検索エンジンとは、ネット上のWebページや画像、動画を検索するためのものです。検索窓と呼ばれるボックスに、検索したいキーワードを入力することで、世界中のWebサイトから、検索キーワードと関連性の高いWebページや画像、動画を表示してくれます。
検索エンジンのシェアを見てみますと、日本で最も高いシェアを誇っているのがGoogleで、日本でのシェアは約76%です。そして、2番目がYahoo!の約15%、3番目がBingの約8%です。ほぼトップ3で日本のシェアは占められていることにはなりますが、この3つ以外にもたくさんの検索エンジンが存在することをご存知ですか?
また、日本だけではなく、世界ではどのような検索エンジンが使用されているのでしょうか。この記事で解説していきましょう。
目次
世界で最も利用されている検索エンジンは「Google」
さて、先ほど日本で最も利用されている検索エンジンについて確認しましたが、世界で最も利用されている検索エンジンは何なのでしょうか。
みなさんも予想のとおり、世界で最も使用されている検索エンジンは、ここでもGoogleです。世界での検索エンジン市場シェアの約70%を占めており、モバイルに関しては約75%のシェアを占めています。この圧倒的な結果を見ると、SEO施策をこれから進めていくのであればGoogleを選ぶのが妥当と言えるでしょう。
しかし、Googleは圧倒的なシェア率を考えても分かるとおり、SEO施策で選択したとしても、他の多くの企業もGoogleのSEO施策をしています。そのため、そこでの競争率が高く、いくら小手先のSEO施策をしても、検索結果上位に表示されることはなかなか困難です。
検索エンジンの世界では、Googleの独占状態が続いていますが、ユーザーの検索ニーズも多様化しています。そのため、検索エンジンの開発企業は、より高度な検索アルゴリズムや人工知能を活用した検索機能の向上に力を入れています。これにより、ユーザーにとってより適切で有用な検索結果を提供することを目指しています。
また、検索エンジンの進化に伴い、SEO対策も変化しています。単純なキーワード最適化だけでなく、ユーザーの意図を理解し、質の高いコンテンツを提供することが重要になってきています。検索エンジンの動向を常に把握し、適切なSEO戦略を立てることが、オンラインでの成功につながるでしょう。
世界で利用されている検索エンジン10選
ここからは、世界で利用されている検索エンジン10選を紹介していきましょう。
Bing
Bingは、Microsoft社が開発・運営する検索エンジンで、主にアメリカで利用されています。日本では2010年に正式サービスを開始し、国内での検索エンジン市場シェアで第3位にランクインしています。
Microsoft社は、Bingについて「利用者の意思を決定する次世代の検索エンジン」と評価しています。その理由は、BingはGoogleやYahoo!とは異なる独自技術を持っているからです。
Bingの独自技術とは、Bingで検索を行った場合、その検索は単に検索ワードとマッチしたWebページを探してくるだけではありません。検索者の状況に合わせた動画などの検索情報も限定して表示するように設計されています。これにより、ユーザーにとってより関連性の高い検索結果を提供することができます。
また、Bingは動画検索に特に優れていると言われています。検索エンジンの機能の中でも、動画コンテンツの検索と表示に力を入れており、ユーザーが求める動画を効率的に見つけ出すことができます。
Bingの特徴として、検索結果ページのデザインも独自性があります。視覚的に魅力的なレイアウトと、関連情報のサイドバー表示など、ユーザーエクスペリエンスを重視した設計となっています。これらの特徴により、Bingは他の検索エンジンとは異なる独自の立ち位置を確立しています。
関連記事
・BingのSEOが重宝される理由とは?
・BingAIとは?始め方やチャットの使い方をわかりやすく解説
Yahoo!
Yahoo!は、日本国内での検索エンジン市場シェアで第2位を誇り、日本では誰もが知る存在と言えるでしょう。
Yahoo!の特徴は、Googleの検索アルゴリズムを利用しながらも、独自の技術を組み合わせていることです。そのため、検索結果自体はGoogleとほぼ同じですが、以下の2点で大きな違いがあります。
1つ目は検索機能の多様性です。Yahoo!は、通常の検索エンジンとしての機能に加え、画像検索や動画検索、辞書検索、知恵袋検索、地図検索、リアルタイム検索など、幅広い検索オプションを提供しています。これらの機能により、ユーザーは目的に応じて効率的に情報を探すことができます。
2つ目は検索結果の表示方法です。Googleが標準検索を採用しているのに対し、Yahoo!はパーソナライズド検索を採用しています。パーソナライズド検索とは、ユーザーの過去の検索履歴や行動パターンを分析し、個々のユーザーに最適化された検索結果を表示する仕組みです。これにより、ユーザーはより関連性の高い情報を得られる可能性が高くなります。
また、Yahoo!は検索エンジンとしての機能だけでなく、ニュースやショッピング、オークションなど、多様なサービスを提供するポータルサイトとしての役割も果たしています。この総合的なサービス展開により、ユーザーの利便性を高め、継続的な利用を促進しています。
SEOの観点からも、Yahoo!は重要な存在です。Google向けのSEO対策がYahoo!にも有効である一方で、Yahoo!独自のサービスや機能を考慮した戦略も必要となります。特に、Yahoo!知恵袋などのユーザー参加型コンテンツを活用することで、より効果的なSEO施策を展開できる可能性があります。
Baidu(バイドゥ)
Baidu(バイドゥ)は、中国で最も利用されている検索エンジンで、中国の検索エンジン市場でトップのシェアを誇ります。中国独自のインターネット規制により、Google等の海外の検索エンジンが使用できない環境下で飛躍的に成長してきました。
中国では「グレート・ファイアウォール」という、国家規模のネット検閲システムが存在するため、Googleなどの海外の検索エンジンや、X(Twitter)・InstagramといったSNSの利用が制限されています。このような政治的背景を受けて、Baiduは中国国内で圧倒的な存在感を示しています。
Baiduの基本的な使い方は、GoogleやYahoo!とほとんど変わりません。トップページはYahoo!と同様にカテゴリー分けされた構成になっています。ただし、中国語に特化した検索エンジンであるため、中国語での検索に最適化されています。
中国市場へのアプローチを考える企業にとって、Baiduは重要な検索エンジンとなります。中国でのSEO対策を行う際は、Baiduの検索アルゴリズムを理解し、それに適した施策を行うことが求められます。また、Baiduは検索以外にも、地図サービスや百科事典など、多様なサービスを展開しており、中国のデジタルエコシステムにおいて中心的な役割を果たしています。
Ask.com(アスク・ドットコム)
Ask.comは、アメリカのコングロマリット(複合企業体)であるIAC Search & Mediaが運営する検索エンジンですが、検索エンジン市場でのシェアがとても低く、知名度はほとんどありません。
Ask.comの特徴は、独自のアルゴリズムを使用していることです。Ask.comの検索は、他の検索エンジンとは異なり、専門知識を優先するアルゴリズムを採用しています。この独自のアプローチにより、検索エンジンの利用者に特化した結果を提供することを目指しています。
また、Ask.comの英語版では、検索サイトとコミュニティ型のQ&Aサイトがあります。そして、Yahoo!と同様、キーワード検索の他に、画像検索やニュース検索が可能になっています。これらの機能は、ユーザーに多様な検索オプションを提供し、より包括的な検索体験を実現しています。
日本語版では、かつて動画検索やブログ検索が可能でしたが、現在はWebサイトのみの検索になっており、なかなか日本でのシェアを獲得するのは難しいでしょう。しかし、検索エンジン市場において独自の立ち位置を確立しようと努力を続けています。
DuckDuckGo(ダック・ダック・ゴー)
DuckDuckGoは、「あなたを追跡しない検索エンジン」と謳っているとおり、プライバシーを重視した検索エンジンとして人気が急上昇しているアメリカで開発された検索エンジンです。
DuckDuckGoでは、Googleよりも検閲がゆるいと言われており、ユーザー情報が追跡、収集されることがなく、ターゲティング広告などに悩まされることがありません。この検索エンジンは、個人情報保護に敏感なユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。また、DuckDuckGoは検索ページがボックス1つしかないため、スッキリとしていて操作しやすい仕様と言えるでしょう。
日本では、検索エンジン市場シェアの0.13%を占めています。しかし、プライバシー意識の高まりとともに、今後さらなる成長が期待される検索エンジンの1つです。DuckDuckGoは、他の主要な検索エンジンとは異なるアプローチで、ユーザーの信頼を獲得しつつあります。
Yandex(ヤンデックス)
Yandexは、ロシア産の検索エンジンで、ロシアでの検索エンジン市場の約半分を占めており、ロシアのGoogleとも評されています。ロシアでトラフィック量を獲得したい場合、Yandexを使用するのが効果的でしょう。この検索エンジンの人気はロシアだけにとどまらず、ウクライナやカザフスタン、トルコ、ベラルーシなど近隣諸国でも高い支持を得ています。
Yandexは、多様なサービスを提供しており、その機能は検索エンジンとしての役割にとどまりません。フリーメールやオンラインストレージ、地図検索、翻訳サイトなどの基本的なウェブサービスに加え、タクシー配車や食事宅配などの生活に密着したサービスも展開しています。この点で、Yandexの機能性はYahoo!に類似していると言えるでしょう。
言語対応の面では、Yandexは英語やトルコ語はもちろん、ロシア語を含むキリル文字圏の諸言語にも幅広く対応しています。これは、Yandexがロシア発の検索エンジンであることを反映しています。
Yandexの検索アルゴリズムは、ロシア語の言語特性を考慮して最適化されています。そのため、ロシア語圏のユーザーにとっては、より精度の高い検索結果を得られる可能性があります。また、Yandexは独自の機械学習技術を活用し、ユーザーの検索意図をより正確に理解しようと努めています。
ビジネス面では、YandexはSEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告などのマーケティングツールも提供しています。ロシア市場でのオンラインプレゼンスを強化したい企業にとって、Yandexは重要な検索エンジンプラットフォームとなっています。
関連記事:Yandex(ヤンデックス)とは!ロシアでGoogleと同じくらい人気の検索エンジンを解説!
Aol.(エーオーエル)
Aol.は、アメリカで人気があった検索エンジンです。2000年代に急成長し、一時期はインターネット業界をリードする存在でしたが、現在では検索エンジン市場でのシェアが低下しています。日本国内では、主に地域に関する情報を提供するポータルサイトとして運営されており、検索エンジンとしての機能は限定的です。Aol.の検索エンジンとしての特徴は、ユーザーフレンドリーなインターフェースと、ニュースや天気予報などの付加的な情報提供にありました。しかし、GoogleやBingなどの強力な競合他社の台頭により、検索エンジン市場での存在感が薄れてしまいました。
NAVER(ネイバー)
NAVERは、韓国国内で多くのシェアを獲得している検索エンジンです。一説には、Google以上に韓国国民に利用されているとも言われています。検索エンジンとしての機能性が高く評価されており、韓国のインターネット利用者から絶大な支持を得ています。
特徴は、トップページに「ニュース」や「ブログ」「地図」など、さまざまなコンテンツが掲載されている点です。この点から、NAVERはYahoo!の韓国版と捉えていただくとイメージしやすいです。ただし、NAVERは独自の検索アルゴリズムを持ち、韓国語での検索に特化した性能を誇ります。
検索エンジンとしてのNAVERは日本人になじみがありませんが、2020年にサービスが終了した「NAVERまとめ」は記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。また、我々が日常で使っている「LINE」も親会社がこのNAVERであるため、意外にも日本人に馴染み深い検索エンジンともいえます。
韓国国内でシェアが多いことから、韓国でサービスを展開される方や企業は、NAVER独自のSEO施策やリスティング広告を行う必要があります。NAVERの検索エンジンに最適化されたコンテンツ作成や、NAVERのアルゴリズムに合わせたキーワード戦略が重要となります。
Excite(エキサイト)
Exciteは、アメリカで誕生し、日本法人エキサイト株式会社も有するエキサイト社が展開する検索エンジンです。この検索エンジンは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて人気を博しました。Exciteの検索エンジンとしての特徴は、Yahoo!に似た使いやすいインターフェースを持つことです。ポータルサイトとしての機能も備えており、ニュースや天気予報、メールサービスなど、多様なコンテンツを提供しています。検索エンジン市場の競争が激化する中、Exciteは独自の付加価値サービスを展開することで、ユーザーの獲得に努めています。例えば、高精度な機械翻訳サービスは、Exciteの強みの一つとして知られています。
Ecosia(エコシア)
Ecosiaは、ドイツ・ベルリンの企業が展開している検索エンジンです。この検索エンジンは、その名前が示すように環境保護に重点を置いています。
Ecosiaという名前からも分かるように、エコ対策に関心を寄せており、収益は投資家に還元するよりも、地球温暖化対策に使うべきだという理念を持っています。この検索エンジンの特徴は、ユーザーが検索を行うたびに生まれる広告収益の大部分を環境保護活動に活用していることです。
検索するたびに上がる利益の80%以上を、植林・森林再生活動に寄付しているところがユニークな特徴と言えるでしょう。Ecosiaを利用することで、ユーザーは日常的な検索行動を通じて環境保護に貢献できるため、環境意識の高い人々から支持を集めています。この検索エンジンは、デジタル技術と環境保護を融合させた新しいアプローチを示しています。
検索エンジンの仕組み
検索エンジンは、インターネット上の膨大な情報を効率的に探し出すための重要なツールです。その仕組みは、主に3つの段階から構成されています。これらの段階を理解することで、検索エンジンの動作原理がより明確になります。
検索エンジンの仕組みは、クローリング、インデックス、ランキングという3つのプロセスから成り立っています。これらのプロセスが連携することで、ユーザーが入力したキーワードに関連する情報を素早く提供することができるのです。
各プロセスには特有の役割があり、それぞれが検索エンジンの機能に不可欠な要素となっています。クローリングでは情報の収集、インデックスでは情報の整理、ランキングでは情報の評価が行われます。これらの仕組みにより、検索エンジンは膨大なウェブ上の情報を効率的に処理し、ユーザーに最適な検索結果を提供しています。
①:クローリング
クローリングとは、検索エンジンが使用するクローラーと呼ばれるロボットが、Webサイトのリンクを辿り、それぞれのWebサイトから様々な情報を自動的に収集することを意味します。この過程は、検索エンジンが最新かつ正確な情報を提供するために欠かせません。
たとえば、あなたが新しいサイトを公開すると、クローラーは自動的にそのサイトを訪問し、情報を収集していきます。しかし、クローラーが情報を収集してから理解するまでには時間がかかるため、どのようなサイトでも公開後すぐにクローラーが来訪するわけではありません。
検索エンジンのクローラーは、定期的にWebサイトを巡回し、新しいコンテンツや更新された情報を見つけ出します。このプロセスにより、検索エンジンは常に最新の情報を保持し、ユーザーに適切な検索結果を提供することができるのです。ただし、クローリングの頻度や深さは、サイトの重要性や更新頻度によって異なることに注意が必要です。
関連記事:クロール(クローリング)とは?意味やGoogleへのリクエスト方法、SEOとしての基礎を解説!
②:インデックス
クローラーがリンクを辿って収集したデータは、一旦レポジトリという場所に置かれます。そこから、インデックスデータベースの中で情報が検索されやすいように整理されていくのです。この一連の流れのことを、インデックスと言います。検索エンジンは、このインデックス処理を通じて、ウェブ上の膨大な情報を効率的に管理し、ユーザーの検索クエリに迅速に応答できるようにしています。
一般的に、インデックスされていないWebサイトは検索結果に表示されることはないと言われています。そのため、SEO対策を行う際には、自社のWebサイトが検索エンジンによって適切にインデックスされているかどうかを確認することが重要です。インデックスされていない場合、サイトマップの提出やリンク構造の改善など、インデックスを促進するための対策を講じる必要があります。
関連記事:インデックスとは?Google検索でのSEO効果と登録方法、重要性
③:ランキング
インデックスされたWebサイトは、Googleの200以上のアルゴリズムによって評価されます。これらのアルゴリズムは、Googleの検索品質評価ガイドラインに記載されており、それらの評価基準を満たしているWebサイトが検索結果上位に表示される仕組みになっています。検索エンジンのランキングシステムは、ユーザーにとって最も関連性が高く有用な情報を提供することを目的としています。
具体的には、検索エンジンは以下のような要素を考慮してWebサイトをランク付けします。
・コンテンツの質と関連性
・サイトの構造とナビゲーション
・ページの読み込み速度
・モバイル対応
・バックリンクの質と数
・ユーザーエクスペリエンス
これらの要素を最適化することで、Webサイトの検索エンジンでのランキングを向上させることができます。ただし、ランキングアルゴリズムは常に更新されているため、最新のSEOベストプラクティスに注意を払い、継続的な改善が必要です。
関連記事:アルゴリズムとは?基本の意味や種類、検索アルゴリズムまでを徹底解説
まとめ:検索エンジンに対する理解を深めましょう
本記事では、さまざまな検索エンジンと検索エンジンの仕組みについて詳しく説明してきました。今日のデジタル時代において、検索エンジンに関する知識は非常に重要です。Webメディアが溢れる現代社会では、本記事で解説したような検索エンジンの基本的な仕組みや特徴を理解しておくことが必須となっています。
これらの情報は、単なる知識としてだけでなく、実践的なSEO施策にも大いに役立ちます。例えば、各検索エンジンの特性を把握することで、ターゲットとする地域や言語に応じた最適な検索エンジンの選択が可能になります。また、クローリング、インデックス、ランキングといった検索エンジンの基本的な仕組みを理解することで、より効果的なWebサイト設計やコンテンツ戦略を立てることができるでしょう。
さらに、検索エンジンに対する理解を深めることで、ユーザーの検索行動や意図をより正確に把握し、それに応じたコンテンツ作成やサイト最適化を行うことができます。これは、検索結果での上位表示を目指す上で非常に重要な要素となります。
したがって、この機会に検索エンジンに対する理解を深め、その知識を実践に活かしていくことをおすすめします。常に変化し続ける検索エンジンの世界に注目し、最新の動向やアップデートにも注意を払いながら、継続的に学習を重ねていくことが、デジタルマーケティングの成功につながる重要な鍵となるでしょう。