オウンドメディアを成功に導くためには、明確なコンセプト設計が不可欠です。感覚的に「こんな感じでいこう」と決めてしまうのではなく、オウンドメディア コンセプト を確立するための体系的なアプローチが重要となります。このコンセプトこそが、自社の抱える課題と、ターゲット読者が求める情報とを結びつける羅針盤となるからです。
オウンドメディアは、企業が主体となって運営するメディアである以上、その存在意義は自社の事業課題の解決に直結し、最終的には売上や利益の向上に貢献するものでなければなりません。しかし、オウンドメディアが持つ独自の性質、すなわち「自然検索からの流入に依存する集客構造」を理解することも重要です。読者は自身の疑問や関心事に対する答えを求めて検索を行い、そこに求めている情報がなければ、そのコンテンツは価値を失ってしまいます。
したがって、オウンドメディアは「企業が解決したい課題」と「読者が本当に求めている情報」という二つの要素を高いレベルで満たす必要があります。これは、単に自社製品やサービスを宣伝するだけの広告とは一線を画す点です。この「自社の課題」と「読者のニーズ」の架け橋となるのが、まさしくコンセプトなのです。もしコンセプトが曖昧なままオウンドメディアを立ち上げてしまうと、読者との間に乖離が生じ、企業の一方的な情報発信に終始してしまうリスクが高まります。効果的なコンセプト設計は、オウンドメディアのコンテンツ制作における一切の指針を決定づける、極めて重要なプロセスと言えるでしょう。
オウンドメディアの立ち上げにコンセプト設計は必須
オウンドメディアを立ち上げるにあたっては、入念な手順を踏んだコンセプト設計が必須です。
その理由は、コンセプトこそが、自社の課題と読者が求めている情報とをつなぐものになるからです。
オウンドメディアは、企業が運営するものである以上、自社の何らかの課題を解決するものでなくてはなりません。
そして最終的に、売上や利益とつながっていかなくてはなりません。
しかしオウンドメディアは、企業が保有する広告などの他のメディアにはない、独特の性質をも持っています。
それは「オウンドメディアの集客は自然検索からの流入によって行われる」ということです。
自然検索においては、読者は、自分が求めている情報について検索を行います。
検索をしてたどり着いた先の記事に読者が求めている情報が掲載されていなければ、読者にとってその記事は意味がないものとなってしまいます。
オウンドメディアは、企業が解決したい課題と読者が求めている情報との、両方を兼ね備えていなくてはなりません。
これがただ自社の製品・サービスを売り込むだけの広告とオウンドメディアとが大きく異なる点となります。
この「自社が解決したい課題」と「読者が求める情報」とをつなぐものが、コンセプトです。
コンセプトをしっかりと考えずに立ち上げたオウンドメディアは読者との溝ができ、企業の一人よがりに終わる可能性が高くなります。
オウンドメディアのコンセプト設計方法
オウンドメディアのコンセプトをどのように設計すればよいのか? その手順を見ていきましょう。成功するオウンドメディアのコンセプト設計は、単なる思いつきではなく、戦略的なアプローチに基づいています。ここでは、その具体的なステップを解説します。
1. SWOT分析で自社の現状を確認する
オウンドメディアのコンセプト設計において、まず自社の現状を正確に把握することは極めて重要です。そのための効果的な手法として、SWOT分析を導入しましょう。SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字をとったフレームワークであり、自社の内部環境と外部環境の両面から、プラス要因とマイナス要因を網羅的に分析します。
この分析を行うことで、自社が持つ独自の強みや、事業展開において活用できる機会を明確にすることができます。同時に、克服すべき弱みや、事業の成長を妨げる可能性のある脅威も浮き彫りにします。SWOT分析は、できる限り客観的な事実や具体的なデータに基づいて実施することが推奨されます。特に、自社の強みや機会を評価する際には、過度な楽観論に陥らず、冷静かつ現実的な視点を持つことが、後続のコンセプト設計を確かなものにするための鍵となります。この客観的な現状把握こそが、読者のニーズと結びつく、実効性のあるオウンドメディアコンセプトの土台となります。
2. ターゲットとなる読者を確認する
次に、オウンドメディアのターゲットとなる読者層を明確に定義します。これは、コンセプト設計の根幹をなす非常に重要なステップです。漠然としたターゲット設定では、読者の心に響くコンテンツ制作は難しくなります。
ターゲット読者の特定にあたっては、可能な限り具体的な事実やデータに基づいて検討することが大切です。例えば、自社の主要な顧客層を分析し、その中でも特に収益に貢献している上位20%程度の顧客企業をピックアップすることが有効なアプローチの一つです。
これらの企業について、以下のような点を詳細に調査・分析します。
・業種: どのような業界に属しているか。
・企業規模: 従業員数、売上高などの規模感。
・抱える課題: その企業が現在、どのようなビジネス上の課題や悩みを抱えているか。特に、自社の製品やサービスが解決できる可能性のある課題に焦点を当てます。
・購買担当者の属性: 実際に商材の検討や購入決定に関わる担当者はどのような役職で、どのような情報に関心があるか。彼らがどのような情報源から知識を得ているかなども考慮に入れます。
このように、ターゲット読者の具体的な状況やニーズを深く理解することで、彼らが「求めている情報」を正確に把握し、オウンドメディアで提供すべきコンテンツの方向性を定めることができます。この読者中心のアプローチこそが、オウンドメディアが自然検索からの流入を獲得し、読者に価値を提供するための基盤となります。
3. 自社の現状と読者が解決したい課題からコンセプトを設定する
ここまでで、オウンドメディアのコンセプトを設計する準備ができました。いよいよコンセプトを考えていきます。コンセプトは、「自社の強みを生かすことができ、かつ読者が求めている情報である」ことが重要です。単に自社の製品やサービスをアピールするのではなく、読者の課題解決に貢献できる情報を提供することが、オウンドメディアの成功の鍵となります。
自社と読者についてのこれまでの分析、特にSWOT分析で明らかになった自社の強みや機会、そしてペルソナ設定で明確になった読者の抱える課題やニーズを見比べながら、両者をつなぎ合わせることができるコンセプトを探しましょう。このオウンドメディア コンセプトは、記事作成の指針となるだけでなく、メディア全体の方向性を決定づける羅針盤の役割を果たします。具体的には、「〇〇(自社の強み)を活かし、△△(読者の課題)を解決する情報を提供する」といった形で、明確かつ簡潔に定義することが望ましいです。このコンセプトを軸に、読者が「このメディアに来れば、自分の知りたい情報や課題解決のヒントが得られる」と認識できるよう、コンテンツ戦略を展開していくことが成功への近道となります。
4. ペルソナを設定する
コンセプトを設定したら、次にペルソナを設定しましょう。ペルソナとは、メディアのターゲットとなる「理想的な顧客像」を具体的に言語化したものです。ペルソナを設定することで、コンテンツ制作の方向性がより明確になり、読者に響くメッセージを届けやすくなります。BtoBのオウンドメディアにおいては、単に直接の購買担当者だけでなく、商材の購買決定に関わる決済者や、導入にあたって合意形成が必要となる他部署の担当者など、複数の関係者の「企業ペルソナ」を作成することが重要です。これにより、より多角的な視点から読者のニーズを捉え、包括的なコンテンツ戦略を立案することができます。
5. カスタマージャーニーを設計する
最後にカスタマージャーニーを設計します。カスタマージャーニーとは、ペルソナがオウンドメディアを認知してから、最終的に購買に至るまでのプロセス全体を指します。これは、顧客がどのような段階を経て、貴社の製品やサービスに関心を持ち、最終的に購入を決定するのかを時系列で可視化するものです。
「認知」「情報収集」「比較検討」「購買」といった主要なフェーズごとに、ペルソナがどのような情報ニーズを持っているのか、そしてそれに対してオウンドメディアでどのようなコンテンツを提供できるのかを具体的にまとめます。このプロセスを詳細に設計することで、各段階で顧客に最適な情報を提供し、スムーズな購買行動へと導くためのコンテンツ戦略を立案することが可能になります。オウンドメディア コンセプトに基づき、各フェーズにおける顧客の心情や疑問、行動を深く理解することが、効果的なコンテンツ制作の鍵となります。
BtoBオウンドメディアのコンセプト例
成功しているBtoBオウンドメディアのコンセプト例を見てみましょう。オウンドメディアのコンセプトを明確にすることで、ターゲット読者への訴求力が高まります。
溶接会社三郷金属工業株式会社が運営するオウンドメディアです。ターゲットは、溶接技術を必要とする企業の担当者です。溶接の解決事例が加工技法や素材別に、画像とコメントで多数紹介されています。これにより、読者は具体的な課題解決のイメージを持ちやすくなっています。その他にも、『社長ブログ』や社内サークルの活動報告、担当社員が会社の考え方を紹介するブログなどがあり、全体として会社の信頼性を高め、人間味あふれる側面を見せることで、より親近感を持たせ、長期的な関係構築を目指しています。
マーケティングオートメーション制作会社であるカイロスマーケティングが運営するオウンドメディアです。ターゲットは、BtoBのマーケターです。マーケティングオートメーションをはじめとする、BtoBマーケティングの基本知識が、網羅的かつ体系的に紹介されています。専門用語の解説や具体的な活用事例を交えることで、初心者から経験者まで、幅広い層のマーケターが求める情報を提供し、知識習得の場として位置づけられています。
まとめ
オウンドメディアを成功に導くためには、オウンドメディア コンセプトの設計が不可欠です。コンセプト設計は、単なる思いつきではなく、自社の現状分析(SWOT分析など)とターゲット読者が抱える課題やニーズの深い理解に基づき、両者を結びつける明確な指針を定めるプロセスです。このコンセプトが、読者にとって価値のある情報提供と、企業が達成したいビジネス目標との橋渡し役となります。さらに、具体的な読者像(ペルソナ)を設定し、その読者がオウンドメディアを認知してから最終的な購買行動に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)を設計することで、より効果的なコンテンツ戦略を展開することが可能になります。これらのステップを踏むことで、読者との間に信頼関係を築き、オウンドメディアの目標達成へと繋げることができるでしょう。


