ビジネスの世界で頻繁に耳にする「リソース」という言葉。「企業経営にはリソース管理が重要」と一般的に言われますが、「リソース」とは具体的に何を意味しているのでしょうか。
「資源」「物資」を意味する「リソース(resource)」という英単語は、ビジネスにおいては「経営資源」を指し示します。つまり、企業が事業を展開する上で必要不可欠な要素のことを指します。
リソースは、企業の競争力を左右する重要な要素であり、効果的なリソースマネジメントは企業の成功に直結します。適切なリソース配分や活用は、企業の生産性向上やイノベーション創出にも大きく寄与します。
この記事では、リソースの意味や使用例、ビジネスにおけるリソース管理の重要性について詳しく解説します。また、リソースプランニングの基本的な考え方や、リソースアロケーション(資源配分)の戦略についても触れていきます。
ビジネスにおけるリソースは、大きく分けて「有形リソース」と「無形リソース」に分類されます。有形リソースには「ヒト」「モノ」「カネ」が含まれ、無形リソースには「情報」「時間」「知的財産」「ブランド」などが含まれます。これらのリソースを適切に管理し、最大限に活用することが、企業の持続可能な成長につながります。
近年では、デジタル化の進展に伴い、「デジタルリソース」の重要性も高まっています。クラウドサービスやAIなどのデジタル技術を活用したリソース管理は、企業の競争力強化に欠かせない要素となっています。
最後まで読んでいただくことで、「リソース」についての理解が深まり、効果的なリソース管理の重要性を認識していただけるはずです。ビジネスパーソンにとって、リソースに関する知識は今後ますます重要になっていくでしょう。
目次
リソースとは
「企業経営にはリソース管理が重要」という言葉をよく耳にしますが、ビジネスにおける「リソース」とは具体的に何を指すのでしょうか。
「リソース(resource)」は英語で「資源」「物資」を意味する言葉です。ビジネスの文脈では、「経営資源」を指す重要な用語として使われています。企業が事業を展開し、価値を創造するために必要不可欠な要素がリソースです。
経営リソースには、人的リソース(従業員)、物的リソース(設備や原材料)、財務リソース(資金)、情報リソース(データや知識)などが含まれます。これらのリソースを効果的に活用し、最適に配分することが、企業の競争力や成長につながります。
リソース管理は、経営戦略の立案や意思決定において重要な役割を果たします。限られたリソースを最大限に活用し、企業価値を高めるためには、各リソースの特性を理解し、適切に管理することが求められます。
また、近年ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、デジタルリソースの重要性も増しています。クラウドサービスやAI技術などのデジタルリソースを活用することで、企業の生産性向上や新たな価値創造が可能となります。
この記事では、リソースの意味や種類、ビジネスにおけるリソース管理の重要性について詳しく解説していきます。リソースに関する理解を深めることで、より効果的な経営戦略の立案や意思決定に役立てることができるでしょう。
リソース(resource)の意味
リソース(resource)は「資源」「財源」「供給源」「物資」という意味の英単語です。ビジネスにおいては、「経営資源」を指す重要な用語として広く使用されています。企業経営において、リソースは事業活動や成長戦略の基盤となる要素です。
リソースの概念は多岐にわたり、有形・無形の両方を含みます。有形リソースには、人材(ヒューマンリソース)、設備、資金などが含まれます。一方、無形リソースには、技術、ノウハウ、ブランド力、顧客関係などが該当します。これらのリソースを効果的に活用し、管理することが企業の競争力向上につながります。
また、リソースマネジメントは現代のビジネス環境において重要な課題となっています。限られたリソースを最適に配分し、効率的に運用することで、企業は市場での優位性を確保できます。特に、デジタル化が進む現代では、ITリソースの効果的な活用も企業の成功に不可欠な要素となっています。
さらに、サステナビリティの観点からも、リソースの持続可能な利用が注目されています。環境への配慮や社会的責任を果たしながら、リソースを最大限に活用する戦略が求められています。
このように、リソースは企業経営の根幹を成す概念であり、その効果的な管理と活用が企業の持続的な成長と発展に直結する重要な要素と言えるでしょう。
ビジネス領域での「リソース」とは
ビジネスにおけるリソースとは、「事業に活かすことで価値を生み出すための資源」を意味します。具体的には、企業の経営活動に必要不可欠な経営資源のことを指します。主要なリソースには、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などが含まれます。これらのリソースは、企業が持続的な成長を遂げるために効果的に活用されるべき重要な要素です。
例えば、「ヒト」リソースは従業員や人材を指し、企業の生産性や創造性に直結します。「モノ」リソースには、製品や生産設備、オフィス備品などが該当し、効率的な事業運営を支えます。「カネ」リソースは資金や財務資源を意味し、事業展開や投資に不可欠です。「情報」リソースには、顧客データや市場動向などが含まれ、戦略的な意思決定に重要な役割を果たします。
これらのリソースを適切に管理し、最大限に活用することが、ビジネスにおける競争優位性の確立につながります。そのため、経営者やマネージャーは、自社のリソースを正確に把握し、効果的に配分することが求められます。リソース管理の巧拙が、企業の成長や市場での地位に大きな影響を与えるのです。
近年では、従来の4大リソースに加えて、「時間」「知的財産」「ブランド」なども重要なリソースとして認識されるようになってきました。これらの無形リソースの重要性が増していることは、ビジネス環境の変化を反映しています。
ITでの「リソース」の意味
IT分野における「リソース」は、ビジネスで使用される意味とは異なります。IT領域での「リソース」とは、コンピューターシステムを効率的に運用するために必要な計算資源を指します。具体的には、「メモリ容量」「ハードディスク容量」「CPUの処理速度」などのハードウェアリソースや、「ネットワーク帯域」「データベース接続数」などのソフトウェアリソースが含まれます。
これらのITリソースは、システムの性能や処理能力に直接影響を与えるため、適切な管理が不可欠です。例えば、メモリリソースが不足すると、アプリケーションの動作が遅くなったり、システムが不安定になったりする可能性があります。同様に、CPUリソースが枯渇すると、処理速度が低下し、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
ITリソース管理の重要性から、多くの企業ではリソースモニタリングツールを導入し、リアルタイムでリソース使用状況を監視しています。これにより、リソース不足を事前に検知し、必要に応じてリソースの増強や最適化を行うことができます。
また、クラウドコンピューティングの普及により、ITリソースの柔軟な拡張や縮小が可能になりました。これにより、ビジネスニーズに応じて迅速にリソースを調整し、コスト効率の高いIT運用を実現できるようになっています。
アセット(asset)との違い
リソースと混同されやすい言葉に、アセット(asset)があります。両者は似て非なるものですが、ビジネスにおいて重要な概念です。リソースとアセットの違いを簡単にまとめました。
リソース | 活用することで利益・価値を生み出す「資源」を指します。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などが該当します。 |
アセット | 所持するだけで価値のある「資産」「財産」を指します。「金銭・有価証券」「不動産」などが該当します。アセットは企業のバランスシートに計上される項目であり、財務的な観点から重要な意味を持ちます。 |
リソースは企業活動を通じて価値を生み出すための源泉となるものです。例えば、優秀な人材(ヒト)や最新の生産設備(モノ)、市場分析データ(情報)などが挙げられます。これらのリソースを効果的に活用することで、企業は競争優位性を獲得し、事業の成長を実現することができます。
一方、アセットは企業が保有する財産や資産を指します。現金や株式などの金融資産、土地や建物などの不動産、特許権などの無形資産が含まれます。アセットは企業の財務状況を示す重要な指標となり、投資家や金融機関からの評価にも影響を与えます。
リソースとアセットの違いを理解することは、経営戦略の立案や資源配分の最適化において重要です。企業は限られたリソースを効率的に活用しつつ、同時にアセットの価値を最大化することで、持続的な成長を実現することができるのです。
リソースの例文
ビジネスシーンにおいて、「リソース」という言葉は様々な場面で使用されます。ここでは、「リソース」という言葉の代表的な使われ方3パターンと、それぞれの具体的な例文を紹介します。これらの例を通じて、リソース管理の重要性や、企業におけるリソースの役割について理解を深めることができるでしょう。
リソースは企業の経営資源を指し、効果的な活用が企業の成長や競争力向上につながります。リソース管理は経営戦略の重要な要素であり、適切なリソース配分が事業成功の鍵となります。以下に、ビジネスシーンでよく使用されるリソースに関する表現と例文を紹介します。これらの例を参考に、自社のリソース管理について考えてみるのも良いでしょう。
●リソース不足/リソースが足りない
●リソースを配分する/リソースを割く
●リソース管理/リソースを管理する
これらの表現は、プロジェクト管理やチーム運営、経営判断などの場面で頻繁に使用されます。リソースの適切な把握と管理は、企業の持続可能な成長や競争力の維持に不可欠です。次のセクションでは、それぞれの表現について具体的な例文を交えて詳しく解説していきます。
リソース不足/リソースが足りない
「リソース不足」とは、「経営・事業に必要な経営資源が不足している」という意味です。プロジェクトや部門に、人材や予算などが足りていない際に使われます。リソースマネジメントの観点から、企業活動において重要な課題となっています。
・人的リソースが足りないので、早急にスタッフを補充してもらいたい
・リソース不足により、プロジェクトの進捗が遅れている
・我が社は○○部門のリソース不足が顕著だ
リソース不足は、企業の生産性や競争力に直接的な影響を与えます。特に、人材リソースの不足は深刻な問題となりやすく、業務効率の低下や従業員の過重労働につながる可能性があります。
また、財務リソースの不足は、新規投資や事業拡大の機会を逃す原因となることがあります。情報リソースの不足は、的確な意思決定を妨げ、市場での競争力低下を招く恐れがあります。
このように、リソース不足は様々な形で企業活動に影響を及ぼすため、経営者やプロジェクトマネージャーは常にリソースの状況を把握し、適切な対策を講じる必要があります。リソース管理を効果的に行うことで、企業の持続的な成長と発展を支えることができるのです。
リソースを配分する/リソースを割く
「リソースを配分する/リソースを割く」とは、「事業に必要な経営資源を割り当てる」「保有している経営資源を使う」という意味です。プロジェクトや事業に対して人員や予算を配分する場合に使われます。
・A社のプロジェクトには、相当なリソースを割くべきだ
・今、社内リソースをどこに割くべきだろうか
・リソースの配分については、慎重に検討する必要がある
・リソース配分に偏りがないか、チェックしよう
効果的なリソース配分は、企業の成長や競争力の維持に直結します。限られたリソースを最適に活用するため、経営者やプロジェクトマネージャーは常にリソースの配分状況を把握し、必要に応じて調整を行う必要があります。
また、リソース配分の際には、短期的な目標だけでなく中長期的な視点も重要です。新規事業の立ち上げや研究開発など、即座に成果が出にくい分野にもバランスよくリソースを割くことで、将来的な企業価値の向上につながります。
リソースの効率的な配分を実現するためには、各部門やプロジェクトの優先順位を明確にし、客観的な指標に基づいて判断することが求められます。さらに、定期的にリソース配分の見直しを行い、環境の変化や市場のニーズに柔軟に対応することも重要です。
リソース管理/リソースを管理する
「リソース管理」とは、経営資源を有効活用するために管理することです。企業の持続的な成長と競争力の維持には、効果的なリソース管理が不可欠です。「保有している資源を適材適所に配置する」「不足しているリソースを外部から確保する」などもリソース管理の一環です。
リソース管理の主な目的は、限られた経営資源を最大限に活用し、企業の目標達成を支援することにあります。これには、人材、資金、設備、時間、情報などの多岐にわたるリソースの効率的な配分と運用が含まれます。
効果的なリソース管理を行うためには、以下のような取り組みが重要です。
●リソースの現状把握:保有するリソースの量と質を正確に把握する
●優先順位の設定:企業戦略に基づき、リソース配分の優先順位を決定する
●適切な配分:各部門やプロジェクトに最適なリソースを割り当てる
●モニタリングと評価:リソースの使用状況を定期的に確認し、必要に応じて調整を行う
●リソースの最適化:無駄を省き、効率性を高めるための改善策を実施する
適切なリソース管理は、プロジェクトの成功率を高め、業務効率を向上させ、コスト削減にもつながります。また、リソース不足や過剰な負荷を事前に防ぐことで、従業員の働きやすさにも寄与します。
●プロジェクトの成功には、リソース管理が不可欠だ
●リソース管理は企業の発展に欠かせない
●効果的なリソース管理により、競争優位性を確保できる
●リソースの最適配分は、業務効率の向上につながる
●適切なリソース管理は、従業員の満足度向上にも貢献する
企業がグローバル化や急速な技術革新に対応していく上で、戦略的なリソース管理の重要性はますます高まっています。経営者は常にリソースの状況を把握し、柔軟かつ迅速な意思決定を行うことが求められます。
経営リソース(経営資源)
ビジネスにおけるリソースは、企業の経営活動に不可欠な「経営資源」を指します。これらのリソースを効果的に活用し、管理することが企業の成長と競争力の維持に重要です。
経営リソースには、従来から重視されてきた「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4大要素に加え、近年では「時間」「知的財産」「ブランド」なども含まれるようになりました。これらのリソースは、有形・無形を問わず、企業価値の創造に貢献します。
「ヒト」リソースは、従業員の能力や専門知識を指し、企業の中核となる資源です。「モノ」リソースには、生産設備や原材料などが含まれ、製品やサービスの提供に直接関わります。「カネ」リソースは、事業運営に必要な資金を意味し、投資や成長の原動力となります。「情報」リソースは、市場動向や顧客データなど、意思決定に不可欠な要素です。
近年注目されている「時間」リソースは、業務効率化やタイムマネジメントの重要性を反映しています。「知的財産」リソースには、特許や企業独自のノウハウが含まれ、競争優位性の源泉となります。「ブランド」リソースは、顧客からの信頼や認知度を表し、長期的な企業価値に大きく影響します。
これらの経営リソースを適切に把握し、効果的に配分することが、企業の持続的な成長と発展につながります。リソース管理の重要性を認識し、各リソースの特性を理解した上で、戦略的な活用を図ることが求められます。
経営リソースの最適な組み合わせと活用方法は、企業の規模や業種、事業環境によって異なります。そのため、自社の強みと弱みを正確に分析し、リソースの配分を適切に行うことが、経営者や管理者の重要な役割となります。
経営資源は4つ?6つ?7つ?
「何を経営資源とするか」については、時代とともに変化してきました。1990年代までは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」が「4大経営資源」として広く認識されていました。これらのリソースは、企業の基本的な経営活動を支える重要な要素でした。
しかし、ビジネス環境の変化に伴い、経営資源の捉え方も進化しています。現在では、従来の4大経営資源に加えて、「時間」と「知的財産」を含めた6つを経営資源と考える傾向が強まっています。これは、時間管理の重要性や知的財産の価値が高まったことを反映しています。
さらに、一部の見解では「ブランド」を加えて「経営資源は7つ」とする考え方も存在します。ブランド価値が企業の競争力に大きな影響を与えるようになったことが背景にあります。
注目すべきは、4大経営資源以外の「時間」「知的財産」「ブランド」がすべて無形のリソースであるという点です。これは、デジタル化やグローバル化が進む現代のビジネス環境において、無形資産の重要性が増していることを示しています。
経営者は、これらの多様なリソースを効果的に管理し、最適に配分することが求められます。各リソースの特性を理解し、バランスの取れたリソース戦略を立てることが、持続可能な企業成長につながります。
このように、経営資源の概念は固定的なものではなく、ビジネスの変化に応じて柔軟に捉える必要があります。企業は自社の状況や業界の特性に合わせて、重要視すべきリソースを見極め、戦略的にリソース管理を行うことが重要です。
有形のリソース「ヒト」「モノ」「カネ」
「7つの経営資源」のうち、有形のリソースであるのは「ヒト」「モノ」「カネ」の3つです。これらの経営資源は、企業の事業活動において中核を成す重要な要素です。以下に、それぞれのリソースがどのような役割を果たすのかをまとめました。
ヒト | 自社の従業員(人材)を指します。ヒトが動かないとモノを生産したり売ったりできないため、「ビジネスにおいて最も重要なリソース」と言われます。ヒトを効率的に活用できるかどうかは、企業の生産性に大きく影響します。また、人材育成や適切な人事配置も、このリソースを最大限に活用するための重要な施策となります。 |
モノ | 「製品」「生産に使う工場・備品」「オフィスの備品・設備」などを指します。 効率的な生産活動・企業活動は、モノによって支えられています。たとえばハイスペックなモノによって、効率性や生産性が上がると考えられます。さらに、リソースとしての「モノ」には、原材料や在庫管理も含まれ、これらの適切な管理も企業の競争力を左右する重要な要素となります。 |
カネ | 経営資金を指します。「優秀な人材を雇って給料を払う」「新製品を開発する」「販路を拡大する」「生産設備を増強する」など、事業を行うためにカネは欠かせません。カネが枯渇すると事業継続が難しくなり、倒産することもあります。また、資金調達や投資判断など、財務戦略もこのリソースの重要な管理項目となります。 |
これらの有形リソースは、企業の経営戦略を実行する上で不可欠な要素です。各リソースを適切に管理し、効果的に活用することが、企業の持続的な成長と競争力の維持につながります。特に、これらのリソースを組み合わせて最適化することで、企業価値の向上や新たな事業機会の創出が可能となります。
無形のリソース「情報」「時間」「知的財産」「ブランド」
近年、無形の経営資源の重要性がますます増しています。特に「情報」「時間」「知的財産」「ブランド」は、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。これらの無形リソースを効果的に管理し活用することで、より効率的な経営が可能となります。
情報 | 「顧客データ」「市場動向のデータ」などを指します。「21世紀は情報が経済を支配する」と言われ、重要性が高まっているリソースです。企業としての意思決定を下す際には、正確かつタイムリーな情報収集・分析が重要な意味を持ちます。また保有している情報を加工して付加価値をつけ、利益を得ている企業もあります。情報リソースの活用は、ビジネスにおける競争優位性を確保する上で重要な戦略となっています。 |
知的財産 | 「企業独自のノウハウ」は知的財産となります。例として「営業や販売のノウハウ」「企画のノウハウ」「人材育成のノウハウ」などが挙げられます。また、「ステークホルダーとのネットワーク」を知的財産に含むという考え方もあります。知的財産には、「他社が容易に真似できない」という特徴があります。 |
ブランド | 顧客や社会から獲得した「認知」や「信頼」を指します。ブランドリソースを確立することで、他社との差別化が可能となり、プロモーションコストの削減にもつながります。知的財産と同様に、ブランドも他社が簡単に模倣できないという特性を持っています。ブランド価値の向上は、企業の長期的な成長と安定性に寄与する重要な経営戦略の一つです。 |
時間 | 「従業員の時間」「企業活動に関連する時間」も、リソースとして扱われます。企業活動では「意思決定にかかる時間」「サービス提供や生産にかかる時間」の効率化が重要となります。時間リソース管理の方法としては、「業務を外注する」「事業を育てる時間を短縮するため、他の企業から該当事業を買収する」などがあります。 |
これらの無形リソースは、企業の持続的な成長と競争力の維持に不可欠です。経営者は、これらのリソースの重要性を認識し、効果的な管理と活用を行うことが求められます。また、無形リソースの価値を最大化するためには、有形リソースとの適切な連携も重要となります。
企業は、これらの無形リソースを戦略的に活用することで、市場での優位性を確立し、長期的な成功を実現することができます。リソース管理の観点から、これらの無形資産の重要性を理解し、効果的な運用を行うことが、現代のビジネス環境において不可欠となっています。
関連記事
・【前編】「ブランディング=ブランドの伝え方」を考える-「伝える」の第一歩は、状況を自分なりに解釈すること
・【後編】「ブランディング=ブランドの伝え方」を考える-「伝えたい」ことを「伝えられたい」ことに変換しよう
・プロモーションの定義とは?戦略を練る時に重要な7つの手段を解説
マッキンゼーの7S
コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーは、「7つのS(7S)」を経営資源とする考え方を提唱しています。この7Sは、組織の効果的な経営資源管理と戦略的な企業運営のための重要なフレームワークとして広く認知されています。
7Sをもとに組織変革を考えるフレームワーク(考え方の枠組み)は、ビジネスシーンで幅広く使われています。以下に、7Sの各項目の概要をまとめました。
戦略(Strategy) | 目標達成に向けた行動方針・計画。「企業戦略」「事業戦略」「機能戦略」など。 |
組織(Structure) | 会社組織の仕組み。会社によって「フラットか階層が深いか」などが異なります。 |
システム(System) | 企業内のルールや、ルールを機能させるための仕組み。「勤怠管理」「人事評価」「休暇制度」など。 |
価値観(Shared value) | 企業理念やビジョン。従業員が足並みを揃えて進むために必要なもので、7Sの中でもとくに重要視されます。 |
スキル(Skill) | 社内にある技術・スキルや知識・ノウハウ。生産に関する技術のみならず、「営業力・販売力」「企画力・マーケティング力」なども含まれます。 |
人材(Staff) | 組織の構成員・従業員。「採用制度」「教育制度」「評価制度」なども含まれます。 |
スタイル(Style) | 社風や企業風土。「求められる社員像」「暗黙の了解」「職場の環境・雰囲気」などが含まれます。 |
なお「戦略」「組織」「システム」は「ハードの3S」、「価値観」「スキル」「人材」「スタイル」は「ソフトの4S」と呼ばれます。これらのハードとソフトの要素をバランス良く管理することが、効果的なリソース活用につながります。
7Sを用いて組織を分析するメリットは、「組織が抱える課題」「課題の優先順位」を明確にできることです。従来は、組織課題の解決方法としてハード面が偏重されがちでしたが、7Sのフレームワークによりハード・ソフト両面から組織変革を検討できるようになりました。これにより、より包括的かつ効果的なリソース管理が可能となります。
7Sフレームワークを活用することで、企業は自社のリソースを総合的に評価し、それぞれの要素がどのように相互作用しているかを理解することができます。この理解に基づいて、経営者はリソースの最適な配分と活用を図り、組織の競争力を高めることができるのです。
関連記事
・フレームワークとは?思考を整理しビジネスを進めていくための枠組みを活用シーン別に解説
・第2回 経営戦略とマーケティング戦略って何が違うの?〜良い戦略の要諦とは〜 花王・廣澤連載
ヒューマン・リソース
経営リソースの中でもとくに重視されるのが、「ヒト」すなわちヒューマン・リソースです。
「ヒューマン・リソース」「HR」とは
ヒューマン・リソースとは、企業の経営層や従業員がもつ「スキル」「能力」「知識」などを指します。「人的資源」「人的リソース」「人材」と呼ばれることもあります。また、「ヒューマン・キャピタル(人的資本)」と呼ぶことも増えています。
「企業活動における人的資源の活用」や「人的資源の活用を担う部署」という意味で、「ヒューマン・リソース」という言葉が使われることもあります。このような場合、「ヒューマン・リソース」の頭文字をとって「HR」と表記されるのが一般的です。
人的資源の重要性
ヒューマン・リソースは、経営資源の中でもとくに重要視されます。従業員が持つ「スキル」「能力」は企業活動に直結し、企業の業績や成長を左右するからです。
人的資源が「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源を活用しながら、企業価値や競争力を高めていくのです。
ヒューマン・リソース・マネジメント(HRM)とは
「ヒューマン・リソース・マネジメント(HRM、人的資源管理)」とは、「人を資源ととらえ、人の力を最大限活かせる仕組みを構築し運用すること」です。かつては、従業員はコストと考えられていましたが、現代では従業員は「コスト」ではなく「人的資源」と考えられるようになりました。また、労働人口の減少によって従業員の生産性を高める必要性が強まる中、ヒューマン・リソース・マネジメントが注目されるようになりました。
HRMが提唱される以前、人に対するマネジメントは「パーソナル・マネジメント(PM、人事労務管理)」という手法が一般的でした。PMでは、人材をコストとしてとらえ、労働力である「人」を管理統制します。
その後、日本では1990年代以降にHRMが注目されるようになりました。HRMは、人材育成に重きを置いている点がPMとは異なります。HRMは人材を経営資源とし位置づけ、人材の活用によって企業の成長を目指します。そのため、企業の戦略に合わせて、採用し、「人材育成」を行い、適材適所に配置し、成果を出していくことが求められます。
具体的なHRM業務としては以下のようなものがあり、「人事部」や「各部署のマネジメントクラス」が担います。
・人事制度の構築
・必要な人的資源の予測
・予測に基づく採用
・教育・研修による人材育成
・人材の配置・配置転換
HRMに関しては、多様な理論やフレームワークがあります。実際にHRMを展開していく場合には「ミシガンモデル」「ハーバードモデル」「高業績HRM」などの有名なフレームワークを参考にすることが多いでしょう。
人的資本経営とは
近年では、「人的資本経営」という言葉も注目されています。
人的資本経営では、人材は「管理対象」ではなく「投資対象」であり、企業を成長させるための資本だと捉えられます。人材に投資して「新しい価値の創造」「個の力・個性の発揮」につなげることで、「中長期的な企業の発展」や「想定外の事態に対応できる強さ」を目指す考え方です。
今、人的資本経営への注目が高まっている背景には、以下のような事項が挙げられます。
・多様な働き方の浸透
・「非正規雇用」「外国籍」など多様な人材の増加
・人材に投資する世界的動向
・投資家からの要請
・DX時代の経営戦略として必要
世界的に、人的資本に関わる企業の取り組みが企業価値に直結する時代となっており、株式市場からの投資判断の材料とされるようにもなっています。
関連記事
・「人的資本経営」時代に企業が取り組むべき人材採用・育成とは?最新調査結果から探る
・【2024年5月版】人的資本経営、定額減税、キャリア形成…人事リード獲得用コンテンツ案のヒントに!今、人事が注目しているトレンド情報
・DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や手法をわかりやすく解説
・日本のDX推進は間違いだらけ?「変革」を無視したDXに未来はない
外部リソース
ビジネスにおけるリソースは、社内だけにあるとは限りません。外部リソースとは「企業の外にあるリソース」のことです。
社内でリソースが足りない場合には、外部リソースを活用することで、リソース不足を解消できます。たとえば以下のような例が考えられます。
・繁忙期だけオンラインアシスタントと契約
・自社の経営課題について、外部のコンサルタントに相談
・SNS運用は個人のマーケターに業務委託
・自社での運営が難しいコールセンターはBPO化
このように、「社内に人手が足りないとき」や「社内に必要な知識やスキルをもった人材がいないとき」は外部リソースの利用が適していると言えるでしょう。
外部リソースを活用するメリットとしては、教育コストをかけなくても高度なスキルを持つ人材を活用できることが挙げられます。
関連記事
・BPOとは?アウトソーシングとの違い、メリットや検討するためのポイント
・マーケティングDXとは?成功のためのポイントと6つの事例を紹介
リソース管理の重要性
経営資源を効率的に活用し、企業利益を最大化するためには、リソースの「把握」「割り振り」などの管理は欠かせません。
経営リソースの把握は企業経営に不可欠
まず自社の経営リソースを把握することからスタートします。
これにより、「利用できるリソースに対する現実的な目標」を立てやすくなります。たとえば、ヒト=人材を把握することで、「到底到達できそうにないノルマ」を掲げたり、「リソース不足が明らかな案件」を受注してしまったりなどを防ぐことができます。
また、モノやカネなどのリソースを把握することで、不要な在庫や資産をもたず、キャッシュフロー改善につなげられる可能性があります。たとえば「稼働していない社用車は、リース契約を解除する」などの方策が取れるでしょう。
次に、生産性を向上させるように、リソースの効果的な配分を計画します。ヒトを例にすると、適材適所で人材を配置すれば、力を発揮してくれるようになります。
そして、経営資源の配分は、定期的に見直すことが不可欠です。配分したリソースにより、どれくらいの利益を生み出せたのかを定量的に評価しましょう。また、ビジネス状況の変化に応じて、再配分を計画することも重要です。
各リソースを把握していれば、早期に課題を発見・解決できる
たとえば適切なリソース管理をすることで、「プロジェクトの遅れが発生しそう」などの問題にすぐ気づくことができます。そしてリソースを把握していれば、「時間不足」「スキル不足」などの原因も特定しやすくなります。
適切な管理が不測の事態への備えになる
「トラブルで想定外の作業が発生した」などの不測の事態でも、リソースを把握していればプロジェクト内・部署内で対応できる社員を割り当てることが可能です。
また、「社内にはリソースが足りない」と判断できれば、速やかに外部リソース活用の検討もできます。
さらに、管理者のみならずメンバー同士がお互いのリソースについて把握していると、メンバー間で「時間」「スキル」などのリソース不足を補い合う動きが生まれる可能性もあります。リソース管理が「社内における協力体制づくり」に役立つのです。
経営リソースの配分計画を速やかに行える
社内のリソースと利用状況を把握すれば、必要な場所にリソースを投入しやすくなります。「余っているリソース」「不足しているリソース」を把握することにより、再配分を効率的に行うことができるのです。
リソース不足による経営ダメージの例
では、適切なリソース管理が行われず、リソースが不足した場合に、企業はどのようなダメージを被る可能性があるのでしょうか。
「ヒト」不足:人材流出、離職率が高まる
ヒト(ヒューマン・リソース)の不足は、人材流出につながる可能性があります。人手が足りないと従業員ひとりあたりの負担が増加し、不満が募るからです。
また、優秀な人材が流出してしまうと競争力の低下につながりますし、離職率が高まると採用活動をしても人材が集まらない可能性があります。人的リソース最適化は、リソース管理の中でもとくに重要なポイントと言えます。
「モノ」不足:生産性の低下
「パソコンなどのITツール・デバイス」「オフィス備品」が不足している職場では、生産性が低下する可能性が高まります。
たとえば「手書きFAXでの受発注作業」と「クラウドシステム上での受発注作業」では、後者のほうが効率的に作業できると考えられます。
また「汚くて使いにくいオフィス」では、生産性に加えて従業員のモチベーションが低下してしまう可能性もあるでしょう。
「情報」不足:競争力の低下
経営リソースのうち情報が足りない場合には、競争力が低下する恐れがあります。
たとえば正確な情報がないと、効果的なマーケティング施策の立案が難しくなります。そのため「商品力はあるのに、マーケティングが上手くいかずに売れない」といったケースが起こりえます。
また業務が属人化していて企業に業務ノウハウが蓄積していないと、「ベテランから若手への世代交代」「優秀な社員の退職」によって業務のクオリティが低下し、競争力が低下すると考えられます。
関連記事
・自社の離職率は高い?低い?日本の業界別離職率と下げる取り組みを解説
・クラウドとは!今更聞けない初心者でも分かる意味を解説!
・モチベーションとは?意味やアップさせる方法を分かりやすく解説
・属人化とは!メリット、デメリット解消法や意味を解説します!
リソース管理の例
上記のようなリソース不足を防ぐためには、どのようなリソース管理を心がければよいのでしょうか。
余裕を持ったリソース配分でチームを編成する
リソース管理のコツとしては、「余裕を持ったリソース配分」が挙げられます。「人員」「時間」「予算」などに余裕を持った配分を心がけましょう。
リソース配分に余裕があれば、トラブルが発生したときに調整しやすくなります。たとえば時間に余裕があれば急な仕様変更でも納期内に対応できますし、人員に余裕があればトラブル対応に人手を割けます。
反対に余裕がないと、部署内・プロジェクト内での調整は難しくなり、納期の遅れにつながる可能性も考えられます。
外部リソースを活用し人材不足を補う
社内のリソースが足りない場合には、外部リソースの活用により人材不足を補うことも可能です。単に人手が足りない時だけではなく、社内人材の「スキルが足りない」という場合にも外部リソースが重宝します。
たとえば「オンラインアシスタント」「短期の派遣社員」「クラウドソーシング」「業務委託」など、短期やスポットで利用できる外注サービスも多く存在します。また単なる業務の外注ではなく、「情報システム部門」「コールセンター」など特定の部門をまるごとアウトソーシングすることも可能です。
ただ利用する外部リソースの規模やクオリティによっては、コストが高くつくこともあるので、導入には注意が必要です。
関連記事:Webマーケティングは外注がオススメ! 外注するメリットと活用方法を徹底解説
充実した教育・研修で従業員のモチベーションを高め流出を防ぐ
ヒトの管理においては、「モチベーション管理」に注目する必要があります。従業員が力を発揮できるかどうかは、モチベーションなどの感情にも左右されるためです。
たとえば「今の職場ではスキルアップできない」という状況である場合、モチベーションを下げてしまう従業員も少なくありません。
不満を生まないためには、「研修」「ワークショップ」「セミナー」といった学びの機会を提供する必要があります。研修に割ける社内リソースがない場合は、「外部セミナー」「外部講師」などの外部リソースも活用可能です。
また、「従業員のモチベーション低下」「人事制度への不満」を把握するためには、定期的な面談なども必要となるでしょう。
関連記事
・カフェテリアプランとは?企業が導入するメリットや福利厚生代行サービスについて解説
・キャリア形成とは?重要性や社員のキャリア形成の進め方を人事視点で解説!
業務のシステム化を進め生産性向上をはかる
業務のシステム化を進めるのも、リソース管理のひとつです。
効率的なシステムを導入することで社員の業務時間を短縮でき、「残業時間の短縮」はコスト減に繋がります。
効率化により業務Aに携わる人員を減らし、より人手が必要な業務Bに人員を回すこともできるでしょう。
またリソース管理自体をシステム化することで、正確でタイムリーなリソース管理が可能となります。
ただしシステムの導入や利用には、「初期費用」や「ランニングコスト」がかかります。また「処分にかかる費用」も考慮しておく必要があります。
関連記事
・ICTとは!意味や技術の解説、事例を紹介!
・DX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例40選!業界・業種別に紹介
財務的資源の不足を解決するため資金調達を検討する
企業経営やプロジェクトを進めるためのカネが不足している場合には、資金調達を検討します。
適切な資金調達ができれば、「新しい事業・プロジェクトの立ち上げ」「新製品の開発」「人材育成」「オフィス環境の整備」などに予算を投下でき、企業の成長につながります。
以下のような方法で資金調達が可能です。
・投資家からの出資
・金融機関からの融資
・資産の現金化
・補助金・助成金の活用
・クラウドファンディング
経営資源の配分計画にはPPM分析
経営リソースの適切な配分のために重要なのは、衰退事業への投資を減らし、成長事業に積極的な投資をすることです。これができれば、少ないリソースで大きな効果を得られます。
自社における「衰退事業」と「成長事業」を見極めるために役立つのが、PPM分析(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)です。
PPM分析は1970年に大手コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループの創設者が提唱したマネジメント手法で、発表から50年以上経った今でも、多くの企業で経営リソース配分の判断に活用されています。
PPM分析の詳しい解説ややり方については、「PPM分析とは? マーケティングの基本戦略策定フレームワークを解説」をご覧ください。
まとめ
ビジネスにおいてはリソース管理が不可欠で、プロジェクト管理や人事領域で「リソース不足」「リソース配分」「リソース管理」といった言葉がよく使われます。
なおビジネスシーンで「リソース」という用語を使う際には、特に「ヒト」を指すことが多く、昨今は「ヒューマン・リソース・マネジメント(HRM)」や「人的資本経営」も注目されています。世界的な潮流として、ヒトを単なる労働力ではなく、「企業にとって大切な資源・資産」として捉えるようになっているのです。
従業員に個人の力を最大限に発揮してもらうためには、適材適所の配置が大切です。また、ヒトも含めた経営資源を適切に配分するためには、PPM分析などの手法を活用することをおすすめします。