この数年でリード獲得はオンラインが主流となり、ウェビナーは重要なチャネルの1つとなりました。開催場所を問わないウェビナーは、リードが獲得しやすくなるメリットがある一方で、その後の商談化率が低くなるリスクがあります。本記事では、リード獲得から商談につなげるためのウェビナー実践方法を、具体的なKPI設定や各フェーズでのポイントを解説します。ウェビナー集客に成功しても、その後のフォローアップが不十分では成果に繋がりません。本記事で紹介する実践方法を参考に、商談化率向上を目指しましょう。
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目次
コロナ禍で最も効果が上がったマーケティング施策はウェビナー
株式会社ネオマーケティングが発表した「新型コロナウイルス感染拡大前後のBtoB企業のマーケティング活動に関する調査」によると、コロナ前と比較して効果が上がったマーケティング施策のトップはウェビナーでした。
展示会やセミナーといったオフラインイベントが十分に開催できない状況下において、ウェビナーをはじめとするオンラインイベントは、開催企業が潜在顧客や見込み顧客と接点を持つための貴重な機会となりました。
ウェビナーは、開催場所を問わないという特性から、参加者の参加障壁が低くなります。これにより、リード獲得が容易になるというメリットがある一方、サービスを具体的に検討している企業だけでなく、情報収集段階にある企業が多く参加する傾向が見られます。このような背景から、ウェビナーで獲得したリードをいかに効果的に商談へとつなげていくかが、マーケティング担当者にとって喫緊の課題となっています。
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商談につながるウェビナーを実践するためのKPI・指標
商談につながるウェビナーを実施するためには、明確なKPI(重要業績評価指標)と測定可能な指標の設定が不可欠です。ここでは、ウェビナーの成果を最大化し、商談へと結びつけるための主要なKPIと、各プロセスで注視すべき指標について解説します。
商談につながるウェビナーを実践するために、測っていくべきKPI・指標として2つポイントがあります。1つはターゲット顧客であるか、もう1つは興味関心が高い、あるいは、導入を検討しているなど、温度感の高い顧客であるかの2つです。
ウェビナーを実施する4つのプロセスそれぞれに見ると、企画の段階でターゲット顧客と顧客の温度感の両方を改善できます。後工程の、集客・運営・フォローの段階で顧客の温度感を改善していくことができます。
各プロセスで測っていくKPI・指標として以下の通りです。
|
プロセス |
改善指標 |
|---|---|
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企画 |
申込数・ターゲット顧客率 |
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集客 |
申込数・出席率 |
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運営 |
アンケート回答率、アンケート内特定質問における対象回答率 |
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フォロー |
アポイント獲得率 |
これらの各プロセスのKPI・指標の改善を取り組みながら、最終的な商談化率の向上を目指していきます。特に、ターゲット顧客率の向上は、後の商談化に直結するため、企画段階での設定が重要となります。また、アポイント獲得率は、フォローアップ施策の効果を測る上で最も直接的な指標と言えるでしょう。
企画・集客での実践ポイント
【企画】改善指標は申込数・ターゲット顧客率
ウェビナーを成功させるためには、まず「商談獲得」という明確な目的を設定することが不可欠です。目的が曖昧なまま企画を進めると、当初の目標から逸れ、単なるリード獲得で終わってしまう可能性があります。商談獲得を目的とするウェビナーでは、ウェビナー開催後にサービスを検討してもらうことがゴールとなるため、サービスに関する具体的な情報や、サービスを活用した実践的なノウハウの提供が中心となります。一方、リード獲得が目的の場合は、サービスを広く認知してもらうことが重要となるため、サービスに関連する広範な分野での役立つ情報発信が効果的です。
目的が定まったら、次にテーマと内容を具体的に決定し、魅力的なタイトルを考案します。タイトルは、ターゲット顧客が抱える課題に直接響くものでなければなりません。ターゲット顧客が直面している課題をリストアップし、その中でも優先度の高いものに焦点を当てたタイトル設定が、集客効果を最大化する鍵となります。ウェビナーのタイトルは、ウェビナーの企画・実施を繰り返す中で、効果測定を行いながら継続的に改善していくことが重要です。
【集客】改善指標は申込数・出席率
ウェビナーの企画が固まったら、効果的な集客戦略を立案します。集客チャネルとしては、自社のハウスリストへのメール配信、外部メディアへの広告掲載、SNSでの告知、そして自社サイトでのプロモーションが主なものとして挙げられます。ハウスリストは、過去の資料ダウンロード、失注リード、既存顧客など、様々な顧客接点から得られたリードを一元管理し、セミナー集客に活用できる状態に整備しておくことが推奨されます。
外部メディアの活用においては、ビジネスメディアや業界専門メディアに用意されている広告メニューを検討しましょう。各メディアのPV数やターゲット層はもちろん、掲載されているセミナー告知の内容や、メルマガ登録などを通じて、メディアの特性を事前に把握することが重要です。ある企業では、業界特化メディアにウェビナー情報を1週間掲載した結果、CPA2,000円で集客に成功した事例もあります。まずは少額から試験的に実施し、効果を見ながら予算配分を検討するのが賢明です。
無料で利用できるセミナー告知サイトや、SNS、自社サイトといった費用対効果の高いチャネルは、積極的に活用しましょう。集客後は、当日の出席率を高めるために、申込者へのリマインダーメールを計画的に送信します。具体的には、開催1週間前、前日、そして開催当日1時間前の計3回以上のリマインドが効果的です。ある企業がウェビナーの申込みを2週間前に開始し、この3回のリマインドを実施したところ、8割以上の高い出席率を維持できたという実績があります。MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)ツールを活用することで、メールの送付状況や開封率を把握し、より効果的なリマインドのタイミングを掴むことが可能になります。
運営・フォローでの実践ポイント
【運営】改善指標はアンケート回答率
当日のウェビナー運営次第で、その後の商談化が変わってきます。そのために、アンケートは必ず実施し、営業にリードを渡すときのクオリフィケーションに活用します。
まず、アンケートの回答率を高めるためには、セミナー内での告知とセミナー終了直後の回答がポイントです。
セミナー開始後の冒頭でアンケートの告知を行います。ここで重要なのがアンケート回答の特典があることもきちんと周知することです。具体的にはセミナー資料や、セミナー内容に関連するお役立ち資料をアンケート回答者に特典として進呈します。
アンケートをセミナー終了後にも案内します。また、ウェビナー内でアンケートURLを表示し、そこから回答をしてもらうようにします。そして、回答完了とともに自動的に特典資料をダウンロードできるように設定しておくと、手間が省け運営側も楽になります。
また、クオリフィケーションのために、基準となる質問と選択肢をアンケート内に設置しておきます。下記に一例を紹介します。
1.検討状況に関する質問
例)現在、チャットツールの検討状況について教えてください(単一・必須)
①導入を具体的に検討している
②導入は検討していないが、興味がある
③導入済み
④特に興味はない
2.主催企業に求めるアクション
例)希望する当社からのご案内について教えてください(複数・必須)
①サービスの詳しい話が聞きたい
②サービスのデモが見たい
③サービスに関する資料が欲しい
④特に興味はない
⑤すでに利用している
3.その他
例)そのほかサービスに関するご要望・ご不明について教えてください(自由・必須)
【フォロー】改善指標はアポイント獲得率
ウェビナー終了後は出席者リストとアンケート回答者リストからクオリフィケーションを行い、営業へリードを渡します。
まず、出席者リストからターゲット顧客の有無を見ていきます。次にアンケート回答内容を確認します。上述アンケートであれば、1. ①~③、または、2.①~③を回答したリストを営業へ渡します。
1.④と2.④の「特に興味はない」回答リストは渡さずに、マーケティングのナーチャリング対象とします。興味はないと回答しているのに営業から連絡をしてしまうと、顧客体験としてもマイナスとなるため、このタイミングでは御礼メールに留めておきます。
出席者リストからターゲット顧客となったものの、アンケートを回答していないリードに対して、営業から1回はアクションを行うように依頼してもよいでしょう。アンケート回答とアポ獲得率に相関性がある場合には、ナーチャリング対象へ変更するなど、柔軟に対応していくことがポイントです。
まとめ
商談につながるウェビナーを実施するためには、「①ターゲット顧客であるか」、そして「②興味関心が高い、あるいは導入を検討しているなど、温度感の高い顧客であるか」という2つのポイントを常に意識することが重要です。これらの指標を各プロセスで測定し、改善していくことで、ウェビナーからの商談化率を高めることができます。
ウェビナー集客は、ハウスリストへのメール送付、外部メディアの活用、SNSでの情報発信、自社サイトでの告知といった4つのチャネルを効果的に組み合わせることが推奨されます。特に、ハウスリストは日頃から整備し、一元管理することで、温度感の低いリードや失注リードなども含めて、継続的なアプローチに繋げることが可能です。
ウェビナー運営においては、アンケートの回答率向上が鍵となります。アンケートへの回答特典を設けること、セミナー開始時の告知、そしてセミナー終了直後の回答を促すことで、回答率を高めることができます。これにより、参加者の興味関心度や検討状況を正確に把握し、次のアクションに繋げることが可能になります。
ウェビナー終了後のフォローアップでは、出席者リストとアンケート回答者リストから、ターゲット顧客であり、かつ温度感の高いリードを特定し、営業担当者へ引き渡すことが重要です。アンケート結果で「特に興味はない」と回答したリードは、無理に営業をかけるのではなく、マーケティングによるナーチャリング(育成)対象として、継続的に情報提供を行うことで、将来的な商談に繋げる道筋を確保します。このように、各段階でKPI・指標を意識し、PDCAサイクルを回すことが、商談化率向上に不可欠です。

