「ページネーション」という言葉は、Web制作に携わる方以外には馴染みがないかもしれません。しかし、実際には多くのWebサイトで目にすることのできる、情報量の多いコンテンツを扱うページにとって不可欠な仕組みです。本来はユーザーがWebサイトを快適に閲覧できるようにするための機能ですが、適切に実装しないとSEOにも影響を及ぼす可能性があるため、Webサイト制作時には注意が必要です。本記事では、Webサイト制作時に考慮すべきページネーションについて詳しく解説します。Google検索エンジンは、ページネーションされたコンテンツを単なる個別ページとしてではなく、関連性のある一連のコンテンツとして評価する傾向があります。そのため、適切なページネーションの導入は、サイト全体の評価向上に繋がり、SEO効果を高める可能性があります。
ページネーションとは?
ページネーション(pagination)とは、情報量の多いコンテンツをWebページに掲載する場合に、ページを分割して見やすくするための仕組みを指します。日本語では「ページ割り」や「丁付け」とも呼ばれ、単に「ページネーション」と呼ぶ人もいます。
具体的には、検索エンジンの検索結果ページやECサイトの商品一覧ページなどで、ページ下部に表示される「1」「2」「3」といった番号や、「次へ」「前へ」といったリンクで構成されるナビゲーションがページネーションです。
ページネーションの必要性
コンテンツが大量にあるWebサイトで、分割せずに一つの長いページにしてしまうと、ユーザーは目的の情報にたどり着くまでに多くのスクロールを強いられることになります。これは、読み込み時間の増加や、いつまで続くかわからないページに対するストレスとなり、ユーザビリティを著しく低下させます。
ページネーションを適切に設置することで、ユーザーはコンテンツの全体像を把握しやすくなり、読みたいページへスムーズに移動できるようになります。これにより、ユーザー体験が向上し、結果として離脱率の低下につながると考えられています。さらに、このユーザビリティの向上は、間接的にSEOにも良い影響を与える可能性があります。
ページネーションはSEOにも影響する?
世界40カ国以上で検索エンジンのトップシェアを誇るGoogleは、日本国内でも80%以上のシェアを獲得しています。このような状況から、SEO対策を専門とする多くの企業は、Google検索エンジンでの上位表示を最重要目標としてサービス提供を行っています。
Googleは「Googlebot」と呼ばれるクローラーを定期的にウェブサイトに巡回させ、ウェブサイトの情報を収集・解析し、その結果をデータベースに登録して評価を行います。ユーザーが特定のキーワードで検索を行った際、Googleはこの評価に基づいて検索結果の順位を決定し、表示するのです。
ページネーションによってコンテンツが複数のページに分割される場合でも、Googleはそれらを個別のページとしてバラバラに評価するのではなく、全体として一つのまとまったコンテンツとして扱います。この点が非常に重要です。複数のページに分散されたコンテンツが、一つの大きなコンテンツとして評価されることで、Googleはそのページ群が持つ被リンクを集中させ、結果として質の高いコンテンツであると判断し、検索上位に表示される可能性が高まります。
これは、SEO ページ における重要なポイントであり、ユーザーにとっても利便性の高いサイト構造が、結果的に検索エンジンからの評価向上に繋がることを意味します。しかし、単にページを分割すれば良いというものではありません。分割する際には、各ページに適切な量のコンテンツを配置し、ユーザーの離脱を防ぐ工夫が不可欠です。
Web制作時に気をつけること
ページを小分けにすることによって被リンクが多くなり評価される、といっても、小分けにすればするほど良いというわけではありません。ページ下部の番号(ページネーション)がやたら多いとしたら、そのWebサイトを最後まで見る気になるでしょうか?
コンテンツの少ないページが連続するとユーザーはクリックする回数が増えてしまい、面倒になって離脱率が高まってしまうのです。ページネーションを行う場合には、各ページに適度なコンテンツを配分することが重要です。
次にデザイン上の注意点になりますが、ページネーションを設定する場合には、タップしやすいクリック領域を広めに取ることが肝心です。
現在ではWebサイトを見る場合に、パソコンなどよりスマートフォンやタブレットで見ることが多くなってきています。マウスでカーソルを操作するのであれば、ピンポイントで要素(この場合は番号など)をクリックすることは比較的容易です。スマートフォンやタブレットでは指で要素をタップ(クリック)することになるため、クリック領域が狭いとうまく移動できず、ユーザーのストレスになってしまうのです。
また、現在ユーザーがいるページ番号の色を変えるなど、ユーザーエクスペリエンス(UX)を損なわないようにページネーションを設置する際には工夫が必要です。
コンテンツが多い場合には設置することによって、SEOにも効果があるページネーション。ユーザーにとってもとても有益な仕組みですが、Web制作者がちょっとした心遣いを怠ると逆効果になりかねません。肝心なことはユーザビリティです。これを忘れないようにしましょう。
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まとめ
ページネーションとは、情報量の多いコンテンツを読みやすくするために、SEO ページ を分割して表示する仕組みのことです。これを適切に実装することで、ユーザーはコンテンツの全体像を把握しやすくなり、目的の情報にたどり着くまでのストレスが軽減されます。結果として、サイトの離脱率低下にも繋がります。
SEOの観点からは、ページネーションによって分割されたコンテンツは、Googleなどの検索エンジンによってSEO ページ としてひとまとめに評価される傾向があります。これにより、各ページが個別に持つ被リンクや評価が統合され、サイト全体の評価向上に寄与し、検索上位表示に繋がる可能性が高まります。
Web制作時にページネーションを実装する際は、単に分割するだけでなく、各ページに適切な量のコンテンツを配分することが重要です。また、デザイン面では、スマートフォンやタブレットからのアクセスを考慮し、指でタップしやすいようにクリック領域を広めに確保するなどの配慮が不可欠です。現在表示されているページ番号を分かりやすく表示するなど、ユーザビリティを損なわない工夫も効果的です。

