SEOで検索エンジンとユーザー双方から評価されるURL構造を設計することは、ウェブサイトの成功に不可欠です。URL設計において、ディレクトリ階層とリンク階層という2つの構造を意識することで、ページの関連性や重要度を効果的に伝えることができます。
- ディレクトリ階層: これは、URLがウェブサイト内のページの「深さ」を示す段階的な構造のことです。例えば、「スポーツ」というトップレベルのディレクトリから、「野球」、「プロ野球」、「チーム名」といったように、より具体的な情報へと分岐していくツリー構造をイメージしてください。この構造により、検索エンジンはサイトの全体像を把握しやすくなり、ユーザーも現在地や探している情報がどこにあるのかを直感的に理解できるようになります。
- リンク階層: これは、トップページから特定のページに到達するまでに経由するリンクの数によって、そのページの重要度を示す概念です。検索エンジンは、トップページからのリンク数が少ないページほど、より重要度が高いと判断する傾向があります。つまり、URL上のディレクトリ階層では下位に位置するページでも、トップページから直接リンクが多く張られている場合、検索エンジンは「このページは関連性が高く、優先的に扱うべきだ」と認識します。
この2つの階層を統合的に考えることで、ディレクトリ階層はサイト全体の構造とナビゲーションを、リンク階層は個々のページの相対的な重要度と関連性を、検索エンジン(クローラー)とユーザーに効果的に伝えることが可能になります。
SEOに効果的なURL構造とは
SEOに効果的なURL構造を設計する際に、考慮すべき重要な要素が2つあります。それはディレクトリ階層とリンク階層です。これらの階層構造を意識することで、検索エンジンとユーザー双方にとって、サイトの構造がより理解しやすくなります。
ディレクトリ階層
ディレクトリ階層とは、URLがサイト内におけるページの「深さ」や「位置」を示している段階的な構造のことです。これは、あたかもサイト全体が樹形図のように整理されているイメージです。例えば、トップページから始まり、主要なカテゴリ、そしてその中のサブカテゴリや個別のページへと枝分かれしていく構造を想像してください。
具体例として、プロ野球に関する情報を扱うサイトを考えてみましょう。
- 第1階層:
…/pro-baseball/(プロ野球) - 第2階層:
…/pro-baseball/central-league/(プロ野球/セリーグ) - 第3階層:
…/pro-baseball/central-league/giants/(プロ野球/セリーグ/巨人)
このように、URLのパスが深くなるにつれて、より具体的な情報へと辿り着く構造がディレクトリ階層です。この構造を適切に設計することで、検索エンジンのクローラーはサイトの構造を把握しやすくなり、ユーザーにとっても「今、サイトのどの部分を見ているのか」「関連する他の情報はどこにあるのか」が直感的に理解できるようになります。
リンク階層
リンク階層とは、特定のページに到達するために、トップページからいくつリンクを辿る必要があるか、というサイトの構造を示します。検索エンジンは、一般的にトップページからのリンク数(クリック数)が少ないページを、より重要度が高い、あるいは優先的にクロール・評価すべきページとみなす傾向があります。
つまり、URLの記述上のディレクトリ階層ではたとえ下位層に位置するページ(例:「巨人」のページ)であっても、トップページから直接、あるいは少ないリンク数で到達できるような内部リンク構造を構築することで、検索エンジンはそのページを「関連度が高く、優先的に扱うべきページ」だと判断しやすくなります。
これらの2つの階層をまとめると、ディレクトリ階層はサイト全体の構造をクローラーやユーザーに視覚的に伝え、リンク階層は個々のページの重要度や関連性をクローラーに効果的に伝える役割を担うと言えます。
すぐにできる!SEOに効果的なURL設計の3つのポイント
SEOにおいて、URL構造の設計は検索エンジンとユーザー双方にとっての利便性を高めるために非常に重要です。ディレクトリ構造やリンク構造の最適化だけでなく、URLそのものの分かりやすさも考慮することで、サイト全体のSEO効果をさらに向上させることができます。ここでは、すぐに実践できる、SEOに効果的なURL設計の3つのポイントを詳しく解説します。
URLの語句は意味のある英単語で構成する
URLに含める単語は、そのページの内容を的確に表す英単語を使用することが推奨されます。例えば、日付のみで構成されたURL「…/2019/05/29/…」のような場合、ユーザーも検索エンジンも、そのURLがどのようなコンテンツを指しているのかを判断するのが困難です。これは、URLからページのテーマや内容を推測する手がかりが一切ないためです。また、日本語をURLに使用すると、「%E3〜」といったパーセントエンコーディングされた文字列に変換され、読みにくくなるだけでなく、URLが不必要に長くなってしまうことがあります。
対照的に、意味のある英単語をURLに含めることで、ユーザーはそのURLを見ただけで、ある程度コンテンツの内容を理解できるようになります。これは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上に繋がり、クリック率の向上にも寄与する可能性があります。また、検索エンジンにとっても、URLに含まれるキーワードはそのページの関連性を理解する上での重要なシグナルとなります。これにより、検索結果における表示順位の向上、すなわちSEO効果の向上が期待できるのです。URLをシンプルで意味のある英単語で構成することは、サイトの管理のしやすさにも繋がります。
目的に合わせたディレクトリ構造を設計する
ディレクトリ階層を構築する際も、そのサイトの目的やターゲットユーザーに合わせて、論理的かつ分かりやすい構造を設計することが不可欠です。例えば、特定のプロ野球チームのファンに向けた情報サイトであれば、「…/baseball/team/giants/」のような構造が適しています。このように、トップページから「プロ野球」→「チーム」→「巨人」というように、ユーザーが求める情報へスムーズにたどり着ける階層構造は、サイトのナビゲーションを助け、ユーザーの満足度を高めます。
一方、プロ野球全体のランキング情報を提供したい場合は、より浅い階層に「ranking」や「stats」といったディレクトリを設ける方が、ユーザーの検索意図に合致しやすくなります。「…/baseball/ranking/team/」や「…/baseball/ranking/player/」といった構造であれば、ランキング情報を探しているユーザーは、目的のページに素早くアクセスできるでしょう。どちらの構造が優れているというわけではなく、提供したいコンテンツの種類と、ターゲットユーザーがどのように情報を探すかを考慮した上で、最適なディレクトリ構造を選択することが、SEOにおいて有利に働きます。
MECE(ミーシー)を意識したURL設計を行う
MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなく、ダブりなく」という意味です。URL設計においても、このMECEの考え方を適用することで、サイト全体の論理性を高め、検索エンジンとユーザー双方にとって分かりやすい構造を作り出すことができます。例えば、同じディレクトリ階層に「…/baseball/central-league/」と「…/baseball/giants/」が並んでいる状況を想像してみてください。「巨人」はセントラル・リーグに所属しているため、このように階層が重複したり、情報が整理されていなかったりすると、ユーザーは混乱する可能性があります。
このような状態は、検索エンジンにとっても、どのURLがどの情報に最適なのかを判断することを難しくさせ、重複コンテンツとして認識される「カニバリゼーション」のリスクを高めることがあります。カニバリゼーションが起こると、本来一つのページが受けるべき評価が分散してしまい、検索順位の低下を招く可能性があります。MECEを意識し、情報を漏れなく、かつ重複しないように整理されたディレクトリ構造は、クローラーの巡回を効率化するだけでなく、ユーザーのサイト内回遊率を高め、結果としてSEO効果の間接的な向上にも繋がります。
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URL設計で知っておきたい注意点
SEOに効果的なURL設計を行う上で、特に注意すべき点が2つあります。これらを理解し、適切に対応することで、サイトの評価を維持・向上させることが可能です。
URL改修時はリダイレクトの実施が不可欠
サイトの構造を見直し、URLを変更する際には、リダイレクト(URLの転送設定)を必ず実施してください。例えば、サイトのリニューアルやカテゴリ構成の変更によって、既存のページのURLが変わる場合があります。このような際、単にURLを変更するだけでは、検索エンジンが以前のURLと新しいURLを紐づけられず、検索順位の低下を招く可能性があります。
301リダイレクトを使用することで、検索エンジンに対して「このページは恒久的に移動しました」と伝えることができます。これにより、以前のURLが持っていた検索エンジンからの評価(被リンクによる評価など)を新しいURLに引き継ぐことができ、ユーザーにとっても、古いURLにアクセスしようとした際に自動的に新しいページへ誘導されるため、利便性が損なわれません。記事数が多くなるほど、このリダイレクト設定はサイト全体のSEO評価を維持するために極めて重要になります。
関連記事:リダイレクトとは?種類や設定方法、htaccessファイルの書き方
URLの文字数や語句の意味は直接的な影響は限定的
URLに含める文字数や、使用する単語の意味がSEO評価に直接的に大きな影響を与えるという明確な証拠はありません。かつては、URLにキーワードを含めることがSEO効果を高めると考えられていましたが、現在では検索エンジンのアルゴリズムも進化しており、URLの構造そのものよりも、コンテンツの質やユーザー体験の方が重視される傾向にあります。
しかし、だからといってURLを無意味に長くしたり、複雑にしたりすることが推奨されるわけではありません。管理のしやすさやユーザーへのわかりやすさといった観点からは、シンプルで意味のある英単語を用いたURL設計が依然として有効です。例えば、「/page/20231027/」のような日付だけのURLよりも、「/products/smartphone/」のように、ページの内容を端的に示すURLの方が、ユーザーは内容を推測しやすく、検索エンジンもコンテンツの関連性を理解しやすくなります。したがって、直接的なSEO効果は限定的であっても、可読性と管理性を考慮したURL設計を心がけることは、間接的なSEO効果やユーザビリティ向上に繋がると言えるでしょう。
まとめ
SEOに効果的なURL設計は、検索エンジンとユーザー双方にとって理解しやすく、サイト構造が明確であることが重要です。具体的には、ディレクトリ階層でサイト全体の構造を整理し、リンク階層で各ページの関連度や重要度を伝達する設計が求められます。
URL設計における実践的なポイントとしては、以下の3点が挙げられます。
- 意味のある英単語の使用: ページのコンテンツ内容を的確に表す英単語を使用することで、検索エンジンとユーザー双方の理解を助けます。日本語のURLはコードに変換され読みにくくなるため避けるべきです。
- 目的に合ったディレクトリ構造: ターゲットユーザーが求める情報にたどり着きやすいよう、サイトの目的に沿った階層構造を設計することがSEO効果を高めます。
- MECE(モレなく、ダブりなく)の意識: ディレクトリ構造において、情報の重複や漏れがないように整理することで、検索エンジンとユーザーの混乱を防ぎ、サイト全体の評価向上に繋がります。
さらに、既存サイトのURL構造を見直す際には、リダイレクト(301リダイレクトなど)を適切に設定することが不可欠です。これにより、検索エンジンにページ評価を維持させ、ユーザー体験を損なうことを防ぎます。URLの文字数や語句の意味自体が直接的なランキング要因になるわけではありませんが、管理のしやすさやユーザーへのわかりやすさを考慮し、シンプルで意味のあるURLを心がけることが、間接的なSEO効果とユーザビリティ向上に貢献します。

