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ARの基礎知識とビジネスシーンにもたらす効果と影響

2021.11.17
読了まで約 6

「AR」という言葉ご存知でしょうか?ARとは、「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」の略で、「拡張現実」を意味します。実際にある風景にCG技術を合成させることで、現実の世界に仮想空間を作り出します。
ARを使ったサービスとして
2016年に一躍、世界的ブームを巻き起こしたアプリケーションの「ポケモンGO」は記憶に新しいのではないでしょうか。その後も、AR技術が搭載されたアプリケーションが次々とリリースされ、エンタメ分野を盛り上げています。
また、AR技術はエンタメ分野に留まらず、ファッション業界、インテリア業界、美容業界など、多種多様な業界においてARビジネスモデルの確立が既に始まっているのです。
ここでは、「ARとは」という部分から、実際の活用事例や注目が集まりつつあるAR広告について詳しくご紹介していきます。

「AR (アグメンティッド・リアリティ)」とは

ARとは、「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」の略です。日本語では「拡張現実」を意味し、現実の世界に映像や画像にCG技術を合成させて仮想空間を作り出すことが可能になります。
ARの特徴として、既に現実世界に存在するデータに、別で作り上げられた新たなデータを加え、現実世界を「拡張」するということが挙げられます。AR技術は、スマートフォンのゲームアプリ「ポケモンGO」のように、現実の風景にポケモンが登場し、実在しているかのように見える最新技術です。
AR技術が開発された当初は、主にPCで利用されている技術でしたが近年のスマートフォンやタブレットの急激な需要増加に伴い、AR技術も並行してさまざまなスペックが向上しました。近年開発されるスマートフォンには、AR技術が搭載できるようになったことでARのアクティブユーザーも増加に繋がり、世界的にARの認知度が拡大してきています。近年では便利な機能だけでなく、ユーザーが娯楽を楽しむためのエンターテインメントアプリの誕生も増加傾向にあります。また、ゲームのみならず、位置情報のアシスト機能やビジネス分野、医療の分野などさまざまな活用方法が多角化し続けています。

「VR」との違い

「AR」とよく似た言葉で「VR」というが技術が存在します。この二つのフレーズは聞いたことはあるけれども、違いについてはよく解らないという方も多いのではないでしょうか?「AR」は「VR」の一種になりますが、二つには大きな違いがあります。それは、「現実世界のデータを使用しているか」ということが挙げられます。ここからは、「AR」と「VR」の違いについてご説明していきます。

「VR」は「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略語です。日本語では、「人工現実感」や「仮想現実」と訳されています。VR(バーチャル・リアリティ)とは、実物や現物ではないが、機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感である、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚を含む感覚を刺激することにより、理工学的に生み出す体系や技術のことを示します。
「表面的に現実ではないが、本質的に現実」という意味合いがあり、VR(バーチャル・リアリティ)によって、「限りなく実体験に近い体験できる」ということを表わします。わかりやすく説明すると、VR(バーチャル・リアリティ)によって、仮想空間を限りなく実体験に近い形で体験が得られ、VR(バーチャル・リアリティ)を通して得られるリアルな体験が、あたかも現実で起こっているかのように感じられるという仕組みです。
また、最近のゲーム業界において、VR専用のハードウェアの開発が進んでいます。専用のヘッドセットを付けてプレイすることで、ユーザー自身がゲームの世界に入りこんだような臨場感を感じながらゲームを体験できる機能が人気を集めています。

ユーザーの視点で見るとARは、実際に目に見えている現実世界に拡張された新たなデータが付加されていますが、VRはゼロから作り上げられた仮想世界にユーザーが自ら入り込んでいくことで、まるで現実世界を体験しているかのような臨場感を味わうことができるという違いがあります。

ビジネスシーンやプロモーションに効果をもたらす「AR」の事例

近年では、ビジネスシーンやプロモーション分野において「AR」の普及が進んでいることをご存知でしょうか?ここからは、さまざまな業種の「AR」活用事例を詳しくご紹介していきます。

小売り・EC業界のAR活用事例

現在、AR技術はインテリア業界に大きな効果をもたらしています。家具やインテリアの購入を検討する際に、無数の種類からベストなアイテムを選ぶには、サイズ感や部屋の配色バランスなど、さまざまな視点から比較検討を行う方が多いのではないでしょうか?
しかし、AR技術を使用することで、自分の部屋や家の中に検討中の商品を設置した様子を、スマートフォンやタブレットの画面上で、簡単に確認できるアプリが開発されています。家具やインテリアを購入後、ユーザーのミスマッチを事前に防げるため、顧客満足度アップに貢献できることはもちろんのこと、企業側からすれば、交換作業に掛かる人的リソースや無駄な配送コストの削減に繋がるといった利点が挙げられます。

AR技術を活用したアパレル業界

「NIKE FIT(ナイキフィット)」は、AR機能を搭載したNIKEの公式アプリケーションです。スマートフォンのカメラを使用し、自身の足をスキャンします。スキャンすることで足のサイズを測定し、測定した結果をアプリ内に保存し記録することが可能となります。その測定データと過去の購入履歴などを組み合わせ、ユーザーに適したサイズを自動的に提案してくれるといったサービスを提供しています。

世界的有名ブランドの「GUCCI(グッチ)」のアプリケーションでは、ARを使用して試着が可能となるサービスがあります。専用アプリを使用し、スマートフォンに搭載されているカメラの機能を足にかざすことで、実際に販売しているスニーカーを装着しているようなCG映像を、スマートフォンの画面上で確認することができます。この機能により、試着したときに感じるミスマッチを購入前に防ぐことが可能となります。

また、韓国のジュエリーショップの「Lologem(ロロジェム)」は、専用のアプリを使用し、カメラを自身の顔にかざすことで、実際に販売を行っているイヤリングの試着を可能にしました。無駄な試着時間を省き、豊富な種類のアイテムから自分好みのアイテムを簡単に見つけることができる画期的なサービスです。

オンワード樫山の「JOSEPH(ジョゼフ)」もまた、ARを活用した企業として注目を集めました。店舗に設置されたタブレット端末を使用し、ARファッションショーを開催しました。ファッションショー内でモデルが着用している洋服の拡大視聴が可能になり、モデルを自由自在に変更できるなど、現実世界では不可能なファッションショーをAR技術の使用により可能にしました。

AR技術を活用した美容業界

パーフェクト株式会社もまた、AR技術を使用した「YouCam(ユーカム)メイク」アプリを用いたビジネスを展開しています。このAR技術を使うことで、実際にユーザーがアプリ内で希望する化粧品を使ったメイクを疑似体験することが可能となります。購入前に化粧品を使った後の状態を確認できるため、サービスの向上や、話題性、商品購入後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。

AR技術を活用した観光業界

観光業界においてもAR技術の活用が注目を集めています。AR用のスマートグラスの普及も徐々に広がりを見せていることから、新たなサービスが誕生し始めています。実際に、スマートグラスを装着し、旅行先を楽しむツアーを体験できる画期的なサービスです。季節や天候に関係なく、各旅行先の鑑賞が可能という利点や、スマートグラスに同時翻訳機能も内蔵されていることでツアー参加者が多国籍でも対応できます。

AR技術を活用した建設業界

国内の建設会社である戸田建設は、独自に開発した「建機AR」を取り入れています。タブレット端末上で建機の3Dモデルを作り上げ、実際の建設工事現場にタブレット端末をかざすことで、二つの映像を重ね合わすことができる仕組みです。このことから、什器の寸法が搬入経路に適しているかの確認や、現場環境の安全性を事前に検証することが可能となりました。建機の配置に要する準備時間や、作業員の労力軽減、安全確保にも役立てている事例があります。

AR広告とは

ここからは、AR技術を利用した比較的新しい広告手法のAR広告についてご説明していきます。
AR広告は、ARで生み出される「実際に目に見えている現実世界に、拡張された新たなデータを付加する」技術を使用します。AR広告の特徴として、場所を選ぶこと無く、サービスや商品の疑似体験ができる広告手法です。従来の広告が与えるネガティブなイメージが少ない点や、最新の技術や非現実体験が可能となるため、ユーザーの興味関心が高くなる点なども特徴として挙げられます。
例えば、日本経済新聞社が提供するARコンテンツ体験アプリ「日経AR」を使った広告があります。専用アプリをダウンロードし、新聞の該当ページにスマートフォンをかざすだけで、画面越しに自動車の部品が3D映像になって飛び出す仕組みになっています。他にも、広告紙面に「日経AR」をかざすとマーチングバンドが現れてファンファーレが鳴り響くなど平面的な紙面を読むだけの新聞が、AR技術を取り入れることにより、現代ならではの面白さを追加したプロモーションになっています。

AR広告の仕組み

AR広告の基本的な仕組みは、平面認識もしくはARマーカーに対応するARコンテンツを画面上に表示させるものが一般的です。平面認識やARマーカーをスマートフォンやタブレットのカメラを使用し、認識された際に広告を表示することが可能になります。
また、ARコンテンツは3Dや画像だけではなく音声も扱うことができるため、従来の広告と比較してより一層、五感に訴えかけることが可能となります。AR広告に対するユーザーの印象は根強く残ることで、最大限のアピールに繋がることでしょう。

SNSと連携したAR広告

現在、SNSと連携したAR広告の需要が増加してきました。特に若い世代にアクティブユーザーが集まる、「Instagram」と「SnapChat」では、AR技術をアプリ内の各種機能に搭載していることで、これを広告に利用する動きが広まっています。
実際にAR技術が可能にした、エフェクト機能自体を広告化します。そのサービスを多くのユーザーが自撮り動画や画像、クチコミによって拡散してくれる仕組みとなります。
現代のWEBマーケティングは、ユーザーの「共感を得る」ことが重要視されています。さまざまな分野において大きな影響力を発揮するInstagramのAR広告は、親しい人や、類似ユーザーから自然体に近い形で共有や拡散が実施されるため、AR広告に対するユーザーの共感性も高いことが証明されています。SNSとAR広告の連携は多くのマーケターや企業から注目を更に集めることでしょう。

関連記事:コロナ禍でSNS利用時間が急増!SNSマーケティングの重要性

まとめ

ここでは、「AR」とは?という部分から、実際のビジネスシーンやプロモーションでの活用事例、そして注目が集まり始めている「AR広告」についてご説明してきました。
画像や動画とは一味違うインタラクティブ性を持ち、ダイナミックな表現を可能したAR技術。既に、多くの企業でAR技術が導入され、さまざまな分野において新たなビジネスモデルとしてARは確立を始めています。デジタル技術の進歩により、5Gという新時代に突入した現在、ARは爆発的に市場を拡大させる可能性があります。
また、世界的に大流行したパンデミックの影響を受けたことで、この先ARのような最先端デジタル技術を駆使した、「非接触型」のビジネスやプロモーションは、今後、これよりもさらに注目が集まっていくことでしょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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