リモートワークの普及により、マーケティングやセールスの場は、オンライン展示会やオンライン商談などデジタル化が進みました。その中でも大手企業のキーマンと接点が取れる手段として、今、CXOレターが注目されています。CXOレターは、あえてアナログな手法を用いることで、ターゲット企業の意思決定者に直接アプローチする効果的な施策です。
CXOレターは企業の役職者に対して手紙を送付する施策を指します。特に、大手企業の決裁権を持つCXO(Chief X Officer)クラスの経営層にアプローチする際に有効です。今回は、デジタルではないCXOレター施策がなぜ注目されているのか、その理由と効果の出る方法を紹介します。CXOレターは、単なる手紙送付ではなく、戦略的なアプローチ方法として位置づけられており、B2B(企業間取引)マーケティングにおいて重要な役割を果たしています。
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目次
CXOレターとは
CXOレターとは、企業の役職者に向けて送付する手紙を指します。CXOはChief X Officerの略で、特定のある役割・業務(X)における執行責任者を意味します。商談を獲得したいターゲット企業の、サービス導入を最終決定をする決裁者、もしくは、導入に際し大きな影響を持つキーマンに直接アプローチするために行われる施策です。
CXOレターは、BtoBマーケティングにおいて重要な役割を果たします。特に、大手企業や上場企業のCXOにアプローチする際に効果的です。CXOレターの特徴は、パーソナライズとカスタマイズ性にあります。
似たような施策にDM(ダイレクトメール)があります。DMは自社のハウスリスト、もしくは専門の名簿業者から入手した企業リストをもとに、営業や宣伝を目的とした製品やサービス、キャンペーンなどに関する広告をはがきや封書で送るものです。
DMとCXOレターの違いは、送付対象と内容のカスタマイズ度にあります。DMは大量のリストに対し同じ内容で一斉に送付するため、非常に効率が良く実行できます。一方で、CXOレターはその企業に合わせた内容で1社ごとに手紙を作成するため、限られたリストにしか送付することができません。
そのため、CXOレターは直接接点を持つことが難しい、かつ、数が限られる、大手企業の決裁者・キーマンにアプローチするための施策として多くの企業で取り入れられています。CXOレターは、ターゲット企業の特性や課題に合わせた個別のメッセージを届けることができるため、より高い効果が期待できます。
関連記事:マーケティングにおけるDMの役割とは? その効果と実施のためのポイント
多くの企業がCXOレターに注目する理由
コロナ禍を契機にリモートワークが急速に普及しました。そのため、担当者に直接アプローチするテレアポや企業訪問が難しくなり、新たな施策が求められるようになりました。そこで再度注目されているのがCXOレターです。CXOレターは、デジタル化が進む中で、あえてアナログな手法を用いることで差別化を図れる効果的なマーケティング戦略として評価されています。
CXOレターが注目を集める理由としては主に2つあります。第一に、担当者の心象を悪くしない点です。CXOレターは、テレアポや企業訪問と異なり、担当者の業務時間を強制的に奪うことなく、自社の製品・サービスを訴求できます。また、リモートワーク環境下でも、担当者が手紙を確認するタイミングを選べるため、柔軟性が高いアプローチ方法といえます。
第二の理由は、大手企業の役職者に確実に届く点です。CXOレターが大手企業に有効な理由として、秘書の存在が非常に大きいです。役職者への送付物はあらかじめ秘書が選別をしてから直接届けられます。そのため、送ったCXOレターが他のDMと区別され役職者の机に届けられれば、役職者の目を通る確率が高くなります。これにより、ターゲットとする決裁者やキーマンに直接アプローチできる可能性が格段に上がります。
①担当者の心象を悪くしない
CXOレターは、テレアポや企業訪問とは異なり、担当者の業務時間を強制的に奪うことなく、自社の製品・サービスを効果的に訴求できる手法です。この特性により、担当者の心象を悪化させることなく、アプローチが可能となります。特に、リモートワークが普及している現在では、CXOレターの重要性が高まっています。担当者が手紙を確認するまでに時間がかかったとしても、内容に興味を持てば自発的にアポイントの連絡を取ることができます。このように、CXOレターは相手のペースを尊重しつつ、効果的なコミュニケーションを実現する優れたマーケティング手法といえるでしょう。
②大手企業の役職者に確実に届く
CXOレターが大手企業に有効な理由として、秘書の存在が非常に大きいです。役職者への送付物はあらかじめ秘書が選別をしてから直接届けられます。そのため、送ったCXOレターが他のDMと区別され役職者の机に届けられれば、役職者の目を通る確率が高くなります。CXOレターは、通常のメールやDMとは異なり、秘書によって重要度が高いと判断される可能性が高く、大手企業の役職者に確実に届けられる効果的なアプローチ方法です。また、CXOレターは物理的な存在感があるため、デジタルコミュニケーションが主流の現代において、より印象に残りやすい特徴があります。このように、CXOレターは大手企業の役職者とのコミュニケーションを確立する上で、非常に効果的なツールとなっています。
CXOレターの手順とポイント
CXOレターは、大手企業の決裁者やキーマンに直接アプローチするための効果的な施策です。CXOレターに取り組む際の主要なステップとポイントを紹介します。この手法は、4つの重要なプロセスで構成されています。
- リスト選定: まず、どの企業に手紙を送付するかを決定します。過去の受注データや顧客情報を分析し、最適なターゲット企業を特定します。業界、企業規模、キーマンの役職などを考慮し、精緻なリストを作成します。
- リストクレンジング: 選定した企業リストの情報を最新のものに更新し、正確な宛先を確認します。この作業は手紙作成と並行して行うと効率的です。
- 手紙の作成: 各企業に合わせてカスタマイズした内容の手紙を作成します。共通部分はテンプレート化し、効率的に作業を進めます。CXOレターの成功には、企業固有の課題や目標に言及することが重要です。
- フォローコール: 手紙送付後、適切なタイミングでフォローの電話をかけます。これにより、アポイント獲得の確率が高まります。
CXOレターは、デジタル時代においても有効なアプローチ方法です。特に、リモートワークが普及した現在、物理的な手紙によるコミュニケーションの価値が再認識されています。CXOレターを通じて、ターゲット企業の決裁者に直接訴求することで、商談機会の創出につながります。
各ステップを丁寧に実行し、企業ごとにパーソナライズされたアプローチを心がけることで、CXOレターの効果を最大化できます。また、継続的な改善と分析を行い、自社に最適なCXOレター戦略を構築していくことが成功への鍵となります。
①リスト作成
まずCXOレターを送付する企業リストの選定基準を決定します。これまでの受注企業や利用履歴などのデータを分析し、受注率やLTV(顧客生涯価値)の高い業界や企業規模などを抽出します。また、アプローチすべきキーマンの役職や担当業務・部署なども洗い出していきます。CXOレターの効果を最大化するためには、適切なターゲティングが不可欠です。
リストの選定基準が決まったら、どこから企業リストを取得するのか検討します。外部の企業データベースを活用すると、業界や企業規模以外の情報も網羅されているため、より製品・サービスに合うセグメントも可能になります。CXOレターの成功率を高めるには、質の高い企業リストが重要です。
また、すでに商談中や接点を持っている企業、過去に接点を持ったことのある企業に対して手紙を送付するのか、セールス部門と確認してリストへ反映する必要があります。商談中の企業へCXOレターを送付してしまうと企業の心象を悪くする可能性があるため、抜け漏れのないようなリスト管理方法を構築しておくことが重要です。CXOレターの送付対象から除外すべき企業を適切に管理することで、効果的なアプローチが可能となります。
②リストクレンジング
選定基準に基づいて取得した企業リストから、その情報が最新情報であるかの確認と、手紙の宛先となる対象者を調べていきます。これは次の手紙の作成と一緒に取り組むと効率的です。具体的には企業のホームページを見たり、上場企業であればIR情報を確認し、封筒に記載する住所と企業名と宛名を調べていきます。
CXOレターの効果を最大化するためには、リストクレンジングの精度が重要です。最新の情報を反映させることで、CXOレターが確実に目的の相手に届くようになります。また、このプロセスでは、ターゲット企業の最新の動向や課題などもチェックし、後の手紙作成に活かすことができます。さらに、CXOレターの送付先となる役職者の異動や退任などの情報も確認し、適切な宛先を特定することが大切です。
③手紙の作成
リストクレンジングを行ったら、次は同封する手紙を作成していきます。CXOレターの効果を最大化するためには、1社ごとにカスタマイズした内容が重要です。ただし、冒頭のあいさつや製品・サービス紹介など共通する部分はテンプレートで用意すると効率よく作成できます。
「なぜ、手紙を送付したのか」「製品・サービスの導入によって何が実現できるのか」といった部分は、その企業に特化した内容で作成していくことがアポイント獲得の鍵となります。例えば、ターゲット企業の直面している課題や業界トレンドに言及し、自社のソリューションがどのように役立つかを具体的に説明することで、CXOレターの説得力が増します。
また、手紙を送付する封筒や切手、便箋にもこだわりましょう。高級感のある和紙や上質な便箋を使用することで、秘書が選別する際に重要な手紙であると感じさせることができます。さらに、手書きの署名を入れるなど、パーソナライズの要素を加えることで、CXOレターの印象を一層高めることができます。
最後に、CXOレターの内容は簡潔かつ明確であることが重要です。役職者の時間は貴重ですので、1ページ程度にまとめ、キーポイントを箇条書きにするなど、読みやすさにも配慮しましょう。これにより、CXOレターの効果を最大限に引き出し、アポイント獲得の確率を高めることができます。
④フォローコール
手紙の送付後にフォローコールを行うことで、CXOレターの効果を高め、アポイントが獲得しやすくなります。手紙を送ってから3営業日を目途にフォローの電話を行います。電話を行う際にはトークスクリプトを用意しておくとスムーズです。
手紙を読んでいる場合と読んでいない場合、そして、秘書が対応する場合のトークスクリプトをそれぞれ事前に作成すると良いでしょう。また、電話に繋がらなかった場合でもタイミングを分けて、最低3回以上フォローコールを行うようにし、担当者に接点を取るようにします。
CXOレターの成功率を上げるためには、フォローコールの際に手紙の内容を簡潔に要約し、相手の興味を引き出すことが重要です。また、相手の反応に応じて柔軟に対応できるよう、製品やサービスに関する質問への回答を準備しておくことも効果的です。フォローコールは単なる確認ではなく、CXOレターの内容を補完し、商談へと繋げる重要な機会となります。
CXOレターの効果をさらに上げる手紙の工夫
CXOレターの4つの手順はいずれも重要な取り組みですが、より他社と差別化してアポイントを獲得するには手紙を工夫することで可能になります。効果的なCXOレターを作成するためには、内容だけでなく、外観にも十分な注意を払う必要があります。
秘書のもとに届いた際に、重要な手紙であると認識させ、役職者・キーマンの机に届くようにしなければなりません。そのためには手紙の外観である、封筒・切手・宛名書きで工夫をします。これらの要素は、CXOレターが単なる営業文書ではなく、重要な情報を含む特別な通信であることを印象付けるのに役立ちます。
また、CXOレターの効果を最大化するためには、手紙の中身も重要です。ターゲット企業の課題や目標に焦点を当て、自社の製品やサービスがどのようにそれらの解決に貢献できるかを明確に説明することが大切です。さらに、業界のトレンドや最新の統計データを引用することで、手紙の説得力を高めることができます。
これらの工夫により、CXOレターは単なる営業ツールではなく、価値ある情報を提供する重要なコミュニケーション手段となり、ターゲット企業との関係構築に大きく貢献することができるでしょう。
①封筒
封筒の選択はCXOレターの成功において非常に重要です。自社の社用封筒を使用するのは避け、和紙封筒を選ぶことをお勧めします。和紙封筒は高級感があり、CXOレターの重要性を伝えるのに適しています。社用封筒を使用すると、秘書に単なる営業の手紙という事務的な印象を与え、処分される可能性が高くなってしまいます。CXOレターの目的は、役職者やキーマンの目に留まることですので、封筒の選択は慎重に行う必要があります。また、封筒のサイズや色も考慮に入れると良いでしょう。例えば、A4サイズの封筒は目立ちやすく、色は白や淡い色合いのものが無難です。CXOレターの成功率を上げるためには、こうした細かな点にも注意を払うことが大切です。
②切手
切手も通常の普通切手では目に留まらず、社用封筒と同じような印象を与えてしまうでしょう。CXOレターの効果を高めるためには、郵便局や郵便局のネットショップで購入できる「記念切手」を貼ると、特別な印象を与えることができます。記念切手は、その独特のデザインや希少性により、CXOレターの重要性を視覚的に強調する効果があります。また、シール式を使うと手紙の封入作業も効率よく行えます。さらに、季節や企業の業界に関連した記念切手を選ぶことで、CXOレターの内容との一貫性を持たせることも可能です。このような細やかな配慮が、CXOレターの開封率を高め、ターゲット企業の決裁者やキーマンとの接点を効果的に作り出すのに役立ちます。
③宛名書き
封筒の宛名はコピー機で印字してしまうと、事務的な印象を与えてしまいます。CXOレターの効果を最大限に引き出すためにも、1社1社に宛てて丁寧に作成していく意味でも、手書きで用意しましょう。宛名書きは、CXOレターの成功率を左右する重要な要素です。ある程度まとまった量があれば、筆耕サービスに依頼するのも効果的な方法です。筆耕サービスを利用することで、美しい字体で統一感のある宛名書きが可能になり、CXOレターの印象をさらに向上させることができます。また、宛名書きの際は、役職名や敬称にも細心の注意を払い、相手への敬意を示すことが大切です。
まとめ
- CXOレターとは企業の役職者に向けて送付する手紙を指す。商談を獲得したいターゲット企業の、サービスの導入を最終決定をする決裁者、もしくは、導入に際し大きな影響を持つキーマンに直接アプローチするために行われる施策
- CXOレターが再度注目されているの理由として、①担当者の心象を悪くしない ②大手企業の役職者に確実に届くの2つある
- CXOレターに取り組むステップは①リスト選定 ②リストクレンジング ③手紙の作成 ④フォローコールの4つ
- 秘書のもとに届いた際に重要な手紙であると認識させ、役職者・キーマンの机に届くようにするためには手紙の外観である、封筒・切手・宛名書きで工夫をする
- CXOレターは、デジタル化が進む中でも効果的なアナログ施策として注目されている
- CXOレターの成功には、ターゲット企業の特性や課題を十分に理解し、パーソナライズされたメッセージを作成することが重要