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マーケティング4.0を知ろう!コトラーの5A理論のポイントとは?

2025.12.9
読了まで約 6

「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が提唱する「マーケティング4.0」は、現代のビジネス環境において非常に重要な概念です。このマーケティング4.0の中心にあるのが「5A理論」であり、顧客の行動プロセスをより深く理解するためのフレームワークを提供します。従来のマーケティングが製品中心や消費者中心であったのに対し、マーケティング4.0は、顧客の「自己実現」に焦点を当てています。この自己実現の欲求とは、心理学者マズローの欲求段階説における最上位の段階であり、個人が自身の可能性を最大限に発揮し、なりたい自分になることを目指すものです。5a理論は、この現代的なマーケティングアプローチを理解する上で不可欠な要素と言えるでしょう。

そもそも、マーケティングの世界では、顧客が製品やサービスを購入するまでのプロセスを顧客視点で理解する「カスタマージャーニー」という考え方が重視されてきました。従来、このジャーニーは「4A」として、認知(Awareness)態度(Attitude)行動(Act)再行動(Act again)という流れで捉えられていました。しかし、マーケティング4.0においてコトラー氏は、この流れに新たな視点を加え、「5A理論」として展開しています。

具体的には、以下の5つの段階で構成されます。

  • 認識(aware): 顧客が製品やサービスを認知する段階。
  • 印象(appeal): 製品やサービスに対して好意的な印象を持つ段階。
  • 調査(ask): 顧客が自ら積極的に情報収集を行い、製品やサービスについて調べる段階。
  • 購買(act): 最終的に製品やサービスを購入する段階。
  • 推奨(advocate): 購入後、製品やサービスを他者に勧めたり、肯定的な口コミを発信したりする段階。

この5A理論の最も重要なポイントは、マーケティングの最終目標が「購買」で終わるのではなく、「推奨」へと拡張された点にあります。つまり、顧客は製品やサービスを購入するだけでなく、その体験を共有し、周囲に推奨する「ブランドの代弁者」となることが、現代マーケティングの理想的なゴールとして位置づけられているのです。これは、デジタル技術の進化、特にSNSの普及により、顧客が情報発信者としての影響力を持つようになった現代社会の状況を反映しています。

「調査(ask)」の段階も、従来の4Aにはなかった要素です。これは、顧客が受動的に情報を受け取るだけでなく、能動的に情報を探し求めるようになったことを示唆しています。そして、最終目標である「推奨(advocate)」は、顧客の満足度が高く、ブランドへの共感や信頼が醸成されている状態を意味します。これらの要素から、5a理論は、顧客との長期的な関係構築と、顧客による能動的な情報発信を重視する、現代ならではのマーケティング戦略と言えます。カスタマージャーニーは、もはや顧客から出発した直線的なものではなく、各段階が相互に影響し合い、より複雑で多層的なものへと変化しているのです。マーケティング4.0と5A理論を理解する鍵は、デジタルネイティブ世代が中心となり、オンラインとオフラインの境界が曖昧になった現代の消費行動と、企業と顧客の双方向コミュニケーションの重要性を認識することにあります。

関連記事:カスタマージャーニーの基礎┃概念やマップの作り方、メリットまでわかりやすく解説

マーケティング4.0とは?

「4.0」という数字が示すように、マーケティングの世界には、これまで「1.0」「2.0」「3.0」という段階を経て進化してきました。それぞれの段階を順に見ていきましょう。

・マーケティング1.0「製品主義」

1970年代までのマーケティング手法です。この時代は、製品中心主義(Product-Centric Marketing)とも呼ばれ、企業が持つ技術力や製造能力を基盤として、製品やサービスが開発されていました。つまり、顧客の潜在的なニーズを深く掘り下げるというよりも、作り手側が「こんなものがあったら便利だろう」「こんな機能があれば魅力的だろう」と考え、それを提案することがマーケティングの主軸でした。革新的な機能、斬新なデザイン、卓越した性能などを、テレビCMや新聞広告といったメディアを通じて大々的に宣伝することで、消費者の興味を引きつけ、購買へと繋げていました。この段階では、プロダクトアウトの発想が強く、企業側の視点がマーケティング活動の中心でした。

・マーケティング2.0「消費者志向」

1970年以降から「顧客主義」として、顧客が欲しいモノをキャッチし、製品とするマーケティング手法です。これまで作り手側の視点しかなかったものが、立ち位置が真逆の消費者側に立った視点でマーケティングが行われるようになりました。顧客のニーズをいかに把握できるかが重要となり、顧客満足度の向上を目指すことが中心的な課題となりました。この段階では、単に製品の機能や性能をアピールするだけでなく、顧客が抱える課題や潜在的な欲求を理解し、それに応える製品・サービスを提供することが重視されました。

・マーケティング3.0「価値主導」

2010年あたりから広がった「価値」に重きを置いたマーケティング手法です。多くの製品やサービスがコモディティ化され、機能や価格だけでは差別化が難しくなりました。そのため、消費者側は、「企業がどのような社会貢献をしているのか」「社会をより良くするためにどのような活動をしているのか」といった、より高次の価値観に共感して購買を決定する傾向が強まりました。この「倫理的消費」や「エシカル消費」といった、社会的な意義や企業の姿勢を重視する視点を狙ったマーケティング手法となります。これにより、企業は単なる製品提供者から、社会課題解決に貢献する存在としてのブランドイメージを構築することが求められました。

関連記事:商品やサービスの「コモディティ化」ってどんな意味? 問題視される理由や原因・対策を解説

・マーケティング4.0「自己実現」

現在、欧米では主流となりつつある、顧客の自己実現に焦点を当てたマーケティング手法です。心理学者マズローは人の欲求を7分類しましたが、そのうちの5番目である「自己実現の欲求」にフォーカスしたといわれています。これは、製品やサービスを通じて、顧客が「なりたい自分」や「あるべき姿」を発見し、それを達成することを目的とするマーケティング手法です。単に商品を購入するだけでなく、その商品やサービスが、個人の内面的な成長や目標達成にどのように貢献できるかが重視されます。このような自己実現を促すアプローチは、現代の消費者がより深い満足感を求める傾向にあることから、その重要性を増しています。

関連記事:マズローの欲求5段階説とは?マーケティングに活用する方法

BtoBにおいてマーケティング4.0は可能?

顧客が企業となるBtoB領域において、マーケティング4.0が掲げる「自己実現のマーケティング」は可能なのでしょうか。「自己実現の欲求」は、マズローの5段階欲求説における最上位層に位置付けられ、「あるべき姿の自分、なれる可能性のあるものになろうとする願望」は、本来、人間固有の欲求ともいえ、企業に直接当てはまらないようにも思えます。しかし、企業が自らの将来のあるべき姿をビジョンとして掲げ、その実現を目指すことは決して珍しくありません。自社の製品やサービスを導入・活用することで、企業が掲げるビジョンが達成されるというマーケティング戦略を練ることは十分に可能です。

さらにBtoB企業の場合、直接の顧客は企業体ではありますが、意思決定プロセスには必然的に複数の個人が関与します。最低限、窓口となる担当者と、最終的な購入を決断する意思決定者は存在します。企業に所属していても、担当者個人の価値観や、製品・サービスに対する印象は、その後の関係性に影響を与えます。特に、ファーストコンタクトの相手となる担当者が、自社製品やサービスをどのように認識するかは、カスタマージャーニーの起点となります。この「個人」が関わるプロセスを考慮すれば、BtoB領域であっても、マーケティング4.0の考え方は十分に適用可能と言えるでしょう。企業が単なる機能や価格だけでなく、顧客企業(ひいてはその中の個人)の自己実現を支援するという視点を持つことで、より深い関係性を構築し、選ばれる存在になることが期待できます。

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コトラーの5A理論のポイントとは?

マーケティングの世界では、顧客が製品やサービスを購入するまでのプロセスを顧客視点で理解する「カスタマージャーニー」という考え方が重要視されています。従来、このカスタマージャーニーは「4A」として、認知(Awareness)態度(Attitude)行動(Act)再行動(Act again)という流れが主流でした。

しかし、フィリップ・コトラー氏は、マーケティング4.0の提唱において、この流れに新たな視点を加え、「5A理論」を展開しました。5A理論における顧客の旅路は以下の5つの段階で構成されます。

  • 認識(Aware): 顧客が製品やサービス、ブランドを認知する段階です。
  • 印象(Appeal): 認知した情報に対して、顧客がどのような印象を持つか、興味を抱くかという段階です。
  • 調査(Ask): 顧客が自身で積極的に製品やサービスに関する情報を調べる、質問する段階です。これは、デジタル社会において、顧客が能動的に情報収集を行うようになったことを反映しています。
  • 購買(Act): 最終的に製品やサービスの購入に至る段階です。
  • 推奨(Advocate): 購入後、製品やサービスに満足した顧客が、他者に対して推奨する段階です。

この5A理論の最も重要なポイントは、マーケティングの最終目標が「購買」で終わるのではなく、「推奨」へと拡張された点にあります。これは、顧客のカスタマージャーニーが購買で完結せず、さらにその先へと延びたことを意味します。

IT技術の進化、特にSNSの普及により、現代の消費者は情報の発信者にもなり得る存在となりました。そのため、単に製品を販売するだけでなく、顧客がブランドのファンとなり、積極的に他者に推奨してくれる状態を目指すことが、マーケティング4.0における新たなゴールとなったのです。

5A理論における「調査(Ask)」の段階も、現代のマーケティングにおいて非常に重要です。顧客は、過去のように企業からの情報発信を待つだけでなく、SNSでの口コミやレビュー、比較サイトなどを通じて、自ら能動的に情報を収集し、比較検討します。この能動的な情報収集フェーズにおいて、いかに企業が顧客に寄り添い、信頼される情報を提供できるかが、次の「購買」や最終的な「推奨」へと繋がる鍵となります。

したがって、5A理論は、現代のデジタル化された社会において、企業と顧客の関係性がより双方向的かつ長期的なものになったことを示唆しています。カスタマージャーニーは、もはや顧客から出発する直線的なものではなく、各段階で複雑に繋がり合い、顧客同士の繋がりも影響し合う、よりダイナミックで相互的なものへと変化しているのです。マーケティング4.0を理解する上では、こうしたデジタルネイティブ世代を中心とした顧客層の変化と、それによってもたらされるマーケティングの新たな潮流を把握することが不可欠です。

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まとめ

  • マーケティング4.0は、製品やサービスを通じて顧客が「なりたい自分」を発見し、それを実現させることを主眼に置いたマーケティング手法であり、自己実現のマーケティングとも呼ばれます。
  • BtoB領域においても、企業が掲げるビジョンと自社製品・サービスを結びつけ、企業やそれに所属する個人の「あるべき姿」の実現を支援することで、5a理論に基づいたマーケティング4.0への対応は十分に可能です。
  • 5A理論における最も重要なポイントは、カスタマージャーニーの最終目標が製品やサービスの購入で終わるのではなく、顧客がそれを他者に「推奨」することへと拡張された点にあります。これは、デジタル社会における顧客の行動変容を反映したものです。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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