こんにちは、JADE伊東です。
新年あけましておめでとうございます。2025年も本検索順位変動まとめをどうぞよろしくお願いいたします。
それにしても大型の検索アルゴリズム更新の動向が目まぐるしい11月、12月でした。
11月12日からの2024年11月コアアップデート更新。
12月12日からの2024年12月コアアップデートの更新。
そして、2024年12月スパムアップデートの更新。
2000年代前半にGoogleが12月のホリデーシーズンに行ったアルゴリズム更新が多くのオンラインECサイトをはじめとしたビジネスに影響を及ぼしたことから、年末商戦の時期は大型のアルゴリズム更新は行わないという「慣例」がしばらく続いておりました。これはGoogleとウェブマスターとの紳士協定のようなもので、正式なポリシーではありません。
ただ、これはその後しばらくの間は守られてはいたので、「12月は大型アプデなし」がSEOをやっている人の頭の中には染みついている方々も多いようです。
▼2013年頃のマット・カッツ氏のX投稿
https://x.com/mattcutts/status/413422455428890624
Actually, we try to minimize major updates right before the holidays.
(意訳)事実、ホリデーシーズン前は大規模アップデートはなるべく抑えようとしているよ。
個人的には外資系の企業の方と仕事すると12月はお休みに入って連絡が取りづらくなる経験もありますし、「12月はコードフリーズ。そういうもの」とすっかり思っていたんですけどね(笑)。
それから、11月にコアアップデートがあることで「12月の休み前に、駆け込みで仕事を終わらせようとしたな!」と勝手な邪推をしてしまったのも、12月の連月アプデに「お…おぅ」となってしまったもう一つの理由かもしれません。
コアアップデートは再インデックスが絡む準備が大変な大型バッチ処理なのに、連月に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
私自身もちょっと思ったりしますが、最近、Googleがアルゴリズム更新のことを「システム更新」と呼ぶようにしていることを思い出すと納得できるようにも思います。
自社でウェブサイト運営していると、プログラムのモジュール更新は頻繁に行われますよね。それと同じイメージを持ってもらうために、なんだか得体のしれないアルゴリズムというものではなく、「システム」と呼ぶようになっているのかなと思います。
さて、それでは本題に移りたいと思います。スタート!
グラフの見方:
横軸は日付を示しています(直近6ヶ月推移)。縦軸は変動率(Fluctuation Score:前週に対しての計測クエリ全体の順位変化率)、またはビジビリティスコア(Visibility Score:順位に対してスコア付けをして、サイト単位での検索エンジンにおける”見つけられさ”を点数化したもの)を示しています。
目次
全体傾向
先月の検索順位変動レポートでは、11月のコアアップデート開始直後の状況をとらえておりましたが、その推移の全体像は以下でご確認いただけます。
あらためて振り返ってみてのコメントは前回レポートと同じく、「3月のコアと同程度で、8月よりは小さめ」の結果となりました。
業界別
業界別においては、前回の途中経過レポートでは、「健康・医療」「アダルト」「エンタメ」系の変動が大きいというお話をさせていただきましたが、概ねその傾向は維持されました。
12月のコアアップデートはすでに完了しておりますが、弊社分析レポートは次回以降にまた改めてお伝えできればと思います。
コアアップデートについては、スイス・チューリッヒで行われたGoogleの検索関連イベントでの公式発言が少し注目されています。
その内容を、鈴木謙一さんがブログでご紹介くださっていますので、少し引用させてください。
最初のセッションで登壇した検索リレーションズチーム社員の 1 人はコア アップデートの将来の展望として次のように言及しました。
「将来的にはさらに多くのコアアップデートが実行され、さらに高速化されるだろう。これらのアップデートをより頻繁に行うようにランキングチームは取り組んでおり、SEO 担当者が行った作業が検索結果に反映されるまでの時間を短縮したいと私たちは考えている。」
かつてのパンダアルゴリズム、ペンギンアルゴリズムも同様の流れを経たので、この発言には個人的には注目しています。
「SEOを意識した改善の答え合わせが次のコアアップデート」という慣習も早晩なくなるかもしれません…ね。
▼【December 2024 core update】Google、2か月連続のコア アップデート。将来はコア アップデートはリアルタイムになる?(海外SEO情報ブログ)
https://www.suzukikenichi.com/blog/google-has-rolled-out-december-core-update-following-closely-on-the-heels-of-november-update/
トピック:コミュニティサイト下落傾向
前回の記事でFAQサイトがコアアップデートで上昇したことを取り上げましたが、今後調整が入るかもしれません。大手プラットフォーム運営の掲示板型コミュニティサイトのビジビリティがコアアップデートを契機に下落傾向です。FAQサイト群との入れ替わりの可能性も考えらます。
英語圏のGoogleではフォーラムサイト(編注:多くの人々が集って意見を寄せ合う掲示板的なサイト)への人気が高まっていることからGoogleも検索結果内で目立たせる動きを始めています。
こういった文脈のなかでナレッジシェア系のUGC動向は注目に値するところだと考えます。
日本では、定番と呼べるReddit(編注:アメリカの若い世代に人気のSNSプラットフォーム)的なものが今のところありませんが、2025年はこれを機会ととらえて事業展開してくる企業が出てきたりするのでしょうか。
▼大手プラットフォーム運営掲示板サイトのビジビリティ下落ケースその1
▼同その2
トピック:セパレートURLタイプのサイトで表示URL切り替わり
弊社の「検索結果モニタリングチーム」が、セパレートURL(編注:PCとモバイルで異なるURLでコンテンツを配信すること)型サイトの検索結果で表示されるURLの表記ゆれを発見、共有いたします。
興味深いこととしては、スマホ版GoogleでもPC版URLが(検索結果表示としての)主になるケースが目立つという点です。
以下に2サイトの事例をご紹介します。特に左端の「スマホ版Google」におけるオレンジ色の層の割合の高まりに注目してください。これは、PC版ドメインを表しています。元々、一定レベルのPC版URL表示はあったものの、それが圧倒的に伸びた図に見えますね。
▼スマホ検索でPC版URL表示の急上昇事例その1
▼同その2
PC版URLとスマホ版URLはエンティティとしては同一認識されていますから、ランキングそのものが変わったわけではない点は付言しておきます。
どうしてこんなことが起こるのでしょうか?妄想してみるとSEO知識に関する受動知識を能動知識に転換する良いトレーニングになるかもしれません。
「PC版サイトのアクセスも十分多くてクリックされがちだからそれがシグナルになった?」
「セパレートURLサイト向けには、デスクトップファースト時代のPC版URLをCanonicalにするのを変更する必要はなし、という方針が影響している?」
正解はわかりませんが、皆さんはどう思われますか?
関連リンク:重複コンテンツとは?SEO対策に与える影響を徹底解説
リニューアルECサイトのリダイレクト問題
「神は細部に宿る、SEO評価はURLに宿る」、これ、2024年9月のレポートにも書いたような気がします。
リニューアルの時は、リダイレクト設計が本当に大事です。が、直近で実店舗もある某ECサイトのリニューアルにおいて下層ページのリダイレクトが設定されていない事案をまた発見してしまいました。
店舗のブランド力が強くて、指名検索が強いと気付くのが遅れがちです。
早く、、早く気づいてほしい。
▼リダイレクトせずにリニューアルするのは危険
ベータ版:Google vs. Bingの業界単位比較
弊社の「検索結果モニタリングチーム」が興味深い試みを開始してくれました。
これまでの記事でお届けした業界別動向はクエリをジャンル分けしたものが軸となっておりましたが、URLに属性を付与してGoogleとBingでどういう属性のサイトがどの業界では評価される傾向にあるか、されないかをマクロ的に確認できるレポートの準備を始めてくれています。
今回は、そのいくつかをチラ出しです。あくまでベータ版ということでご容赦ください。
金融カテゴリ
YMYL(編注:Your Money Your Lifeの略)系の金融カテゴリについて。Googleでは寄生サイト(編注:大手サイトのサブドメインやサブディレクトリを間借りしたサイト)のビジビリティは減少しているが、Bingだとまだ高い模様。
家電
家電系ジャンルは、アマゾン・楽天など大手プラットフォームのあるECデータベースサイトがGoogleでは強い一方、比較サイトがBingでは優位という興味深い結果。
在庫が豊富→ユーザー行動が完結する、大手ECはそもそもURLが膨大でクロール・インデックスが大変などの背景が影響しているのかもしれません。
飲食関連(外食、デリバリー等)
飲食においてもオンラインでのトランザクションが発生するサイトがGoogleでは強い一方、Bingではテキスト情報系が強いという結果に。
Bingについて、Bingの公式ドキュメントの確認、ウェブマスターツールの利用以外に、「Googleとの差異」から傾向を推し量るという手法をとることができます。
SEOをやっている皆さんはGoogleについての知識は豊富なので、”Googleのレンズを通して”(Googleレンズじゃないよ)、Bingを眺めてみると見通しが良くなるかもしれません。
その他定期ウォッチ:ユニバーサル検索動向
画像検索、レビュースニペットの表示がスマホ版で少し増えている?
先にも上げたディスカッション・フォーラム枠の表示の日本対応がここでも気になりますね。
日本版Googleでのテストも少し始まっているようです。
▼Google、日本版「ディスカッションとフォーラム」をテスト中(海外SEO情報ブログ)
https://www.suzukikenichi.com/blog/google-testing-forums-and-discussions-in-japan/
その他定期ウォッチ:強調スニペット
大きな変化なし。
それでは、今回はここまで。
旧年中は大変お世話になりました。
2025年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。
今年も精魂込めます!
JADE X:https://x.com/_jade_kk
データ作成:株式会社JADE Senior Consultant 篠原誠
文責:株式会社JADE 代表取締役 伊東周晃
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関連リンク
・【2024年度版】SEOとは?基礎知識と具体的な施策を詳しく解説
・アルゴリズムとは?基本の意味や種類、検索アルゴリズムまでを徹底解説