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【2025年最新】これからのコミュニティマーケティング戦略|LTVを最大化する手法と国内事例

2025.8.8
読了まで約 24

広告効果の低下や顧客獲得コストの高騰に直面する今、顧客と深く繋がりLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化する鍵は「コミュニティマーケティング」にあります。本記事を読めば、その重要性から具体的な始め方の5ステップ、LTVを高める手法、国内の成功事例まで、明日から使える戦略の全てがわかります。ファンを育て、持続的な事業成長を実現するためのロードマップを手に入れましょう。

コミュニティマーケティングとは LTV向上になぜ繋がるのか

コミュニティマーケティングとは、特定のブランドや商品、あるいは共通のテーマに関心を持つ人々が集まる「場(コミュニティ)」を創出し、企業と顧客、または顧客同士が継続的に交流する中で、ブランドへのエンゲージメントや信頼感を深めていくマーケティング手法です。企業からの一方的な情報発信ではなく、顧客を主役とした双方向のコミュニケーションを通じて、中長期的な関係性を構築することを最大の目的としています。

このアプローチは、短期的な売上を追う従来の広告手法とは一線を画し、顧客一人ひとりのLTVを最大化する上で極めて重要な戦略として注目されています。

関連記事:LTV(ライフタイムバリュー)とは?算出方法や最大化するポイント

コミュニティマーケティングの基本的な定義

コミュニティマーケティングの基本的な定義は、「共通の関心事や価値観を持つ人々で構成される集団(コミュニティ)を基盤とし、その活性化を通じて事業目標の達成を目指すマーケティング活動」です。単に顧客を集めて交流させるだけでなく、そこから生まれる熱量や信頼関係を、ブランド価値の向上や事業成長に繋げる一連の仕組み全体を指します。

従来のマーケティングが「企業→顧客」という一方向の情報伝達が中心だったのに対し、コミュニティマーケティングでは以下の3つの方向のコミュニケーションが生まれます。

  • 企業 → 顧客:製品情報、開発秘話、イベント告知など
  • 顧客 → 企業:製品へのフィードバック、改善要望、応援メッセージなど
  • 顧客 ⇄ 顧客:製品の活用方法の共有、成功体験の交換、悩み相談など

この多角的なコミュニケーションこそが、顧客を単なる「購入者」から、ブランドを支え、共に成長する「ファン」や「パートナー」へと昇華させる鍵となります。

なぜ今コミュニティマーケティングが重要視されるのか

では、なぜ今、多くの企業がコミュニティマーケティングに注目しているのでしょうか。その背景には、現代の市場環境における深刻な課題と、消費者の価値観の変化が存在します。

広告効果の低下と顧客獲得コストの高騰

現代は情報過多の時代であり、消費者は日々大量の広告にさらされています。その結果、多くの人が広告に対して無意識に注意を払わなくなる「バナーブラインドネス」といった現象も起きており、従来のデジタル広告の効果は相対的に低下しています。広告の競争激化はCPA(顧客獲得単価)の高騰を招き、新規顧客の獲得はますます困難かつ高コストになっています。

マーケティングの世界で有名な1:5の法則」では、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍かかるとされています。この状況下で、企業が持続的に成長するためには、新規顧客の獲得だけに依存するのではなく、既存顧客との関係を深化させ、長くブランドを愛用してもらうことの重要性が増しているのです。

サブスクリプションモデルの普及と解約率の重要性

SaaS(Software as a Service)やD2C(Direct to Consumer)に代表されるサブスクリプションモデルのビジネスが主流になりつつあることも、コミュニティマーケティングが注目される大きな要因です。「売り切り型」のビジネスとは異なり、サブスクリプションモデルでは、顧客に継続的にサービスを利用してもらうことで収益が成り立ちます。

そのため、事業の成否を分ける最も重要な指標の一つが「チャーンレート(解約率)」となります。どれだけ新規顧客を獲得しても、解約率が高ければ収益は安定しません。コミュニティは、顧客が製品やサービスを使いこなすための情報交換の場となったり、他のユーザーとの繋がりを通じてサービスへの愛着を深めたりすることで、解約率の低下に大きく貢献します。

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D2Cとは?ECにおけるビジネス展開が成功した例をわかりやすく解説
チャーンレート(Churn rate)とは?マーケターが押さえておきたいSaaSビジネスの顧客解約率

UGC創出による信頼性の高い情報拡散

消費者の購買行動において、企業が発信する情報よりも、第三者による口コミや評価が重視される傾向が年々強まっています。

コミュニティは、こうした信頼性の高い情報、すなわちUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)が自然発生する絶好の土壌です。熱量の高いファンが集まるコミュニティでは、SNSでの投稿、ブログでの活用事例紹介、レビューサイトへの書き込みといったUGCが活発に創出されます。利害関係のないユーザーからのリアルな声は、何よりも雄弁な広告となり、新たな顧客を呼び込む強力な力を持つのです。

関連記事:UGCとは?今注目されている理由と具体的な手法を徹底解説

顧客ロイヤリティとLTVを最大化する仕組み

これまでに挙げた背景を踏まえると、コミュニティマーケティングがどのようにして顧客ロイヤリティを高め、LTVを最大化するのか、その仕組みが見えてきます。コミュニティは、顧客を単なる「消費者」から、ブランドを愛し、応援し、共に育ててくれる「パートナー」へと変える育成装置の役割を果たします。

顧客がコミュニティに参加してからロイヤルカスタマーになるまでのプロセスは、以下のように整理できます。

顧客フェーズ 顧客の心理・行動 LTVへの貢献
参加前(潜在顧客・新規顧客) ブランドや製品に興味があるが、情報が不足している。活用方法に不安がある。 -
参加初期(一般メンバー) コミュニティに参加し、情報収集を開始。他のメンバーの投稿を閲覧したり、イベントに参加したりして製品への理解を深める。 活用促進による定着率向上
(解約率の低下)
参加中期(アクティブメンバー) 製品への理解が深まり、自ら質問したり、簡単な投稿をしたりするようになる。企業や他のメンバーとの交流を通じて共感や愛着が芽生え始める。 エンゲージメント向上による継続利用
(アップセル・クロスセルの機会創出)
ロイヤルカスタマー(ファン) 自らの成功体験や活用ノウハウを積極的に発信(UGC創出)。他のメンバーの質問に答えたり、イベント運営に協力したりと、当事者意識を持って貢献する。 UGCや口コミによる新規顧客獲得への貢献
(NPS®向上、CPAの抑制)

このように、コミュニティは顧客との接点を増やし、エンゲージメントを高めることで解約を防ぎます。さらに、満足度が高まった顧客がUGCや口コミを生み出すことで、新たな顧客獲得にも貢献します。「既存顧客の維持」と「新規顧客の獲得」という両輪を回すことで、結果的にLTVが最大化されるのです。これは、一方的な広告発信だけでは決して実現できない、持続可能な成長モデルと言えるでしょう。

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コミュニティマーケティングのメリットとデメリット

コミュニティマーケティングは、企業と顧客の双方に大きな価値をもたらす強力な戦略ですが、一方で注意すべき点も存在します。導入を検討する際は、光と影の両面を正確に理解し、自社の状況と照らし合わせることが成功の鍵となります。

企業側と顧客側双方のメリット

コミュニティは、企業にとっては持続的な成長の基盤となり、顧客にとってはブランドとの新しい関係性を築く場となります。ここでは、それぞれの立場から得られる主なメリットを整理してみましょう。

対象 メリット 詳細
企業側 顧客ロイヤリティ向上とLTV最大化

顧客との継続的な接点を通じてエンゲージメントを深め、ブランドへの愛着を醸成します。これにより解約率(チャーンレート)が低下し、結果としてLTV(顧客生涯価値)の向上に直結します。

UGC創出による信頼性の高い情報拡散

熱量の高いファンがSNSやブログで自発的に製品・サービスの魅力を発信(UGC: ユーザー生成コンテンツ)してくれます。これは第三者による客観的な評価として高い信頼性を持ち、広告に頼らない新規顧客獲得に繋がります。

製品開発に活かせる顧客インサイトの獲得

コミュニティは、顧客の生の声(VoC)が集まる貴重な情報源です。アンケートやインタビューでは得られない本音のフィードバックや新たなニーズを収集し、製品・サービスの改善や開発に直接活かすことができます。

顧客獲得コスト(CAC)とサポートコストの削減

既存顧客からの紹介やUGCによる認知拡大は、広告費に依存した新規顧客獲得からの脱却を促します。また、メンバー同士で疑問を解決し合う文化が育てば、カスタマーサポートの負担軽減にも繋がります。

ブランド価値の共創

顧客を単なる「消費者」ではなく「パートナー」として巻き込むことで、共にブランドを育てていくという共創体験を生み出します。これにより、他社には真似できない強固なブランド価値を築くことができます。

顧客側 有益な情報やノウハウの入手

公式情報だけでは得られない、他のユーザーの具体的な活用事例や実践的なテクニックを知ることができます。これにより、製品・サービスをより深く、効果的に活用できるようになります。

同じ価値観を持つ仲間との繋がり

共通の趣味や関心を持つ人々と交流し、情報交換をしたり、悩みを相談したりする中で、孤独感の解消や帰属意識が満たされます。これは、製品・サービスを利用する上での大きな付加価値となります。

自己肯定感の向上と承認欲求の充足

自身の知識や経験を共有して他者に貢献したり、優れた活用法を発表して賞賛されたりすることで、自己肯定感や承認欲求が満たされ、コミュニティ活動へのモチベーションが高まります。

特別な体験や限定特典

メンバー限定のオンラインイベント、新製品の先行体験、割引クーポンなど、コミュニティ参加者ならではの特別なベネフィットを受けられる機会があります。

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事前に知るべきデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、コミュニティマーケティングは「始めれば必ず成功する」という魔法の杖ではありません。着手する前に、以下のデメリットや注意点を十分に理解しておく必要があります。

成果が出るまでに時間がかかる

コミュニティの価値は、メンバー間の信頼関係やエンゲージメントといった無形の資産の上に成り立っています。これらの構築には時間がかかり、売上などの直接的な成果に結びつくまでには、少なくとも半年から1年以上の期間を見込む必要があります。短期的な成果を求めるあまり、焦って売り込みに走ると、かえって顧客の信頼を損なう結果になりかねません。短期的なROIが見えにくいのがデメリットになります。

継続的な運営コストと専門人材の必要性

コミュニティを活性化させるためには、専任の「コミュニティマネージャー」の配置が不可欠です。企画立案、投稿の監視、メンバーとのコミュニケーション、イベント運営など、その業務は多岐にわたります。人件費に加え、コミュニティプラットフォームの利用料やイベント開催費用など、継続的な投資が必要となる点を覚悟しなければなりません。

コントロールが難しい炎上リスク

オープンな議論の場であるコミュニティでは、時に企業にとって不都合な意見や批判的な投稿が生まれることもあります。また、メンバー間のトラブルが発生する可能性もゼロではありません。こうしたネガティブな事象が外部に拡散し、「炎上」に繋がるリスクを常に内包しています。明確なガイドラインの設定と、万が一の事態に備えた迅速な対応体制を構築しておくことが極めて重要です。

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効果測定の難易度が高い

コミュニティの成功を測る指標は、売上やコンバージョン数だけではありません。メンバーの満足度、エンゲージメント率、NPS(ネット・プロモーター・スコア)、UGCの発生数や質といった、定性的・定量的な指標を組み合わせて多角的に評価する必要があります。自社の目的に合ったKPIを設計し、それを正しく計測・分析する仕組みを初期段階で整えておくことが求められます。

コミュニティの「過疎化」リスク

立ち上げ当初は盛り上がっていても、魅力的なコンテンツや企画が継続的に提供されないと、メンバーの関心は次第に薄れ、投稿や交流が途絶えて「過疎化」してしまうリスクがあります。メンバーが参加し続けたいと思うような価値を提供し続ける、計画的かつ継続的な努力が運営側には求められます。

コミュニティマーケティング戦略の始め方 5つのステップ

コミュニティマーケティングは、単なる思いつきや流行で始めても成功しません。LTVの最大化というゴールを見据え、戦略的に設計し、段階的に実行していくことが成功の鍵を握ります。ここでは、コミュニティを立ち上げ、軌道に乗せるための具体的な5つのステップを詳細に解説します。

ステップ1 目的とKPIの設定

コミュニティ運営における最初の、そして最も重要なステップが「目的とKPIの設定」です。なぜコミュニティを運営するのか、その目的を明確に言語化しなければ、施策は方向性を失い、効果測定もままなりません。目的は、コミュニティという船が進むべき航路を示す羅針盤の役割を果たします。

目的を明確にしたら、その達成度を測るための具体的な指標であるKPI(重要業績評価指標)を設定します。KPIは、「SMARTの法則」(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)を意識して、具体的で測定可能なものにしましょう。

関連記事:KPIの意味とは?初心者にもわかる徹底解説と設定事例

以下に、コミュニティマーケティングにおける代表的な目的と、それに対応するKPIの例を挙げます。

コミュニティの目的とKPI設定例
目的 内容 KPIの例
LTV(顧客生涯価値)の向上 顧客ロイヤリティを高め、継続利用やアップセル・クロスセルを促進する。
  • 解約率(チャーンレート)の低下率
  • アップセル・クロスセル率
  • NPS®(ネットプロモータースコア)
UGC創出と顧客獲得コスト(CAC)の削減 ユーザーによる自発的な情報発信(UGC)を促し、広告に頼らない新規顧客獲得を目指す。
  • UGCの発生件数(SNS投稿、ブログ記事など)
  • コミュニティ経由の新規登録・購入数
  • 指名検索数の増加率
プロダクト・サービスの改善 ユーザーから直接的なフィードバックを収集し、製品開発やサービス改善に活かす。
  • 機能改善アイデアの投稿数
  • フィードバックの採用件数
  • 製品アンケートの回答率
ブランディング強化 企業やブランドのファンを育成し、市場におけるポジティブな認知を拡大する。
  • コミュニティのアクティブユーザー数(MAU/WAU)
  • イベント参加率・満足度
  • ブランド好意度の変化
カスタマーサポートの効率化 ユーザー同士で疑問を解決し合う文化を醸成し、サポート部門の負担を軽減する。
  • ユーザー間のQ&A解決率
  • FAQページの閲覧数
  • サポートへの問い合わせ件数の削減率

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ステップ2 ターゲットとペルソナの設計

コミュニティの目的が定まったら、次に「誰のためのコミュニティなのか」を具体的に定義します。ターゲットが曖昧なままでは、誰にも響かない当たり障りのないコミュニティになってしまい、参加者のエンゲージメントは高まりません。

まずは、既存顧客の中から、特に熱量が高いロイヤル顧客層や、今後ファンになってほしい顧客層をターゲットとして設定します。顧客データ(購買履歴、利用頻度、アンケート結果など)を分析し、ターゲット層の解像度を高めましょう。

次に、ターゲット層をさらに具体的にした架空の人物像である「ペルソナ」を設計します。ペルソナには、以下のような項目を詳細に設定します。

  • 基本情報: 氏名、年齢、性別、居住地、職業、年収
  • ライフスタイル: 家族構成、趣味、休日の過ごし方、情報収集の方法
  • 価値観・性格: 何を大切にしているか、どのようなことに喜びを感じるか
  • 製品・サービスとの関わり: 利用歴、利用頻度、満足している点、不満な点
  • 悩み・課題: 製品やサービス、あるいはその周辺領域で抱えている悩み
  • コミュニティへの期待: なぜコミュニティに参加するのか、何を得たいのか

ペルソナを設計することで、運営チーム内で「この人のためにコンテンツを考えよう」「この人ならこのイベントに喜んでくれるはずだ」といった共通認識が生まれ、施策の精度が格段に向上します。

関連資料
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ステップ3 コミュニティの形態とプラットフォーム選定

目的とペルソナが明確になったら、コミュニティの具体的な「形」と「場所」を決定します。これらはコミュニティの雰囲気や体験価値を大きく左右するため、慎重に選びましょう。

コミュニティの形態

コミュニティの形態は、公開範囲やテーマによっていくつかの種類に分けられます。自社の目的やターゲットに最も適した形態を選択します。

  • 公開範囲による分類:
    • オープン型: 誰でも自由に参加できる形態。認知拡大や新規顧客獲得に向いていますが、参加者の質を担保しにくい側面もあります。(例: X(旧Twitter)のハッシュタグコミュニティ)
    • クローズド型: 審査制や招待制など、参加に条件がある形態。一体感を醸成しやすく、質の高い議論が期待できます。顧客ロイヤリティ向上やプロダクト改善に向いています。(例: Facebookの非公開グループ、特定のSaaSユーザー限定コミュニティ)
  • テーマによる分類:
    • ファン交流型: ブランドや製品のファンが集まり、交流を深める。
    • 課題解決型: 特定の課題や悩みを持つユーザーが集まり、情報交換やノウハウ共有を行う。
    • 共創・学習型: メンバー同士が協力して何かを創り上げたり、スキルアップを目指したりする。

プラットフォームの選定

コミュニティを運営する「場所」となるプラットフォームの選定は、非常に重要な意思決定です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、機能、コスト、運用負荷などを総合的に比較検討する必要があります。

コミュニティプラットフォームの比較
種類 代表的なサービス メリット デメリット
コミュニティ専用プラットフォーム commmune, Co-members, OSIRO
  • コミュニティ運営に必要な機能が豊富
  • 顧客データ分析や外部ツール連携に強い
  • 手厚いサポート体制
  • 月額費用などのランニングコストがかかる
  • デザインの自由度に制限がある場合も
ビジネスチャットツール Slack, Discord
  • リアルタイムのコミュニケーションが活発
  • 多くのユーザーが使い慣れている
  • 無料で始められるプランがある
  • 情報がフロー化しやすく、過去の投稿が探しにくい
  • 顧客データとしての蓄積・分析が難しい
SNS Facebookグループ, X(旧Twitter)コミュニティ
  • 無料で手軽に始められる
  • SNSの拡散力を活用できる
  • ユーザーにとって参加のハードルが低い
  • 機能が限定的でカスタマイズ性が低い
  • プラットフォームの仕様変更に影響される
自社開発
  • デザインや機能を完全に自由に設計できる
  • 独自の顧客データベースと連携しやすい
  • 開発と維持に莫大なコストと時間がかかる
  • セキュリティ対策などを自社で行う必要がある

ステップ4 コミュニティ内のルールとコンテンツ企画

コミュニティという「場」の準備が整ったら、その中身を充実させていきます。参加者が安心して楽しく活動できるための「ルール」と、参加し続けたくなるような「コンテンツ」は、コミュニティの生命線です。

コミュニティのルール設定

ルールは、参加者の行動を縛るためのものではなく、誰もが安心して発言・交流できる「心理的安全性」を確保するために存在します。健全なコミュニティ文化を醸成し、炎上などのトラブルを未然に防ぐためにも、明確なガイドラインを最初に提示しましょう。

設定すべきルールの例:

  • コミュニティの目的とビジョン: このコミュニティが何を目指す場所なのかを共有する。
  • 行動規範(Code of Conduct): 他者への敬意、建設的な意見交換を促す。
  • 禁止事項: 誹謗中傷、個人情報の投稿、過度な営業・宣伝活動、ハラスメント行為などを具体的に列挙する。
  • ペナルティ: ルール違反があった場合の対応(投稿削除、警告、強制退会など)を明記する。

魅力的なコンテンツ企画

参加者が「また来たい」「参加してよかった」と感じるためには、継続的なコンテンツ提供が不可欠です。コンテンツは、運営側からの一方的な発信だけでなく、メンバーの参加を促し、UGCが生まれるような双方向の企画を意識することが重要です。コンテンツカレンダーを作成し、計画的に実行していきましょう。

コンテンツ企画の例:

  • 運営からの情報発信: 製品の開発秘話、社員インタビュー、業界の最新トレンドなど、ここでしか得られない限定情報。
  • メンバー参加型企画: 特定のテーマに関するディスカッション、製品活用術の共有会、お題に沿った投稿キャンペーン(例: 「#私の〇〇活用法」)。
  • オンラインイベント: 専門家を招いたセミナー、ユーザー同士の座談会、新機能の先行体験会。
  • メンバー紹介: 活躍しているメンバーやユニークな使い方をしているメンバーにインタビューし、紹介する。
  • ストックコンテンツ: 過去の議論のまとめ、よくある質問(FAQ)、初心者向けガイドなど、後から参加した人にも役立つ情報。

関連資料:【2025年度版】SNS投稿やアイスブレイクに役立つ「今日は何の日?」カレンダー&SNS管理表

ステップ5 運営体制の構築

コミュニティは「作って終わり」のウェブサイトとは異なり、生き物です。継続的に手をかけ、育てていく必要があります。そのためには、誰が、どのような役割を担うのかを明確にした「運営体制」を構築することが不可欠です。片手間のボランティア精神だけでは、長期的な運営は困難です。

運営体制の中心となるのが「コミュニティマネージャー」です。

コミュニティマネージャーの役割

コミュニティマネージャーは、コミュニティの活性化を担うキーパーソンです。単なる管理人ではなく、コミュニティの熱狂を生み出すファシリテーター、企画者、分析者としての多岐にわたる役割を担います。

  • ファシリテーション: メンバーの発言を促し、議論を活性化させる。場の雰囲気作り。
  • コミュニケーション: メンバーからの質問や相談への対応、新規参加者への声かけ。
  • コンテンツ企画・実行: コンテンツカレンダーに基づいた投稿やイベントの実施。
  • 効果測定・分析: KPIの数値をモニタリングし、改善策を立案・実行する。
  • ルール管理: コミュニティの健全性を保つための監視と、ルール違反への対応。

運営チームの構築

コミュニティの規模が大きくなるにつれて、コミュニティマネージャー1人ですべてを担うのは難しくなります。複数のメンバーで役割を分担するチーム体制を検討しましょう。

運営チームの役割分担例:

  • リーダー/統括マネージャー: 全体の戦略設計、予算管理、他部署との連携。
  • コンテンツプランナー: コンテンツの企画、制作、投稿管理。
  • イベントプランナー: オンライン/オフラインイベントの企画、運営。
  • データアナリスト: KPIの計測、分析、レポーティング。

社内のリソースだけで運営が難しい場合は、外部の専門家や運営代行サービスを活用することも有効な選択肢です。これらのステップを着実に実行することで、持続可能で価値のあるコミュニティマーケティングの土台を築くことができます。

関連記事:「オフラインとは」今さら聞けない基本からオンラインとの違い、具体的な活用例まで徹底解説

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監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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