展示会において、ブースへの集客を目的に活用されるのがノベルティです。多くの企業が来場者への呼び込みにノベルティを使用しており、ペンやメモなどの文房具、資料を入れる手提げ袋やバックに企業ロゴや製品名がプリントされたものを目にすることが多いでしょう。
ノベルティは、単なる来場者への配布物以上の役割を果たします。適切に選定・活用することで、ブースへの誘導や商談機会の創出、さらには長期的な企業認知度の向上にも貢献します。
本記事では、展示会におけるノベルティの重要性を踏まえ、その目的と効果的な選定方法について詳しく解説します。初めて展示会に出展する企業の方々にとって、戦略的なノベルティ活用のヒントとなる情報をお届けします。
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目次
ノベルティの3つの目的
展示会でノベルティを配布する目的は大きく3つあります。ノベルティは展示会におけるマーケティング戦略の重要な要素として機能し、効果的に活用することで企業の認知度向上や潜在顧客の獲得に繋がります。以下では、それぞれの目的について詳しく解説していきます。ノベルティの選定や配布方法を検討する際は、これらの目的を念頭に置くことが重要です。また、展示会の規模や参加者層、自社の製品やサービスの特性に応じて、どの目的を重視するかを適切に判断することが求められます。
①見込み顧客・商談の獲得
展示会でのノベルティ配布における最重要な目的は、見込み顧客の発掘と商談機会の創出です。ブースを通過する来場者に対し、ノベルティを活用して製品やサービスへの関心を喚起し、対話のきっかけを作ります。その際、製品やサービスの概要を簡潔に説明しながら、同時にその企業が導入対象となりうるかを見極めます。
このプロセスにおいて、ノベルティは単なる景品以上の役割を果たします。それは製品・サービスの認知度向上と、潜在顧客のクオリフィケーション(適格性判断)を同時に行う重要なツールとなります。適切な対象企業であると判断された場合、ブース内へ案内し、より詳細な商談へと発展させることを目指します。
つまり、ノベルティは単なる集客ツールではなく、効果的な商談獲得のための戦略的なアプローチの一環として機能するのです。適切に活用することで、展示会における成果を最大化することができます。
②来場者の名刺獲得
ノベルティを配布する2つ目の目的は来場者の名刺獲得です。導入対象であるものの、ニーズが顕在化していない、または対象の部署ではない来場者の場合、ノベルティと引き換えに名刺を獲得することで、展示会以降も継続的な接点を持ち続けることが可能となります。
この方法は、即時の商談には結びつかないものの、長期的な視点でのマーケティング活動に有効です。展示会終了後は、獲得した名刺情報を活用し、MAツールなどを駆使したメールマーケティングを展開します。定期的な情報発信を通じて、ナーチャリングを実施していくことで、将来的な商談機会の創出につながる可能性があります。
また、対象企業ではない場合でも、ノベルティと引き換えに名刺を獲得することで、幅広い層への認知向上や企業ブランディングの機会として活用できます。このように、名刺獲得は単なる情報収集にとどまらず、多角的なマーケティング戦略の基盤となる重要な要素といえるでしょう。
③継続的な認知向上
ノベルティは会話のきっかけを作るだけではなく、持ち帰ってもらったノベルティを使ってもらうことで継続した認知を得ることもできます。ノベルティ自体にも認知向上の機能があります。例えば、デスクに置かれたペンや、日常的に使用されるメモ帳などは、長期的に目に触れる機会が多いため、ブランドの印象を定着させる効果があります。また、オリジナリティのあるデザインや実用性の高いノベルティは、受け取った人が周囲の人に見せたり、話題にしたりすることで、口コミによる認知拡大にもつながります。このように、適切に選択されたノベルティは、展示会後も継続的にブランドの存在感を維持し、潜在的な顧客との接点を保ち続ける重要なツールとなります。
ノベルティ選定の3つのプロセス
ノベルティを準備する際には、3つの重要なプロセスを踏む必要があります。これらのプロセスは、効果的なノベルティ選定と展示会での成功につながります。ノベルティの種類によって制作期間や予算が大きく異なるため、展示会出展が決定した直後(通常は2~3か月前)から準備を開始することが重要です。早めの準備により、より戦略的なノベルティ選定が可能となり、展示会での目標達成に向けて十分な時間を確保できます。また、早期に準備を始めることで、予期せぬ遅延や問題が発生した場合にも柔軟に対応できるため、リスク管理の観点からも重要です。
①目的の明確化・KPI設定
展示会出展の目的と照らし合わせながら、ノベルティを配布する目的を明確にします。優先順位を決めることによってノベルティ選定がスムーズにいきます。上記で紹介した3つの目的から優先順位をつけても良いでしょう。
下記のように目的によって、その後のノベルティを検討すべき内容が変わっていきます。
・見込み顧客・商談獲得の場合 パンフレットとセットにして配布できるノベルティ
・名刺獲得の場合 バーコードリーダーなど名刺獲得ツールを使いつつ配布できるノベルティ
・認知向上の場合 継続して使ってもらえるオリジナルのノベルティ
また、目的を明確にしたら、展示会の目標に沿ってノベルティ配布のKPIを設定します。KPIの例として以下が挙げられます。
・見込み顧客・商談獲得 ブース内へ案内した来場者数・企業数など
・名刺獲得の場合 ノベルティの配布数、名刺獲得数など
・認知向上の場合 ノベルティの配布数など
これらのKPIを設定することで、展示会終了後の成果測定や次回の改善につなげることができます。目的とKPIを明確にすることで、ノベルティの選定や配布方法をより戦略的に検討することが可能となります。
②ターゲット設定
目的を明確にした後、次のステップはターゲットの設定です。ここで重要なのは、製品やサービスの実際の利用者ではなく、展示会に来場して導入を検討する人物をターゲットとすることです。
例えば、パート・アルバイト向けの勤怠管理システムの場合、主な利用者は学生や女性かもしれません。しかし、展示会で導入を検討するのは人事担当者です。そのため、人事担当者を主なターゲットとして、その年齢層や役職、役割などを具体的に設定していく必要があります。
BtoBの場合、製品やサービスの導入プロセスには複数の担当者や決裁者が関わることがあります。しかし、ノベルティのターゲット設定においては、展示会に来場しない担当者や決裁者を想定する必要はありません。あくまでも展示会に実際に足を運ぶ担当者をターゲットとして設定することが重要です。
このようにターゲットを絞り込むことで、より効果的なノベルティの選定や配布戦略を立てることができます。また、ターゲットの特性や興味関心に合わせたアプローチが可能となり、展示会での商談獲得や名刺収集の成功率を高めることができるでしょう。
③ノベルティ選定
ターゲットが明確になったら、ノベルティの候補をあげて選定していきます。ノベルティの候補をあげる際には、下記の4つの軸をふまえ検討していくと良いでしょう。
・ターゲットの属性
・展示会の開催時期
・配布のシチュエーション
・予算と配布数
2つほど候補のイメージを紹介します。
【見込み顧客・商談獲得】
ターゲット:40~50代男性/オフィス勤務
開 催 時 期 :夏
配布シーン:パンフレットを見せながら声かけをする
ノベルティ:制汗シート
選 定 理 由 :・展示会中は暑く、歩き回ることで汗をかきやすい
・会社に戻る、家に戻る前にすっきりとできるもの
・パンフレットと一緒にクリアファイルにも挟める
【名刺獲得】
ターゲット:30~40代男性/妻・子2人の4人家族
開 催 時 期 :秋
配布シーン:ノベルティを配布しながら、名刺獲得ツールを使う
ノベルティ:お菓子
選 定 理 由 :・展示会中は沢山のパンフレットを持ち荷物が多い
・お菓子はお土産として子どもに喜んでもらえる
・お菓子はかごに入れて、バーコードリーダーと持てる
複数の候補は表にして一覧にしたうえで、最終的に決定していきます。この際、社内での意見交換や、過去の展示会での経験も参考にすると良いでしょう。また、予算と配布数のバランスを考慮し、コストパフォーマンスの高いノベルティを選ぶことも大切です。
ノベルティの発注から展示会当日まで
展示会でのノベルティ活用を成功させるためには、発注から当日までの綿密な準備が重要です。まず、ノベルティが選定されたら、展示会の開催日程を考慮して適切なタイミングで発注を行います。同時に、納品日やデザインデータの入稿日など、重要なマイルストーンを含むスケジュールを策定します。
企業ロゴの印字のみであれば比較的短期間で製作可能ですが、オリジナルデザインやリーフレットが必要な場合は、デザイン制作や校正確認などの工程を考慮し、十分な時間を確保する必要があります。社内にデザインリソースがない場合は、外注も視野に入れてスケジュールを組むことが賢明です。
納品に関しては、多くの場合、展示会の開催場所を指定することが可能です。主催者が提供する展示会マニュアルに従って、正確な納品先と日時を登録しましょう。通常、展示会前日までに納品を完了させる必要があります。
展示会前日には、ブースの設営確認と併せてノベルティの到着を確認し、パンフレットとの組み合わせやディスプレイの準備など、配布に向けた最終的なセッティングを行います。効率的な配布を実現するため、スタッフの動線を考慮しながら、ノベルティの補充場所や方法も事前に決定し、関係者全員で共有しておくことが大切です。
①ノベルティ発注・スケジュール策定
ノベルティの選定が完了したら、いよいよ発注の段階に入ります。同時に、展示会開催日を起点としたスケジュール策定も重要です。具体的には、納品日やデザインデータの入稿日(デザイン決定)などの重要な日程を逆算して設定していきます。
ノベルティの種類によって必要な制作期間が異なることに注意が必要です。例えば、企業ロゴのみを印字する場合は比較的短期間で済みますが、オリジナルデザインのリーフレットや特殊なノベルティの場合は、デザイン制作・入稿・校正データの確認などのプロセスが加わるため、より長い制作期間を見込む必要があります。
また、社内にデザイン制作のリソースがない場合は、外注を検討する必要があります。外注の場合は、デザイナーとのコミュニケーションや修正のやり取りなども含めて、十分な時間的余裕を持ったスケジューリングが求められます。
スケジュール策定時には、以下の点に特に注意を払いましょう。
・展示会開催日から逆算した各工程の締め切り日
・ノベルティの種類や複雑さに応じた制作期間の見積もり
・デザイン制作や校正に要する時間の確保
・外注の場合の追加的な時間の考慮
・不測の事態に備えたバッファの設定
適切なスケジュール管理により、展示会当日に向けて準備を滞りなく進めることができます。
②納品・配布準備
納品先は展示会の開催場所を指定することができます。主催企業が用意する展示会マニュアルに従い、納品先と納品日(展示会の前日まで)を登録します。
展示会の前日にブースの立ち合いとともに、ノベルティが無事に届いているか確認をします。そして、パンフレットと一緒にクリアファイルに挟む作業や、かごの準備などのセッティングを行います。
また、展示会中、手持ちのノベルティがなくなった際にスムーズに新しいノベルティを補充できるように、呼び込みスタッフの導線も考慮しながら、補充場所を設定しスタッフへ共有しておきます。
展示会当日に向けて、以下の点にも注意を払いましょう。
●ノベルティの数量確認: 予定配布数に対して十分な量が納品されているか確認します。
●保管場所の確保: ブース内または近くに、ノベルティを安全に保管できるスペースを確保します。
●配布方法の決定: スタッフ間でノベルティの配布方法を統一し、効率的に行えるよう事前に確認します。
●緊急時の対応: ノベルティが予想以上になくなった場合の対応策を事前に検討しておきます。
これらの準備を入念に行うことで、スムーズなノベルティ配布と効果的な展示会運営が可能となります。
③会期中・終了後
会期中はノベルティをスムーズに配布できるよう、定期的に在庫状況を確認します。1日の終了時には在庫数を確認し、配布数を確定させます。設定した目標の進捗状況も確認し、改善点があれば翌日から反映します。
効果的なノベルティ配布のために、以下の点に注意しましょう。
・来場者の反応を観察し、人気のあるノベルティは重点的に配布
・スタッフ間で配布状況や来場者の反応を共有し、戦略を適宜調整
・予想以上の人気がある場合は、配布基準を見直すなど柔軟に対応
すべての会期が終了したら、余ったノベルティは丁寧に梱包し会社へ送ります。また、会期中の配布実績や来場者の反応をまとめ、次回の展示会に向けた改善点を洗い出すことも重要です。これにより、より効果的なノベルティ戦略を立てることができます。
ノベルティの種類と単価
ノベルティには様々な種類があり、用途や予算に応じて幅広い選択肢が存在します。定番のものとしては、ボールペンやメモ付箋などの文房具、手提げ袋やバックなどが挙げられます。また、お菓子やお米といった食料品、さらにはユニークなアイデア商品まで、多岐にわたるラインナップがあります。
単価については、100円未満の手頃な商品から1000円以上の高級品まで、予算に応じて柔軟に選択できます。ただし、高額なノベルティが必ずしも効果的というわけではありません。重要なのは、ターゲットとする来場者のニーズや興味に合致しているかどうかです。
ノベルティ選びの際には、以下の点を考慮することが重要です。
・実用性: 日常的に使用できるものか
・記憶性: 企業や製品を思い出させる要素があるか
・話題性: 会話のきっかけになるような特徴があるか
・携帯性: 展示会場から持ち帰りやすいサイズや重さか
最終的には、ノベルティ自体が直接的に見込み顧客や商談の獲得に大きな影響を与えることは稀です。むしろ、ノベルティは来場者との接点を作るきっかけとして捉え、その後の商談獲得までの導線設計により重点を置くべきです。
選定に迷った場合は、展示会の出展目的やノベルティの配布目的、設定された予算から大きく逸脱しない範囲で、ターゲットが受け取って嬉しいと感じるか、自然な会話のきっかけになるかといった観点からシンプルに判断することをおすすめします。
まとめ
展示会でのノベルティ配布には、主に3つの目的があります。①見込み顧客・商談の獲得、②来場者の名刺獲得、③継続的な認知向上です。これらの目的を明確にすることで、効果的なノベルティ選びができます。
ノベルティを選ぶ際は、4つの軸を考慮します。ターゲットの属性、展示会の開催時期、配布のシチュエーション、そして予算と配布数です。これらの要素を総合的に検討することで、より適切なノベルティを選定できます。
展示会期間中は、日々の在庫確認と配布数の把握が重要です。また、設定した目標に対する進捗状況を確認し、必要に応じて翌日からの改善策を講じることが大切です。
ノベルティ自体が直接的に見込み顧客や商談の獲得に大きな影響を与えるわけではありません。むしろ、ノベルティは来場者との接点を作るきっかけとして捉え、その後の商談獲得までの導線設計を十分に検討することが重要です。効果的な導線設計こそが、成果につながる鍵となります。
最終的にノベルティ選びで悩んだ場合は、展示会出展の目的やノベルティ配布の目的、予算から大きく外れていなければ、ターゲットが喜ぶかどうか、会話のきっかけになるかどうかといった点でシンプルに判断することをおすすめします。
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