オウンドメディアを効果的に運用し、検索エンジンでの上位表示を目指すためには、サブドメインとサブディレクトリの理解が不可欠です。これらは、ウェブサイトの構造を整理し、SEO戦略を最適化するための重要な要素となります。どちらも「元のドメイン」を基盤としながらも、その構成や役割、そしてSEOにおける評価には明確な違いがあります。これらの違いを正しく理解し、目的に応じて適切に使い分けることで、オウンドメディア全体のパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能になります。
サブドメインとサブディレクトリの構成上の違い
サブドメインとサブディレクトリの違いは、オウンドメディア構成の役割の違いで考えると理解しやすいでしょう。ウェブサイトの構造という観点から、それぞれの特徴を見ていきます。
サブドメイン
サブドメインは、親となるドメインを基盤として、それを区切って運用する独立した構成のウェブサイト構築方法です。URLの表示形式は「○○○○.元のドメイン」となり、元のドメインとは異なるテーマや目的を持ったメディアを新たに展開する際に有効です。
例えば、大手ECサイトである「楽天」のサービス群は、サブドメインを巧みに活用した好例と言えるでしょう。
・楽天市場: https://www.rakuten.co.jp/
・楽天ランキング: https://ranking.rakuten.co.jp/
・楽天トラベル: https://travel.rakuten.co.jp/
・楽天モバイル: https://mobile.rakuten.co.jp/
・楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/
このように、元のドメイン(rakuten.co.jp)は共通していますが、サブドメイン(ranking, travel, mobile, booksなど)を付与することで、それぞれが独立したサービスとして運用されており、ブランド全体の多様な展開を可能にしています。サブドメインを活用することで、既存のドメインの信頼性やブランド力を活かしつつ、新しいコンテンツやサービスを効率的に立ち上げることが可能です。
サブディレクトリ
サブディレクトリの「ディレクトリ」とは、コンピューターにおけるフォルダーと同様の意味を持ちます。つまり、サブディレクトリとは、既存のドメイン(親ディレクトリ)の下に、新しいフォルダー(サブディレクトリ)を作成してコンテンツを整理・配置していく構造のことを指します。URLの表記では、「元のドメイン/○○○○」という形式になります。
サブディレクトリの例としては、カジュアルファッションブランド「ユニクロ」のウェブサイトにおけるカテゴリー分けが分かりやすいでしょう。
・UNIQLO https://www.uniqlo.com/jp/
・WOMEN https://www.uniqlo.com/jp/women/
・MEN https://www.uniqlo.com/jp/men/
・KIDS https://www.uniqlo.com/jp/kids/
・BABY https://www.uniqlo.com/jp/baby/
これらの例のように、メインのドメイン(uniqlo.com/jp)の下に、women、men、kids、babyといったサブディレクトリが設けられ、それぞれのカテゴリーに特化した情報が整理されています。この構造は、ウェブサイトのナビゲーションを分かりやすくするだけでなく、検索エンジンがコンテンツの関連性を理解する助けにもなります。
サブドメインとサブディレクトリの使い方の違い
構成上の違いでもわかるように、サブドメインとサブディレクトリは、オウンドメディアを運営する上で役割が違います。サブドメインとサブディレクトリを使い分けることで、効果的に活用ができるのです。
サブドメインの使い方
サブドメインは、その独立性の高さから、既存のオウンドメディアとは全く異なるテーマのメディアを新規に立ち上げたい場合に非常に有効な選択肢となります。本来、テーマの異なるメディアを新たに展開するには、別途ドメインを契約する必要があり、それに伴う運用コストや時間、手間が発生します。しかし、サブドメインを活用することで、既存のオウンドメディアを基盤としながらも、独立した形で新たなメディアを運営することが可能になります。これにより、これらのコストや手間を大幅に削減できるというメリットが生まれます。例えば、全く新しいジャンルの情報発信や、特定のキャンペーン、あるいは地域特化型の情報サイトなどを展開する際に、サブドメインは強力なツールとなり得ます。また、ドメインパワーを分散させることなく、関連性の低いテーマのコンテンツも別個に管理できるため、サイト全体の整理整?も向上します。SEOの観点からも、サブドメインは独立したウェブサイトとして認識されるため、新しいドメインを取得するのと同様に、ゼロから評価を築いていくことになりますが、親ドメインからのリンクなどを通じて、クローラービリティの向上に寄与する可能性も期待できます。
サブディレクトリの使い方
サブディレクトリは、現状のオウンドメディアのテーマに関連したコンテンツを作成する際に特に役立ちます。オウンドメディアの主要なテーマがあり、そのテーマに関連する並列的なサブテーマが複数存在するような場合に、サブディレクトリは最適な選択肢となります。
ユーザーがインターネットで情報を検索する際には、「知りたい」「行きたい」「やりたい」「買いたい」といった4つの検索意図が一般的に存在すると言われています。検索エンジン経由でオウンドサイトを訪れるユーザーは、似通った疑問、悩み、あるいは課題を抱えています。サブディレクトリを活用することで、主要なテーマに関連するサブテーマを網羅的に取り揃え、ユーザーの多様な検索意図に応えるコンテンツを、一つのドメイン内で一元的に管理することが可能になります。
オウンドメディアの主要テーマに関連するコンテンツ以外にも、サブディレクトリが有効な場面があります。例えば、多数の店舗と連携した通販メディアを運営しているケースなどが挙げられます。この場合、通販サイトは上位に親となる通販メディアが存在し、その下層に多数の個別の店舗が存在する構造になります。サブディレクトリを活用すれば、新たな店舗の追加や、拡大していく商品情報の管理を効率的かつスムーズに行うことができるようになります。また、特定の商品カテゴリーやキャンペーンごとにページを整理する際にも、サブディレクトリ構造は非常に効果的です。これにより、ユーザーは目的の情報にたどり着きやすくなり、サイト全体の利便性が向上します。
SEO効果を意識したサブドメインとサブディレクトリの使い方
SEO効果を最大限に引き出すためには、検索エンジンがサブドメインとサブディレクトリをどのように評価するのかを理解し、戦略的に活用することが重要です。サブドメインとサブディレクトリは、それぞれ異なるSEO上の特性を持っているため、目的やコンテンツの内容に応じて使い分けることで、より効果的な検索エンジン最適化が期待できます。
サブドメインのSEO評価
サブドメインは、その構造上、既存のメインドメインとは独立したウェブサイトとして認識される傾向があります。そのため、サブドメインで開設した新しいメディアやサービスは、原則としてメインドメインのSEO評価を直接引き継ぐ力は低いと考えられます。つまり、新しく取得したドメインでサイトを立ち上げるのと同様に、ゼロからSEO評価を構築していく必要があると捉えるべきです。
しかし、メインドメインの権威性やSEO評価が非常に高い場合、メインドメインからサブドメインへのリンクが、サブドメインのクロール(検索エンジンのボットによる巡回)を促進し、結果としてサブドメインの評価向上に間接的に寄与する可能性も期待できます。さらに、メインドメインとサブドメイン間で関連性の高いコンテンツを提供し、相互にリンクを張り合うなどの戦略をとることで、検索エンジンからの信頼性を高め、サブドメインのSEO評価を段階的に向上させていくことが可能です。クローラビリティの向上は、検索エンジンがサイトの構造を理解し、コンテンツを適切にインデックスするために不可欠です。
クローラビリティーを考慮してSEO効果を上げるコンテンツ設計について
サブディレクトリのSEO評価
サブディレクトリは、元のディレクトリの下層に位置するため、既存のオウンドメディアが持つSEO評価を効果的に引き継ぐことができます。これは、検索エンジンがウェブサイトの構造を理解する際に、関連性の高いコンテンツが同一ドメイン内に集積していることを高く評価するためです。サブディレクトリに投稿されたコンテンツは、そのドメイン全体の権威性(オーソリティ)の向上に貢献し、逆に、オウンドメディア本体の評価も、配下にある質の高いサブディレクトリコンテンツによって強化されるという、相互にプラスの影響を与え合います。このため、サブドメインとサブディレクトリのどちらを選択するかは、SEO戦略において非常に重要な判断となります。サブディレクトリを活用することで、サイト全体のトータルなSEO評価を高め、検索エンジンからの流入を最大化することが期待できます。
まとめ
サブドメインは、既存のドメインとは別に、独立した構成で運用する方法です。テーマが大きく異なるコンテンツやサービスを展開する際に有効で、サブドメインごとに新しいドメインを取得したかのようにSEO評価からスタートします。
サブディレクトリは、既存のドメインの直下に階層構造でコンテンツを配置する方法です。「元のドメイン/○○○○」という形式で表示され、関連性の高いコンテンツをまとめるのに適しています。
サブディレクトリは、親ドメインのSEO評価を引き継ぎやすく、相互に評価を高め合うことができます。そのため、オウンドメディアのテーマに関連するコンテンツを拡充していく際に、SEO効果を最大化しやすいと言えます。
サブドメインとサブディレクトリのどちらを選択するかは、展開したいコンテンツのテーマや目的、SEO戦略によって慎重に判断することが重要です。

