Web制作において、JPEGの画像データは欠かせない存在です。検索エンジンからの評価を高め、ユーザーにストレスのないWebサイトを構築するためには、画像データの容量をできるだけ小さくし、表示スピードを向上させることが重要です。
本記事では、JPEGの圧縮や変換方法、便利な無料ツールについて詳しく解説します。また、JPEGとJPG、PNGなどの違いについても併せて説明していきます。
目次
JPEGとは
JPEG(ジェーペグ/ジェイペグ)とは、「Joint Photographic Experts Group」の略称で、画像ファイルにおけるデータ圧縮形式の一つです。JPEGは、写真や絵画などの静止画像を、一見した限りでは違いが分からない程度に画質(品質)を落とし、ファイルサイズを小さくする技術です。
JPEGは、グラデーションや色数が多い画像を効率的に圧縮できる特徴があります。jpg 変換を行うことで、元の画像の視覚的な品質を維持しつつ、ファイルサイズを大幅に削減することが可能です。JPEGファイルの拡張子は「.jpeg」もしくは「.jpg」で、どちらも同じ形式を指します。
※拡張子とは、そのファイルがどのような種類のものかを見分けるための文字列です。ファイル名の末尾に付き、Wordファイルでは「.doc」、メモ帳のテキストファイルでは「.txt」と、ピリオドの後ろに表示されます。
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JPEG形式の特徴
JPEGは用途に合わせて圧縮率を変えることができる画像形式ですが、「非可逆圧縮」という特性を持つため、jpg 変換や保存のタイミングには注意が必要です。一度低画質で保存したJPEGファイルは、画質を元に戻したりそれ以上高画質にしたりすることができません。このため、JPEGの変換や圧縮を行う際は、元の画像の品質を考慮することが重要です。
JPEGで画質(品質)を落としたくないときは、編集が完了した時点でJPEG形式に変換して保存するか、上書き保存を行わず、別ファイルとして名前を付けて保存し、元画像を残しておくとよいでしょう。これにより、必要に応じて高品質の画像に戻すことができます。
JPEGは保存する度にデータが間引きされて劣化してしまうため、1回保存したものと数回保存したものを比較すると、かなりの違いが生じます。jpg 変換や圧縮を繰り返すなどの編集を行った場合は、色むらや色あせ、ぼやけが出ることを理解しておきましょう。
また、JPEG形式は写真やグラデーションのある画像に適していますが、シャープな線や文字を含む画像では、圧縮によって画質の低下が目立つ場合があります。このような場合、PNG形式など他の画像形式を検討することも有効です。
JPEG変換ツールやソフトウェアを使用する際は、圧縮率や画質設定を適切に調整することで、ファイルサイズと画質のバランスを取ることができます。Web用の画像を作成する場合、表示速度とビジュアルの品質の両方を考慮しながら、最適なJPEG設定を見つけることが重要です。
JPEGの歴史
JPEGは、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)、国際電気通信連合(ITU)の合同グループ「Joint Photographic Experts Group」が規格した画像形式です。JPEG形式が開発される以前には、既にBMPやGIFといった画像形式が存在していましたが、それぞれに短所があったため、それらを補完する目的でJPEGが規格化されました。
当時はインターネットの通信速度が遅かった時代でしたが、JPEGの効率的な圧縮方式や転送面における汎用性から、多くのユーザーに広く採用されるようになりました。JPEG変換技術により、画像データの効率的な圧縮と高画質の両立が可能となり、特に写真のような自然画像の圧縮に適していました。
JPEGが誕生した背景
JPEGの誕生は、インターネットの黎明期に遡ります。1995年、日本でインターネットが普及し始めた「インターネット元年」に、JPEGは重要な役割を果たすべく開発されました。当時の主な課題は、高画質で大容量の写真データを、いかに効率的に扱うかということでした。
JPEGが登場する以前は、BMPとGIFが主要な画像形式でした。しかし、これらの形式にはそれぞれ課題がありました。BMPは画質が優れているものの、ファイルサイズが大きすぎるという問題がありました。一方、GIFは軽量でしたが、色数が限られていたため、写真のような複雑な画像の表現に適していませんでした。
当時のインターネット環境は、現在と比べて非常に制限されていました。ダイヤルアップ接続が主流で、通信速度に技術的な限界があり、さらに従量課金制度も一般的でした。このような状況下で、大容量のBMPファイルをオンラインで送受信することは、時間とコストの面で非常に困難でした。
そこで登場したのが、JPEG形式です。JPEGは、非可逆圧縮技術を採用することで、画像データの一部を欠落させつつも、人間の目には違いが分からないレベルで画質を維持しながら、大幅なデータ削減を実現しました。この技術により、高画質な写真データをインターネット上で効率的に扱うことが可能になったのです。
JPEGの登場は、画像のオンライン共有を容易にし、ウェブデザインや電子商取引などの分野に革命をもたらしました。また、デジタルカメラの普及と相まって、JPEG形式は一般ユーザーにも広く受け入れられるようになりました。
さらに、GIF形式の特許問題が浮上したことも、JPEGの普及を後押しする要因となりました。GIFの代替として、JPEGはより自由に使用できる画像形式として注目を集めました。
このように、JPEGは技術的な課題を解決し、インターネットの発展とデジタル画像の普及に大きく貢献しました。今日でも、JPEGは写真やウェブコンテンツで広く使用される重要な画像形式として、その地位を維持し続けています。
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1994年に規格書が提出される
1994年、JPEGの画像形式に関する規格書が日本工業規格(JIS)に提出されました。この重要な出来事により、JPEGは正式な画像圧縮規格として認められることとなりました。翌1995年には「規格番号:JIS X 4301」として国内で規格化され、jpg変換や画像圧縮の標準として広く普及していきました。
この規格化により、JPEGは日本国内でも公式に認められた画像形式となり、多くのソフトウェアやデバイスでJPEG形式のサポートが進みました。特にウェブ上での画像表示やデジタルカメラの写真保存など、様々な場面でJPEG形式が活用されるようになりました。
JPEGの規格化は、画像のデジタル化や情報共有の効率化に大きく貢献しました。jpg変換技術の進歩により、高画質でありながらファイルサイズの小さな画像を扱えるようになり、インターネットの普及と相まって、画像データの送受信や保存が容易になりました。
また、JPEG形式の標準化により、異なるデバイスやソフトウェア間での互換性が向上し、画像データのやり取りがスムーズになりました。これにより、写真や画像を用いたコミュニケーションが活発化し、ビジネスや個人の日常生活においても、JPEG形式の画像が欠かせないものとなっていったのです。
参考
・連続階調静止画像のデジタル圧縮及び符号処理-第1部 要件及び指針
・公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会 電子化文書の画像圧縮ガイドライン
JPEGの主な用途
JPEGの主な用途としては以下が挙げられます。
- 写真を表示する
- Webパブリッシング
- デジタルカメラでの画像保存
- ソーシャルメディアでの画像共有
- 電子書籍の挿絵
- 広告やバナー画像の作成
- 印刷物のデジタルデータ化
- 画像編集ソフトでの作業
これらの用途において、JPEGは高い画質を保ちながらファイルサイズを抑えることができるため、非常に重宝されています。特にインターネット上での画像共有やウェブサイトのデザインにおいて、JPEGは欠かせない画像フォーマットとなっています。
写真を表示する
JPEGは扱える色数が1,677万色(24bitフルカラー)と非常に多く、グラデーションなど色の移り変わりも綺麗に表現できます。JPEGに変換することで、扱える色数が多いにもかかわらずデータ容量を非常に少なくでき、写真をオンラインで公開するときなどに適しています。
例えば、写真撮影時には非圧縮で大量のデータを保持するRAW形式で撮影し、オンラインでの写真公開時にはJPEGに変換してから公開する、という活用方法などがあります。JPEGへの変換により、高画質を保ちつつファイルサイズを大幅に削減できるため、写真共有サイトやSNSでの投稿に最適です。
また、デジタルカメラで撮影した写真をJPEG形式で保存することで、メモリーカードの容量を効率的に使用できます。JPEG変換によって写真のファイルサイズを小さくすることで、より多くの写真を保存することが可能になります。
さらに、JPEG形式は幅広いデバイスやソフトウェアで対応しているため、変換した写真を様々な環境で表示することができます。例えば、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、異なるデバイス間でJPEG画像を簡単に共有・表示できます。
このように、JPEG変換は写真の表示や共有において非常に有用な技術であり、デジタル写真の世界では欠かせない存在となっています。
Webパブリッシング
JPEGは高画質でありながらデータ容量を非常に軽くできるため、Webページの読み込み速度を短縮できます。jpg変換を行うことで、ユーザーがコンテンツにストレスなくアクセスでき、クラウドストレージの容量も圧迫しにくいため、画像コンテンツをダウンロードしてもらいたいときなどに適しています。また、Webサイトのデザインや写真ギャラリーなど、視覚的な要素が重要な場面でJPEGの使用が効果的です。
特に、jpg変換された画像は、Webサイトのパフォーマンス向上に大きく貢献します。画像の圧縮率を調整することで、表示速度と画質のバランスを最適化できます。例えば、商品画像やバナー広告などの重要な視覚要素は、適切なjpg変換によって高画質を維持しつつ、ファイルサイズを抑えることができます。
さらに、ソーシャルメディアやブログなどでの画像共有においても、JPEGはファイルサイズと画質のバランスが取れた選択肢となります。jpg変換ツールを使用することで、ユーザーは簡単に最適化された画像を作成し、共有することができます。これにより、投稿の表示速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスが改善されます。
Webパブリッシングにおいて、jpg変換は画像最適化の重要な手段の一つです。適切なjpg変換を行うことで、Webサイトの表示速度向上、ユーザー体験の改善、SEO対策にも寄与します。したがって、Webデザイナーやコンテンツクリエイターは、jpg変換の技術や最適な設定について理解を深めることが重要です。
JPEGとその他のファイル形式との違い
以下では、JPEGとその他のファイル形式との違いについて解説します。
● JPEGとJPGの違い
● JPEGとPNGの違い
● JPEGとPDFの違い
● JPEGとTIFFの違い
● JPEGとBMPの違い
JPEGとJPGの違い
JPEGとJPGについては、画像変換や保存する際の拡張子が「.jpeg」「.jpg」のように違いがあるのみで、基本的な機能は変わらず同じものです。JPEGの拡張子になぜ「.jpeg」と「.jpg」の違いがあるのかについては、Microsoftが作成した「OS(Operating System:オペレーティングシステム)」に理由があります。
Microsoftが元々主流としていた「MS-DOS(エムエスドス)」というOSは、Windowsが台頭するまで、一般的なパソコンの基本ソフトとして使われていました。MS-DOS時代の拡張子は3文字以内と規定されていたため、JPEGは「.jpg」になっていたのです。その後、Windowsが中心となってからは文字数制限がなくなり、「.jpeg」が使われるようになりました。
現在は「.jpeg」と「.jpg」の表記が混在していますが、比較的「.jpg」がより一般的に使われている表記と言えます。ただし「.jpeg」と「.jpg」に技術的な違いはないので、どちらを使用しても問題はないことを覚えておきましょう。jpg変換を行う際も、どちらの拡張子を選んでも同じ結果が得られます。
画像編集ソフトやオンラインツールでJPEG形式に変換する場合、「.jpg」と「.jpeg」のどちらかを選択できることがあります。この場合も、変換後の画質や圧縮率に違いはありません。ただし、一部の古いソフトウェアでは「.jpeg」拡張子を認識できない場合があるため、互換性を考慮して「.jpg」を選択することもあります。
最後に、JPEG/JPG画像の変換や圧縮を行う際は、元の画像ファイルを別名で保存しておくことをおすすめします。これにより、万が一画質が低下した場合でも、元の高画質画像に戻ることができます。
JPEGとPNGの違い
PNG(ピング/ピン)とは「Portable Network Graphics」の略称で、JPEGのようなデータ圧縮形式の一つです。拡張子は「.png」で、イラストやグラフなどの図、ロゴなど、シンプルな画像の保存によく使用されます。JPEGとPNGは両方とも画像形式ですが、それぞれ特徴が異なります。
PNGは元々、GIF(ジフ)というデータ形式に特許問題が発生したため、その代替として開発された比較的新しいファイル形式です。GIFは、ファイルサイズが小さく軽いことが特徴ですが、扱える色数が256色と少なく、色を繊細に表現できないという課題があります。
それに対し新たに開発されたPNGは、GIFと同じように256色の形式と、それより容量は大きくなるものの1,677万色を表現できる形式の2種類に対応しており、はっきりとした線画やグラフィックも美しく映し出すことができます。一方、JPEGも1,677万色を表現できますが、圧縮方法が異なります。
JPEGにはない機能として、PNGは「透過」にも対応しているため、透明度を半透明から完全な透明まで、自由に設定できることもポイントです。さらに、PNGは「可逆圧縮」のため、データを圧縮しても劣化せず、圧縮した後も画像を元の状態に戻すことができます。つまり、保存を何度繰り返し行っても、画質(品質)は落ちないのです。これは、JPEGの「非可逆圧縮」とは対照的な特徴です。
例えば、Windowsのスクリーンショットは、自動的にPNG形式で保存されます。これは、JPEGと比べてPNGの方が文字などの線や色の境界などもはっきりと保存できるからです。
ただし、PNGはJPEGの圧縮形式に比べて、ファイルサイズが大きくなることがあります。Webサイトで使用する場合、画像ファイルが重たいとサーバーへの負担が大きくなり、Webページの表示速度にも影響が出るため注意が必要です。JPEGは圧縮率が高いため、写真などの複雑な画像をWebサイトに掲載する際に適しています。
PNGは透過が必要な画像や線画、ロゴ、イラストなどに、JPEGはWebサイトに掲載する写真や複雑な画像にというように、JPEGとPNGの違いを理解し、用途に合わせて圧縮形式を変えることが大切です。画像変換ソフトを使えば、JPEGからPNGへ、またはPNGからJPEGへの変換も可能です。
関連記事:サーバーとは何か?サーバー構築からサーバーエラーやサーバーダウンまで徹底解説
JPEGとPDFの違い
前述のとおり、JPEGは主に写真などの画像の保存に適しています。本来であれば大容量での保存となるはずの画像データを、jpg 変換を行うことで圧縮して小さい容量で保存することができます。JPEGファイルは、写真やグラフィックデザインなど、視覚的な要素が重要な場面で広く使用されています。
一方PDFは、文章データの保存に適しています。データ圧縮サイズは変更できるものの、容量はJPEGに比べて大幅には小さくなりません。PDFファイルは、テキスト、画像、フォント、レイアウトなどの情報を含む複合的な文書形式です。
PDFで文章データを保存した場合、JPEGで保存したときに比べて、PDFは印字する際に文字が鮮明に映し出されます。このような特性から、請求書や領収書、ビジネス文書など、あらゆる文章データの保存にPDFが利用されています。
また、JPEGは非可逆圧縮方式を採用しているため、jpg 変換を繰り返すと画質が劣化する可能性があります。一方、PDFは可逆圧縮方式を使用しているため、文書の品質を維持したまま保存や共有が可能です。
JPEGとPDFの選択は、用途によって異なります。画像主体のコンテンツであればJPEG形式が適していますが、テキストや複数のページを含む文書の場合はPDF形式が適しています。Web上での画像表示にはJPEGが適していますが、印刷や正確な文書共有にはPDFが優れています。
jpg 変換ツールを使用すれば、PDFからJPEGへの変換も可能ですが、この場合、文書の編集可能性や検索可能性が失われる可能性があることに注意が必要です。逆に、JPEGをPDFに変換すると、画像の品質を保ちつつ、文書形式の利点を活用できます。
関連記事:PDFを編集する方法とは!ツールやソフト4選を使って解説!
JPEGとTIFFの違い
JPEGとTIFFはともに画像データの保存に適していますが、TIFFはファイル容量が非常に大きくなります。TIFFは可逆圧縮のため保存しても画像データは損なわれず、画像に含まれるデータ内容をすべてそのまま保存します。
JPEGで保存すれば数メガバイトの保存容量でも、TIFFで保存すると数百メガバイト、場合によってはギガバイトに達してしまうこともあります。そのためWebでの利用には適しておらず、写真家などが画像を綺麗なまま保存しておく際によく利用されます。
TIFFは高品質な画像データを求められる印刷業界や出版業界でも広く使用されています。一方、JPEGは一般的なウェブサイトや日常的な写真共有に適しています。用途に応じて適切な形式を選択することが重要です。
JPEGとBMPの違い
BMPは最も古い画像形式で、1986年にMicrosoft社とAldus社によって開発されました。Aldus社はのちに合併され、現Adobe(アドビ)社となっています。
BMPは保存する際に圧縮されず、保存可能なデータは極力そのまま保持されます。そのためJPEGよりも画像データは大きくなりがちです。
そもそもBMPは、多くの情報を可能な限り保持する目的で設計された形式です。したがって、BMPのデータサイズを圧縮したい場合は手動で作業を行う必要があります。圧縮した画像を元に戻したい場合は圧縮を解除することで元に戻せますが、処理には非常に時間がかかります。
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JPEGのメリット・デメリット
標準的な画像圧縮形式としての地位を確立したJPEGですが、メリットだけでなくデメリットもあります。ここからは、JPEGのメリットとデメリットについて解説します。
● JPEGのメリット
● JPEGのデメリット
JPEGのメリット
JPEGは、画像ファイル形式として広く普及しており、多くの利点があります。高画質で表現力豊かな画像を保存できる点や、高い圧縮率によってファイルサイズを小さく抑えられる特徴が挙げられます。また、プログレッシブ形式に対応しているため、低速回線でも画像の全体像を素早く表示することができます。さらに、JPEGは汎用性が高く、ほとんどのブラウザやソフトウェア、デバイスで問題なく扱えるという大きな利点があります。これらの特徴により、JPEGは写真やWebサイトの画像など、幅広い用途で活用されています。
そういった中でJPEGのメリットとしては以下が挙げられます。
● 高画質
● 高圧縮率
● プログレッシブ形式対応
● 汎用性が高い
高画質
JPEGは1,677万色(24bitフルカラー)をサポートしているため、非常に高画質です。風景写真なども、自然なグラデーションや色味を保ちつつ再現できます。また、撮影時にホワイトバランスと彩度が設定されるので、撮影後に画像編集ソフトに読み込んで加工する際にも便利ですJPEGの高画質な特性は、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真の保存に適しており、細かなディテールや色彩豊かな画像を美しく表現することができます。
高圧縮率
JPEGは不可逆圧縮という不便さはあるものの、画質を保持しながら非常に高い圧縮率で圧縮できます。その圧縮率は、GIFなどの可逆圧縮に比べて桁違いです。
また、JPEGは圧縮率を指定することもできます。圧縮率を高くするほどにデータ容量は小さくなりますが、画像は荒くなっていきます。ある程度の画質を保ちつつ容量を減らしたい場合は、圧縮率を適切に設定する必要があります。
プログレッシブ形式対応
JPEGはプログレッシブという拡張仕様に対応しています。「プログレッシブJPEG」と呼ばれることもあります。
オンラインでJPEG画像を表示させる場合、通常はベースラインという表示方法で、画像の上端から順に読み込まれて描画されていきます。しかし、この表示方法では画像が重たい場合、画像全体を表示させるまでに時間がかかってしまいます。
一方、プログレッシブJPEG形式で保存された画像は、読み込みが始まった段階では画像全体が荒く表示され、読み込みが進むにつれて徐々に鮮明に表示されるようになります。GIFで言うインターレースのような仕組みで、断片的にデータを伝送することにより、低速回線でも重たい画像の全体像を素早く映すことができます。これにより、ユーザーは画像の内容を早い段階で把握することができ、ウェブページの閲覧体験を向上させることができます。
汎用性が高い
JPEG形式の画像は汎用性が高く、ほとんどのブラウザで使用できます。また、ソフトウェアやアプリケーションに読み込ませて編集したい場合も、ほとんどの場合問題なく作業できます。スマートフォンやデジタルカメラ、スキャナーなどのハードウェアを選ばずに扱えるのも大きなメリットの一つです。さらに、JPEG形式は広く普及しているため、画像共有や転送の際にも互換性の問題が生じにくいという利点があります。
JPEGのデメリット
JPEGのデメリットとしては以下が挙げられます。
● 圧縮する度に画質が劣化
● 劣化した画質は復元不可
● 背景透過には対応していない
圧縮する度に画質が劣化
JPEGは画像を圧縮する度に、画質が劣化していきます。数回の圧縮では見た目には変化がわからない場合もありますが、肉眼では識別できない色などは高度な技術により抜かれています。
また、圧縮を繰り返した場合、ホワイトバランスの調整幅が狭くなるなどの現象が起こり、白飛びや黒潰れなども顕著に表れるようになってきます。
劣化した画質は復元不可
繰り返し圧縮し、劣化させてしまったJPEG画像は圧縮前の画質に戻すことができません。これを不可逆圧縮と言います。肉眼ではわかりにくい部分のデータを欠落させて保存するため、復元ができないのです。一方、可逆圧縮はデータを計算することでファイルサイズを小さくするので、圧縮後も元に戻すことができます。このJPEGの特性を理解し、重要な画像データを扱う際は、元のデータを別途保管しておくなどの対策を講じることが賢明です。
背景透過には対応していない
JPEGはPNGなどとは異なり、背景透過ができません。そのため、背景色を透明にしたPNG形式の画像をJPEG形式の画像に変換すると、背景色は白塗りになります。
こういった特性から、JPEGは複数の画像を重ねたり合成したりして、一枚の画像に仕上げるような作業には適していません。このような作業を行う場合は、PNGなどのデータで用意しておく必要があります。
JPEGの圧縮方法
「BMP(ビットマップ)」と呼ばれる圧縮していない画像ファイルは、画質自体は綺麗ですが、サイズがかなり大きくなります。
重たい画像をWebサイトなどで使用したりメールに添付したりする際は、JPEG形式で圧縮し、ファイル容量を小さくすることが大切です。ここからは、その圧縮の仕組みについて見ていきましょう。
● JPEG圧縮の仕組み
● 無料ツールでJPEGを圧縮する方法
JPEG圧縮の仕組み
JPEGの圧縮には、一つの画像を成分(パターン)分けして、それぞれに数値を当てはめる「離散コサイン変換(DCT)」という手法が用いられています。
具体的には、元画像を8×8個のブロックに分け、DCT演算でデータを量子化(変換)し、高周波成分と低周波成分に分解します。そして、高周波成分の情報は取り込まず、低周波成分の必要な情報をブロッグごとに間引きして取り出します。しかし、人間の目にはほとんど違いが分からないため、画質(品質)を保ちながらデータを減らすことができるのです。
JPEGを圧縮したい場合は、Windowsであれば「ペイント」でファイルを開き、「サイズ変更」した後、「名前を付けて保存」をクリックすると圧縮が完了します。保存するファイルの種類は、JPEG(「.jpeg」「.jpg」)にするとよいでしょう。大きさやサイズは画像の上を右クリックし「プロパティ」で確認できます。
大量の画像を一度に圧縮したいときは、JPEGやPNGのファイルをドラッグ&ドロップするだけで圧縮できる「TinyPNG」や「Compress JPEG」、Google製の「Squoosh」など、外部のツールを活用すると便利です。
無料ツールでJPEGを圧縮する方法
ここからは、前項で挙げた無料ツールをご紹介します。
● TinyPNG
● Compress JPEG
● Squoosh
TinyPNG
TinyPNGは、無料で画像を圧縮できるツールです。JPEGをはじめ、「PNG」「WebP」などにも対応しています。
WordPressプラグインもあり、WordPressに組み込んで利用するとすべての画像が自動的に圧縮されます。2014年にインテリジェント圧縮が追加されていますので、くっきりとした画質を保ちつつ圧縮できるようになっています。
TinyPNGの特徴として、一度に最大20個のファイルを圧縮できる点が挙げられます。また、ドラッグアンドドロップでファイルをアップロードできるため、使い勝手が良く、初心者でも簡単に利用できます。圧縮後のファイルは、個別にダウンロードすることも、まとめてZIPファイルとしてダウンロードすることも可能です。
使用方法(JPEGの圧縮方法)
JPEGの圧縮方法は非常に簡単で、圧縮したいファイルをサイト内の指定の場所にドラッグアンドドロップするだけで圧縮されます。
その後「Dropboxに保存」と「すべてダウンロード」という2つのボタンが表示されますので、どちらか選択してダウンロードします。
Compress JPEG
Compress JPEGは、20個ものファイルを同時に圧縮できる無料ツールです。JPEGの他、「PNG」「GIF」「PDF」などにも対応しています。
特徴的な機能として挙げられるのは、JPEG圧縮のクオリティを自分で調整できる点です。マニュアルモードに切り替えれば、1から100の間で画質のクオリティを調整できます。また、アップロードされたデータはすべて1時間後自動的に削除されますので、プライバシーの面においても安心です。
使用方法(JPEGの圧縮方法)
1. 圧縮したいファイルの拡張子を確認し、「JPEG」「PNG」「GIF」「PDF」より選択します
2. 指定の場所へドラッグアンドドロップすると自動的にアップロードされ、サムネイルが表示されます
3. 圧縮されたデータをそのままダウンロードする場合は、「全てダウンロード」をクリックします
4. 画像のクオリティを調整したい場合は、表示されているサムネイルをダブルクリックします
5. すぐ下に画質クオリティの調整画面が表示されますので、調整後に「全てダウンロード」をクリックします
Squoosh
Squooshは、無料であるにも関わらず非常に高機能な圧縮ツールとなっています。アップロードされた画像のサイズ変更や色数調整、画質の劣化を軽減するディザリングなどの機能も搭載されています。
また、画質クオリティを調整したい場合は変更できるようになっています。そのほか、画質の回転やスムージングといった機能も備わっています。
Squooshの特徴として、ブラウザ上で動作するため、ソフトウェアのインストールが不要な点が挙げられます。これにより、どのデバイスからでも簡単にアクセスして使用することができます。
使用方法(JPEGの圧縮方法)
使用方法は非常に簡単で、指定の場所へファイルをドラッグアンドドロップするだけで編集画面に切り替わります。編集画面では「サイズ変更」「色数調整」「ディザリング」および「画質クオリティ」などがそれぞれ調整できますので、それらを調整してからダウンロードボタンをクリックします。
JPEGやPNGの変換方法
画像の拡張子は、Windowsのデフォルト機能や外部ツールで簡単に変換できます。JPEGをPDFに変換したり、PDFをJPEGに変換したりする方法を以下で確認してみましょう。
● JPEGやPNGをPDFに変換
● 無料ツールでJPEGやPNGをPDFに変換する方法
● PDFをJPEGやPNGに変換
● 無料ツールでPDFをJPEGやPNGに変換する方法
JPEGやPNGをPDFに変換
WindowsでJPEGやPNGをPDFに変換する場合は、JPEGやPNGなどのファイルの上で「右クリック」し、「印刷」から画像の印刷という画面を表示します。
左上に表示される「プリンター」から「Microsoft Print to PDF」を選択し、画面右下の「オプション」をクリックして、「印刷の設定」画面を表示します。「プリンターのプロパティ」で「印刷の向き」を決定したら「印刷」をクリックします。
そうすると保存画面に切り替わるので、そこから「ファイルの種類」が「PDFドキュメント」になっていることを確認し「保存」しましょう。
JPEGをPDFに変換する外部ツールとしては、「LightPDF」や「Soda PDF」が有名です。
無料ツールでJPEGやPNGをPDFに変換する方法
ここからは、前項で挙げた無料ツールの特徴や使い方をご紹介します。
● LightPDF
● Soda PDF
LightPDF
LightPDFは、非常に多くの機能が搭載された無料変換ツールです。JPEGやPNGをPDFに変換できるほか、その逆の変換も可能です。
また「ExcelやWordからPDF」「PPTからPDF」など、幅広い変換作業ができます。さらに、PDFそのものを編集したり、分割や結合および圧縮したりすることもできます。
使用方法(JPEGやPNGをPDFに変換する方法)
1. ホーム画面より作業目的の項目をクリックします
2. 表示された画面で、変換したいファイルを指定の場所へドラッグアンドドロップするか、「ファイルを選択」をクリックしてアップロードします
3. 変換設定より「ページの向き」「ページサイズ」「余白」などを設定します
4. 「変換」ボタンをクリックして変換します
Soda PDF
Soda PDFは、JPEGやPNGをPDFに変換できるだけでなく、PDFをほかの拡張子のファイルにも変換できる無料ツールです。
特徴的とも言える機能が、HTMLをPDFに、またその逆の変換ができる機能です。この機能を使えば、Webサイトのキャプチャのような画像をPDFデータとして保存できます。そのほかにもさまざまな拡張子のファイルをPDFに変換できます。
使用方法(JPEGやPNGをPDFに変換する方法)
1. 変換したいファイルを、Webページの指定の場所へドラッグアンドドロップします
2. 自動で変換されるので、あとは表示された画面で「ファイルをダウンロード」をクリックします
PDFをJPEGやPNGに変換
JPEGをPDFに変換するのとは反対に、PDFからJPEGへも簡単に変換することができます。Webサイト上で変換できるインストール不要の「iLovePDF」や「Smallpdf」、また「Adobe Acrobat」などの変換ソフトも便利に使えるツールです。
関連記事:GIMP(ギンプ)の使い方は?無料で使える画像編集ソフトの機能を解説
無料ツールでPDFをJPEGやPNGに変換する方法
前項で挙げたツールの特徴や使い方をご紹介します。
● iLovePDF
● Smallpdf
● Adobe Acrobat(有料)
iLovePDF
iLovePDFは、PDFをJPEGやPNGに変換できるほか、PDFの結合や分割、圧縮なども行えます。またPDFからWord、Excelへ、PowerPointからPDFへ、など多くの拡張子へ変換ができます。
使用方法(PDFをJPEGやPNGに変換する方法)
1. ホーム画面より目的の作業項目を選択します
2. 表示された画面より指定の場所へ変換したいファイルをドラッグアンドドロップするか、「PDFファイルを選択」をクリックし、ファイルをアップロードします
3. 画質を選択してから「変換」ボタンをクリックします
Smallpdf
Smallpdfは、PDFからWordやExcel、PowerPointなどさまざまな拡張子へ変換できるだけでなく、PDFへページ番号を付与したり、PDFを保護やロックしたりできる機能なども備えています。またPDFスキャナー機能もあり、スマホなどでスキャンした画像からPDFを作成できます。
使用方法(PDFをJPEGやPNGに変換する方法)
1. ホーム画面より目的の作業項目を選択します
2. 表示された画面より指定の場所へ変換したいファイルをドラッグアンドドロップするか、「ファイルを選択」をクリックし、ファイルをアップロードします
3. 自動的に変換されるので、変換終了後「ダウンロード」ボタンをクリックしてダウンロードします
Adobe Acrobat(有料)
Adobe Acrobatは、有料で利用できるPDF変換ツールです(一部無料で利用できます)。大手企業が提供するツールだけあり、ほぼ全ての拡張子に対応しています。
またPDFの結合や分割、圧縮といった機能のほか、ページの削除や並べ替え、トリミングなど編集作業に必要な機能はほぼすべて揃っています。
使用方法(PDFをJPEGやPNGに変換する方法)
1. 機能紹介ページより目的の作業項目を選択します
2. 表示された画面より指定の場所へ変換したいファイルをドラッグアンドドロップするか、「ファイルを選択」をクリックしファイルをアップロードします
3. 「変換」ボタンをクリックし変換します
4. 変換が完了すると「ダウンロード」ボタンが表示されるのでダウンロードします
まとめ
JPEGは画像ファイル圧縮形式の一つで、デジカメなどで撮影した色数の多い写真やグラデーション画像などの保存に適しています。拡張子には「.jpeg」と「.jpg」がありますが、両者に違いはありません。
画像容量を抑えられることが特徴で、Webサイトに掲載する画像はJPEG形式に変換することで表示スピードを早くすることができます。しかし、非可逆圧縮のため、保存する度に画質(品質)が劣化することは理解しておきましょう。
一方、PNGは可逆圧縮のため、圧縮しても劣化しません。グラデーションが少なく、輪郭や境界線がはっきりしている画像や透明色が必要な画像にはPNGが適しています。
画像の保存形式はさまざまですが、それらの違いや特徴をしっかりと理解し、適切に画像を扱えるようになりましょう。JPEGとPNGの特性を活かし、用途に応じて使い分けることが重要です。例えば、写真や自然な色合いの画像にはJPEGを、ロゴやイラストなどの線がはっきりした画像にはPNGを選択するといった具合です。
また、画像の圧縮や変換を行う際は、無料や有料のツールを活用することで効率的に作業を進めることができます。ただし、過度な圧縮は画質の劣化につながるため、目的や用途に応じて適切な設定を心がけましょう。
関連記事:Webp(ウェッピー)とは?メリットや他の画像形式との違い、変換方法を解説
よくあるご質問
JPEGを圧縮するときに気を付けることは?
JPEGを圧縮したい場合、大きく2つの方法があります。一つは、JPEGファイルの圧縮率を変更する方法であり、もう一つは、JPEGファイルをZIPやLZHといったファイル圧縮技術によって圧縮する方法です。
一つめの方法では、画像のデータサイズを大幅に下げることができます。しかし、一度圧縮したJPEGを圧縮前の画質に戻すことはできません。そのため、圧縮の際には圧縮率を用途に合わせて調整し、ファイル容量と画質を見ながらベストな圧縮率を決めましょう。
もう一つの方法は、ZIPやLZHといったファイル圧縮技術によって圧縮するものです。この場合は、圧縮後のファイルを解凍すれば元のデータに復元することができます。ただし、JPEGをZIPファイルにしたとしても、データサイズがあまり小さくならないこともありますので、その点は留意しましょう。
JPEGを圧縮するおすすめツールは?
有料ツールでおすすめなのは、Adobe Photoshopです。デザインのプロが使用しているツールで、画質の劣化を抑えながら簡単に圧縮できます。
無料で使えるJPEG圧縮ツールとしておすすめなのは、TinyPNGです。Webサイトを開き、ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、1枚当たり5MBまでの画像を、同時に20枚まで圧縮できます。有料プランも用意されており、そのプランでは20枚の制限がなくなるので、一度に多くの画像を圧縮したい場合には有料プランも検討しましょう。
JPEGの圧縮率って何?
JPEGの圧縮率とは、JPEG画像を圧縮するときの度合いです。圧縮率が高いほどファイル容量は小さくなります。圧縮率はどんどん上げることができますが、上げれば上げるほど画質は下がっていきます。輪郭がぼやけたり、ノイズが入ったりするのが肉眼で見て分かるレベルになります。
圧縮率はむやみに上げるのではなく、画質とのバランスを見ながら適切に設定しましょう。