワークフローであれば、無料プランでも十分にその効果を実感できるでしょう。Zapier を活用することで、マーケティング担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。Zapier は、マーケティング業務の効率化に不可欠なツールと言えます。Zapier を使えば、日々のルーチンワークから解放され、生産性向上が期待できます。Zapier の導入は、現代のマーケティング活動において非常に有効な手段です。
マーケティングで自動化できる作業
Zapierを活用することで、マーケティング業務における様々な手間のかかる作業を自動化し、効率化を実現できます。以下に、Zapierで自動化できるマーケティング業務の一例を具体的にご紹介します。
- 顧客管理とコミュニケーションの連携:
- HubSpotのフォームで新規の問い合わせや資料ダウンロードが発生した際に、その情報をSlackやChatworkなどのビジネスチャットツールにリアルタイムで通知。これにより、迅速な顧客対応が可能になります。
- 同様に、HubSpotのフォームからのデータを、GoogleスプレッドシートやExcelなどの表計算ソフトに自動で転記。手作業でのデータ入力ミスを防ぎ、集計作業の負担を軽減します。
- Salesforceで新規コンタクト情報が作成された場合、その情報をMarketoなどのMAツールにも自動でアップデート(※有料プランが必要な場合があります)。顧客情報の一元管理と最新化をサポートします。
- コンテンツ配信の自動化:
- WordPressなどのCMSで新しいブログ記事が公開された際に、その記事のURLやタイトルを自動的にFacebookやX(Twitter)、LinkedInなどのSNSに投稿。コンテンツの露出を増やし、運用担当者の負担を軽減します。
- データ分析とレポート作成の効率化:
- Google Analyticsで設定した特定のコンバージョン(目標達成)データを、定期的にGoogleスプレッドシートやBigQueryなどのデータベースに自動転記。詳細な分析やレポート作成の準備を効率化します。
- Google広告で新しいキャンペーンが設定された場合に、その情報をSlackなどのチャットツールに通知。キャンペーンの開始を即座に把握し、関係者間での情報共有をスムーズにします。
- Google広告へのコンバージョンデータのインポートを自動化。広告効果測定の精度向上と、手作業によるデータ投入の手間を削減します。(参照:Google広告ヘルプ )
これらの例はあくまで一部であり、Zapierは2,000種類以上のアプリケーションとの連携が可能なため、あなたのマーケティング業務で利用しているツールを組み合わせることで、さらに多様な作業を自動化できます。「どのような作業に時間や手間がかかっているか」を洗い出し、そのプロセスをZapierでどのように自動化できるかを具体的にイメージすることで、業務効率を飛躍的に向上させることが可能です。例えば、Facebook広告のパフォーマンスデータを集計し、Googleスプレッドシートに自動で記録するといった連携も考えられます。また、メールマーケティングツールで特定のセグメントの顧客リストを作成し、そのリストをCRMに同期させることも自動化の対象となります。Zapierを活用することで、ルーチンワークから解放され、より戦略的なマーケティング活動に注力できるようになります。
Zapiarの使い方
Zapierの利用を開始するには、まずアカウントを作成することから始めます。アカウント作成後、ワークフローの基盤となる「Zap」を新規作成します。Zapierの操作は、Trigger(トリガー)、Action(アクション)、オプション設定、そしてRun(実行履歴)という4つの主要な項目を理解することで、プログラミング知識がない方でも直感的に設定可能です。
① Trigger(トリガー)
Zapierにおけるワークフローの最初のステップは、トリガーの設定です。トリガーは、自動化したいタスクを開始させる「きっかけ」を定義するものです。例えば、Googleカレンダーに新しいミーティング予定を追加したら、その情報をSlackでチームメンバーに自動通知したい場合、トリガーは「Googleカレンダーに新しいイベントが作成されること」となります。
トリガー設定では、まず対象となるアプリ(例:Googleカレンダー)を選択し、そのアプリ内で実行したい特定のアクション(例:新しいイベントの作成)を指定します。初めて連携するアプリの場合、Zapierがアカウントへのログインを求め、認証を行います。その後、アプリ内の詳細なトリガー条件を設定し、テストを実行して意図通りに動作するか確認します。
② Action(アクション)
トリガーが設定されたら、次にZapierが実行する「アクション」を設定します。先ほどの例で言えば、トリガーで「Googleカレンダーに新しいイベントが作成された」ことを検知したら、次のアクションとして「Slackでそのイベント情報を投稿する」という流れになります。
アクションの設定も、トリガーと同様に、連携したいアプリ(例:Slack)と、そのアプリ内で実行したい特定のアクション(例:メッセージの送信)を選択し、アカウント認証を行います。そして、投稿するメッセージの内容など、アプリ内の詳細なアクション設定を行い、テストを実行して完了させます。Zapierのインターフェースは、表示される項目に沿って進めるだけで簡単に設定できるよう設計されています。
③ Actionでのオプション設定(有料プラン限定機能あり)
Actionでは、基本的なアプリ連携以外にも、ワークフローをより細かく制御するためのオプション設定が可能です。これらのオプションは、特に複雑な自動化や、特定の条件に応じた柔軟な対応を実現する際に役立ちます。
- Path: 特定の条件分岐に基づいて、異なるステップの処理を実行させることができます。例えば、フォームの回答内容によって、担当部署への通知先を変えるといった場合に活用できます。
- Filter: 指定した条件を満たすデータのみ、後続のアクションに進めることができます。これにより、不要な処理の実行を防ぎ、ワークフローの精度を高めます。
- Formatter: 取得したデータを、目的の形式に変換・整形することが可能です。日付のフォーマット変更や、テキストの結合・分割など、データ加工に役立ちます。
- Delay: 設定したアクションの実行を、一定時間遅延させることができます。例えば、メール送信後、数分待ってから別の通知を送る、といったシナリオで利用できます。
これらのオプション機能は、より高度な自動化を実現するために、有料プランで提供されているものもあります。
④ Run(実行履歴)
Zapierの「History(履歴)」セクションでは、作成したZapが過去にどのように実行されたかの詳細を確認できます。もし、意図した通りにワークフローが稼働しない場合や、予期せぬ動作が発生している場合、この実行履歴を確認することで、問題の原因特定に繋がる手がかりを得ることができます。トリガーが正しく検知されているか、アクションが正常に完了しているか、エラーが発生していないかなどを詳細に分析することが可能です。
まとめ
Zapierは、2012年のリリース以来、2,000種類以上のクラウドサービスを連携させ、マーケティング業務の効率化を強力に支援するIPaaS(Integration Platform as a Service)です。Zapierとは、プログラミング不要のノーコードツールであり、誰でも直感的に操作できるのが特徴です。
Zapierを活用することで、例えば、HubSpotのフォームからの問い合わせをSlackに通知したり、WordPressの記事投稿をSNSに自動シェアしたりするなど、マーケティング自動化の幅は大きく広がります。Google AnalyticsやGoogle広告、Salesforceといった主要なマーケティングツールともシームレスに連携可能です。
1つの自動化ワークフローは「Zap」と呼ばれ、Zapierの使い方は、Trigger(トリガー)、Action(アクション)、オプション設定、そしてRun(ラン)の4つの要素を理解すれば、誰でも簡単に設定できます。Triggerで「何が起きたら」というきっかけを設定し、Actionで「次に何をするか」を定義します。有料プランでは、Path(パス)、Filter(フィルター)、Format(フォーマット)、Delay(ディレイ)といった高度なオプションも利用でき、より複雑な業務フローも自動化できます。
「Zapierのタスク」は、Zapが実行されるたびにカウントされ、無料プランでは月100回まで利用可能です。簡易的な自動化であれば無料プランで十分活用できるため、まずは試してみることをお勧めします。
Zapierのメリットを最大限に引き出すためには、日々の業務で「どのようにしたいか」を具体的に描き、それをZapierで実現していくことが重要です。これにより、手間のかかる事務作業から解放され、より戦略的なマーケティング活動に集中できるようになります。Zapierの評判も高く、多くの企業で業務効率化に貢献しています。

