企業のホームページを制作し、いよいよ公開の段階を迎える際には、企業として新たな情報を発信する重要なタイミングとなります。そのため、公開作業での失敗は避けたいものです。しかし、初めてホームページを公開する場合や、制作・公開プロセスに慣れていない担当者にとっては、戸惑うことも少なくありません。
そこで今回は、ホームページ制作のプロフェッショナルが実践している、公開前の最終確認事項や、スムーズな公開を実現するための「お作法」をご紹介します。これらの手順を踏むことで、公開後のトラブルを防ぎ、効果的な情報発信のスタートを切ることができます。
ホームページの公開にあたっては、事前の準備と計画が不可欠です。制作したホームページが意図した通りに動作し、ユーザーに適切に情報が届くように、細部まで注意を払う必要があります。特に、検索エンジンからの評価を左右するインデックス登録や、セキュリティ面での配慮も公開作業の一環として重要視されます。
ホームページの公開は、単にファイルをアップロードするだけでなく、その後の運用を見据えた計画が必要です。SEO対策の初期設定や、アクセス解析ツールの導入確認など、多岐にわたる項目をチェックすることで、より戦略的なスタートを切ることが可能となります。
ホームページを公開するということは、企業の顔となるWebサイトを世の中に披露することです。そのため、公開前の最終チェックは念入りに行い、万全の状態でスタートを切ることが、信頼獲得への第一歩となります。
ホームページ公開の前に確認しておくべきこと
ホームページを公開する段階に至ったら、公開前にいくつか確認しておくことで、失敗ややるべきことの抜け漏れを防ぐことができます。初めてのホームページ公開で不安な場合でも、以下の項目をチェックリストとして活用することで、スムーズな公開準備を進めることができるでしょう。
●公開のためのツールの準備はできているか
ホームページを公開する方法は複数あり、それぞれに準備すべきツールが異なります。企業ホームページを公開する一般的な方法としては、ローカル環境で作成したHTMLファイルなどをFTPソフトを用いてサーバーにアップロードする方法が挙げられます。この場合、FTPソフトが必須となります。
WordPressのようなCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を利用する場合は、公開プロセスが異なります。一般的には、あらかじめサーバーにCMSをインストールしておき、ブラウザ上で記事を作成・編集し、「公開」ボタンをクリックすることでコンテンツが公開されます。
WixやJimdoといったホームページ作成サービスを利用する場合、公開方法は各ツールの仕様に依存します。例えば、Jimdoではログイン後に編集画面から「更新」ボタンをクリックすることで公開が完了します。
自社でどのような公開方法を選択するかを明確にし、それに必要なツール(例:FTPソフト、CMSのインストール権限など)が準備できているかを確認しましょう。
●サーバーとドメインの環境整備
ホームページをインターネット上に公開するためには、ウェブサイトのデータを格納するサーバーと、ウェブサイトのアドレスとなる独自ドメインが不可欠です。これらの契約・設定が完了しているかを確認しましょう。
また、近年ではセキュリティ対策として、ウェブサイトとユーザー間の通信を暗号化するSSL(Secure Sockets Layer)化が必須となっています。企業ホームページにおいては、SSL設定が正常に完了しており、URLが「https」で始まっているかを確認しておくことが極めて重要です。
●ローカル環境で正常に表示されるか
HTMLファイルやCSSファイルなどをローカル環境で制作した場合、公開前に必ずテスト環境やローカル環境で最終的なブラウザ表示確認を徹底的に行いましょう。この際、すべてのハイパーリンクが正しく機能し、意図しないエラーページが表示されないかを確認する必要があります。
特に、パソコン、スマートフォン、タブレットなど、異なるデバイスでの表示を考慮したレスポンシブデザインを採用している場合は、それぞれのデバイスまたはそれらをシミュレートできる環境で、デザインの崩れがないか、レイアウトが最適化されているかを念入りにチェックすることが重要です。
●「noindex」の設定内容は問題ないか
ホームページ公開前には、検索エンジンにインデックス(登録)されたくないページに対して、「noindex」タグを設定している場合があります。公開時には、これらのページが意図せず検索結果に表示されないように、また、公開したいページが適切にインデックスされるように、「noindex」の設定内容を各ページごとに最終確認することが不可欠です。公開したいページに「noindex」が設定されていると、検索エンジンに認識されず、検索結果に表示されなくなってしまいます。
ホームページ公開のお作法
準備が整ったら、いよいよホームページを公開していきます。ここでは、ローカル環境にあるHTMLファイルやCSSファイル、画像等を自分でFTPソフトを利用してサーバーにアップロードする場合の手順とお作法をご紹介します。この公開プロセスを丁寧に行うことで、ユーザーにスムーズな閲覧体験を提供し、検索エンジンからの評価向上にも繋がります。
1. FTPソフトでサーバーにアップロードする
まずは、FTPソフトを使用して、作成したホームページのファイルをすべてサーバーにアップロードします。アップロード漏れがないように、ファイル構造をしっかり確認しながら、根気強く作業を進めましょう。
2. 公開したURLにアクセスする
すべてのファイルがアップロードされたら、設定した公開URLにアクセスします。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、異なるデバイスのブラウザでもアクセスし、表示を確認することが重要です。
3. すべてのページの表示確認・リンクチェックを行う
公開URLにアクセスしたら、全ページを隅々までチェックします。ローカル環境で確認した際と比べて、表示崩れがないか、画像(背景画像も含む)はすべて正しく表示されているか、リンク切れは発生していないかなどを入念に確認します。また、ブラウザのタブに表示されるアイコンである「ファビコン」も、正しく表示されているかチェックしましょう。ここで不具合が見つかった場合は、すぐに修正対応を行います。
4. メールフォームの動作を確認する
お問い合わせフォームや資料請求フォームなど、ユーザーが情報を送信する機能がある場合は、必ず実際にテスト送信を行います。正常にメールが届くか、エラーメッセージが表示されないかなどを確認し、フォームが正しく機能することを確認します。
5. Googleアナリティクスなどのアクセス解析をチェックする
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを導入している場合は、正常に動作しているかを確認します。ツールにログインし、先ほど行ったアクセスが正しくカウントされているかを確認することで、今後の効果測定に役立てることができます。
6. Googleにホームページを登録する
すべての確認作業が完了し、ホームページが正常に閲覧できる状態になったら、Googleにホームページが公開されたことを知らせます。Google Search Consoleという無料ツールを利用して、ホームページのインデックス登録を申請します。これにより、Googleの検索結果に公開したホームページが表示されるようになります。
7. GoogleにXMLサイトマップを送信する
Googleのクローラー(Web上の情報を収集するプログラム)にホームページの構造を正確に理解してもらうために、XMLサイトマップを送信します。XMLサイトマップは、ホームページ内の各ページのURL、更新日、更新頻度などを記述したファイルです。これにより、クローラーは効率的にページを巡回し、インデックス登録を促進します。XMLサイトマップは自動作成ツールを利用するか、手動で作成し、サーバーにアップロードした後、Google Search Console上でURLを入力して送信します。この一連の作業を確実に行うことが、検索エンジンからの早期認識と集客に繋がります。
まとめ
ホームページの公開は、企業にとって重要なステップであり、プロフェッショナルな準備と手順を踏むことで、スムーズかつ確実な実施が可能です。公開前に、FTPソフトなどの公開ツールの準備、サーバーとドメイン環境の整備、ローカル環境での表示確認、そして「noindex」設定の確認といった、多角的なチェックが不可欠です。
ホームページ公開後は、FTPソフトを用いたサーバーへのファイルアップロード、公開URLへのアクセス確認、全ページの詳細な表示・リンクチェック、メールフォームの動作テスト、アクセス解析ツールの動作確認、そしてGoogleへの登録とXMLサイトマップの送信といった一連の流れを丁寧に行うことで、検索エンジンへの適切なインデックス登録と、ユーザーへの正確な情報提供が可能となります。これらの手順を踏むことで、ホームページ 公開時の失敗を防ぎ、ビジネスの成果に繋げることができます。

