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校正と校閲の違いとは?それぞれの役割や重要性、精度を上げるためのコツを解説

2023.6.14
読了まで約 7

あなたは記事やコラムにおける「校正」と「校閲」の違いを理解できていますか?どちらの言葉も同じような意味として捉えられがちですが、一言で説明すると”記事内容にまで踏み込むかどうか”といった違いがあります。

優れた内容の記事やコンテンツでも、明らかな誤字脱字や文章の矛盾、内容の信憑性が欠けていては読者からの信頼を失ってしまいます。

今回は校正と校閲の違いやそれぞれの役割、実際に校正や校閲を行なう上でのコツまで解説します。

校正とは

校正とは、誤字脱字や英語のスペルミス、表記ゆれ、文章の構成や文法の使い方、内容に矛盾が起きていないかなどを確認して、正しく修正する作業・業務です。掲載する媒体によっては表記の統一ルールなどを設けている場合もあるので、完成した文章がルールに則っているかの確認も行ないます。

具体的には「突き合わせ」と「赤字照合」に分類されます。「突き合わせ」とは、元の原稿で指摘した内容が最新の原稿に正しく反映されているかどうかを一文字ずつチェックする作業です。

この作業を行なう際は「一文字ずつ点検する」という、文字単位で確認する意識を持つことで見落としが減ります。つい完成した文章を読みながらチェックしてしまいがちですが、人間の脳は文章単位で読んだ場合、正しい表記に変換して認識することがあります。校正を専門として行なっている人の中には、文章を逆から突き合わせていく人も多いです。一文字ずつ全てをチェックすることで校正の精度が上がります。

「赤字照合」とは、元の原稿に書き込まれている修正内容が、最新の原稿に正しく反映されているかをチェックする作業のことです。入稿した原稿、初校、再校…と各段階において修正点を確認するため、突き合わせの「文字単位」と異なり「修正点単位」で正していきます。

このような校正作業を繰り返し行うことにより、誤字脱字のない原稿が完成します。また、媒体ごとに設けられている統一の表記ルールを正しく理解し、見落としのないようにしましょう。

校閲とは

校閲とは、文章に書いてある内容の事実誤認を防ぐために、資料の確認や無許可の引用、差別につながる表現が無いかなどを確認して修正する作業です。校正は誤字脱字といった文章、文法的に問題あれば修正を行なうのに対して、校閲は文章の内容にまで踏み込み、内容が事実と相違ないか、情報の適否を精査する作業がメインになります。

校閲の作業には大きく分けて二つの工程があります。一つは「素読み」、もう一つは「事実確認」という作業です。

「素読み」とは原稿の中身を徹底的に読み、文章中の誤字脱字や表現の矛盾などの間違いを探す作業のことを指します。語尾の表現は統一されているのか、前後の文章のつながりは正しいかどうかを緻密に確認します。

素読みをさらに掘り下げ、実際に原稿に書かれていること(地名や固有名詞、データ類など)が正しいのかどうかを調べて確認する仕事が「事実確認」です。これらの作業を経て、校閲作業は行なわれています。

校正と校閲の違い

校正と校閲は同じような作業内容として認識されていることも多いのですが、両者の役割や意味は定義上異なります。しかしながら、実際の作業工程において校正と校閲を分担せずに作業していることも多く、校正者が校閲まで担当している場合もあります。

作業の役割を簡単に示すと以下のようになります。

校正:誤った文字や表記、スペルミスなどを比べ合わせて修正
校閲:文章の内容や意味に誤りがないかを確認し事実確認を行う

以下では、校正と校閲の違いについて解説いたします。

● 校正者の作業内容
● 校閲者の作業内容

校正者の作業内容

校正を行う作業担当者を「校正者」と言い、記事を比べ合わせながら誤った文字や表記、スペルミスなどを発見して修正します。具体的には、以下のような点に注意して内容を確認していきます。

● 誤字脱字
● 表記ゆれ
● 同音異義語
● 慣用句や言い回し
● 固有名詞
● 数字
● 句読点
● 文末表現
● クライアント独自のレギュレーション

誤字脱字や表記ゆれはもちろんのこと、同音異義語や慣用句、言い回しなどについても修正していきます。また、固有名詞や数字の表記ミス、「です」「ます」などの文末表現の他、クライアントが設定したレギュレーションに基づいているかも併せて確認していきます。

校正に向いている人

校正はひたすら文字の間違いを探し出していきます。非常に忍耐力と集中力を要する作業ですので、我慢強く根気のある人が向いています。校正は文章と向き合う「職人」と表現されることもあり、職人気質としてのプライドが持てる人には適しているポジションと言えます。

校閲者の作業内容

校閲を行う作業担当者を「校閲者」と言い、主に原稿内容に誤りがないか事実確認を様々な視点からチェックします。一般的にファクトチェックと言われ、当該記事の信頼性、ひいてはWebサイト全体の信頼性にも関わる重要な作業となります。

具体的には、以下のような点に注意して内容を確認していきます。

■内容の事実確認
● 固有名詞(読み方や表記、など)
● データ内容(数字・単位・年代・日付、など)
● スポット情報(住所・電話番号・企業情報・サイトURL、など)
● 歴史的事実や因果関係(それは過去本当に発生した事案なのか・関係性はあるのか、など)
● 内容の事実関係や矛盾(その内容は事実なのか・矛盾はしていないか、など)

■文章表現の誤り
● 表現ミス(主語と述語のねじれ・品詞・二重表現・敬語表現、など)

■差別語や不快語のチェック
● 差別表現(国籍・人種・民族・性別・障害者・職業、など)

固有名詞に間違いはないか、数字や単位、年代といったデータ内容が事実に基づいているか、場所や連絡先などのスポット情報は合っているかなどの事実確認を行います。さらに、文法上の表現ミスや不適切表現の有無などについても併せて確認していきます。

関連記事:ポリコレの意味とは?マーケ・広報・人事が企業活動で炎上しないためのポイントを解説

校閲に向いている人

校閲は、無数の情報の中から正しい情報を取捨選択できる情報リテラシーの能力が求められます。疑問に思ったことや腑に落ちないことを自分から進んで検索できる人、調べ物が好きな人や真実を確かめなければ気の済まない人などは適しているポジションと言えます。

主観的な情報ではなく、常に客観的立場からの正しい情報を取得する必要があります。

関連記事:推敲の意味とは?その由来や英語的な表現、類義語を徹底解説します!

校正と校閲の重要性

校正と校閲はなぜ重要なのでしょうか。それは記事の品質を保つために他なりません。ひいてはWebサイト全体の品質を保つことにつながるからです。

そのためには、以下の項目を意識した記事を執筆する必要があります。

● ユーザーの信頼を失墜させないよう正しい情報を提供する
● ユーザーに不快感を与えないよう配慮する
● 一つひとつの記事に対してWebサイト全体を底上げする感覚を持つ

ユーザーの信頼を失墜させないよう正しい情報を提供する

間違った情報を発信し続ければ、次第にユーザーからの信頼はなくなり、媒体そのものの信用が失墜してしまいます。記事の更新頻度が高いほどに嘘の情報も積み重なり、偽情報を発信するWebサイトなどと思われかねません。

また、誤字脱字やスペルミス、冗長表現が多い記事はユーザーに「適当に執筆している」「読みにくい」と思われてしまいます。こういった記事は次第にユーザーも読む気が失せ、Webサイトの離脱率が高まります。

ひいては間接的にSEOの評価が下がる場合もあり、検索順位にも影響を及ぼす可能性が出てきます。

ユーザーに不快感を与えないよう配慮する

読んでいて不快に思う記事は、次第に読むのがつらくなってきます。差別表現や暴力的表現、卑猥表現などの他、挑戦的な表現、ふざけた表現、また冗長表現にも気をつける必要があります。

特に差別表現に関して世論はシビアで、ヘイトスピーチなどは世界中で規制する動きが顕著です。こういったユーザーに不快感を与える記事はWebサイトの離脱率が高まる他、リピーターをなくす要因にもなります。

一つひとつの記事に対してWebサイト全体を底上げする感覚を持つ

Webサイトは「記事=コンテンツ」の積み重ねによって、一つの大きな媒体として成り立ちます。つまり、一つひとつの記事の品質を高めることは、Webサイト全体を底上げすることにつながるのです。

ユーザーにとって読みやすい記事や読了率の高い記事は、校正・校閲がしっかりと行われており、往々にしてユーザーに読みやすいよう配慮されているものです。記事一つひとつに対してこういった配慮を行い、Webサイト全体として底上げする感覚を常に持ち続けることが大切です。

関連記事:SEOとは?SEO対策の基礎知識と具体的な方法を詳しく解説

校正時に確認すべきポイント

校正時に確認すべきポイントとしては以下が挙げられます。

● 数字
● 誤字・誤変換
● 表記ゆれ
● 同音異義語

数字

電話番号や金額、商品スペックやデータなどの数字の間違いは特に避けたいものです。見落とすことで大きなクレームにも繋がりかねません。

例えば、「0000000777」のように同じ数字が続く場合、数字を一つのまとまりとして捉えてしまうと、間違いに気づけず見落としてしまいます。これらは「ゼロ、ゼロ、ゼロ…」と読むのではなく、数字を一つずつ分解して「ゼロが7つ、7が3つ」というように確認します。

誤字・誤変換

キーボードで文章を入力することが多いため、単純な打ち間違いが起こりやすいです。チェックをする際に、誤字や誤変換はあるものだと思って目を通すようにしましょう。

表記ゆれ

表記ゆれとは、同じ表現が異なる文字表記をされていることです。例えば、文章中で自社を指す言葉として「当社」や「弊社」が混在している場合、基本的にはどちらかに統一しなければなりません。

読者が読みにくいと感じてしまう混乱を避ける必要があります。他にも、文字表記において2通り以上の書き方をされる場合は多々あります。

・送り仮名による表記ゆれ
例:申し込み/申込/申込み

・文字の種類による表記ゆれ
例:リンゴ/りんご/林檎

・漢字による表記ゆれ
例:”会う”と”逢う”/”匂い”と”臭い”

同音異義語

同音異義語には、似たような意味の語句や見慣れているものが多いため、違和感なく読み流してしまうことがあります。

例)特徴/特長、要項/要綱、解答/回答 など

これらは事前に以下のような対策をしておくことが望ましいです。

・間違えやすい語句を事前にピックアップする
・分かりやすく分類しておく
・原稿作成者と修正者側で共有しておく

校閲時に確認すべきポイント

校閲では文章の内容と事実が相違ないかを確認すること、また差別的表現が無いか、その文章が適切であるかを文章の内容を読み込んだ上で判断していきます。

読者にとって分かりやすい文章であることはSEOにおいても重要です。

● 固有名詞の誤り
● 歴史的事実や因果関係
● 内容の矛盾
● 差別表現のチェック

固有名詞の誤り

人名、企業名、建物名、商品名、地名などの固有名詞の誤りをチェックします。

例えば「キヤノン株式会社」の場合は「キャノン」と発音しますが、表記は「キヤノン」となります。また、人名の漢字表記には旧字体を使用することもあります。以下を正確に確認するようにしましょう。

・漢字表記なのか、平仮名表記なのか
・アルファベット表記なのか、カタカナ表記なのか
・大文字なのか、小文字なのか

歴史的事実や因果関係

歴史的事実や因果関係について記述している場合は、事実と異なったことを記載していないか調べます。引用が行われている場合、引用元を確認して同じ文章が正確に再現されているかをチェックします。
また、引用元が必ずしも正しいとは言い切れないので一つの事実に対して幾つかの引用元を調べて選定していきます。

内容の矛盾

文章が進むにつれて主張が変わっていたり、登場人物の設定がバラバラになっていたりなど、記事内容の信憑性を損なう誤りには注意が必要です。

差別表現のチェック

はっきりと分かる差別語だけでなく、それらが一切出てこない差別表現が含まれていることがあります。人権意識は社会的にも変わってきており、セクシャルマイノリティーなど多角的な目線で校閲を行なう必要があります。

校正・校閲の精度を上げるためのコツ

以下のポイントを心がけることで、校正・校閲の精度を上げることができます。

1. 出力してチェックする
2. 第三者の目線
3. 時間を置いてみる
4. チェック項目を絞る
5. ツールを活用する

1.出力してチェックする

文章をWordなどで書いている場合、チェック時はPDFに書き出して紙に出力するなど、別の目線で見たほうが誤りに気づきやすいと言われています。

2.第三者の目線

記事を作成した本人が校正・校閲することは難易度が高く、できれば自分以外の目線から見てもらう方が良いでしょう。自分の書いた文章だと客観的になれないので、おかしな言い回しや間違いに気づきにくいためです。

3.時間を置いてみる

自分で執筆した記事を校正・校閲する必要がある場合、執筆してから時間を空けたほうが客観的な目線で見ることができます。

4.チェック項目を絞る

チェック項目を、校正か校閲のどちらか一つに絞って作業をしてみるのもおすすめです。校正は文字の修正、校閲は事実確認となり、それぞれ作業が異なります。

また、注力するポイントや使用するツールなども異なるため、一緒に行おうとすれば非常に効率が悪くなります。どちらか一方を終えてからもう一方を行うやり方で作業を進めれば、非常にやりやすくなります。

5.ツールを活用する

例えば、記事中の表記を統一したり、外国語のスペルミスを防いだりする目的でツールを使用することは校正の精度を上げる一つの手段となります。無料で提供されているものでも十分使えますが、有料で高機能なものになると不適切表現や表外漢字、助詞の抜けや漏れまで指摘してくれ、さらに文章の推敲まで行ってくれるツールもあります。

また、校閲においてはAIチャットボットを活用するのも一つの手です。知りたいことをAIチャットボットに質問すれば、AIが最適と思われる回答を選別し即座に返答してくれます。ただし、間違った回答を返すことも多く、最終的には使用者の情報リテラシーが求められます。

関連記事:SEOを意識しポイントを押さえたライティングとは?

まとめ

今回は記事やコンテンツの品質につながる「校正」と「校閲」について解説していきました。

校正ができていない誤字脱字の多い記事ではPV数が下がる原因になり、校閲で事実確認を怠り誤った情報を発信してしまえば、サイト全体の信頼性を失ってしまいます。特に医療分野など人々の健康に関わる記事などは、事実誤認による健康被害なども起こりかねません。

文章表現には必ずしも正解が存在するわけではありませんが、媒体がターゲットとしている読者層を意識しながら、原稿に書かれた文章の表現が適切であるか適宜判断していくのが校正・校閲の仕事です。

校正・校閲がしっかり行われた記事は品質が底上げされ、読者に事実が正確に伝わる「信頼できる記事」となります。文章の校正や校閲を行なう際には今回解説したポイントも参考にしてみてください。

関連記事:WEBライティングスピード納品も可能!早く書けるコツとポイント

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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