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マーケティングにおける商品開発のプロセスとは?基本と具体例をご紹介

2020.11.3
読了まで約 3

企業が永続的に事業を続けていくためには、常に新しい商品・サービスを提供し続ける必要があります。自社を取り巻く社会環境や顧客の状況は常に変化しており、同じ商品やサービスがいつまでも顧客に必要とされるかどうかは不確定だからです。

とはいえ、やみくもに新しい商品を開発すればよいというものではありません。ではどのようなプロセスを経て商品開発を進めていけばよいのでしょうか。

今回は、マーケティングにおける商品開発の基本とその事例を紹介します。

商品開発のプロセスとは

新しい商品やサービスの開発を、一人の独断や開発部門の思いだけで進めるのはとても危険です。よくあるのは、開発部門が自ら行った市場調査に基づいて開発を進め、いざ販売の段階になって営業部門から「こんなものは売れない」と判断されて協力が得られないケースです。

マーケティングは単なる市場調査ではありません。マーケティングとは、顧客に価値を届けるまでのすべての活動を指します。市場調査から企画、開発(投資)、販売、回収までのすべてがマーケティングなのです。

ですから、マーケティングにおける商品開発においては、その各プロセスがとても重要です。企画部門、開発部門、販売部門のすべてが参加し以下のように進めていきます。

●環境分析
商品開発の前には、自社を取り巻く環境をしっかりと調査・分析しておかねばなりません。 この分析は一商品のためだけでなく、業界における自社の立ち位置を確認するためのもので、定期的に更新しておく必要があります。

PEST分析
PESTとは、「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の頭文字を取ったものです。自社を取り巻くマクロ環境を分析しておきます。特に海外進出の場合などには、PとSがとても重要です。

ファイブフォース分析(5F分析)
自社に対する5つの脅威(Five Force)をあきらかにしておきます。「売り手(外注の生産工場など)の交渉力」、「買い手(代理店や顧客)の交渉力」、「競争企業間の敵対関係」、「新規参入業者の脅威」、「代替品の脅威」などについて分析を行います。

3C分析
Customer(市場・顧客) Competitor(競合他社) Company(自社)の強み・弱みを第三者的な目で分析します。

・VC分析
VCは(Value Chain)の略で、原材料の調達から製造、販売、物流までの流れを「モノの連鎖」、「価値の連鎖」として捉え、各々が効率よく稼働しているかを強みと弱みの観点から分析します。

SWOT分析
上記で分析した強み・弱み・機会・脅威を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)としてまとめるのがSWOT分析です。環境分析をする場合に、いきなりSWOT分析から始めるのは効果的とはいえません。

●戦略立案
以下はまとめてSTP戦略、STP分析とも呼ばれます。ここから具体的な顧客像を絞り込みます。

・セグメンテーション
顧客像を絞り込むために、大まかに分類を行います。性別、年齢、居住地、年収、職業、趣味など、属性ごとに分類し市場を細分化(セグメント化)します。BtoBの場合であれば、企業の特性(事業内容、事業エリア、会社規模、資金力など)を考慮します。

・ターゲティング
細分化された市場の中で、これから開発する商品を最も魅力的だと評価してくれそうな顧客群をターゲットに選びます。

・ポジショニング
ターゲットとなる顧客群を選定したら、その顧客群にいかに自社の製品が魅力的に見えるようにするか、商品の位置づけを決めます。位置づけとは、コンセプト、ネーミング、パッケージ、価格など、どのように商品を工夫すればターゲットから関心を得られるかというポジションを意味します。

商品開発は、このSTP分析までを終了させてからスタートさせるのが一番理想的です。

●施策立案

・4P分析
Product(商品)、Price(価格)、Place(流通・販売)、Promotion(販売促進)の施策を決めます。商品開発においては、この段階で最終的な商品の企画(デザイン、ブランド、パッケージ、品質、保証など)を決めます。

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テストマーケティングとクラウドファンディング

上記のようなプロセスを経て開発してきた商品も、実際に市場に出してみなければ顧客の反応はわかりません。

以前は地域限定で商品を販売したり、アンテナショップでの試験販売を経て量産を開始したりしていましたが、現在ではクラウドファンディングを利用してテストマーケティングを行うことも増えています。

実際に「購入型クラウドファンディング」で期間と予算額を決め、成立の可否をもって量産をスタートさせたメーカーの事例を紹介しておきましょう。

・JVCケンウッド
ノイズキャンセリングが主流になりつつあるイヤホンの業界で、あえてまわりの音が聞こえる「マルチライブモニターイヤホン」をクラウドファンディング。電車内のアナウンスを聞きたい人や、セッションをするバンドマンからの支持を受け成立。一般販売中。

・デジレクト(タカラトミーと協業)
おしゃべりする薬箱「スマイルメディくん」をクラウドファンディング。スマイルメディくんに薬を収納し、飲む時間を設定しておけば声で薬を飲むタイミングを教えてくれる。一人で暮らすシニア層に向けた商品で、プロジェクトは成立。一般販売中。

クラウドファンディングを利用して、テストマーケティングを行う理由は大きく2つです。まず開発(量産)しようとする商品の市場性を判断する目的、2つ目はアーリーアダプタと呼ばれる新商品に敏感な層の支持を取り付け、SNSなどによる情報拡散を期待する目的です。

商品開発を行う際には、環境分析や戦略立案などのプロセスを着実に行うこと、大々的な販売の前にはテストマーケティングを行うことが成功へのカギといえるでしょう。

まとめ

◆マーケティングにおける商品開発は、企画部門、開発部門、販売部門のすべてが参加し、情報共有をしながら進めることが重要で、独断専行は避けなければならない。

◆マーケティングにおける商品開発では、商品企画の基本的なプロセスを着実に実行することが大切。環境分析、戦略立案、施策立案を行い、確実に商品の価値が顧客に届くよう計画する。

◆商品の販売前には、テストマーケティングを行うのも重要である。近年ではクラウドファンディングを利用する企業も増えている。

◆クラウドファンディングを利用してテストマーケティングを行う理由は大きく2つ、商品の市場性を判断すること、アーリーアダプタと呼ばれる新商品に敏感な層の支持を取り付けてSNSなどによる情報拡散が期待できることであり、これを同時に行える可能性がある。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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