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会社の評判を守る!炎上させない風評被害対策と発生時の正しい対処法【企業担当者必見】

2025.9.5
読了まで約 14

ネット上の根拠のない噂や悪意ある書き込みは、企業の評判や売上に深刻なダメージを与えます。本記事では、風評被害に悩む企業担当者様へ、具体的な予防策から発生時の削除依頼・投稿者特定といった対処法まで網羅的に解説。自社対応と専門家依頼の判断基準や費用相場もわかります。会社の未来を守る鍵は、炎上させないための「予防」と、万が一の際の「迅速かつ適切な初動」にあります。

関連記事:レピュテーションリスクとは?企業評判を守るための対策・事例を徹底解説

まずは知っておきたい風評被害の基礎知識

インターネットやSNSが社会インフラとして定着した現代において、企業に関する根拠のない噂や誤った情報が瞬く間に拡散される「風評被害」は、すべての企業にとって無視できない経営リスクとなっています。一度ネガティブな情報が広まると、売上減少やブランドイメージの低下に留まらず、採用活動や資金調達、さらには従業員の士気にも深刻な影響を及ぼしかねません。 この章では、企業の評判を守る第一歩として、風評被害がもたらす具体的なダメージ、主な発生源、そして放置した場合の末路について、基礎から詳しく解説します。

風評被害が企業に与える深刻なダメージとは

風評被害が企業に与えるダメージは、単なる「評判の低下」という曖昧なものではありません。 売上や株価といった直接的な経済損失から、人材確保の困難化、従業員の離職といった組織の根幹を揺るがす問題にまで発展します。 具体的にどのようなダメージが想定されるのか、以下の表にまとめました。

風評被害が企業に与えるダメージの分類
ダメージの種類 具体的な内容
経済的損失 ・売上の減少、顧客離れ、不買運動の発生
・新規契約や取引の中止・見送り
・株価の下落による資金調達への悪影響
・金融機関からの信用低下による融資への影響
人材への影響 ・採用活動における応募者の減少、内定辞退の増加
・「ブラック企業」などのレッテルの定着
・既存従業員のモチベーション低下と離職率の増加
・従業員やその家族への精神的負担
ブランドイメージの毀損 ・長年かけて築き上げた企業ブランドや信頼の失墜
・ネガティブな情報のデジタルタトゥー化
・回復までに要する多大な時間とコスト
・根拠のない情報であっても「火のない所に煙は立たぬ」と見なされるリスク

これらのダメージは相互に関連し合っており、一つが発生すると連鎖的に他の問題を引き起こし、被害がさらに深刻化するという悪循環に陥りやすい特徴があります。

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近年増加する風評被害の発生源トップ5

かつての風評被害は口コミや一部メディアの報道が中心でしたが、現在ではインターネット上の多様なプラットフォームが発生源となっています。特にSNSの普及は、情報の拡散スピードを飛躍的に高め、一個人の投稿が数時間で数百万人に届くことも珍しくありません。 企業が警戒すべき主な発生源は以下の通りです。

風評被害の主な発生源
順位 発生源 特徴と危険性
1 SNS
(X(旧Twitter), Instagram, Facebook, TikTok等)
・圧倒的な拡散力と即時性を持つ最大の発生源。
・「バイトテロ」など従業員の不適切投稿もここに分類される。
・ハッシュタグを通じて、無関係な第三者も巻き込みやすい。
2 匿名掲示板
(5ちゃんねる(旧2ちゃんねる), 爆サイ等)
・匿名性が高く、根拠のない誹謗中傷や内部告発を装った投稿が生まれやすい。
・特定の企業や個人に対する粘着質な攻撃の温床となりやすい。
3 口コミサイト・Googleマップ
(転職会議, OpenWork, 食べログ等)
・求職者や消費者の意思決定に直接的な影響を与える。
・元従業員や顧客による主観的・感情的な悪評が投稿されやすい。
・事実に基づかない低評価が事業に直接的な打撃を与える。
4 まとめサイト・個人ブログ ・掲示板やSNSの情報を再編集して拡散するため、誤った情報が事実のように固定化されやすい。
SEOに強いサイトも多く、検索結果の上位に長期間表示され続けるリスクがある。
5 マスメディア・ネットニュース ・社会的信用度が高いため、報道内容が事実として受け取られやすい。
・一部を切り取った扇動的な報道や、誤解を招く表現が風評被害の引き金になることがある。

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放置するとどうなる?実際の企業事例

「そのうち沈静化するだろう」と風評被害を軽視し、初期対応を怠った結果、取り返しのつかない事態に発展したケースは後を絶ちません。ここでは、風評被害を放置することの危険性を、実際の事例から学びます。

事例1:従業員の不適切投稿によるブランドイメージの失墜(飲食サービス業)

ある飲食チェーン店で、アルバイト従業員が食材で遊んだり、不衛生な行為を行ったりする様子を撮影した動画をSNSに投稿しました。この動画は瞬く間に拡散され、「バイトテロ」として社会問題化。企業は公式に謝罪し、当該店舗の閉鎖を余儀なくされました。この一件で企業のブランドイメージは大きく傷つき、全社的な売上減少や信頼回復までに長い時間を要する結果となりました。

事例2:根拠のないデマ情報による売上激減(小売業)

ある菓子メーカーの商品について、「異物が混入していた」という虚偽の投稿が画像付きでSNSに拡散されました。企業が調査を行った結果、投稿は事実無根のデマであると判明しましたが、その間に「あの商品は危険だ」という認識が広まり、全国のスーパーやコンビニで商品が撤去され、売上が大幅に減少しました。企業が公式に否定声明を出したものの、一度ついたネガティブなイメージを完全に払拭するには至らず、大きな経済的損失を被りました。

事例3:同名企業による風評被害(製造業)

ある化学メーカーが法令違反で行政処分を受けた際、全く資本関係のない同名の別企業にまで非難が殺到する事態が発生しました。 ネット上では2社が混同され、「あの会社も同じことをしているに違いない」といった憶測が飛び交い、無関係の企業にもかかわらず、取引先や顧客から問い合わせが殺到し、対応に追われるとともに、企業イメージの低下という被害を受けました。

これらの事例からわかるように、風評被害は発生源が自社にない場合でも起こり得る理不尽な脅威であり、放置すればするほど被害は深刻化します。 迅速かつ適切な対応が企業の未来を守る鍵となります。

【予防編】自社でできる風評被害の具体的な対策リスト

風評被害は一度発生すると、その対応に多大なコストと時間がかかります。だからこそ、問題が発生する前の「予防」が何よりも重要です。この章では、企業が自社で取り組むことのできる、具体的かつ効果的な風評被害の予防策を4つの側面から詳しく解説します。

日常的に行うべきネット監視とモニタリング体制の構築

インターネット上の情報は、企業の知らないところで瞬く間に拡散される可能性があります。ネガティブな情報の早期発見と迅速な対応のためには、日常的なネット監視(モニタリング)が不可欠です。

モニタリングの対象

風評被害の火種となりやすい以下のプラットフォームは、優先的に監視すべき対象です。

  • SNS: X (旧Twitter)、Instagram、Facebookなど、情報の拡散が速いメディア
  • 匿名掲示板: 5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)、爆サイなど、本音が出やすいメディア
  • 口コミサイト・レビューサイト: Googleマップ、転職会議、就活会議、業界特化型のポータルサイトなど
  • 検索エンジン: 自社名や商品・サービス名で検索した際のサジェストキーワードや関連キーワード
  • ブログ・動画サイト: 個人ブログやYouTubeなど、影響力のある個人の発信

関連記事:サジェストってどんな機能なの?Google検索における仕組みを解説

監視方法と体制の構築

監視方法は、手動で行う方法とツールを利用する方法があります。企業の規模やリソースに応じて最適な方法を選択し、継続的な監視体制を構築することが重要です。

監視方法 メリット デメリット
手動での検索

・コストがかからない

・すぐに始められる

・網羅的な監視が難しい

・時間がかかる、見落としのリスクがある

・担当者の負担が大きい

監視ツールの利用

・広範囲のメディアを自動で監視できる

・見落としのリスクが低い

・担当者の負担を軽減できる

・緊急時にアラート通知を受け取れる

・導入・運用にコストがかかる

・ツールの選定や設定が必要

効果的な監視体制を構築するには、担当部署や担当者を明確にし、問題を発見した際の報告・対応フロー(エスカレーションフロー)を事前に定めておくことが不可欠です。 これにより、万が一問題が発見された場合でも、冷静かつ迅速な初期対応が可能になります。

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従業員を守るためのSNS利用ルールの徹底

従業員個人のSNS利用が、意図せず企業の評判を損なうケースが増えています。不用意な発言や内部情報の漏洩、不適切な写真の投稿などが炎上につながるリスクを未然に防ぐため、全従業員を対象としたSNS利用ガイドラインの策定と周知徹底が急務です。

SNS利用ガイドラインに盛り込むべき項目

ガイドラインには、従業員が安心してSNSを利用し、かつ企業のブランドイメージを守るために、以下のような具体的な項目を盛り込みましょう。

  • 基本方針と心構え: 企業の代表としての自覚を持ち、誠実なコミュニケーションを心がけること。
  • 機密情報・個人情報の保護: 業務上知り得た未公開情報、顧客や取引先の情報を絶対に投稿しないこと。
  • 第三者の権利侵害の禁止: 著作権や肖像権、プライバシーを侵害する投稿を行わないこと。
  • 誹謗中傷の禁止: 他者(個人・団体)を尊重し、攻撃的な発言や差別的な表現をしないこと。
  • プライベートでの利用に関する注意点: 個人の発信であっても、企業の従業員として見られる可能性があることを認識すること。
  • 炎上時の対応: 問題のある投稿を発見した場合や、自身の投稿が炎上してしまった場合は、速やかに会社へ報告すること。

ガイドラインは作成して終わりではなく、定期的な研修を実施し、全従業員のリテラシー向上を図ることが極めて重要です。 実際の炎上事例などを交えながら、SNSに潜むリスクを具体的に理解してもらう機会を設けましょう。

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検索結果をクリーンに保つための情報発信戦略

ネガティブな情報が検索結果の上位に表示されるのを防ぐためには、平時から企業側がポジティブで信頼性の高い情報を積極的に発信し、検索結果を健全な状態に保つ「逆SEO」の考え方が有効です。 これは、問題が発生した後の対策としてだけでなく、予防策としても非常に効果的です。

関連記事:「逆SEO」で悪評を消す!風評被害対策の全知識と成功事例

具体的な情報発信の方法

以下のようなプラットフォームを活用し、一貫性のある情報発信を継続的に行いましょう。

  • 公式サイト・オウンドメディア: プレスリリース、事業内容、商品・サービスの魅力、開発秘話、お客様の声、CSR活動(社会貢献活動)など、専門性と信頼性の高い情報を発信する。
  • 公式SNSアカウント: 企業のカルチャーや従業員の働く様子、イベント情報など、親しみやすくポジティブな情報を発信する。
  • 外部メディアへの情報提供: 信頼できるニュースサイトや業界メディアにプレスリリースを配信したり、取材を受けたりすることで、第三者からの客観的な評価を高める。

これらの活動を通じて、自社に関連するキーワードで検索した際に、公式サイトや公式SNS、信頼できる第三者メディアといったポジティブな情報が上位を占める状態を目指します。 この情報発信の積み重ねが、万が一ネガティブな情報が出た際の「防波堤」の役割を果たします。

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お客様の声を真摯に受け止める窓口の設置

顧客の不満やクレームは、放置されるとSNSや口コミサイトへのネガティブな書き込みに繋がる可能性があります。 こうした事態を防ぐためには、お客様が気軽に意見や不満を伝えられる公式な窓口を設置し、寄せられた声(VOC - Voice Of Customer)に真摯に対応する体制を整えることが重要です。

窓口設置のメリット

  • 不満の早期発見と解決: ネガティブな情報が公になる前に問題を把握し、個別に対応することで、炎上を未然に防ぐことができます。
  • 顧客満足度とロイヤリティの向上: 自分の声に耳を傾け、誠実に対応してくれる企業に対して、顧客は信頼と愛着を感じます。
  • 商品・サービスの改善: お客様からの直接のフィードバックは、自社の課題を発見し、サービス品質を向上させるための貴重な情報源となります。

設置する窓口は、電話、メールフォーム、チャットなど、顧客が利用しやすい複数の選択肢を用意することが望ましいです。そして、最も重要なのは、寄せられた声に対して迅速かつ誠実に対応し、その内容を記録・分析して社内で共有し、経営改善に活かす仕組みを構築することです。 この取り組みが、結果的に企業の評判を守り、高めることに繋がります。

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【事後対応編】発生してしまった風評被害への対処法

風評被害は、発生後の初動対応が極めて重要です。放置すればするほど、ネガティブな情報はインターネット上で拡散し、企業の信頼回復が困難になります。ここでは、万が一風評被害が発生してしまった場合に取るべき具体的な対処法を、ステップごとに詳しく解説します。

書き込みを削除したい場合の対策

企業の社会的評価を不当に貶めるような悪質な書き込みを発見した場合、被害の拡大を防ぐために迅速な削除対応が求められます。削除を実現するための方法は、大きく分けて「自分で依頼する方法」と「弁護士に依頼する方法」の2つがあります。

自分でできる削除依頼の方法

費用を抑えつつ、迅速に対応を開始できるのが、自社で削除依頼を行うメリットです。多くのウェブサイトやSNSでは、権利侵害に関する通報・削除依頼のための専用フォームが設けられています。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 証拠の保全: 削除したい書き込みのURL、内容、投稿日時などがわかるように、スクリーンショットを撮影・保存します。これは後の法的手続きでも重要な証拠となります。
  2. 利用規約の確認: 書き込みがサイトのどの利用規約に違反しているかを確認します。「名誉毀損」「プライバシーの侵害」「営業妨害」などの項目が該当することが多いです。
  3. 削除依頼フォームから申請: サイトの案内に従い、必要事項を記入して削除を依頼します。どの権利がどのように侵害されているかを、具体的かつ客観的に説明することが重要です。

ただし、サイト運営者が必ずしも削除に応じるとは限らず、特に海外のサーバーを利用しているサイトなどでは対応が難しい場合もあります。

弁護士に依頼する削除請求の流れ

自社での削除依頼が認められない場合や、より確実に削除を進めたい場合は、法律の専門家である弁護士への依頼が有効です。弁護士は法的な根拠に基づき、サイト管理者に対して「送信防止措置請求」という手続きを行います。

一般的な流れは以下のようになります。

  1. 法律相談: 弁護士に事の経緯を説明し、証拠を提示して、法的な対応が可能かどうかを相談します。
  2. 送信防止措置請求: 弁護士がサイト管理者に対し、名誉毀損などの権利侵害を理由に、問題の書き込みを削除するよう内容証明郵便などで請求します。
  3. 裁判所への仮処分申立て: サイト管理者が請求に応じない場合、裁判所に対して投稿の削除を命じる「仮処分」を申し立てます。 これは通常の訴訟よりも迅速に結論が出る手続きです。

弁護士に依頼することで、法的な妥当性が高まり、サイト管理者が削除に応じる可能性が格段に上がります。 費用はかかりますが、炎上など被害が深刻化する前に対処できる可能性が高まります。

投稿者を特定したい場合の対策

悪質な書き込みによって実害が出ている場合、投稿者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴といった法的責任を追及することを検討します。そのための手続きが「発信者情報開示請求」です。

発信者情報開示請求とは?

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法に基づき、匿名で投稿を行った人物の氏名、住所、電話番号などの情報の開示を求める制度です。 この手続きは非常に専門的であり、通常は以下の2段階の裁判手続きを経る必要があります。

  1. コンテンツプロバイダへの開示請求: まず、書き込みがされたサイトの運営会社(コンテンツプロバイダ)に対し、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める仮処分を申し立てます。
  2. 経由プロバイダへの開示請求: 次に、開示されたIPアドレスから投稿者が利用したインターネットサービスプロバイダ(経由プロバイダ)を特定し、そのプロバイダに対して投稿者の契約者情報(氏名・住所など)の開示を求める訴訟を提起します。

2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法により、これら2つの手続きを一体的に行える新たな裁判手続き(非訟手続)も創設され、被害者の負担軽減が図られています。

費用と期間の目安

発信者情報開示請求は法的な手続きであるため、相応の費用と期間が必要です。自社で行うことは困難なため、弁護士への依頼が一般的です。

項目 費用の目安 期間の目安
弁護士費用 着手金:30万円~60万円程度
報酬金:20万円~40万円程度
約8ヶ月~1年以上
裁判所費用 印紙代、郵便切手代など数万円程度

※上記はあくまで一般的な目安であり、事案の複雑さや依頼する法律事務所によって変動します。

注意すべき点は、プロバイダが保有するアクセスログの保存期間です。携帯キャリアでは約3ヶ月、固定回線では約6ヶ月~1年とされており、この期間を過ぎると投稿者の特定が不可能になるため、迅速な対応が求められます。

企業の公式見解を発表する場合の注意点

風評被害が発生した際、沈黙は憶測を呼び、さらなる被害拡大につながる可能性があります。適切なタイミングで企業の公式見解を発表することは、信頼回復に向けた重要な一歩です。 しかし、その内容や発表方法を誤ると、かえって「火に油を注ぐ」結果になりかねません。

公式見解を発表する際には、以下の点に細心の注意を払う必要があります。

  • 迅速かつ正確な事実確認: 何よりもまず、拡散されている情報が事実か否かを徹底的に調査します。 不確かな情報に基づいて見解を発表することは絶対に避けるべきです。
  • 誠実な態度の表明: 企業側に非がある場合は、隠蔽や言い訳をせず、真摯に謝罪し、具体的な再発防止策を明示することが信頼回復の鍵となります。
  • 毅然とした態度の表明: 事実無根のデマや悪意のある情報に対しては、感情的にならず、冷静かつ毅然とした態度で明確に否定することが重要です。
  • 発表媒体の選定: 企業の公式サイトやプレスリリースだけでなく、炎上の発生源となったSNSなど、情報の拡散状況に応じた媒体で発信することを検討します。
  • ワンボイスの徹底: 社内で情報共有と対応方針を統一し、部署ごとで異なる見解を発信してしまうといった事態を防ぎます。対応窓口を一本化し、スポークスパーソンを明確にすることが望ましいです。

公式見解の発表は、企業の危機管理能力が問われる場面です。その後の企業の評判を大きく左右するため、法務部門や広報部門、場合によっては外部の専門家も交え、慎重に内容を検討しましょう。

風評被害対策は自社でやるべき?専門家に依頼すべき?

風評被害への対策を考えたとき、多くの企業担当者が「自社で対応すべきか、それとも専門の業者や弁護士に依頼すべきか」という問題に直面します。結論から言えば、どちらか一方が絶対的に正しいというわけではなく、被害の状況、緊急性、そして社内のリソースによって最適な選択は異なります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説し、自社に合った判断を下すための材料を提供します。

自社対応のメリット・デメリット

まずは、自社で対策チームを組織し、対応する場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。特に、被害が限定的であったり、継続的な監視体制を構築したい場合には有効な選択肢となり得ます。

最大のメリットは、コストを低く抑えられる可能性と、社内にノウハウが蓄積される点です。 外部に委託する費用がかからず、対応を通じて従業員のITリテラシーやリスク管理能力が向上します。しかし、その反面、担当者の負担が大きく、専門知識の不足から対応を誤り、かえって事態を悪化させてしまうリスクも抱えています。

自社対応のメリット・デメリット
  メリット デメリット
コスト 外部委託費用がかからず、低コストで運用できる可能性がある。 効果的な対策ができずに長期化し、結果的に人件費がかさむ場合がある。
スピード 社内で完結するため、意思決定から初動までを迅速に行える。 通常業務と兼任する場合、対応が後手に回りやすい。
ノウハウ 対応経験を通じて、社内に知見やノウハウが蓄積される。 専門知識が不足していると、効果的な対策が打てない可能性がある。
専門性 自社の事業や文化を深く理解した上で対応できる。 削除請求や発信者情報開示請求といった法的手続きは行えない。
リソース 柔軟な人員配置が可能。 担当者の精神的・時間的負担が非常に大きい。

専門業者・弁護士に依頼するメリット・デメリット

次に、風評被害対策を専門とする業者や弁護士に依頼する場合です。被害が広範囲に及んでいる場合や、法的な対応が必要な場合には、専門家の知見が不可欠となります。

専門家への依頼は、豊富な経験と専門知識に基づいた的確かつ迅速な対応が期待できる点が最大のメリットです。 対策業者は逆SEOやサジェスト対策、監視体制の構築といった技術的なアプローチを得意とし、弁護士は投稿の削除請求や投稿者を特定するための法的手続きのプロフェッショナルです。 一方で、当然ながら費用が発生し、数多くの選択肢の中から信頼できる依頼先を見つけ出す必要があります。

専門家(業者・弁護士)に依頼するメリット・デメリット
  メリット デメリット
専門性 最新のネット事情や法律に基づいた、効果的な対策が期待できる。 業者によって得意分野(逆SEO、SNS監視など)が異なるため、選定が難しい。
法的対応 弁護士であれば、削除の仮処分申立てや発信者情報開示請求などの法的措置が可能。 対策業者では直接的な法的手続きは行えない(弁護士との連携が必要)。
リソース 社内担当者の負担を大幅に軽減し、本来の業務に集中できる。 悪質な業者に依頼してしまうと、問題が解決しないばかりか、状況が悪化するリスクがある。
コスト 問題の早期解決により、結果的に被害総額を抑えられる可能性がある。 着手金や成功報酬など、対策費用が発生する。
客観性 第三者の客観的な視点から、冷静な対応策の提案を受けられる。 自社の理念や事業内容の理解を十分に共有する必要がある。

相談する前に準備しておくべきこと

自社対応か外部委託かを問わず、いざ対策を講じる、あるいは専門家に相談するとなった際に、慌てずに済むよう事前に情報を整理しておくことが重要です。準備が整っていることで、よりスムーズで的確な対策を始めることができます。

専門家に相談する際には、被害状況を具体的かつ客観的に伝えるための証拠が何よりも重要になります。 これらが揃っていることで、専門家は迅速に状況を把握し、有効な対策を提案することが可能になります。

  • 証拠の保全: 問題となっている書き込みがあるウェブサイトのURL、掲示板のスレッド名、SNSのアカウント情報などを正確に記録します。また、必ずスクリーンショットを撮影し、URLと撮影日時がわかるように保存しておきましょう。
  • 時系列の整理: いつ頃から被害が始まったのか、どのような経緯で拡大したのかを時系列でまとめます。きっかけとなった出来事があれば、それも記録しておきます。
  • 被害内容の具体化: 「売上が〇%減少した」「採用活動で内定辞退者が相次いだ」「特定の取引先から問い合わせがあった」など、風評被害によってどのような実害が出ているのかを具体的にまとめます。
  • 目的の明確化: 対策のゴールを明確にします。「とにかく書き込みを削除したい」「二度と書かれないように投稿者を特定して警告したい」「損害賠償を請求したい」など、企業としてどうしたいのかをはっきりさせましょう。
  • これまでの対応履歴: もし自社でサイト運営者に削除依頼を出すなどの対応を既に行っている場合は、その内容と結果を記録しておきます。

目的別 風評被害対策の費用相場

風評被害対策にかかる費用は、対策の具体的な内容、依頼する専門家(対策業者・弁護士)、そして被害の深刻度によって大きく変動します。自社の状況に合わせて適切な対策を検討するためには、それぞれの費用相場を把握しておくことが重要です。ここでは、代表的な対策である「監視・モニタリング」「削除依頼・請求」「逆SEO対策」の3つの目的別に、それぞれの費用相場を詳しく解説します。

監視・モニタリングの費用

SNSや掲示板、ブログなどを常時監視し、自社に関するネガティブな書き込みを早期に発見するための対策です。炎上の火種をいち早く察知し、被害が拡大する前に対処することを目的とします。費用体系は月額制が一般的で、監視対象の範囲やレポートの内容によって価格が変動します。

監視方法 月額費用の相場 主な特徴
ツールによる自動監視 1万円~10万円程度 指定したキーワードを含む投稿を自動で収集・通知します。比較的安価に導入できますが、投稿内容の緊急度や文脈の判断は人の目で行う必要があります。
人の目による監視 5万円~30万円程度 専門のスタッフが投稿内容を一つひとつ確認し、文脈やニュアンスを汲み取ってリスクを判断します。 精度の高い監視が可能で、緊急時のエスカレーションもスムーズです。レポートの質も高くなります。
コンサルティングを含む監視 5万円~30万円程度 監視体制の構築から緊急時の対応フロー策定、SNS利用ガイドラインの見直しなど、総合的なコンサルティングが含まれます。 根本的なリスク対策を行いたい企業に適しています。

監視対象とするキーワードの数、サイトの種類(SNS、掲示板、ニュースサイトなど)、レポートの頻度や分析の深さによって費用は上下します。まずは簡易的なツール監視から始め、必要に応じて有人監視やコンサルティングを追加していくのも一つの方法です。

削除依頼・請求の費用

掲示板やSNS、口コミサイトなどに書き込まれた事実無根の誹謗中傷や権利侵害にあたる投稿を削除するための対策です。依頼先は主に弁護士となり、法的な手続きを踏むかどうかで費用が大きく変わります。

弁護士に依頼する場合の費用は、主に「相談料」「着手金」「成功報酬金」で構成されます。

費用項目 費用の相場 概要
相談料 無料~1万円/30分程度 正式に依頼する前に、被害状況や今後の対応について相談する際の費用です。初回相談を無料としている法律事務所も多くあります。
着手金 5万円~20万円/1サイト・1投稿あたり 依頼が成立した時点で支払う費用です。結果の成功・不成功にかかわらず発生します。事案の難易度によって変動します。
成功報酬金 5万円~20万円/1サイト・1投稿あたり 投稿の削除に成功した場合に支払う費用です。着手金と同額程度に設定されることが一般的です。
裁判手続き(仮処分申立て) 着手金:20万円程度
報酬金:10万円~20万円程度
サイト管理者が任意の削除依頼に応じない場合、裁判所を通じて削除を求める法的手続きです。 上記の着手金・成功報酬金に加えて、追加の費用が発生します。

あくまで一般的な相場であり、対象サイトの性質や投稿内容の悪質性、手続きの複雑さによって費用は大きく異なります。 複数の法律事務所から見積もりを取り、費用体系や対応範囲を十分に確認することが重要です。

逆SEO対策の費用

検索エンジンで社名などを検索した際に表示されるネガティブなサイトの検索順位を相対的に押し下げるための対策です。「逆SEO(リバースSEO)」とも呼ばれ、自社で管理する公式サイトやブログ、好意的な第三者のサイトなどを上位表示させることで、不都合な情報がユーザーの目に触れにくくすることを目的とします。費用体系は月額制が主流ですが、成果報酬型を採用している業者もあります。

逆SEO対策の費用は、対策キーワードの難易度によって大きく変動するのが特徴です。

対策の難易度 月額費用の相場 概要・キーワード例
低難易度 10万円~30万円程度 個人名や、検索ボリュームが比較的小さいキーワードなどが該当します。
中難易度 30万円~80万円程度 一般的な企業名やサービス名で、ある程度の競合が存在する場合です。
高難易度 80万円~150万円以上 検索ボリュームが非常に大きいキーワードや、「ブラック企業」「評判」といったネガティブワードと組み合わさったキーワード、大手メディアやまとめサイトが上位を占めている場合などです。

費用を決める主な要因には、「対策キーワードの種類」「ネガティブサイトのドメイン強度」「ネガティブサイトの現在の検索順位」などがあります。 上位表示されているサイトが強力であるほど、対策の難易度が上がり費用も高額になる傾向があります。契約期間は半年から1年程度が一般的で、効果が現れるまでには数ヶ月を要することもあります。

まとめ

風評被害は、企業の信用や売上に直結する深刻な経営リスクです。被害を未然に防ぐためには、日頃からのネット監視や社内SNSルールの徹底といった「予防策」が何よりも重要となります。万が一、悪質な書き込みが発生した場合は、削除依頼や発信者情報開示請求など、冷静かつ迅速な「事後対応」が求められます。自社での対応に限界を感じた際は、被害拡大を防ぐためにも、速やかに弁護士や専門業者へ相談することが、企業のブランド価値を守るための賢明な選択と言えるでしょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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    2024.10.16

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