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個人情報はどう守る?加速するCookie規制とブロックチェーン技術応用の可能性について

2020.12.2
読了まで約 3

Cookie(クッキー)という仕組みをご存じでしょうか?ブラウザでWebサイトを見ているとき、ログイン時にIDがもう記入されていてあとはパスワードを打つだけになっていたり、ほかのサイトに行っても以前行ったサイトの広告が表示されたりというのが、Cookieが働いている証拠です。

Cookie はWebサイトを見るのにとても便利な仕組みですが、このCookieを規制しようという検討が各所で進んでいます。今回はCookie規制の理由と、新しい広告の形に利用されるかもしれないブロックチェーン技術について解説します。

Cookieとはあなたが閲覧したWebサイトが、個人のデバイス(パソコンやスマホ)の中に一時的に保存する情報のことです。CookieにはWebサイトを訪れた日時や訪問回数、ID、パスワード、メールアドレスなど、さまざまな情報が記録されています。この情報は個人のデバイスに保存され、基本的にそのWebサイトしか利用できないようになっているのですが、内容は立派な個人情報です。

Cookieは正しく利用されればWebサイトの閲覧を快適にしてくれる仕組みですが、2020年3月に改正個人情報保護法が閣議決定されたことにより、見直しの動きが始まりました。改正個人情報保護法にはWebページにおける個人情報の取り扱いを厳格化することも盛り込まれており、ここからCookie規制の動きが加速しているのです。

Cookie規制など、個人情報保護の動きは日本だけにとどまりません。アメリカで2020年に施行された「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」や、ヨーロッパで2018年から施行されている「GDPR(一般データ保護規則)」など、世界中で個人情報の保護が厳格化され始めているのです。

関連記事:Web3(Web3.0)とは?特徴やメリットをわかりやすく解説

ブロックチェーン技術とは

一時期、その投機的な特徴が話題となった暗号資産(仮想通貨)。ビットコインやイーサリアム、クラッキングによる取引所からの流出で話題となったネムなどが有名です。ブロックチェーン技術とはこの暗号資産の核となる技術で、以下のような特徴を持っています。
・過去の取引データ(ブロック)が、繋がって(チェーン)記録されている
・取引データは暗号化されている ・中央集権的な管理者が存在せず、分散的に運用される
・ネットワーク上の複数のコンピュータが取引データを監視しているためデータの 改ざんは困難(ほぼ不可能)
・分散システムのためシステムダウンが起こりにくい

ブロックチェーン技術応用の可能性

上記のような特徴を持つブロックチェーン技術は、暗号資産のためだけでなくさまざまな用途に利用可能といわれています。たとえば以下のような用途です。

●契約
情報の改ざんが困難という特長を活かし、スマートコントラクトと呼ばれる「契約の自動化」に応用できます。ネットワーク上の複数のコンピュータが取引を監視するので、信頼性の高い契約が可能になります。

●トレーサビリティ
物や食品を製造・加工する場合には、生産工程の履歴を記録しておき事故が起きた場合の原因究明に利用しますが、このトレーサビリティの向上にブロックチェーン技術は応用可能です。工程情報をブロックとして記録してチェーンで繋ぎ、トレースしやすく管理するのです。特に食品などの場合、原因を素早くトレースでき、記録の改ざんが困難なブロックチェーン技術の特徴は「食への信頼」に繋がることでしょう。

●本人確認・身分証明(個人情報の保護)
ネットワーク上の複数のコンピュータが取引内容を監視しているようなネットワーク(パブリックチェーン)で、個人情報のやり取りをすることは現実的ではありません。ただしデータを暗号化した上で、暗号の鍵(公開鍵)のやり取りをブロックチェーン技術で管理することはとても有効です。

ブロックチェーン技術のもつ「取引データの暗号化」、「情報の改ざんが困難」、「取引情報のトレースがしやすい」という特徴を活かせば、秘匿性が高くトレース可能な(誰が、いつ、どのような情報を何に使ったのか)個人情報の管理が可能になるのです。また、「中央集権的な管理者が存在しない」ブロックチェーンでは情報漏洩のリスクも少なくなります。

これは個人情報の保護に使えるとともに、本人確認や身分証明などにも使えます。実際に韓国の釜山市では、行政サービスの一部にブロックチェーン技術を使った本人認証システムを取り入れています。それまでは対面で身分証提示が必要であった本人確認を、個人のスマホから認証できるシステムを立ち上げ、非対面・非接触で行政サービスを利用できるようにしているのです。

ブロックチェーン技術がブラウザなどでも利用されるようになれば、従来のCookieよりも格段に高いセキュリティレベルの個人情報保護が可能になります。すべてがデジタルで繋がっていくDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代には、従来のセキュリティ技術などではなくブロックチェーン技術のような革新的なセキュリティが必要とされているのです。

まとめ

◆2020年3月の改正個人情報保護法閣議決定を契機として、個人情報保護の動きが加速している。これにはCookie規制なども含まれ、世界中で個人情報保護の気運は高まっている。

◆ブロックチェーン技術は暗号資産(仮想通貨)の核となる技術として開発されたが「高い秘匿性(暗号化)」、「情報の改ざんが困難」、「高いトレース性」、「中央集権的な管理者が存在しない」という特徴を持っており、暗号資産以外のセキュリティ強化にも使える。

◆ブロックチェーン技術をブラウザなどに利用すれば、従来のCookieよりも格段に高いセキュリティレベルの個人情報保護が可能になる。

◆すべてがデジタルで繋がっていくDXの時代には、ブロックチェーン技術のような革新的なセキュリティが必要。

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監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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