物流や小売、マーケティングでは商品の在庫管理が重要です。在庫管理で役立つ単位が、「SKU(Stock Keeping Unit)」です。この記事では、SKUについて詳しく解説します。SKUの導入目的や設定方法をわかりやすく紹介します。
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目次
SKUとは
はじめに、SKUの基礎知識から確認しましょう。
Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の意味
SKUとは、Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略称です。在庫管理で用いる最小単位であり、商品を細かく識別するために物流や小売で広く使われています。同じ商品であってもサイズや色の違いごとに異なるSKUを割り当てて、商品を細かく区別します。英数字を組み合わせたSKUコードを付与して管理する形式が一般的です。商品の詳細な売れ行きを把握できることから、マーケティング戦略にもSKUが活用されています。
SKUの具体例
アパレル製品の場合、1つのアイテムでもサイズや色で複数展開しています。例として「リネンのフレアスカート」について、「白・黒・青」の3色と「S・M・L・LL」の4サイズを用意しているとします。この場合、以下のように12パターンの組み合わせが生まれます。
サイズ\色 | 白 | 黒 | 青 |
S | 白のS | 黒のS | 青のS |
M | 白のM | 黒のM | 青のM |
L | 白のL | 黒のL | 青のL |
LL | 白のLL | 黒のLL | 青のLL |
つまり、3色×4サイズで「12SKU」として管理できます。12SKUをそれぞれ別の商品として識別コードを割り当てることで、「どのサイズのどのカラーが人気なのか」など詳細な分析が可能になります。
SKUと似ている用語の違い
「アイテム・品番」「JANコード」「PLU」とSKUの具体的な違いを見ていきましょう。
アイテム・品番との違い
アイテムや品番とは、商品の種類を大きく区別する単位です。たとえば、アパレルでは「綿混の長袖ブラウス」と「綿混の七分丈ブラウス」は異なるアイテムと判別されます。品番はアイテム単位で付与されるケースが多く、商品の企画や生産計画に用いられます。一方のSKUは、アイテムをサイズや色で細分化して管理する単位です。アイテム・品番が商品の型を示す大枠だとすれば、SKUは商品のバリエーションを識別する概念と言えます。
JANコードとの違い
JANコード(Japanese Article Number)とは、商品についている国際標準のバーコードです。日本国内で流通するほとんどの商品につけられており、商品の製造メーカーが管理しています。メーカーが同じ商品と考えている商品には、同じJANコードが付与されるシステムです。対するSKUは、物流や店舗の事業者が独自に設定します。同じJANコードの商品であっても事業者によって異なるSKUをつけられるため、柔軟な商品管理が可能です。
PLUとの違い
PLU(Price Look Up)とは、商品の価格情報が含まれるバーコードです。商品の価格は店舗の裁量によって変動するため、JANコードには含まれていません。PLUコードをスキャンすると店舗のデータベースから商品情報が呼び出され、登録されている価格を確認できます。データベースを介さず、バーコードそのものに価格情報が含まれる「NonPLUバーコード」も存在します。一方のSKUは在庫管理に特化しており、色やサイズといった商品のバリエーション管理に適した識別コードです。
SKUの設定方法
商品にSKUを設定する際は、規則性のあるルールをもとに決めましょう。よくある設定方法は以下の通りです。
JANコードをもとに設定する
JANコードをもとにしたSKUの設定は、もっとも一般的な方法です。JANコードは「どのメーカーやブランドの、どの商品か」を識別できるうえ、商品を製造したメーカーが一定のルールに沿って設定しています。多くの場合、色やサイズが異なれば違うJANコードが付与されるため、そのままSKUに割り当てることで効率的に商品を管理できます。
内容量で設定する
同じ商品であっても、異なる内容量ごとに販売している場合があります。たとえば、食品や化粧品は「500ml」「1L」などの容量違いの商品があるため、SKUを分けて管理すると良いでしょう。容量ごとの在庫を把握することで、仕入れや販売活動などの戦略を最適化できます。
販売単位で設定する
単品販売とセット販売でSKUを区別する方法もあります。例として同じペットボトル飲料でも、1本売りと6本売りは在庫の管理単位や販売戦略が異なります。それぞれSKUを設定することで、どういった消費者にどの購入形態の需要があるかを把握できるでしょう。効果的な販促や売り場のレイアウトに役立てられるうえ、発注・ピッキングのミス防止にもつながります。
包装形態やパッケージデザインで設定する
缶詰や袋物といった包装形態の違いがある場合、SKUを設定しましょう。たとえば、同じ缶詰でも「缶入り」と「パウチ入り」では需要が異なるため、SKUを分けておくと管理しやすくなります。また、パッケージデザインごとのSKU設定もおすすめです。期間限定のコラボデザインや新旧パッケージの混在期には、SKUを分けることで在庫状況を正確に把握できます。限定デザインの効果測定を行えるため、マーケティング戦略にも直結するでしょう。
エディションで設定する
ソフトウェアやITサービスなど、異なるエディションを設定している場合はSKUによる識別が可能です。個人向け、法人向け、教育機関向け、無料版、有料版といったエディションの違いがあれば、それぞれの売上や契約数を正確に把握できます。
SKUを導入する目的
ここでは、SKUを導入する具体的な目的を4つ解説します。
詳細な売上分析でマーケティング戦略を立てる
SKUを導入すると、売上データの詳細な分析が可能になります。サイズや色、容量、パッケージなどの違いごとに売り上げを把握できるため、消費者のニーズを細かく分析できます。例としてアパレルであれば、「売れ行きが良い黒のMサイズのみ追加発注をかける」「次回の生産ではSサイズを多めに用意する」といった特定の商品ごとのマーケティング戦略を立てられるでしょう。結果的に在庫ロスの削減にもつながるため、売上を最大化できます。
効率的な在庫管理が可能になる
SKUを利用することで、在庫管理を効率化できます。単に「綿100%の半袖インナーの在庫が何枚あるか」ではなく、「綿100%の半袖インナーのうち、白のSサイズが残り10枚」といった粒度での管理が可能です。リアルタイムで細かい在庫状況を管理できるため、人気商品が欠品するリスクを抑えられるでしょう。さらに、売れ行きが悪いSKUも把握できることから、セールやキャンペーンで早めに在庫を処分するといった柔軟な対処も行えます。
商品の幅を増やせる
在庫管理がスムーズになることで、取り扱う商品の幅を広げやすくなります。SKUを設定して適切に在庫を把握できていれば、商品数を増やしても正確な管理が可能です。反対に、SKUを設定せずに特徴や名称、色・サイズで商品を区別している場合、管理が煩雑になるでしょう。SKUは英数字のコードで商品を識別するため、商品数が増えても管理が煩雑になりません。消費者へ多くの商品を提供できれば、顧客満足度の向上やリピーター化が期待できます。
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発注ミスを防ぎやすくなる
SKUは、発注ミスの防止にも役立ちます。SKUを設定した場合、在庫管理は割り当てた英数字によって行います。発注時は「白のシャツのMサイズ」と曖昧に指定するのではなく、SHIRT-WHT-M」のように固定のSKUコードを使用する仕組みです。そのため、発注側と出荷側の間での誤解が起きづらく、バリエーションが多い商品であっても発注ミスを防ぎやすくなるでしょう。誤発注を防止できれば、余分なコストを抑えて適正在庫を保てます。
SKUを導入する際の注意点
SKUを導入する際は、以下3つの注意点に気をつけましょう。
SKUの桁数や文字のルールを決める
SKUの設定には、ルールが必要です。次のようにSKUのルールを決めましょう。
ルールの項目 | ルールの内容 |
桁数 | SKUの桁数を揃える JANコードと同じ13桁が一般的 |
使用する文字 | SKUに使用する文字を決める 英数字の使用が基本 |
大文字または小文字の統一 | 大文字もしくは小文字へ統一する 混同していると発注ミスが起きやすい |
先頭への0の不使用 | コードの先頭に0を使わない 0が認識されない場合があるため、基本的に不使用がおすすめ |
SKUの運用開始前にルールを決めておくと、一貫したコードを付与できます。
異なる商品に同じSKUを登録しない
SKUは、1つの商品に1つのコードが原則です。複数の商品に同じSKUを割り当ててしまうと、売上や在庫数を正確に把握できなくなります。結果的に、発注ミスや過剰在庫、欠品といったトラブルにつながってしまうでしょう。さらに、SKUの重複に気づかずに商品を販売すると、顧客へ違う商品を届けてしまうリスクがあります。顧客の信頼を失うおそれがある点からも、誤って異なる商品に同じSKUを登録しないように注意しましょう。
SKUが多すぎるとユーザーの離脱を招く
SKUを導入すると商品のバリエーションを増やせる一方で、バリエーションを増やしすぎると「選択のパラドックス」によって逆効果になる場合があります。選択のパラドックスとは、選択肢が多すぎると満足度が下がり、購買意欲がなくなってしまう心理現象です。SKUで簡単に管理できるからといってバリエーションを増やしすぎると、ユーザーの購買意欲を低下させてしまうかもしれません。SKUの導入後も商品は過剰に増やさず、自社の顧客層や購買データを分析して需要のあるバリエーションに絞りましょう。
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SKUのマーケティング施策への活用例
SKUは在庫管理に加えて、マーケティング施策への活用も可能です。たとえば、品切れのSKUが入荷したタイミングでユーザーへ再入荷通知を送れば、購買意欲が高い顧客の購入機会を逃しづらくなります。また、ユーザーが過去に購入したSKUの関連商品のレコメンドを行うと、ECサイトへの再訪問や購買を促せます。さらに、ユーザーの購買履歴をSKU単位で分析することで、嗜好に合わせたパーソナライズドマーケティングを実現できるでしょう。顧客1人ひとりに最適化されたアプローチを重ねれば、顧客満足度やリピート率の向上が期待できます。
▼マーケティングの「パーソナライズ」については以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ:SKUによる売上分析でマーケティング戦略を最適化しよう
SKUを導入すると、色やサイズ、容量といった違いによって商品を細かく識別できます。在庫管理の効率化のほか、詳細な売上分析も可能になります。マーケティング戦略を最適化できるため、バリエーション豊かな商品を扱う事業にはSKUの導入がおすすめです。
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