スマートフォンの普及に伴い、現代では多種多様なアプリが配信されています。しかし、アプリを配信したものの、ダウンロード数が伸び悩み、苦戦している企業も少なくありません。
そこで注目すべきなのが、ASO対策です。本記事では、ASO対策の概要と具体的な取り組み方、そのメリットなどについて詳細に解説していきます。
ASO対策について理解を深め、自社アプリのダウンロード数増加を目指しましょう。アプリビジネスの成功に向けて、効果的なASO戦略を立てる手がかりとなる情報をお届けします。
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目次
ASO対策とは?
ASO対策とは、アプリストア内で自社アプリの認知度を高め、ダウンロード数を増やすための施策です。ASOはApp Store Optimizationの略で、日本語ではアプリストア最適化と呼ばれます。
ASO対策の目的は、自社アプリのダウンロード数を増やし、多くのユーザーにアプリを利用してもらうことです。そのために、ASO対策ではSEOとCROの2つを軸に施策が行われます。
● SEO:アプリストア内の検索ランキングで自社アプリを上位表示させることで、自然流入を増やす
● CRO:自社アプリの詳細ページを最適化することで、ダウンロード数を増やす
ASO対策の特徴は、アプリストア内のランキングアルゴリズムを対象に、アプリ名や説明文などの最適化を図ることです。これにより、ユーザーがアプリを探す際に、自社のアプリが見つけやすくなり、結果としてダウンロード数の増加につながります。
効果的なASO対策を行うためには、アプリストアの仕組みや、ユーザーの検索行動を理解することが重要です。また、継続的な分析と改善が必要となるため、長期的な視点で取り組むことが求められます。
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ASO対策はなぜ重要であるか
ASO対策が重要視される理由は、アプリストア内での検索からダウンロードに至るユーザーが多いためです。
多くのユーザーは、アプリストア内の検索機能を利用して自分のニーズに合ったアプリを探し、好みの1つを選んでダウンロードします。そのため、アプリストア内で自社アプリの露出を増やすことはダウンロード数に大きく影響するのです。
ダウンロード数を増やすためには、いかに検索ランキングの上位に表示させられるかが重要であり、そのためにアプリストア内で最適化を図るASO対策が不可欠となります。
アプリのダウンロード数を増やす方法として、バナー広告や動画広告などで露出度を高める手段もありますが、広告を出すにはそれなりの費用がかかります。
一方、ASO対策であれば広告ほどコストはかかりません。ASO対策によって自社アプリを検索上位に表示させられれば、費用を抑えつつアプリの認知度を高められるという利点があります。
このように、ASO対策は効果的かつ効率的にアプリのダウンロード数を増やすための重要な施策となっているのです。
ASO対策の具体的な取り組み
ASO対策を効果的に実施するためには、様々な取り組みが必要です。ここでは、ASO対策の具体的な施策について詳しく解説します。
アプリストア内での検索結果上位表示を目指すためには、アプリのタイトルや説明文、アイコンなど、多岐にわたる要素を最適化する必要があります。また、ユーザーの行動データやアプリの評価も重要な要素となります。
以下に、ASO対策の主要な取り組みを紹介します。これらの施策を適切に組み合わせることで、アプリの可視性を高め、ダウンロード数の増加につなげることができます。各取り組みの詳細については、後述のセクションで詳しく説明しています。
- アプリタイトルの最適化
- レビュー数の増加
- アプリの利用率・継続率の向上
- ダウンロード数の増加
- 検索エンジンでの言及増加
- アイコンの最適化
- ディープリンクの活用
- 説明文の最適化
- スクリーンショットの活用
これらの施策を継続的に実施し、効果を測定しながら改善を重ねることが、成功するASO対策の鍵となります。アプリの特性や対象ユーザー、競合状況などを考慮しながら、最適な戦略を立てることが重要です。
アプリタイトルの最適化
アプリのタイトルには、重要なキーワードを含めることが効果的です。検索ランキングで上位に表示されるためには、適切なキーワード選定が不可欠です。ユーザーが頻繁に検索するワードや、アプリの特徴を的確に表現するワードを選びましょう。キーワード選定の際には、Google キーワードプランナーなどの専用ツールを活用すると効果的です。
選定したキーワードは、可能な限りタイトルの左端、つまり先頭に配置することが重要です。これは、検索エンジンの評価において、キーワードの位置が重視されるためです。タイトルの最初にキーワードを置くことで、検索結果での表示順位が向上する可能性が高まります。
ただし、キーワードを詰め込みすぎると、ユーザーにとって読みづらく、アプリの魅力が伝わりにくくなる可能性があります。アプリの特徴を簡潔に表現しつつ、検索性も考慮したバランスの取れたタイトル設定を心がけましょう。最適なキーワードを選び、効果的にタイトルに組み込むことで、ASO対策の第一歩を踏み出すことができます。
レビュー数の増加
アプリのレビュー数を増やすための施策を行います。
レビューの点数はそのアプリの質を表すものであり、検索ランキングでの表示にも影響します。もちろん、レビューの点数や内容を操作することはできません。
ASO対策で行うのは、ユーザーをレビューへと誘導し、レビュー数を増やすことです。ユーザーがアプリを使用中にレビューを依頼し、高い評価を付けてもらうことで、レビュー数を蓄積していきます。
また、受け取ったレビューに対して返信することも大切です。高評価だけでなく、低い評価に対してもしっかり返信しましょう。これにより、ユーザーとの信頼関係を構築し、アプリの評価向上につながる可能性があります。
レビュー数を増やすためには、適切なタイミングでユーザーにレビューを依頼することが重要です。例えば、ユーザーがアプリ内で特定の目標を達成した直後や、アプリの使用頻度が高まった時期などが効果的です。ただし、過度にレビューを要求すると、ユーザーの不快感を招く可能性があるため、バランスを考慮しましょう。
アプリの利用率・継続率の向上
アプリの利用率(継続率)を高めるための施策も重要です。アプリストアの検索ランキングにおいて、利用率や継続率は上位表示に影響を与える要素の一つです。そのため、アプリをダウンロードしてもらった後のユーザー行動にも注目する必要があります。
利用率・継続率の向上には、スモールキーワードの活用が効果的です。スモールキーワードとは、競合が少ないニッチな単語や、複数の単語を組み合わせたキーワードのことを指します。これらを使用することで、ユーザーのニーズをより具体的に絞り込むことができます。
ニーズを絞り込むことで、アプリの機能や目的がユーザーの期待と合致しやすくなり、結果としてダウンロード後の利用率や継続率の向上につながります。このように、適切なキーワード戦略を立てることで、アプリの長期的な成功につながる可能性が高まります。
ダウンロード数の増加
アプリのダウンロード数を増やすことは、ASO対策の重要な要素の1つです。検索ランキングのアルゴリズムでは、アプリの検索数やレビュー数だけでなく、ダウンロード数も考慮される要因となっています。また、検索数に対するダウンロード数の割合(コンバージョン率)が高いことも、ランキング上昇に寄与します。
アプリのダウンロード数を増やすことは、ASO対策の主要な目的ですが、同時にダウンロード数が増えることで、さらに検索上位へのアプリ表示が可能になるという好循環を生み出します。この相乗効果により、アプリの露出度が高まり、より多くのユーザーにリーチすることができます。
ダウンロード数を増やすための具体的な方策としては、アプリの機能や特徴を分かりやすく伝えること、ユーザーのニーズに合った魅力的な説明文やスクリーンショットを用意すること、そしてアプリの品質を高め、高評価のレビューを獲得することなどが挙げられます。これらの施策を総合的に実施することで、アプリのダウンロード数増加を効果的に推進することができます。
検索エンジンでの言及増加
検索エンジンでアプリに対する言及を増やすことも、ASO対策の重要な施策の一つです。特にGoogleplayを利用する場合、検索エンジンGoogleにおけるアプリの露出度が重要な要素となります。つまり、Google上のWebページでどれだけアプリについて言及されているかが、アプリストア内での検索ランキングの上位表示に影響を与えるのです。
この対策を効果的に行うためには、単に言及数を増やすだけでなく、信頼性の高いWebページでの言及を増やすことが重要です。例えば、業界の専門サイトやニュースサイト、有名ブロガーのレビューなど、信頼度の高いソースからの言及は、アプリの評価を大きく向上させる可能性があります。
したがって、プレスリリースの配信やインフルエンサーマーケティングの活用、ゲストポストの寄稿など、様々な方法を通じて質の高い言及を獲得することが、ASO対策の成功につながります。
アイコンの最適化
アプリのアイコンは、ユーザーが最初に目にする重要な要素です。検索結果や端末のホーム画面で表示されるため、アプリの内容を適切に反映したアイコンを設定することが重要です。
効果的なアイコンデザインには、以下の点に注意しましょう:
- シンプルさ: 小さなサイズでも認識しやすいよう、複雑な要素は避け、シンプルなデザインを心がけます。
- アプリの特徴を表現: アプリの主な機能や目的が一目で分かるようなデザインを選びます。
- オリジナリティと一般性のバランス: 独自性を出しつつも、同カテゴリーのアプリと共通する要素を取り入れることで、ユーザーの理解を促します。
- カラーリング: アプリのブランドカラーや、目立つ配色を使用して印象的なアイコンを作成します。
- 定期的な更新: 必要に応じてアイコンを更新し、アプリの進化や新機能の追加を反映させます。
アイコンの設定は慎重に行い、必要であればデザイナーに相談するなど、十分な時間をかけて最適なものを選びましょう。適切なアイコン設定はASO対策の重要な一環であり、ダウンロード数の増加に大きく貢献します。
ディープリンクの活用
ディープリンクの設置は、アプリのインストール数を増加させるための効果的な戦略です。ディープリンクとは、Webサイトやアプリ内から、アプリの特定のコンテンツへユーザーを直接誘導するリンクのことを指します。これにより、ユーザーはホーム画面に戻ることなく、スムーズにアプリの目的のページへアクセスすることができます。
ディープリンクを適切に活用することで、ユーザーエクスペリエンスが向上し、アプリの利用率が高まります。例えば、ソーシャルメディア投稿やメールマーケティングキャンペーンにディープリンクを組み込むことで、ユーザーを特定の商品ページや機能に直接誘導できます。
さらに、ディープリンクはアプリのダウンロード数増加にも貢献します。ユーザーがアプリをインストールしていない場合、ディープリンクは適切なアプリストアページに誘導し、インストールを促進します。このように、ディープリンクの戦略的な活用は、アプリの検索ランキング向上とユーザー獲得の両面で有効なASO対策となります。
説明文の最適化
キーワードはアプリのタイトルだけでなく、説明文にも適切に配置することが重要です。
タイトルに使用したキーワードを説明文にも織り交ぜることで、検索ランキングでの上位表示を狙うことができます。ただし、単純にキーワードを羅列するのは避けるべきです。アプリの機能や特徴が明確に伝わるように説明文を構成し、自然な文脈の中でキーワードを効果的に使用しましょう。
説明文の作成においては、ユーザーにとって価値のある情報を提供することを最優先に考えてください。アプリの主要機能、使用方法、他のアプリとの差別化ポイントなどを簡潔かつ魅力的に伝えることが大切です。
なお、App StoreやGoogle Playのガイドラインでは、キーワードの過剰な使用や不自然な配置を禁止しています。これらの規則に違反すると、アプリが審査で却下されたり、ストアから削除されるリスクがあります。適切なキーワード使用を心がけ、ガイドラインを遵守することを忘れずに。
スクリーンショットの活用
アプリの内容がより伝わるよう、スクリーンショットを設置しましょう。
スクリーンショットは説明文とは異なり、視覚的にアプリの内容を把握してもらえるため、ダウンロード数増加に効果的です。ユーザーのニーズに対してアプリがどのように答えているのか、アプリの強みは何なのかが伝わるよう、スクリーンショットを設置することが大切です。
アプリの主要な機能や特徴を示すスクリーンショットを選び、ユーザーが一目で理解できるように配置しましょう。また、スクリーンショットには簡潔な説明文を添えると、より効果的です。ユーザーの興味を引き、アプリのダウンロードを促進するような魅力的なスクリーンショットの選定と配置を心がけてください。
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2つのストアで取り組むべきASO対策は異なる?
アプリストアのApp StoreとGoogle Playでは、それぞれ異なるASO対策が必要となります。これは、両ストアの機能や仕様が異なるためです。
主な相違点は以下の通りです。
- アプリタイトルの文字数制限:
- App Store:30文字以内
- Google Play:50文字以内
- キーワード登録機能:
- App Store:メタデータとしてキーワードを登録可能
- Google Play:キーワード登録機能なし(説明文内のキーワード使用頻度が重要)
- 詳細ページとファーストビューの表示範囲:
両ストアで異なる - 検索結果のファーストビュー表示範囲:
両ストアで異なる - アイコン・スクリーンショットの仕様:
サイズや数に違いあり - レビューの表示方法:
両ストアで異なる
これらの違いを考慮し、各ストアに適したASO対策を行う必要があります。例えば、App Storeではメタデータとしてキーワードを登録できるため、説明文でのキーワード使用は検索結果に直接影響しません。一方、Google Playでは説明文内のキーワード使用頻度が重要となります。
また、Google PlayではA/Bテストが可能です。多くの開発者は、まずGoogle Playでテストを実施し、その結果をApp Storeにも適用するという方法を取っています。このように、両ストアの特性を理解し、それぞれに最適化されたASO戦略を立てることが重要です。
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ASO対策を行うメリット
ASO対策のメリットには、主に「ダウンロード数の増加」と「売上増加」の2つが挙げられます。これらのメリットは、アプリ開発者や企業にとって非常に重要な要素となります。
ASO対策を適切に行うことで、アプリストア内での自社アプリの認知度が向上し、ユーザーの目に触れる機会が増えます。その結果、アプリのダウンロード数が増加し、潜在的な顧客層を拡大することができます。
さらに、ダウンロード数の増加に伴い、会社の売上も右肩上がりになる可能性が高まります。特に、オーガニックインストールユーザー(広告などの影響を受けずに自発的にアプリをダウンロードしたユーザー)の獲得は、継続率の高さから長期的な収益につながります。
これらのメリットは、アプリビジネスの成功に直結する重要な要素であり、ASO対策の重要性を示しています。
アプリのダウンロード数が増える
ASO対策のメリットの1つが、アプリのダウンロード数の増加です。前述の通り、ASO対策ではアプリストア内で自社アプリの認知度を上げ、ダウンロード数を増やすことが目的とされています。
検索ランキングの上位に自社アプリを表示させることで、より多くのユーザーが自社アプリを目にすることとなり、結果的にダウンロード数が増えるのです。ダウンロード数の増加はASO対策の最大の目的であると共に、会社にとっての大きなメリットとなります。
さらに、ASO対策によって検索結果の上位に表示されることで、ユーザーからの信頼性も向上します。ユーザーは上位表示されているアプリを質の高いものとして認識する傾向があるため、ダウンロードの可能性が高まります。
また、ASO対策によってアプリの説明文やスクリーンショットが最適化されることで、ユーザーがアプリの機能や特徴を理解しやすくなります。これにより、アプリに興味を持ったユーザーがダウンロードを決断する確率が上がり、結果としてダウンロード数の増加につながります。
ダウンロード数に応じて会社の売上も右肩上がりになる
ダウンロード数の増加に応じて、会社の売上アップも実現します。ASO対策では、単にダウンロード数を増やせるだけでなく、オーガニックインストールユーザーを獲得できます。
オーガニックインストールユーザーは広告などに影響されることなく、自分の意思でアプリをダウンロードしたユーザーのことです。何となくアプリをダウンロードしているわけではないため、オーガニックインストールユーザーには高い継続率が期待できるのです。
ダウンロード数がそのまま売上に直結することはもちろん、継続率が高ければ、アプリ内広告やアプリ内課金による売上も上がります。これにより、会社の収益性が向上し、持続的な成長につながる可能性が高まります。
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ASO対策に費用はかかる?
ASO対策を自社で実施する場合、基本的には費用はかかりません。ただし、より効果的な対策を行うために専用ツールを利用する場合は、ランニングコストが発生します。これらのツールは、キーワード分析やパフォーマンス追跡などの機能を提供し、ASO対策の効率を高めることができます。
一方、自社での対策が困難な場合や専門的なノウハウが必要な場合は、外部の専門業者に依頼することも選択肢の一つです。外部委託の場合、最低でも年間40〜50万円程度の費用が必要となることが多いです。ただし、この金額はあくまで目安であり、実際の料金は業者によって大きく異なります。
中には、初期費用無料のプランや成果報酬型の料金体系を採用している業者もあります。これらのオプションは、初期投資を抑えたい企業や、確実な成果を求める企業にとって魅力的かもしれません。
ASO対策を外部に委託する際は、単に費用だけでなく、期待される効果や自社のリソース状況なども考慮し、総合的に判断することが重要です。費用対効果を十分に検討し、自社のニーズに最も適した方法を選択することをおすすめします。
まとめ
ASO対策は、自社アプリのダウンロード数を増やすための重要な施策です。アプリストアの検索機能を活用するユーザーが多い現状において、自社アプリを検索結果の上位に表示させることは非常に効果的です。これにより、アプリの露出が増え、潜在的なユーザーへのリーチが可能となります。
同時に、アプリの詳細ページの最適化も忘れてはいけません。ユーザーにとって見やすく、アプリの特徴や機能が分かりやすい詳細ページを作成することで、ダウンロード率の向上につながります。
本記事で紹介した具体的な取り組みを参考に、自社アプリに適したASO対策を実施してください。キーワードの選定、アプリタイトルの最適化、説明文の改善、スクリーンショットの活用など、さまざまな要素を総合的に考慮することが大切です。
また、App StoreとGoogle Playでは最適化の方法が異なる点にも注意が必要です。それぞれのプラットフォームの特性を理解し、適切な対策を講じることで、より効果的なASO対策が可能となります。
継続的なモニタリングと改善を行いながら、ASO対策を進めていくことで、アプリのダウンロード数増加、そして会社の売上向上につながることが期待できます。