WebマーケティングやWeb制作、IT業界で働いている方ならAPIという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
APIは、アプリ開発やサイト制作などで重要な役割を果たしているだけでなく、日常生活でも多くの場所で活用されています。どのような意味・仕組みを指す言葉なのか、知っておいて損はないと思いますがエンジニア職やITにかなり精通した人ではないかぎり、「聞いたことはあるけれど、説明する自信はない…」「正直よく分からない…」という方が多いでしょう。
当記事では、
・APIとは何か
・APIでできること
・メリット・デメリット
についてITに詳しくない方でも理解できるように解説していきます。
まさに「APIについての基本的なことが知りたい!」と思ってこの記事を訪れた方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
APIとは
APIの意味
まずはAPIの意味について確認してみましょう。
APIとは「Application Programming Interface(アプリケーションプログラミングインタフェース)」の頭文字を並べたものです。
聞き慣れないカタカナが並んでいますね。
「インタフェース」とは、「接点・境界面」と言い換えることができます。たとえば、マウスもパソコンと利用する人間を繋ぐ「インタフェース」です。
簡単に説明すると、APIとは異なるWebサービスやソフトウェア、プログラムの間をつなぐ仕組みのことと言えるでしょう。ユーザーの利便性を上げるため、ソフトウェアの機能性を拡張させるのです。
APIの仕組み
では、APIの仕組みを説明します。現在、第三者が利用できるようにしたAPI(オープンAPI)はソフトウェアの一部の機能がweb上で公開されることにより、外部の人でもソフトウェアの機能を利用できるようにしてくれるものです。自分のソフトウェアに、第三者が作成したソフトウェアの機能を埋め込むことができ、アプリケーション同士を連携することが可能になります。この場合、APIは「機能を公開しているソフトウェア」と「その機能を使いたいソフトウェア」を繋げる窓口の役割を果たしていると言えます。
WebAPIとAPIの違いは?
現在、APIはWeb上に公開されており、利用したい人がWeb上のHTTP・HTTPS通信によって外部から呼び出すことで使用できるよう普及しています。そのため「WebAPI」と呼ばれることも多く、APIと書いている多くの場合は「WebAPI」を指します。
よく聞く「API連携」って?
ビジネスシーンでは「API連携」という言葉もよく耳にするかと思います。API連携とはAPIを活用したアプリケーション同士の連携のことを指します。 API連携を利用することで、サービスやシステムの構築を行う場合、すべての機能をゼロから開発する必要がありません。そのため簡単に他のサービスと連携し、サービスを拡張することができます。
APIでできること
なんとなくAPIの概要を掴むことができましたか?
次にAPI活用で具体的に何ができるのかについて説明していきます。
APIで何ができる?
APIでできることはとても多岐に渡ります。アプリケーション同士を連携させて、機能の拡張やアプリ開発の効率化を図ったり、あるアプリケーションから読み込んだデータを、別のアプリケーションで解析したりすることが可能です。
APIの活用事例
では実際にはどのように利用されているのでしょうか。普段の生活のなかでAPIの存在を意識することは無いと思いますが、多くの場面ですでに活用されています。きっとみなさんも身に覚えがある事例をご紹介します。
事例①
例えば、アプリやwebサービスで新規会員登録をする際に、GoogleやFacebookのアカウント情報を利用して簡単に登録できた経験はありませんか?これは、アプリやwebサービスがAPIによってGoogleやFacebookの機能を利用しており、ユーザーが一から会員情報を入力する手間を省くことができています。
事例②
観光地やレストランなどのサイトには、施設(お店)の所在地が記載されています。住所だけでなくGoogleマップの地図も表示されてる場合が多いのではないでしょうか。これは、Google APIを活用してサイトに地図を埋め込んでいる事例です。
このように、APIを公開することによって広がる経済圏は「APIエコノミー」といい、APIを公開する側はサービスの拡大や新しいユーザーの獲得、公開されているAPIを活用する企業側は開発の簡略化など双方にメリットをもたらします。
日本では「FinTech」とあわせてAPIエコノミーが語られる場合も多く、近年は金融機関と金融分野のベンチャー企業とのAPI活用による連携が進められています。
代表的なAPI
先ほどの事例でGoogle APIやFacebook APIについて触れましたが、その他の代表的なAPIをご紹介します。現在さまざまなアプリケーションは、利用端末を介してどこからでも利用できるようになっています。さらに、アプリ単体ではなくある一部の機能のみが提供できるようになったことで、APIの活用範囲が広まり、クラウドにて利用されやすくなっています。
技術面での使いやすさが増したことに加えて、利用手続きの煩雑さが少なくなっていることもクラウドでAPIが活用されやすくなっている理由も1つです。
APIの例
①Amazon API
Amazonに出品した商品の在庫管理や注文レポート、最安値情報などの取得を行うことができます。
②Yahoo API
Yahooショッピング・Yahoo天気・Yahoo mailなど、Yahooが運営するサイト内での情報を自動で取得することができます。
③YouTube API
動画の効果測定やチャネルデータの一括取得など、動画のパフォーマンスを高めるための分析ができる機能を追加できます。
④Twitter API
タイムライン上の特定ユーザーのつぶやきを取得したり、定期的にツイートを行うbotのようにツイートを投稿したり、自身が保有するサイトや開発したアプリからtwitter内のつぶやきを検索したりすることが可能です。
⑤Microsoft API
画像の分析やテキストの読み取り・手書き文字の読み取りができる画像認証のAPI・画像内にある顔の分析ができるAIのAPIなどを公開しています。
⑥LINE API
LINEから24時間予約可能な予約システムや、LINE Payのアプリを使用した決済システムが利用できます。
この他にも、SaaSベンダーが自社のAPIを公開する動きが広がっており、バックオフィス向けであれば、例えば人事労務管理システム「SmartHR」や会計や労務管理を行う「freee」などがAPIを公開しています。
また、マーケティング分野ではメール配信システムでAPI連携がされたサービスも複数存在します。
関連記事:メール配信システムおすすめ15選を徹底比較します!機能・料金から選び方を解説!
APIのメリット・デメリット
APIのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
APIのメリット4つ
APIを活用するとサービス提供者側と利用するユーザー側の双方にメリットがあります。
①開発にかかる時間コストを削減できる
実装したい機能がすでにAPIで公開されている場合、同じプログラムを1から作る必要がありません。そのため、開発にかかる時間とコストを大幅に短縮することができます。また、既存のクオリティの高いAPIを利用することで、サービスの質も向上も期待できます。
②セキュリティの向上を図ることができる
先ほどの事例でもご紹介した通り、APIによってゼロから会員登録システムを構築しなくても、GoogleやSNS(Facebook・Twitter・LINEなど)のセキュリティレベルの高いログインシステムを利用することができます。また、クレジットカードなどの個人情報を保持する必要がなかったり、会員情報入力の手間が省けることでより多くのユーザーにサービスを利用してもらえるというメリットがあります。
③システム変更による影響の最小化
自社で様々な機能を実装している場合、仕様変更によって大部分を書き換える必要がありますが、APIであればその影響が最小化します。
④利便性の向上
他社のユーザー情報を使って、自社のサービスにログインできるようにすると、氏名やメールアドレス等の入力も必要ないため、ユーザーにとって面倒な手続きを省くことができます。
APIのデメリット
コストも抑えながら利用できる便利なAPIですが、もちろんメリットばかりではありません。
①サーバーの障害
自社サーバーに問題がなくとも、API提供側のサーバーに障害が発生した時は、利用できなくなってしまいます。
②APIを提供する企業への依存
APIの仕様変更による不具合やAPIの提供中止によって、これまで通り使い続けることが困難になる可能性があります。APIにばかりに依存してしまうのは避けるべきでしょう。
まとめ
APIについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今や日常生活やビジネスにおいて必要不可欠になったAPI。これからの数年間も、IT分野の急速な発展・データ消費量の大幅な増加によって市場の拡大は続くと予想されています。
今後も「API」や「API連携」という言葉を耳にする機会は増えるかと思われますが、その時には今回の知識が少しでも役に立てば幸いです。