平成31年1月24日、観光庁は若者の海外体験促進のために、「若者のアウトバウンド推進実行会議」を開催しました。
20代の出国者数は平成9年の452万人に比べ、平成29年では312万人と減少しているからだとか。
「アウトバウンド」・「インバウンド」といえば、このように「観光」において使う言葉と思いがちですが、実は、マーケティング戦略の中でも大変馴染みのある言葉として注目されているといえます。
今回は、「インバウンドマーケティング」「アウトバウンドマーケティング」について、言葉の意味やそれぞれのメリット・デメリット、さらにはBtoBビジネスにおける活用方法についてご説明していきます。
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目次
「インバウンドマーケティング」「アウトバウンドマーケティング」とは?
「インバウンドマーケティング」「アウトバウンドマーケティング」の大きな違いは、その主体性にあります。企業と顧客のどちらがマーケティング活動の主導権を握るかという点で、両者は根本的に異なるアプローチを取っています。以下、それぞれの特性と仕組みについて詳しく見ていきましょう。
「インバウンドマーケティング」とは、顧客側から情報を求めること
インバウンドマーケティングの手法は「pull(プル=引き込み)型」と表現されます。
オウンドメディアとしての自社のWebサイトやセミナー開催など発信された情報に対して、顧客側が自ら問い合わせて接点を持ち、顧客側のアクションを起こさせるマーケティング手法といえます。
このアプローチでは、主体は顧客側にあるため、顧客は「能動的に」自分で情報を選ぶことができます。そのため、自らが求める情報に対して積極的にアクセスすることになり、次のステップに進む可能性も高いといえます。
「アウトバウンドマーケティング」とは、売り手側から商品を売り込むこと
アウトバウンドマーケティングの手法は「push(プッシュ=押し込み)型」と表現されます。
テレビコマーシャルや電車の中吊り広告、ウェブページなどの広告、展示会出展や電話営業、ダイレクトメールなど売り手側からアクションを起こすマーケティング手法といえます。このように企業が積極的に顧客層に対してアプローチをかける点が特徴です。
主体は売り手側なので、顧客からすれば、意図せずに「受動的に」届けられる情報といえるでしょう。
「インバウンドマーケティング」「アウトバウンドマーケティング」のメリット・デメリットとは?
マーケティングを実施する際には、どちらの手法を選択すべきか悩む場合が多いでしょう。実際のところ、両者にはメリットとデメリットがあり、それぞれ異なる特性を持っています。以下で、複数の観点からその違いを詳しく比較検討していきます。
即効性があるのは「アウトバウンドマーケティング」
アクションの主体が異なるため、インバウンドマーケティングでは、企業側の継続的な情報発信に対して顧客側が認知し、興味を持ち自ら探して問い合わせをすることを待たねばなりません。すぐに効果が出ることは珍しく、一定期間の継続的な施策の実施が必要となります。
一方、アウトバウンドマーケティングでは、売り手側からアプローチをかけられるため、自社の商品やサービスを欲しいと思っていた顧客側に的確に届けば、ダイレクトに購買へと結びつき、非常に即効性が高いといえます。見込み客に直接訴求できる点が大きな強みです。
認知度は、もちろん「アウトバウンドマーケティング」の方が高い
アウトバウンドマーケティングにおいて、とくに不特定多数に対して行われるテレビコマーシャルや広告などは、ターゲットを絞らずすべての人に商品やサービスを認知してもらうことができます。街頭看板やラジオ広告、新聞広告といった多様な媒体を通じて、広く一般大衆へのリーチが可能となるのです。結果的には、興味を持っていない層にまで認知され、全体的な認知度が高くなるといえます。
一方インバウンドマーケティングでは、顧客側から情報を見つけてもらうという性質上、もともと興味を持っている人や課題を抱えている人などが対象となります。検索エンジンで検索した人やセミナーに参加を申し込んだ人など、すでに何らかの関心がある限定的なオーディエンスとなるため、全体的な認知度を高めるという観点では、効果が薄いといえるでしょう。
効果の持続度では「インバウンドマーケティング」が有利
効果の持続という点では、インバウンドマーケティングの方が有利といえます。
というのも、アウトバウンドマーケティングでは、顧客の興味の有無に関係なく、広告やダイレクトメール、電話営業などで商品やサービスを売り込むため、顧客側は意図せずに情報を受け取ることになります。もともと意識せずに受け取った情報は、配信が止まれば時間の経過とともに記憶から薄れ、やがて忘れられるでしょう。
一方インバウンドマーケティングでは、即効性はないですが、興味や関心を持つ人が自ら情報を探し出して認知すれば、その情報は確実に受け止められ、長期にわたって効果が継続するといえます。主体的に獲得した情報であるため、その後の顧客行動にも大きな影響を与え続けるのです。
好感度においては「インバウンドマーケティング」に軍配あり
一方的な押し付けともいえるアウトバウンドマーケティングでは、興味のない人にまで情報が届けられるため、広告の内容によっては「不快」と思われるリスクも孕んでいます。ターゲット層以外の層に無差別に情報が配信される特性から、顧客側の気分や状況を考慮しない配信となる可能性が高いといえるでしょう。
またツールによって、その危険は大きくなります。とくに電話営業などは、実際に顧客の時間を奪うため、タイミングが合わなければクレームとなる可能性すらあるのです。突然の電話や訪問は、顧客の業務を中断させることになり、良好な関係構築の妨げとなるリスクを持っています。
逆にインバウンドマーケティングでは、顧客側から望んで情報を取得するため、クレームのリスクは低いといえます。顧客が自発的に情報を求める行動を取るため、提供される情報に対する受容度が高く、ブランドイメージの向上にもつながりやすいといえるでしょう。
コスト面では「インバウンドマーケティング」が利用しやすい
費用面では、インバウンドマーケティングの方が利用しやすいといえます。
アウトバウンドマーケティングの代表例であるテレビコマーシャルであれば、放映料金や制作費など多額の広告費用がかかります。また全国規模での配信となれば、さらに莫大なコストが必要となるでしょう。
一方インバウンドマーケティングでは、オウンドメディアのように自社のWebサイトやブログなどを活用するため、圧倒的にコストを抑えることができるでしょう。初期投資も比較的少なく、運用費用も限定的です。
ただしインバウンドマーケティングでは、SEO(検索エンジン最適化)などの施策を通じて、多くの見込み顧客に検索される必要があるため、専門的な知識に基づいた施策を行える人材の確保が重要です。自社に該当する人材がない場合は外注となり、その分のコストがかかるため、事前の検討が必要です。
反応率でも「インバウンドマーケティング」が有利
インバウンドマーケティングでは、アウトバウンドマーケティングよりも、顧客の関心の高さが明確にうかがえます。
自らの意思で能動的に情報を求めている顧客だからこそ、その商品やサービスに対する興味度や購買意欲が極めて高いという特徴があります。
その違いが、情報取得後の反応にも直結し、購入など次のステップへ進みやすいといえるのです。
結果として、見込み顧客が実際の顧客へと転換する確率が高くなり、全体的な反応率の向上につながるマーケティング手法として優れているということができます。
BtoBではどちらがよい?
結論からいえば、どちらかではなくどちらも行う、つまり、その時々で段階的に合う方法を行って「アウトバウンドマーケティング」「インバウンドマーケティング」双方で補い合う手法をお勧めします。
というのもBtoBの場合、意思決定過程に複数の人が関与し、意思決定までに比較的長期の時間を要するからです。たとえば商品やサービスの購買を決定する際には、営業担当者などが意思決定者となる組織の上位者に対して、詳細な説明を行うことが予想されます。
アウトバウンドマーケティングの効果として、商品やサービスの名称を認知させるだけであれば、テレビコマーシャルなどの広告を通じて「あのコマーシャルの商品ね」と、全体的な認知度を高めてくれるのです。
そして実際の商品やサービスの具体的な内容、機能性や効用などを詳しく説明する段階では、インバウンドマーケティングの中で時間をかけて構築された顧客との信頼関係と、詳細な情報提供がベースとなります。
このように、営業プロセスの段階によって求められるアプローチが異なるため、アウトバウンドマーケティングで初期認知を獲得し、その後インバウンドマーケティングで深い関心へと導くといったように、併用して互いのメリットを最大限に活かすマーケティング手法を構築することが重要なのです。
まとめ
「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」は、それぞれ異なるアプローチを取るマーケティング手法です。インバウンドマーケティングは顧客側の主体性を重視し、アウトバウンドマーケティングは企業側からのアプローチを重視しています。
インバウンドマーケティングは、顧客の関心が高く、長期的な信頼関係を構築できるというメリットがあります。一方、アウトバウンドマーケティングは、即効性と広い認知度の獲得という強みを持っています。
どちらが優れているかではなく、自社の商品やサービス、ターゲット顧客の特性、業種、予算などを総合的に考慮した上で、双方のメリットを効果的に活用する施策の選定が重要です。特にBtoBビジネスでは、複数の意思決定者が関与するため、段階に応じた使い分けや組み合わせが極めて有効といえるでしょう。
最適なマーケティング戦略を構築するためには、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの特性を深く理解し、自社の経営目標や顧客ニーズに合わせた複合的なアプローチを検討することが成功への鍵となります。

