スマートフォンが普及したことで、消費者は買い物をする場所や時間にとらわれず、その場ですぐに物やサービスを購入できるようになりました。
また、日常生活でふと気になったことはスマホですぐに検索するのが当たり前になり、こうした情報探索行動は購買行動に大きな影響を与えています。
この記事では、生活環境の変化に伴い消費者の購買行動がどのように変わってきているのか紹介するとともに、Googleが提唱する情報探索をかき立てる8つの動機について解説していきます。
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目次
消費者の購買行動は情報探索行動に影響を受けている
スマートフォンひとつでいつでもどこでも買い物ができるようになったことで、消費者の購買行動には大きな変化が現れています。現代のマーケティングにおいて、この変化を理解することは不可欠です。従来の購買行動といえば、消費者の購入意欲を段階的に高めていくものでした。しかし、現在の購買行動は瞬発的です。スマートフォンを見ている間、消費者はいつでも瞬間的に購入意欲がわき、その瞬間に購入を完了させるという購買行動が日常的になっているのです。Googleはこうした新しい購買行動を「パルス型」と名付け、現在の消費者は従来の購買行動とは異なる、よりダイナミックな動きをしていると提唱しています。この情報探索行動の変化は、デジタルマーケティング戦略に大きな影響を与えています。
また、スマートフォンの普及により、消費者の検索行動が定着しました。ふと気になったことや知りたいこと、わからないことを誰かに聞くのではなく、手元のスマートフォンで検索するのが当たり前になっています。これは、情報探索が購買プロセスに組み込まれていることを示しています。
Googleによると、消費者が買い物における情報収集手段として最も利用しているのは「検索」です。購買に関していえば、「検索」の利用時間シェアは60.6%であり、「専門サイト」(13.2%)や「家族・友人・知人」(7.8%)、「SNS」(7.8%)などと比べ圧倒的なシェアとなっています。
このデータは、情報探索が消費者の意思決定にどれほど大きな影響力を持っているかを明確に示しており、インテントマーケティングの重要性を浮き彫りにします。つまり、消費者の購買行動は、情報探索行動に大きな影響を受けているということです。情報探索の最適化は、コンテンツマーケティングにおいても重要な要素となります。検索行動の理解なくして、効果的なマーケティングは実現できません。
参考:Google社 『従来の購買行動はもう当てはまらない、情報探索行動を分析してわかったこと:バタフライ・サーキットと 8 つの動機』
不規則な動きを見せる情報探索行動
従来の情報探索行動の考え方としては、「認知」「興味」「比較検討」「購入意向」「購入」といった段階を追って購買行動へと進むのが一般的でした。これは、消費者が情報収集のプロセスを順番に進む「一本道」のモデルとして捉えられていました。しかし、実際の消費者の情報探索行動は、こうした段階的で一直線なものではないことが明らかになっています。
Googleの調査によると、現代の消費者の情報探索は、現れては消えるの連続であり、そのタイミングも不規則です。ある期間は活発に情報を探していたかと思えば、少し期間を置いて再び現れたり、あるいは突然情報探索が途絶えたりすることもあります。消費者の情報探索行動は、こうした予測困難な動きを幾度となく繰り返しているのです。これは、マーケティングにおける重要な示唆となります。
この不規則な情報探索行動は、商材の種類を問わず共通して見られる傾向です。従来の情報探索行動モデルのように、認知から購入までを一直線に進むことは、現実にはほぼありません。この事実は、日本国内だけでなく、アメリカやヨーロッパにおける調査でも同様の結果が示されており、グローバルな現象であることが確認されています。情報探索の分析は、このような現代の消費者の行動様式を理解する上で不可欠です。
さらに、こうした消費者の無秩序に見える情報探索行動の背景には、それをかき立てる特定の「動機」が存在することがGoogleの分析で明らかになりました。消費者は、これらの潜在的な動機の間を揺れ動きながら、自身のニーズに合った情報を求めて探索しているのです。
この情報探索の動機を理解することは、効果的な情報探索戦略を構築する上で極めて重要となります。また、情報探索行動の分析は、マーケティング戦略の精度を高めるための鍵となります。
情報探索と購買行動の関連性を深く理解し、消費者の情報探索のメカニズムを把握することは、現代のデジタルマーケティングにおいて成功を収めるために不可欠です。情報探索の心理学に基づいたアプローチが求められています。
消費者の情報探索をかき立てる8つの動機
消費者の情報探索行動を無秩序に、しかし意図的に引き起こす「動機」が存在します。Googleは、これらの潜在的な動機を8つ特定し、それらが情報探索の原動力となっていると提唱しています。これらの動機は、消費者が情報収集を行う際の心理状態や目的によって、「さぐる」と「かためる」の2つのカテゴリーに大別されます。
【さぐる】
- 気晴らしさせて(へー): これは、純粋に情報収集そのものを楽しみたい、エンターテイメントとして情報に触れたいという欲求です。新しい情報に触れること自体が目的となり、特に購買意欲に直結しない場合もあります。
- 学ばせて(ふむふむ): 未知の知識や情報を得て、自身の知見を深めたいという知的好奇心に基づく動機です。学習意欲が高まっている状態であり、将来的な利用や理解のために情報を蓄積しようとします。
- みんなの教えて(そんな感じか): 周囲の人々や世間一般がどのような選択をしているのか、トレンドや評判を知りたいという社会的な欲求です。他者の意見や選択は、自身の判断の参考になります。
- にんまりさせて(うしし): 一般にはまだあまり知られていない、隠れた情報やニッチな情報を見つけ出し、優越感や特別感を得たいという動機です。独自の情報を手に入れることで、満足感を得ようとします。
【かためる】
- 納得させて(なるほどね): 自分が既に持っている考えや、ある程度固まった意見が正しいかどうかを確認し、確証を得たいという心理です。情報探索を通じて、自身の判断の正当性を裏付けようとします。
- 解決させて(はいはい): 今まさに直面している課題や疑問に対する、具体的で即効性のある答えや解決策を求めている状態です。実用的な情報を、迅速に入手することが目的となります。
- 心づもりさせて(やっぱりか): 将来的に起こりうる期待外れや失望を避けるために、あらかじめ現実的な期待値を設定しておきたいという防御的な心理です。リスクを回避し、過度な期待をしないための情報収集を行います。
- 答え合わせさせて(ですよね): 自身が下した、あるいは下そうとしている選択肢が、他の選択肢と比較して間違っていないか、あるいは最善であるかを確認し、安心感を得たいという動機です。決断の正しさを確認することで、後悔を防ごうとします。
これらの「さぐる」と「かためる」の動機は、消費者の情報探索行動において、必ずしも直線的に進行するわけではありません。例えば、「かためる」段階で一度購入を決めた後でも、さらに情報を「さぐる」モードに入り、他の選択肢を検討し直すこともあります。このように、消費者はこれらの8つの動機の間を行き来しながら、複雑で不規則な情報探索を繰り返しているのです。このような多岐にわたる情報探索の動機を理解することは、マーケティング戦略において極めて重要となります。
参考:Google社 『ギリシャ? バリ? はたまたハワイ? 新婚旅行の検索行動から見えた情報探索行動のリアル:バタフライ・サーキットと8つの動機』
まとめ
- スマートフォンの普及と生活環境の変化により、消費者の購買行動は「パルス型」へと変化し、情報探索行動が購買行動に大きな影響を与えています。
- 実際の情報探索行動は、従来の段階的な「一本道」ではなく、現れては消える不規則な動きを繰り返します。
- 消費者の情報探索をかき立てる動機は、Googleが提唱する「さぐる」(気晴らしさせて、学ばせて、みんなの教えて、にんまりさせて)と「かためる」(納得させて、解決させて、心づもりさせて、答え合わせさせて)の8つに分類されます。
- これらの動機は、情報探索の過程で「さぐる」と「かためる」の間を行き来するような、必ずしも直線的ではない動きを見せます。このような情報探索のメカニズムを理解することは、マーケティング戦略において非常に重要です。情報探索の動機に合わせたアプローチが、現代のマーケティングにおいては不可欠と言えるでしょう。

