自社のサイト運営を効率化したい人、GoogleアナリティクスやGoogle広告を活用している人にとって有用なのが「Googleタグマネージャー(GTM)」です。Webサイトの設定や管理を効率化することで、コスト削減などのメリットも得られます。
本記事では、Googleタグマネージャーについて、できることや具体的な機能、導入時の注意点や設定の流れなどを解説します。用語説明も盛り込んでいますので、ぜひ本記事の情報を参考にしてください。
関連記事:GTM(Googleタグマネージャー)とは?概念から設定まで解説
目次
Googleタグマネージャー(GTM)とは
Googleタグマネージャー(GTM)のツールとしての概要や、同じGoogleから提供されているサービスのGoogleアナリティクス(GA4)との違いについて解説します。
Googleアカウントを所有していれば誰でも無料で利用可能
Googleタグマネージャーには無料版と有料版「Googleタグマネージャー360」の2種類が存在していますが、無料版のGoogleタグマネージャーはGoogleアカウントを所有していれば誰でも費用不要で利用可能です。
Webサイトにタグを追加・管理・更新するためのツール
Googleタグマネージャーを活用することで、Webサイトやモバイルアプリ上でのアクションやトラッキング、計測、分析を行う「タグ」の追加、更新、管理、削除といった作業を一元化できるのが特徴です。
たとえばGoogleアナリティクスやGoogle広告を活用している場合、計測やトラッキングを行う際にはツールから発行されるタグをすべてのページのHTML内に設定する必要があります。特定のタグについて、該当するすべてのページやアプリ内に埋め込みを行うのは、とても手間がかかる作業です。ページの改善や変更、タグの追加を行う場合も同様です。
Googleタグマネージャーを使用することで、簡単にタグの一元管理が可能となります。ユーザーはプログラミングの知識も不要なため、専門的なノウハウのない管理者や担当者でも、自社でのサイト運営やアプリの管理が可能となります。
Googleタグマネージャーは、Googleの関連サービスである「Googleアナリティクス」や「Google広告」も同時に管理可能です。カスタムHTML機能を活用することで、Google外から提供されている幅広いサービスやツールのタグ設定もできます。
Googleアナリティクス(GA4)との違い
Googleアナリティクスとは、同じGoogleから提供されているWeb解析ツールです。Webサイトを訪れたユーザーの行動やアクション、属性(性別、地域、年代、デバイスなど)、アクセス(参照した)元のメディア・サイト、ページを表示した回数、クリック数、コンバージョンの状況などを分析できるアクセス解析ツールです。
Googleタグマネージャーはタグの管理に特化したツールである一方で、Googleアナリティクスはアクセス解析に特化したツールであり、両者はお互いに補完し合う関係にあります。
Googleタグマネージャーでは、Googleアナリティクスのタグ管理をより簡単に行うことができるのもメリットです。たとえばユーザーの特定のアクションを計測、分析する場合もGoogleタグマネージャーを活用すれば、管理画面から一括で設定を変更できます。個別のページのタグを直接編集する必要がなくなるため、Googleアナリティクスでのタグ管理も簡単になり、サイトやコンテンツの運用や改善、修正もより効率化できるでしょう。
▼Googleタグマネージャーの基本理解や設定方法、Yahooタグマネージャーとの違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
GTM(Googleタグマネージャー)とは?概念から設定まで解説
Googleタグマネージャーを導入・活用するメリット
Googleタグマネージャーを導入・活用することで得られる具体的なメリットを解説します。
ページごとのタグ設定・管理の手間やコストを大幅に軽減できる
Googleタグマネージャーは、Googleアカウントを持っていれば無料で利用できるツールです。高機能なタグ管理を無料で使うことができるのは、コスト面で大きなメリットと言えるでしょう。
タグの変更、追加、削除といった作業も簡単にできるため、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、修正作業を専門業者やサイト・アプリの開発者へ依頼する必要もありません。予算内でマーケティング効果を最大化したいとき向けのツールとも言えます。
Webサイトの表示を高速化できる
Webサイトにタグを設置することで、アクセス解析や広告配信などの機能や、検索窓や入力フォームと言ったサイト上のさまざまなアクションを追加できます。ただし、タグが増えるとWebサイトのページ読み込み時間がかかり、表示速度の低下につながる可能性があるのがデメリットです。
Googleタグマネージャーで一元管理、設置したタグはページ読み込みとは別の処理が行われるため、表示速度に影響を与えにくくなっています。必要な機能を追加しつつWebサイトの読み込み速度の向上が期待できるでしょう。表示速度はGoogleの評価対象のひとつでもあるため、SEOの面でもGoogleタグマネージャーの恩恵は大きいと言えます。
ページ公開前のプレビューテストも容易におこなえる
Googkeタグマネージャーには、「プレビュー」機能が付帯しています。プレビューとは、設定したタグがサイト上で実際に稼働するかを確認できる機能です。広告タグ設定後クリックをすることなく指定のタグが稼働しているかなど、新規のWebサイトやページを公開する前のプレビューテストも簡単に行えます。
バージョン管理ができる
Googleタグマネージャーでは、タグの変更を行うたびにタグやトリガーなどの設定変更を行った履歴である「バージョン」が自動で作成・保存されます。万が一タグ設定のミスや不具合、問題が発生した場合でも、すぐに過去のバージョンの設定に戻すことが可能です。Webサイト上でのミスや不具合によるリスク防止や軽減にも役立つでしょう。
さらに、バージョン毎の設定比較もできます。修正や改善を行ったWebサイトとページを、過去分と次回分とで比較し、具体的な効果を追跡することも可能です。
Webサイトの効果検証に複数のマーケティングツールを活用している場合に特に有効
Googleタグマネージャーは、専門知識不要で簡単にタグ設置が可能です。豊富なテンプレート(雛形)もあり、GoogleアナリティクスやGoogle広告を運用している場合にも、テンプレート通りにコード設定のみでタグを設置できます。Google以外の他のツールにも対応可能です。
複数のマーケティングツールを使用している場合、従来の方法ではタグの改善や追加ごとの作業または設定を外注依頼する必要がありました。しかしGoogleタグマネージャーなら複数ツールを使用している場合でも自社でタグの設定や管理が容易となるため、Webサイトの効果測定や検証の効率性向上にもつながるでしょう。
「アカウント」や「コンテナ」って何? Googleタグマネージャーの具体的な機能の名称や構成
Googleタグマネージャーの仕組みは、大きな枠組みである「アカウント」の中に、「コンテナ」と呼ばれる層が存在しているのが特徴です。アカウントとは、Googleタグマネージャーを管理する個人や企業を指します。そのアカウントの中に属するコンテナとは、実際にタグを設置するWebサイトやアプリを指し、ひとつのコンテナあたりひとつのドメインが設定されます。
コンテナの中には、タグの設定や変更を行う「ワークスペース」が3つ(有料版では無制限)存在しています。たとえば同じWebサイト内でも、「アクセス解析のタグを設置したい」「Web広告のタグを設置したい」といったように、異なる性質のタグを管理したい場合があります。タグの種類やカテゴリ別にワークスペースを分けることで、より分かりやすいタグ管理が可能です。
ワークスペース内で、タグを動作させるための「コード」や、タグを動作させる条件となる「トリガー」、さらに状況によって変わる条件「変数」などの設定を行います。
Googleタグマネージャー運用時の注意点
Googleタグマネージャーは多くの効果的な使い方ができる一方で、注意すべきポイントもあります。Googleタグマネージャー運用時の注意点について解説します。
データの二重計測にならないよう注意する
タグ管理の手段を他のツールからGoogleタグマネージャーへ移行したいときには、Webサイト上の既存のタグを削除しつつ、Googleタグマネージャーでのタグ設定が必要です。
もし、Googleタグマネージャーで新しくタグの設定をする際にWebサイトの既存のタグを残したままにしてしまうと、同じデータが二度カウントされる「二重計測」が発生する恐れがあります。
二重計測が発生すると、正確なデータの収集や分析ができません。定期的なタグの設置状況のチェックや、重複タグの削除といった作業は必ず行うようにしましょう。
データが計測されない空白期間が発生しないよう、設定手順に注意する
前述の二重計測の件と相反する注意点とはなりますが、他のツールからGoogleタグマネージャーへの移行時、WebサイトのHTMLやタグを削除してからGoogleタグマネージャーでタグを設置するという流れの中で、データが一切測定されない空白期間が発生する場合があるということも念頭に置いておきましょう。Googleアナリティクスは、タグ設置後少し時間が経ってから計測を開始する特徴があるためです。
テスト環境があるなら、タグの移行テストによって正常計測を確認後にWebサイトのタグを入れ替える、Webサイトのアクセスがなくなるタイミングで移行作業を行い、空白期間による影響を最小限にする、といった対策方法が有効です。
タグ設定のあとの公開忘れに注意する
Googleタグマネージャーでのタグ設定後、Webサイトやアプリの公開忘れに注意しましょう。設定を保存したのみでは、タグは反映されません。変更を加えたタグは、ダッシュボード内での動作チェックを行いましょう。
プレビュー機能で動作確認だけをして、公開したつもりになってしまい作業を終えてしまうというのもよくあるうっかりミスです。公開作業は確実に行うようにしましょう。
コンテナや権限の設定ミスに注意する
Googleタグマネージャーでタグを編集するコンテナを間違えてしまうと、正しく計測ができません。慎重なコンテナ設定や、作業時のプレビューでの動作チェックの習慣化などの対策で、コンテナの選択や設定のミスを防ぎましょう。
Googleタグマネージャーは権限設定ミスにも注意が必要です。複数のユーザーで作業を共有する場合、権限設定を誤ると重要な設定が意図せず変更されたり、削除されたりといったトラブルやリスクが発生する可能性があります。
社外の人物によるタグ設定権限は必要最低限な範囲にしておく、タグの編集や設定を自由に行える「公開」権限を持つユーザーは信頼できる人物のみにする、といった慎重な権限設定を心がけましょう。
Googleタグマネージャー導入・設定の流れ
具体的なGoogleタグマネージャー導入と設定の流れを解説します。
1. GoogleアカウントでGoogleタグマネージャーへログインする
Googleタグマネージャーの公式サイトへアクセスし、「無料で利用する」をクリックし、ログインします。なおGoogleタグマネージャーの利用にはGoogleの利用規約とGoogleプライバシーポリシーの遵守が適用されるため、事前に確認しておきましょう。
2. 設定画面でアカウントとコンテナを作成する
アカウントを登録するための項目が表示されるので、企業名や担当部署といった項目を順番に入力します。デフォルトで利用する国がアメリカ合衆国になっているため、利用する地域に変更しましょう。
アカウントの登録後、URLとサイトの種類を入力し、コンテナの作成を行います。
3. タグマネージャーから提供されるコードを目的のサイトに設置する
アカウントとコンテナの作成後、Webサイトやアプリのヘッダーとボディに必要な2つのコードが提供されます。コピーをして、Googleタグマネージャーの指示通り、対象となるWebサイトの全ページにおいて「<head> 内のなるべく上」と「 <body>タグ開始の直後」の部分へ貼り付けましょう。
Googleタグマネージャー導入後のGoogleアナリティクス設定の流れ
Googleタグマネージャー導入後のGoogleアナリティクス設定の流れについて解説します。
1. Googleアナリティクスの管理画面で測定IDを確認する
まず、Googleアナリティクスの管理画面内「管理」→「データストリーム」より、右上に表示される「G-○○○○」に該当する測定IDを取得します。
2. Googleタグマネージャーの管理画面で「GA4イベント」を設定する
Googleタグマネージャーの管理画面の「タグ」→「新規」→「タグの設定」をクリックし、Googleアナリティクスのテンプレートから「Googleアナリティクス:GA4イベント」を選択します。
タグの設定画面にて、取得したGoogleアナリティクスの測定IDを貼り付け、保存します。
3. Googleタグマネージャーでトリガーを設定する
Googleタグマネージャーでトリガーを設定します。トリガーの選択では「Initialization – All Pages」にチェックを入れます。タイプは初期化タイプを選びましょう。他のタグよりもGoogleアナリティクスのタグの実行が優先されます。ページ読み込み直後からユーザーのデータ収集を開始できるため、他のタグが稼働する前にユーザーの行動追跡と計測が可能になります。
4. Googleタグマネージャーのプレビュー機能でタグが正しく設置できているか確認する
設定完了後、Googleタグマネージャーのワークスペース右上にある「プレビュー」をクリックし、WebサイトのURLを入力して「リンク」をクリックしましょう。設定したタグが「配信されたタグ」内にあれば、タグが正常に設置され、機能していることが分かります。
5. タグを公開する
「公開」をクリックするとタグが公開され、リアルタイムで反映されます。「バージョン名」と「バージョンの説明」の設定画面が表示されたら、プロジェクト名やチーム名、変更点や修正点など、後ほど見返したときに誰でもわかるような名前付けや記述をしておくと便利です。
6. Googleアナリティクスに戻りデータが正常に収集できているか確認する
Googleアナリティクスで、データが正常に収集されているか確認します。「レポート」→「リアルタイム」をクリック後、計測されていればGoogleタグマネージャーでのタグ設定は完了です。
GoogleタグマネージャーはWebサイトの運用管理を効率化できる便利なツール
Googleタグマネージャーの概要やメリット、使い方や設定方法について解説しました。Googleタグマネージャーを活用することで、煩雑だったタグの設置や修正などの作業負担が減り、Webサイトやコンテンツの運用管理が効率化できます。マーケティングの効果を最大化するためにも、ぜひGoogleタグマネージャーを活用してみましょう。
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