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ホリスティック・マーケティングとは?4つの構成要素を解説

2020.5.22
読了まで約 3

ホリスティック・マーケティングという言葉を聞いたことはあるでしょうか?ホリスティック(holistic)は、「全体的」とか「総合的」という意味を持つ英単語で、ホリスティック・マーケティングとは、いくつかのマーケティング手法を組み合わせ、全体としてマーケティングの効果を高めていく考え方を指します。

顧客や市場はますます多様化し、単純なマーケティングだけでは顧客に企業の提供する価値が届かない時代になっています。本記事では、最近採用する企業が増えているホリスティック・マーケティングの概要やメリットなどについて紹介していきます。

ホリスティック・マーケティングの概要

ホリスティック・マーケティングという言葉は、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが、2002年の著書「新・マーケティング原論」の中で述べた考え方です。

顧客、新規参入企業、流通チャネル、規制緩和や民営化など、市場を変化させるファクターは数多く存在します。
コトラーはこのような変化の激しい市場に対応するためには、「需要」「経営資源」「ネットワーク」などのマネジメントを統合して経営に活かしていく、ホリスティック・マーケティング(全体論的マーケティング)という概念が必要だと述べているのです。

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4つ要素で構成されるホリスティック・マーケティング


マネジメントを統合するといっても、むやみに組み合わせればよい、というものではありません。
コトラーはホリスティック・マーケティングを効果的に進めるためには、4つの構成要素(マーケティング)が必要だといっています。

●リレーションシップ・マーケティング
リレーションシップ・マーケティングは、1990年代に大きく発展したマーケティング手法です。
それまでの企業に視点があったマーケティングではなく、視点を顧客に移し、かつ良好な関係性の維持に重点を置いています。
その発展の背景には、経済が低成長となり新規顧客開拓が困難となったため、既存顧客をリピーターとしなければならない必要性がありました。

現在も主流となっているLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)重視のマーケティングが、リレーションシップ・マーケティングです。
またこのリレーションシップには、協力企業や株主、銀行なども含まれます。

●インターナル・マーケティング
インターナルは「内側」、つまり自社内を示しています。
たとえば市場に製品を投入する場合、直接顧客と接することのない経理や情報システム部門では、生産現場と営業だけが顧客の相手をすればよいと思いがちです。
実際にはコスト削減やネット販売など、間接的であるにせよ様々な部門が顧客には関わります。
ですから、社内のすべての部門が顧客との関係性を重視し、LTVを最大化することの重要性を理解しなければなりません。

インターナル・マーケティングは、経営陣や社員、すべての組織内部の人間にマーケティングの教育や動機付けを行う活動を指します。

●社会的責任マーケティング
現代の企業活動では、自社のことだけではなく社会的な課題についても考えなければ継続的に発展することはできません。
自分勝手な経営の悪例は、高度経済成長時代にあった大気汚染や水質汚濁、騒音といった公害の問題でしょう。

自社の利益のみを追求し、社会や環境に対する配慮に欠ける経営は現代では許されません。
健全な事業運営と、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を両立させることが求められるのです。

●統合型マーケティング
これは別名マーケティング・ミックスと呼ばれます。
製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の4Pを組み合わせて、顧客に製品やサービスといった【価値】を届けるマーケティングのことです。

ここまでお話しした3つの構成要素を、統合型マーケティングによって【価値】として顧客に届ける考え方、それがホリスティック・マーケティングといえるでしょう。
コトラーはこの【価値】に関して、次の3つのテーマを意識しながらホリスティック・マーケティングを進めるべきだと説いています。

 

ホリスティック・マーケティングの3つのテーマ

●価値探求
顧客に提供する新しい価値を、常に考え続けること。
激しく変化する市場においては、顧客の求める価値も常に変動しています。
また顧客以外の環境変化によっても価値は刻々と変化していきます。
常に顧客の求める価値とは何かを、探求し続ける必要があります。

●価値創造
価値を効率よく創造する手法を常に考え続けること。
探求によって見つけ出した価値は効率よく、顧客にとって入手しやすいコストで提供されなければなりません。
インターナル・マーケティングを最大限に活かし、効率的な価値創造を行っていく必要があります。

●価値提供
所有する経営資源を最大限に活用し、価値を提供する方法を考える。
せっかく素晴らしい価値が創造できても、顧客に届かなければ意味がありません。
製品やサービスの種類、時代背景によって提供する方法も常に変化しています。
最も効率的に顧客に価値を届ける方法を、常に考えていかねばなりません。

ホリスティック・マーケティングのメリットは、今までは偏りがあって効率的に進めることが難しかった各々のマーケティング活動を、総合的な視点から見ることによってバランス良く、効果的に進められるという点です。

4つの構成要素は企業が永続的に価値を創造するために、欠かせないものばかりです。
どれかに偏るということのないように、PDCAサイクルを回してしっかりとマネジメントしていきましょう。

 

まとめ


◆マーケティングとは、顧客に【価値】を提供する活動である


◆現代のマーケティングは、顧客だけを見ていては成功しない


◆すべてのステークホルダー(関係者)を意識したマーケティングが必要


◆ホリスティック・マーケティングは、すべての関係性を総合的に理解し、3つのテーマを意識しながら活動する

 

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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